CPP153 夜空を暗くしているもの  What Makes Night Sky Be Dark
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CPP153 夜空を暗くしているもの

 「夜空はなぜ暗い?」という本を図書館で借りた。副題は「オルバースのパラドックスと宇宙論の変遷」。この問題の発端は、次のようなことにある。宇宙のあらゆる方向に星があり、それらが光を放っているのだから、夜空は、もっと明るいはずだ。それにもかかわらず、実際の夜空が暗いのは、星の光の中には、地球に届いていないものがあるからである。それは、宇宙が生まれた時間と、光が進む速さが有限の値をもっていることから生じることである。また、宇宙が膨張していることも、このことを助けている。このような問題に絡めて、地球のこの文明における、宇宙論の変遷を、この本は、エピソード豊かに説明している。巻末にある英文の付録や参考文献のリスト(これも英文)は、この分野の研究家にとっては、貴重な資料となる。

 しかし、この問題には、もうひとつの答えがあるということに、この本は、ほとんど触れていない。もうひとつの答えとは、宇宙の星間物質が、星の光を吸収しているということである。この本のp287に「夜空が暗いという謎へ提示された解答」という名の表がある。ここに「星間吸収による」という項目があり、8章で取り扱われているらしい。しかし、8章には、この考え方による歴史的なエピソードが語られているものの、ここに「ダークマター」という言葉は、まったく現れていない。「ダークマター」が確認されたとき、この問題の謎は、たちまちにして解ける。これまでの観測技術においては、このような星間物質を見出すことが難しかったことだろう。現在でも難しいようだ。

 銀河の回転速度が、中心から端まで、ほとんど同じであることを説明するには、銀河に含まれている星の質量だけでは不十分であり、目に見えない物質が、星の質量の何倍かで存在しているはずである。このような推論により、ダークマターの存在が予測されている。ただし、それは、正式には、まだ観測されていないこととなっている。

 NASAが管理しているハッブル宇宙天文台によって撮影された、宇宙の画像を、新しく生み出された画像解析の技術で詳しく調べてみると、星が映っていなくて、ただの闇のように見える領域にも、星でも星雲でもなさそうな、不思議な色パターンを有するものが、いろいろと存在していることが分かる。地球からの観測画像なら、空気層の乱れによる像であるという可能性もあるが、ハッブルの画像であれば、宇宙に存在している何かだということになる。

 このような「ダークマター」の候補となりうるものは、どのような宇宙空間からでも見出すことができる。ただし、極端なコントラスト処理により、暗闇の色値を0へと落としてあるものでは見込みがない。有望なのは、あまり強い光をとらえていないものであり、かすかな光の星雲などを撮影したものがよい。それらの画像で、星雲も星も映っていない、暗いところを切り取って、色値の小さなゾーンを調べればよい。中には、宇宙空間の一面が、まるで、草原か花園のように、かすかな色変化の模様で埋められているものまである。おそらく、私たちは、宇宙は暗くて、光りを出している星や星雲だけが、そこにあるものだと信じすぎてしまい、光や色のすべての帯域で、宇宙のイメージを描くことを、すっかり忘れてしまっているのだ。そして、強い光の星については、やや色づいているものの、輝いている強い光だけを観測し、その源泉にあるものの姿を見ようとしてこなかった。これは、星の「光核」と名づけたもののことである。

 「ダークマター」と「光核」は、宇宙空間における画像の、色値における両極端に位置するものである。図1Aは、NASAのハッブル宇宙天文台によって観測された「猫の目星雲」の画像であるが、この星雲ではなく、その近くに写っている星の近傍を調べてみよう。図1Aの、向かって左にある、赤い箱の領域である。図2〜図5は、それを拡大クッキリン処理してコンターを描いたものである。図2から図5に進むときHホーン明ゴブリンアイ処理を1回ずつ加えている。これらの処理はコンター装備ゴブリンブリンクgoc15によって行った。

 図2から図5に進むにつれて、@のほうの画像に、暗闇部分に何らかの色パターンが浮き上がってきたことが分かる。これは、ハッブル宇宙天文台によって撮影された画像を解析したものであるから、地球大気の影響はない。また、観測装置も、それなりに優れたものであろう。ひょっとすると、ウェブで公開するために、何らかのモードによるものから、ジェーペグ画像へと変換されているだろうから、そのことによって、画像情報が減らされている可能性がある。暗闇に現れた色パターンが、四角い辺をもっているのは、このことが影響しているからかもしれない。可能ならば、このような変換を経由しない、オリジナルの観測画像において、このような処理を行って、いったい、どのようなものが見えるのか、調べてみたいものである。

 図6と図7は、猫目星雲の中心にある星を、光核モードで調べたものである。白く輝く星でも、このように調べれば、そこに何らかの構造が存在することが分かる。しかし、このようなイメージが、いったい何を表わしているのかということは、まだ、よく分っていない。

 まとめ

 宇宙には星があって、星雲がある。そして、それらの間には何もないと信じられてきた。地球から観測したとき、恒星や惑星の像は、空気のゆらぎによって、ぼやけたものとして見えていた。しかたなく、天文観測者たちは、それらの平均画像を見てきたのだし、それらの光の性質を調べてきた。しかし、ハッブル宇宙天文台による画像では、このような、地球大気の邪魔を排除することができる。この画像にある、宇宙の暗闇部分を、コンター装備ゴブリンブリンクgoc55などで調べると、そこに、何らかの色パターンによる構造が存在していることが分かる。宇宙は広く、観測機器の状態を詳しく知ることができないので、このような色パターンには、いろいろなものが見られる。宇宙には、まだまだ分かっていないことが満ちている。

(2009.010.24 Written by Kinohito KULOTSUKI)

参照資料

[1] 「夜空はなぜ暗い? オルバースのパラドックスと宇宙論の変遷」エドワード・ハリソン/著、長沢 工/監訳、地人書館刊、2004

[2] NASA Hubble Telescope

http://athensboy.files.wordpress.com/2009/05/hubble-space-telescope-001.jpg

[3] Catseye Nebula by Hubble Telescope

http://chandra.harvard.edu/photo/2008/catseye/catseye.jpg