CPP137「海王星の衛星ネレイドの巨大な螢光灯」
CPP137 Big Fluorescent Light on Moon Nereid of Neptune
黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI), treeman9621.com
CPP137「海王星の衛星ネレイドの巨大な螢光灯」

 まえがき

 海王星にネレイド(Nereid)という名の衛星があります。1989年にボイジャー2号が撮影した画像[1]があります。直径340kmの小さな衛星です。海王星までは遠いので、ボイジャー2号から後は、何も飛んでいっていないようです。ネレイドの画像は、この1枚だけかもしれません。しかし、なにやら、ぼんやりしていて、この衛星の形が、はっきりしません。

 これまでの画像解析ソフトの能力であれば、この段階の画像を前にして、どうすることもできなかったようです。これ以上の何を見るのか。そのように考えられていたと思います。今年の5月ごろ、同じ海王星の惑星であるディスピーナを調べていたころ、やはり、私は、このネレイドから、何か、これまでに知られていなかったことを見出そうとはしませんでした。そのようなことは不可能だと考えられたからです。

 ところが、9月になり、ここ2カ月ほど集中して、新しい解析技術を組み込んだ、画像解析ソフトを生み出すことに成功しました。ここでいう「新しい解析技術」というのは、「ゴブリンアイ」のことです。クッキリン処理によって散らばっていた、不要な色の「にじみ」を見分けて、それらを掃除します。マニュアルなどで、この機能を説明したのですが、サンプルとしてつかっていた画像は、まったく正体の明らかな、版画やイラストや風景写真だったので、この機能をうまく生かす必要がなかったようです。

 試しにと、ゴブリンアイ装備クッキリンoz906で、ボイジャー2号が撮影した、この、ぼんやりとした画像を処理してゆくと、これまでの考えが間違っていたということが分かりました。ゴブリンアイの技術を適用すれば、このような画像において、驚くほど詳しい情報を引き出すことができるのです。言葉だけでなく、そのことを、これから、画像でお見せします。

 

 海王星の衛星ネレイドの巨大な螢光灯


1  衛星ネレイドの観測原画像[1]

 図1は衛星ネレイドの観測原画像[1]です。これをビットマップ画像へと変換してから、ゴブリン装備クッキリンoz906に取りこんで処理した画像を、これから並べます。

 図2ルーペPホーン暗ゴブリンアイHレベルです。Lupe PdarkHと記号化します。

 図3ルーペPホーン双ゴブリンアイです。Lupe Pbothと記号化します。

 このような解析だけでも、図1に比べ、この衛星ネレイドの輪郭が、よりはっきりと分かるようになります。


2 ルーペPホーン暗ゴブリンアイHレベル(Lupe PdarkH)


3 ルーペPホーン双ゴブリンアイ(Lupe Pboth)

 次に、光核モードでの解析を行います。

 図4は、光核モードの解析におけるスタート画像です。できるだけ明るい状態でスタートするため、Pホーン明ゴブリンアイHレベルとしてあります。「明るさ」のスイッチがオンになっていますが、値が+100なので、実は初期値のままです。これは消し忘れていたものです。明るくしておこうとして、この値を大きくしておくと、画像を構成しているデータを削ることになって、のちのち解像度を落としてしまいます。データさえ残っていれば、明るくする裏ワザが使えるのです。


4 ルーペPホーン明ゴブリンアイHレベル(Lupe PlightH)
光核[0255]Pホーン明ゴブリンアイHレベル(Core0_255 PlightH)と同じもの


5 光核[100255]Pホーン明ゴブリンアイHレベル(Core100_255 PlightH)

 図6では、光核 [150255] になりました。解析対象が小さくなってきましたので、マップ画面に戻って、窓のサイズを変更し、クッキリン画面へと進み、図7の画像へと拡大しました。このような操作を、図8と図9や、図10と図11においても行っています。


6 光核[150255]Pホーン明ゴブリンアイHレベル(Core150_255 PlightH)


7 図6(□×4)2倍拡大(□×8と左下に表示)


8 光核[170255]Pホーン明ゴブリンアイHレベル(Core170_255 PlightH)
□×8


9 図8(□×8)2倍拡大(□×16)


10 □×16Core180_255 PlightH


11 図10(□×16)2倍拡大(□×32)

 ここで裏ワザをつかいます。図11をウィンドウズのPrt Scキーで画面ごとコピーし、ペイントに貼り付けて、24色ビットマップのモードで、新たな原画像として保存します。図12は、これを、あらためてoz906で読み込んで、□×1のままクッキリン画面へと進み、ピーチモードを選択して、Pホーン明ゴブリンアイHレベルとしたものです。

 図12は、図11の状態からマップ画面にもどったものです。図11や図12の解析領域が、ネレイドの、どのような位置にあって、どのような大きさに対応するのかということを示しています。この関係をたどって、比例計算してゆくと、ネレイドの長径に対して、図12の中央にある、まるで「螢光灯のようなもの」の長さは、0.088倍ということになります。ネレイドの長さは340kmとされていますから、この「螢光灯のようなもの」の長さは、29.9kmとなります。およそ30kmです。巨大なものです。しかも、このような形状で光っているのです。もちろん、光るメカニズムは不明ですが、私たちが知っている「螢光灯」に、そっくりです。


12 図11を新たな原画像としての(□×1のまま)ピーチ(Peach)PlightH


13 図11の領域位置を示すマップ画面

 まとめ

黒月解析研究所において、新たに開発した、デジタル画像解析プログラム、ゴブリンアイ装備クッキリンoz906を使って、図1にある観測原画像から、図12のような、不思議な構造体がネレイド表面に存在することが分かりました。このような画像は、これまでの画像解析プログラムでは、得ることができませんでした。つまり、これまでの科学観測における画像データは、図1のレベルで、さらに隠れていたはずの情報を包み込んでいたのです。ゴブリンアイという解析法により、このような情報を開いて見ることができるようになったわけです。おそらく、この技術は、遠宇宙の探査だけでなく、デジタル画像を利用する、あらゆる探査法において、新しい道具となることでしょう。

 追解析

 途中で裏ワザを入れない方法で、さらに、限定された情報を得る手続きがありました。光核のモードにおいて、光核[ab]のにおいて、b=255とし、abに近づけたときの画像が、(狭義の)光核です。この逆に、a=0とし、bをaに近づけたときの画像を闇核と言います。これらの考えを一般化して、任意のaに対して、b=a+1のようにしたときの画像をスペクトル核と呼びます。これが、今回の対象には、うまくあてはまるのです。図14は、光核[185191]をベースとしていますが、図15a=190のスペクトル核の画像です。螢光灯の管のような構造だけをとらえています。


14 光核[185191] Pホーン暗ゴブリンアイHレベル(Core185_191 PdarkH)


15 光核[190191] Pホーン暗ゴブリンアイHレベル(Core190_191 PdarkH)

(2009.09.04 Written by Kinohito KULOTSUKI )

参照資料

[1] Nereid, by Voyager 2 at August 1989, being 340 km across.

Nereid is seen here in a Voyager 2 image taken in August 1989 from a distance of 4,700,000 km. Nereid is 340 km across and orbits Neptune in a distant, highly eccentric orbit. (Credit: NASA, JPL)

http://www.johnstonsarchive.net/astro/gallery-6.html