CPP101 ターメリック星系の生態系概観
Survey of Ecosystem on Turmeric Star System
黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI)

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 概要
 ここで私が「ターメリック星系」と呼んでいるのは、これまでに書いてきた、ささやかな超短編SF小説群での設定に溶け込ませるための、いわばカモフラージュの技法の一つであったためであり、ほんとうは、私たちの「太陽系」のことである。また、「パセリ実験星」と名づけてあるのは、私たちの「地球」のことである。
 ここでの文体についても、ある種のSF小説化の異化が行われている。これまで、おそらく、ただの嘘っぱちだと思われていたことであろうが、これは「ほんとうのこと」をベースにした「嘘のような科学論文」である。これを本気で読もうとするヒューマノイドは、おそらく、これらのことの一部を知っているものか、そのことに気づいたものだけであろう。


 クレーター(1
 ジュピターの衛星カリストには小さなクレーターが多い。ターメリック星系の中で最も大きなクレーターとみなされてきたヴァルハラクレーターというものもあるが、最近の観測により、これは何かが衝突して生じたものではないという説が浮上してきている。これを除けば、パセリ実験星の月に見られる「海」のような大きさのクレーターは見当たらない。衛星カリストの半径は2403kmで、これはマーキュリーの2440kmと同じくらいである。ちなみにパセリ実験星の月では1738kmである。カリストは月より大きい。しかし、月のクレーターとは大きく異なっている。サイズの違いだけではない。カリストのクレーターの中には白く光っているものが数多くある。


 クレーター(2

 月のクレーターでは底の面が平らになっているものが多い。マーキュリーのクレーターでは、石のかけらのようなものが、中央付近などに少しだけあるものが多い。ところが、カリストのクレーターでは多様なパターンになっている。底の面が平らなものはほとんどない。マーキュリーのクレーターのように、中央に何か存在しているものがある。これを調べてみると、かなり丸いものがある。少し長めの球のようなものもある。まるでオウバムのようでもある。このようなものだけではない。
 極端なものを先に述べると、レモン型の形をして、外側に、いわゆる外輪山をもっているものの、内部がカルデラになっているのではなくて、ほんのわずかな谷間を隔てて、中に、レモンの半切りのようなものが、山となってそびえている。


 このようなクレーターは、月やマーキュリーには無かった。このようなものが、隕石などの衝突によって形成されるわけがない。火山だったらどうだろうか。カルデラになったあと、中央の火山が噴火して盛り上がったのだろうか。中央のレモン型の山の周囲が、きれいな谷になっていて、その外側に、壁のようなものが、見事に一周して囲っているのである。すべてがすべてレモン型のクレーターというわけではない。きれいな円のクレーターもある。これらの円型クレーターには、外周の壁が白く光っているものと、あまり光っていないものがある。このうち、白く光っているものについては、内部にも何か白く光っているものがある。これらはいったい何なのだろうか。

 クレーター(3
 やがて、解析ソフトを改良して数をこなしていくうちに、クレーター中央の小山のようなものから首が出ていて、その先に頭のようなものがあり、これが外輪山の上に乗っているとみなせるものが、いくつも現われてきた。

 これまでの解析画像を見直し、「ひょっとすると」と思いつつ、別の解析ソフトを適用して、「もっと分かりやすく見えるものはないか」「ほんとうの姿は、どうなっているのか」とつぶやきつつ、ひとつのシリーズを調べ終えて、ようやく気がついたのだった。「クレーターの中にいるのはバーズなのだ」と。そして、「クレーターというのは、形だけからの連想で、そう呼んでいるだけで、これらはバーズの巣に違いない」と思うようになった。
 本来からあった地質的なクレーターを利用しているのか、バーズたちが何かを集めてきて、クレーターの形に作り上げたのかは、まだ、よく分からない。オウバムのように見えていたものは、本当のオウバムだったようだ。そして、複雑な形に見えていたものが、何羽かのラーバであるということが分かってきた。ひとたび「バーズ」というキーワードが見つかれば、言葉を見失うほどの不思議なものについても、これを説明する言葉がどんどん見つかるようになってきた。一枚の画像から、解析領域をいくつも切り出し、それらについての解析を進めてゆき、この結果が意味することを、ゆっくり考えることになる。

