CPP187 生きている化石メタセコイアは巨大なカー体をもっている
CPP187 Metasequoia as Living Fossil has Giant Ka Body
黒月解析研究所 (KULOTSUKI ANALYSIS INSTITUTION)
 黒月樹人 (Kinohito KULOTSUKI) http://www.treeman9621.com/
CPP187 生きている化石メタセコイアは巨大なカー体をもっている

「心の多面体」へもどる

 書きあげたいと思っているテーマは幾つかあるのだが、研究室へと差し込んでくる日差しが、あまりに強いので、こんなところに座り続けているのは精神衛生上よくないと考え、戸外へと出向くことにした。私は、後部が荷台になっていて、そこに自転車を乗せられる車がほしいと思っていたのだが、いろいろな事情がからんで、スポーツタイプのRV車ということになった。これを何年か乗り続けて、ようやく、後部座席を倒して、運転席の横の座席を前方へとずらせば、もとからあった室内トランクスペースとあわせて、ここへと自転車を積み込むことができるということに気がついた。私が住んでいるところは、周囲から地理的にも標高的にも隔離されていて、周囲の世界のことを、たびたび私たちは「下界」と呼んだりすることもある。だからといって、私たちは「上界」や「天国」と呼ばれるところに住んでいるわけではない。少々空気が薄く、高度差もあって、大気層の中で沈殿してゆく、都市から出る汚染された塵や雲のようなものが、ほとんど、あがってこられないというだけのことである。

 車の後部に自転車を積んで、下界にある、森の図書館の駐車場へと着き、自転車を降ろして走りだした。ここは、小高い丘の上にあるので、スモッグのかかった空気の底へと向かうには、さらに、自転車で転がり落ちてゆく必要がある。それから2時間ほどかけて、橋を渡り、峠を二つばかり越え、迷路のようなところをぐるぐるとめぐって、けっきょく、この迷路の入口へと戻ったあと、川に沿って設けられたあぜ道を走っていると、この岸辺の向こう側に住宅やビルがなく、樹木が続いていることに気づいた。その樹木の列が終わったところに、「植物園」の正門があった。都市にはめずらしく、自転車の駐輪料とバイクの駐車料金が無料である。自動車の駐車料金は、入園料の何倍もする。

 正門をくぐって、すぐの、右手に大きな樹がある。葉の形状から針葉樹であることは分かるのだが、たまたま、その樹にはラベルのようなものがついていなかった。樹齢もかなりのもののようで、なにより、その幹が、まるで何本かの樹を寄せ集めたかのように、ぐねぐねと表面を波打たせて広がっていた。デジタルカメラを持ってきていたのだが、名称が確認できないで撮影すると、資料を整理するときに混乱するので、この大木の画像は撮影しないでおいた。少し歩いてゆくと、施設を管理する人が現れたので、名前を聞いてみることにした。すると、その若い女性は、どこかに持っていた植物図鑑のようなものを出してきて、それを調べ始めた。おそらく、数日前から、この仕事をはじめたに違いない。その大木について、私が指さして説明しているとき、それより手前にある、すこし小さめの、明らかに同種の樹木の幹にラベルのプレートが取り付けられてあって、そこに「ヒマラヤシーダ」と書かれてあることに気がついた。「そうか、ヒマラヤスギか」と、私はつぶやいた。正門右手の巨木は、この植物園の看板樹木のようなもので、たしか、最も大きなものか、最も古いものであるということを、何十年前に、初めてここに来たときに聞いたようだ。それを私は思い出した。この若い女性が、おそらく、生まれる前のことだ。そのとき、この樹は、すでに大木だった。私は、この樹のところまで戻り、この樹についての資料画像を何枚か撮影した。

 それから、植物園の通路にしたがって、ゆっくり歩きながら、主に針葉樹を探して、それらの資料画像を撮影した。ハリモミ、モミ、スギ、タイワンスギと、画像のリストをノートにメモしながら、樹木のラベルも記録し、それらの葉が青空を背景として撮影できるポジションを探しながら、何枚も何枚も画像を取り込んだ。

ちょうど、このタイワンスギを撮影しているとき、遠景として撮影される部分に、まるで、緑の色紙で樹木の形を切り取り、それをぺたんと貼ったかのようなイメージが見えていることに、私は気づいた。そんなはずはない。樹木は、細い幹や枝を伸ばしていて、かすかに葉などもつけていたが、肉眼で直視してみると、それは、冬季の樹木の姿にも似ていて、すかすかの空間の中に、根っこや毛細血管のようなパターンを描くものだった。