 文明
 ターメリック星系には、おそらく文明があって、巨大な構築物や、都市のような構造、あるいは、道路や線路のようなパターンや、宇宙を駆けるUFOが見つかるかもしれないと、私は、これまで、数々の画像を調べてきた。
 マルスに着陸した探査機が、周囲の風景を送ってきたが、そこにマルス人の影のようなものが映っていて、一時期ニュースにもなった。しかし、この画像を解析したところ、偶然に人の姿に見えただけの、目の錯覚であった。ただし、この錯覚を生んだものが、自然な形のものではないという問題は残った。ある情報によると、マルス人は現在でも存在しているが、地下にもぐっているのだという。これでは、観測画像から見つけるのは難しい。
 もう一つの可能性として、ヴィーナス人の問題がある。有名なアダムスキーの著書や、最近では、オムネク・オネクの著書、あるいは、「ハトホルの書」から、現在でもヴィーナスには文明があって、ヒューマノイド型のヴィーナス人や、コアラ顔で8mほども身長のある、知的なハトホルたちが存在しているという。ただ、問題なのは、そのような文明のある空間が、私たちの知っている空間とは微妙にずれていることである。私たちは、ターメリック星系の中でも、たぐいまれな「濃さの空間」に存在しているため、それより「希薄な空間」にも、 それらの「濃さ」に相応した世界があるということを知らない。そればかりか、私たちの存在自身も、それらの、複数の「濃さの世界」に所属する、複数の「体」が混在したものであるということも、すっかり忘れている。
 ヴィーナスには厚い大気層があって、それだけでも観測しにくい。これまでにも数多く議論されてきた、月とマルスとヴィーナスに時間をかけるのを避け、私は、この範囲の外にあるものを優先的に調べることにした。
 マーキュリーと、ジュピターの衛星エウロパと、サターンの衛星エンセラダスには、期待していたような、文明の証拠となるようなものが見つかった。これらについて論じてゆくと長くなるので割愛しよう。

 巨大なもの
 ところが、ジュピターの4大衛星の中では、まだエウロパだけしか詳しく調べていない。カリストとガニメデとイオが残っている。イオにも不思議な人工物が見つかっており、これについて語る準備を進めているところで、カリストでの、この「発見」である。このように巨大な生態系が見つかると、これまで誰が予想しただろうか。何度も同じことを言うかもしれないが、これでは、まるで、おとぎ話だ。現代のパセリ実験星では、たとえ、あやつりロープのついた木彫りの人形でも、数メートルの身長で街や原野を歩けば、パセリ実験星中から注目を浴びる。もちろん、そのような生物が、キリンやゾウやクジラ以外に生存していたとしたら、たちまち、パセリ実験星中に知れ渡ることになろう。もちろん、それはパセリ実験星上での話である。
 仮に巨大であったとしても、UFOなら、そのようなものが存在しそうだということは、いつの頃からかわからないが、ある程度予想されており、SF映画などでも目にすることがある。ああ、怪獣映画というジャンルがあった。キングコング、ゴジラ、キングギドラやガメラやモスラ。もっと多彩な種類の怪獣たちが生み出されている。ただし、キメラたちの空想の世界でだけ。
 かつて実在していたはずの、巨大な陸上生物の、恐竜については、骨の形の石だけが残っているだけである。その当時のパセリ実験星が、現在と同じであったかどうかは疑わしい。当時の翼竜は、現在のパセリ実験星で飛ぶことはできないはずだという研究成果も出されている。これらの巨大な生物が生存できて、活動できるかどうかということを議論するとしても、それらの全長は100mとか200mのレベルである。巨大なキメラの身長も、想定されているのは、数メートルくらいかもしれない。ひょっとすると、パセリ実験星のあちらこちらに、巨大な仏の像が石に切り刻まれ、石を積み上げて造られてきているが、それらは、実際に、巨大なものが存在していて、それを見た、キメラ集合類としての記憶に基づくのかもしれない。

 エイリアンとワーム
 パセリ実験星は深い重力井戸の底にある。月なら、もう少し楽になる。もっと質量が散らばって存在していると考えられるような、銀河系内の星雲ではどうだろう。最近、オリオン星雲領域の馬頭星雲を調べたところ、一度はニュースになったが、これはまずいと、NASAが画像を作り変えた、悪魔のようにも見えるエイリアンの画像を、解像度が小さいので加工されずに残っていた画像から再現したことがある。それは、生身のエイリアンではなく、つるされた骨格標本のようなものであり、骨は見えたが、内臓部分はなかった。
 ところで、これと同じ画像の中に、巨大なワームが現われていた。馬頭星雲の、頭のてっぺんに赤い部分があって、そこへと、くちばしのような突起を突き入れているワームの姿である。


 このような生命体の画像は、無重力に近いはずの星雲などで、ちらほらと見つかることがある。これらの大きさを計算してみると、パセリ実験星より大きかったり、ターメリック星系より大きかったりする。ここのところの数値には、なんとなく疑問がのこる。物理定数か、空間のとらえ方に、何らかの異常があるのではないだろうか。

 
 ところが、ターメリック星系の中でなら、距離やサイズの数字を疑うわけにはいかない。実際に探査機が、その近くまで行って観測しているのである。ただし、色については、あまり確かなものではない。赤外線と紫外線と、それらの中間の緑色を、それぞれ選択的に通すフィルターが用いられ、それらの結果を、赤と緑と青の3原色に見立てて、自然光でのカラー写真に類似したものが構成されていることが多い。赤外線や紫外線は、波長域が広く、中でも赤外線においては、可視光よりも低周波数のため、小さな粒子による散乱の影響を受けにくい。また、温度という観点から、宇宙には、絶対0度から、数万度までの広いスケールでの分布幅があり、このことにより、大きな分解能を期待することができる。キメラたちの視覚は、可視光にめぐまれたパセリ実験星において適応したため、極端に狭い波長域での描像を見ることに慣れすぎており、それらの波長域でとらえられないものについては、その存在自体を疑うという傾向をもっている。このことを知っているものたちは、その存在を知られたくないものが映っている画像を、意に反して公開しなければならないとき、このような性質を意図的に利用しようとする。たとえば、マルスやエウロパに着陸した探査機が送ってきたカラー画像については、意図的に色が変えられていることがある。しかし、あまり知られていないが、このような意図的な操作の痕跡は、最近の画像解析の技術で、たやすく見出すことができる。

 サイズ
 色は、そこにあるものを見やすくするため、あえて変えることがある。しかし、映っているもののサイズを変えることはできない。ジュピターの衛星カリストにある、多くの目立つクレーターの直径は、数十キロメートルのレベルである。これより小さいものもあるにはあるが、これらは、あまり注目されないし、いまのところ、それほど注目する必要がない。さて、直径数十キロメートルのクレーターの中に、すっぽりとおさまる小山があって、そのかたまりが一羽のバードなのである。それらの中から一羽だけ正確に値を求めてみたところ、体長が38kmとなった。パセリ実験星では、ここからkの文字を取り去って、38mとしても、そんなサイズのバードは存在しないのである。しかし、カリストには、この1000倍以上のバードがいるのだ。おとぎ話のレベルをも超えている。しかし、これらは現実のことである。

 ローレンツ変換
 解析した画像を眺めるたびに、これらは目の錯覚などではないということを何度も繰り返してしまう。「信じる」のでなく、「見る」のだ。見ることによって、納得するしかない。ターメリック星系の現実を説明する理論は、科学の論理の中に完全に埋め込まれているのではなく、神話やおとぎ話の世界へと広がっている。これは、パセリ実験星で科学と呼んでいる理論の仮説のなかに、不確かなものが存在していることを意味している。その不確かなもののなかで、明らかに勘違いしていると考えられるものに、「空間のとらえ方」というものがあると、私は考えている。もう一つの疑問は「光の速度」である。これらに関連して、空間と時間が、互いに入れ換わるという、不思議な関係を正当化して成立した理論に「ローレンツ変換」というものがある。これを証明したという理論がいくつか出現していて、それらの多くは正しいものと信じられてきたが、私は、それらが空論であることを見抜き、その証明が無意味なものであることを明らかにした。そのことを皮肉って名づけた「幽霊変換」というタイトルの論文にして、明らかにした道筋を公開してある。分かってみればかんたんなことであったが、これまでは、このようなかんたんなことが分からずにいて、そのために、不思議な矛盾が生じるにもかかわらず、それらの矛盾を無視し、とんでもなくおかしな言いわけが支配しするようになり、けっきょく、多くのキメラたちが言いくるめられてきたのである。
 衛星カリストがバーズの巣で占められていることを、私は正式な論文の形にして公表しようとはしていない。数学のように、とびきり論理的なものですらキメラたちは理解しようとはしないのである。画像解析のための複雑なアルゴリズムを理解して、この目の前にある画像が正当な観測データから再構成されたということを納得できるキメラが、いったい、どれだけ存在していることだろう。このことには時間が必要だと私は考え、とりあえずの話題として、もっと遠くのものについて画像解析の効能を示すため、マルスの小さな衛星、フォボスとダイモスを調べなおすことにした。ところが、このターメリック星系は、思った以上に、おとぎ話化されていたようだ。実は、これらの小さな衛星にも、やはりバーズがいたのである。

 ペンギンのデザイン
 以前フォボスを解析したときには、まだ、マジックフィルターと呼んでいる解析ソフトは、現在の分類での16系しか存在していなかった。16系というのは、原画像を16×16のサイズに拡大しつつ、それらの範囲のピクセル色値を巧みに決定して、もとの映像に近いものを再構成するものである。このような定義にならって、このあと、8系と4系の解析ソフトを開発し、逆のほうも利用価値があるかもしれないと、20系や24系もテスト的に開発してゆき、最終的には32系での、各種の特殊能力をもつ解析ソフトを整備したのであった。
 あらためてフォボスやダイモスを調べるときには32系の解析ソフトが充実していたので、これまでだったら砂粒のように小さな変化のしるしを見捨てていたのであったが、これは何だろうかと調べていったところ、それらの微細なキズかゴミのようなモザイク模様の中から、バーズのパターンが現れだした。脊椎動物の背骨のカーブ。細い首で胴体からとびだし、そこに、脳や目が収まる頭部があって、バーズならではの、くちばしがついている。翼や脚の様子は、よく分からないことが多い。脚は細すぎるし、真上から見ていることが多いので、見えなくなっているのだろう。翼を広げている例も、まれに存在するが、多くは翼をたたんでいる。そして、空気抵抗を利用して浮力を得る必要がないのかもしれないが、パセリ実験星のペンギンのデザインに似たバーズも数多く見られる。


 パセリ実験星のバーズと大きく異なる特徴が一つある。背中のまんなかに、オウバムのような球体を背負っているものがいるということである。ひょっとすると、それは、オウバムではなく、パセリ実験星の砂漠を渡るラクダが、背中に栄養のつまったコブをもっているように、栄養か呼吸のために必要な成分を、そこに蓄えているのかもしれない。いわば、宇宙のバーズの、ライフモジュールである。いやいや、これは、単なる想像である。確たる仮説による説明ではない。

 生態系からの視点
 カリストでも考察したが、フォボスやダイモスだけでは、生態系として、あまりに狭すぎるし、最初に見つけたカリストでも、そこは、パセリ実験星の海にポツンと浮かび出ている、営巣地としての小島程度の役割しかないのである。カリストを営巣地とするのは納得できるとしても、そこだけで生活してはゆけないだろう。仮に、そうしているとしたら、逆にカリストでは密集しすぎている。ただし、食物もしくはエネルギーシステムのことについては、何も分かってはいない。分かっているのは、それらの生命体の形が、パセリ実験星のバーズのデザインとよく似ているということと、大きさについては、まったく異なっていて、1000倍以上も巨大だということである。
 もし、それらが生命体だとしたら、それなりの生態系の中で生活しているはずである。そのような、多様で、さらに巨大なシステムが、どこにあるのか。ここまで考えて、私はすぐにジュピターを思い浮かべた。カリストはジュピターの衛星なのだ。しかし、ジュピターは巨大な惑星であり、表面には液体か気体の渦があるばかりだ。

 サターン(1
 まてよ。フォボスとダイモスはマルスの衛星である。マルスとジュピターは、それほど近くない。間に小惑星が散らばっている。それらを飛び石にしたとしても、宇宙空間を「渡る」能力が全くないとすれば、このような分布はあり得ないだろう。だとすれば、これらの小惑星か彗星に乗って、ジュピターからサターンのほうへと渡っている可能性もある。私はサターンの衛星も調べることにした。
 ミマス、エンセラダス、テチス、ディオネ、レア、タイタン、ハイペリオン、イアペタス、フェーベ、ヤヌス、エピメテウスと調べ上げ、少し飛ばして、プロメテウス、パンドラを調べた。カッシーニ探査機がサターンの領域にいるらしく、サターンや、その衛星の画像が、最近豊富になってきている。これらのすべてを調べつくしたわけではないし、それらの画像も、探しつくしたわけではない。サターンのF環の、羊飼い衛星とも呼ばれているプロメテウスにも、バーズの姿が見つかった。このような小さな衛星に、わずかな数だけのバーズがいたとしても、それだけでは遺伝子情報を保存してゆけないはずである。
 いろいろな疑問を抱きながら、サターンの衛星の画像をチェックしていたとき、ふと、サターンだけでも画像を調べてみることにして、サターンの表面の画像や、リングの画像を取り込んだ。それらの中で、サターンのリングが波状になっていて、それらの小さな波の幅が、全体としての大きな波のようになっている画像があった。
 その画像のあちらこちらに、小さな白いシミのようなところが散在していた。それを解析したところ、案の定、それらはバーズのパターンをなしていた。


 
サターン(2
 衛星の表面だけでなく、サターンの環の上も、それらの活動場所なのだ。いったい、ターメリック星系の宇宙空間はどのようになっているのか。そこは真空で、低温で、ターメリック星の光もわずかなのではないのか。そのようなところで、バーズの形をしたものが、あちらこちらへと移動している。そのように考えないとおかしい。画像で見たことを説明するには、それらのバーズが、サターンの周囲の宇宙空間を飛び回っているとみなす必要がある。
 サターンの衛星にも、サターンの環にもバーズがいる。それらの場所は小さな重力である。サターンの表面の重力はどれくらいの大きさになるのか。このように思って調べてみると、意外なことに、パセリ実験星の表面での重力を1Gと呼ぶことにすれば、サターンの表面での重力は0.94Gという値らしい。パセリ実験星並みなのだ。しかし、これは大きいはずである。そのように考えつつ、とりあえず、サターンの表面も調べてみることにした。幸いに、現在、カッシーニ宇宙ロボット探査機が、サターン系をうろうろしているようで、解像度の大きな画像をパセリ実験星へと送ってくれている。ウェブで、これらを調べ、引用のための出典URLも記録しつつ、取り込んで保存した。
 サターンに関する最近の話題は、極地方にある渦の形が、円ではなく、六角形であるということである。そのことを示す画像には、水色のオーロラが浮かんでいて、サターンの表面は赤と黒で何らかの模様ができている。


 サターン(3
 そうそう、この画像を調べる前に、もう少し赤道へと向かった、一般的なサターンの表面が映っている画像を調べた。そのような画像のパターンはジュピターのものに似ている。表面には小さな渦のようなものが、たくさんある。

 最近のことらしいが、巨大な白班が出現したとか。これがとらえられている画像もあったが、私はまず、サターンの北半球に多く散らばっている、小さな渦のようなものを調べることにした。すると、たちまち、バーズの姿が現れ出した。サターンの表面がガスであるとは考えられないように見えた。そこは何らかの液体の海であり、渦のように見えていたものは、海の成分で作られている渦などではなく、何らかのものでつくられた「浮き巣」なのである。そこにバーズやラーバがいて、オウバムがあるのだ。

 衛星カリストでは、クレーターに見えたものが「バーズの巣」だった。サターンでは、大気の渦のように思われていたものが「バーズの浮き巣」なのである。

 ジュピター(1
 ここまできたら、もうひとつ調べておかなければならない。これまで調べることを保留しておいたジュピターだ。最初にバーズの存在に気がついたカリストという星は、ジュピターの衛星なのである。しかし、衛星の画像に比べ、ジュピターの画像の多くは、その全体像であり、重力も大きいため、それほど近くまでは近づけないようだ。しかし、カッシーニ探査機は、サターン系にやってくる前、ジュピターを利用してフライバイしたという。調べてみると、その時に撮影されたジュピターの比較的高解像度の画像が見つかった。これらを取り込み、しかるべき手順で画像を解析することにした。
 ジュピターには「大赤斑」という巨大なパターンが存在する。これは、ジョヴァンニ・カッシーニによって1665年に発見されてから340年以上も存続しているという。ジュピターの斑点パターンは、それぞれ独立していて、大気だとみなされている周囲で流れるものに対して、独自の速度で漂っている。この大赤斑が長く変化していないことに対して、最近、これより小さい白斑のいくつかが、合体して別のものになり(2000)、さらに白から赤へと色が変わった(2005)ということが観測されている。白斑が赤斑へと変化した理由についての明確な説明はなされていないらしい。合体した斑状領域はオーバルBA(oval BA)と呼ばれている。この現象を説明するための画像は、それほど解像度の高いものではなかったが、いろいろと工夫して解析してみたところ、やはり、ある種のパターンが浮かび上がってきた。これらの画像は、白く輝く斑状領域の、光量を系統的に減らしていって見出す。

 ジュピター(2
 シュピターに関しては、カッシーニ・ロボット探査機が、これまでのものより大きな解像度の画像を撮影している。それによると、ジュピターの北半球には、多くの渦が複雑に発生していて、それらがつくるパターンが、まるで、キメラたちの脳のようにも見えるのだという。確かに、そこには、数え切れないほどの渦のようなものがあるように見えている。これらを拡大してゆくと、やがて、ブロック状のモザイクパターンになってしまうのであるが、それらの数十ピクセル幅の領域の色値データから、私は、画像の向こうにあったはずの、連続関数で近似できるラインと、なめらかな陰影パターンを有していたものに、ある程度近づけるものを再構成し、自然な銀塩写真に近い画像を生み出そうとしてきた。この技法を、ジュピターの表面を描いているモザイクパターンに適用したとき、私は、ジュピターの大赤斑や白斑、さらには、北半球の、数え切れないほどの渦状パターンの意味を知ったのだった。これまで「渦」だと信じられてきたものは、遠目に見て、周囲で流れるものがあったから、そのように判断されたのであるが、解析してみると、それらは、周囲の流体の成分がつくる「渦」ではなく、それらとの境界をもち、異なる配色とデザインによって構成された「異物」なのである。さらに、その「異物」を詳しく調べてゆくと、巨大な構造体が、いろいろと組み合わさっていることが分かる。色の違いもある。このような解析法が、これまで知られていなかったため、ジュピターの観察は、重要事項の上位にはランキングされてこなかった。しかし、ジュピターやサターンを調べることは大切なことである。おそらく、これらの巨大惑星は、これまで考えられてきたような、単なるガス惑星ではない。ターメリック星系における、これらの巨大惑星の意味が明らかになれば、ターメリック星系そのものの意味も変わってくるはずである。


 キメラ原理

 これまで私たちは、パセリ実験星こそが、宇宙に偏在する遺伝子のプールであり、どのような変異のパターンが生じてゆくのかということを試す「場」であると思ってきた。それゆえ、この星は巧妙に管理され見守られてきたのだとも思っていた。なぜなら、他の多くの惑星や衛星は不毛であり、あまりに過酷な環境でもあって、これらの遺伝子が効率よく変異するには適していないのだと考えてきた。そして、パセリ実験星のほうがターメリック星をまわっているとはいえ、ターメリック星は、このパセリ実験星をはぐくみ、いつくしむために存在してきたのだと思い込んできた。それだけではない。あまりに巧妙に組みあげられた、この宇宙空間における、さまざまな物理定数の値を説明するために、私たちは、キメラ原理という、あまりにおごった名称を考えだし、キメラの脳をもつ私たちこそが、この星系の未来をまかされた種族なのだと思い込んでいたのである。
 ところが、このターメリック星系の生態系が、より詳しく分かるようになってみると、キメラの脳をもち、天空の成り立ちに思いをはせ、宇宙のあらゆる現象を、深い重力井戸の底にある、パセリ実験星で行った実験からの演繹で説明できるのだと、これまで誇らしく思っていたことの、多くの基礎が、砂上のアートの砂粒の一つずつが飛んでゆくかのように、知らず知らずのうちに、形のないものへと変化してしまう。宇宙はキメラたちが立っている星を中心にして回っているのでないだけでなく、ターメリック星は、キメラたちのためにだけ心地よい光量を投げかけているわけではない。
 パセリ実験星にも、巨大ではないものの、歌のうまいバーズが多様なニッチに放散している。空ではバーズたちが、海ではクジラたちが、この星独自の、歌の文化を生み出している。それに比べ、ヒトデにも似たキメラたちは、いったい何をやっているのだろうか。
 ターメリック星系は、地を這うものたちのものだろうか。それとも、地を駆けるもの、岩山を跳ねるもの、洞窟に潜むものたちのものだろうか。これだけ広い空があるというのに、大きな重力を受け入れることしか考えてこないものたちのそばで、身を軽くして、この大気の濃さを利用し、そこへと進出していった種族がいくつか存在している。星から星へと渡るまえに、大気の空を渡る能力が発達していなければならないということを、頑固にも受けいれようとはしてこなかったものに、いったい何が主張できるだろう。

 ターメリック星系の生態系
 ターメリック星系には、多様な「空間濃度」と、多様な「生体サイズ」の、複雑に構成された生態系が存在する。このような系では、多様なデザインの生命体が繁殖しているが、最も広範囲に存在しているのは、巨大なほうではバードであり、微細なほうではウィルスである。これらは、いずれも、彗星や小惑星のような天体を利用し、ターメリック星系の隅々にまで、活動領域を広げている。
 ターメリック星系にある、パセリ実験星に入植した、キメラの脳をもつものたちは、ある種の集団病に感染しており、広範な電磁波の波長領域の中でも、植物の光合成システムに最適な「可視光」という範囲に適応した視力をもち、そこから外れた電磁波によって描写されるものを、あえて見ようとしない傾向をもつ。これと同じように、最も「濃い空間」での活動に慣れすぎてしまい、それ以外にも、幾つかの「振動数の節」に相応した空間が存在することを無視したがるという傾向もある。ここでは、このような、ターメリック星系のキメラからの視点で論じることになるわけであるが、この視点は、あまりに狭く、そこから得られる情報量も、極端に少ない。このような研究は、まだ始まったばかりである。

 (2009.06.08 Written by Kinohito KULOTSUKI [@] KULOTSUKI ANALYSIS INSTITUTION)
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 (2010.10.19 Written by Kinohito KULOTSUKI [@] KULOTSUKI ANALYSIS INSTITUTION)
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