私は、遠景の中にあった、この植物の根元まで近づき、幹に巻きつけられてあったプレートの名称を読んだ。「メタセコイア」。これは有名な名前である。たしか、化石として見出されたあと、現存種が確認され、「生きた化石」と呼ばれているもののひとつである。広葉樹に対して針葉樹は、より古いシステムの植物だそうだ。その針葉樹のなかでも、さらに古い時代に発達したままのシステムを残しているものということらしい。私は、「ChMd11 色加味アー ト画廊(1)[1] ページをまとめているときに、「より原始的な生物のほうが、物質体の周囲に、より広いカー体をもっている」のではないかというアイディアを思いついた。これは単なる仮説である。広葉樹と針葉樹の、物質体とカー体の様子を見比べてひらめいたのだった。今回、この植物園で撮影するにあたっても、私は、広葉樹には目もくれていない。広葉樹なら、何時間もかけて下界の植物園へとゆかずとも、すみかの山奥の自然林に何種類も生えている。ここに来たのは、ありふれたスギやヒノキやマツ以外の、めずらしい針葉樹について調べるためであった。この狙いは、「当たり」だったようだ。


2 3本のメタセコイアの全景(B)

 図1〜図4は、植物園にあったメタセコイアの、自然な撮影画像である。完全な葉のようなものは、まだ発育しておらず、種子のようなものが黒い球状のものとして、数多くついている。今年の芽吹きは、まだのようだ。まだ活動的ではないようであるが、図3を見ると、この樹木の枝が広がっている部分に、カスミのようなものがかかっていることが分かる。肉眼では観察しづらいが、カメラのレンズを通して見るとき、少しピントが甘い状態のとき、このカスミのようなものが、背景の空の、白っぽい青にたいして、より青みの強いベールのようなものとして観察できるのである。これまでの、いくつかの樹木における観察より、このような樹木たちは、物質体としての木部や葉の周囲に、半物質体で半透明と見なせる「カー体」をもっていることが分かってきた。指などで触って確認できるものではないので、物質ではないことが分かるのだが、周囲に何かがあって、光を屈折させ散乱させているはずである。比喩として、カエルの卵の周囲にある寒天質のようなものと考えることができる。ただし、樹木の「寒天質」は、手で触ることができないものである。完全な物質ではないが、物質と似た作用をもたらす。「カー体」は、このような「より精妙なもの」として説明されている。

 次の図5は、ゴブリンクォーク2の「色加味」機能を使い[2]、図3に映っているメタセコイアの「カー体」を見やすくしたものである。カメラのファインダーをのぞいたとき、この図での桃色部分が、青色に見える。そのことを知って意識していれば、おそらく、誰にでも、この「青いベールのようなもの」を見ることができるだろう。

 図6に解析領域を示し、図7で拡大なめらか補間を行った画像をFとし、その画像Fに対して、0-255step4の条件でコンター解析を行ったものが図8である。このときの画像の明るさでは、背景の空が、ほとんど255の値であったり、それに近づいているので、空の情報量は少ない。これに対して、メタセコイアの樹木が支配している空間部分では、細かなコンターパターンが、ほぼ全体に広がっている。わずかな空隙はあるものの、これらのメタセコイアたちは、自らが枝を伸ばした範囲の空間を、物理的な次元における視点からは、細くささやかにしみ込んでいるように見せかけておきながら、こうして、より精妙な空間においては、ぎっしりと、密に支配しているのである。

 次の図9は、図4の画像Dについて、ゴブリンクォーク2色加味解析(1C配色0-255)を行ったものである。

 画像Dの中央上部を拡大なめらか補間したものが図10である。これを画像Gとする。この画像Gに対して、色の対象範囲を0100とし、飛値2でコンターを描いたものが図11である。ほぼ水色に着色されている物質体を、わずかに太く被っている黄色く着色されているものがあることが分かる。図10においては、ぼんやりとしたカスミのようなものとして、枝をとりまいているものである。

 接近して調べてみると、メタセコイアのカー体も、それぞれの基盤となる物質体の枝にたいして、少し太めの、半物質体で (透明に近いほうでの) 半透明なものとして存在しているようであるが、これを遠目に観察すると、樹木全体が、マントのようなものをかぶっているかのように見えることになる。

 次の図12は、「星の広場」公園にある広葉樹について色加味解析をおこなったものである。物質体の周囲にあるカー体は、それほど幅広くはみ出しているわけではない。ただし、ここでも、少し遠くにあって、ピントが甘くなっている樹木においては、カー体による光の変換の影響が強く出て、炎のような赤い枝が、強く、幅広く分布している。

 「より原始的な植物のほうが、より大きなカー体をもっている」という仮説は、まだ確かなものとはならないようである。



(2010.04.04 Written by Kinohito KULOTSUKI)

 

 追記 「図2 3本のメタセコイアの全景(B)」をベースとして、これについての、色加味画像(1C配色0-200)を構成した。上記の解析で、枝などをとりまくカー体の膨らみは、さほど大きなものではないものの、全体としてのカー体を見ると、やはり「巨大なもの」といわざるをえない。


13 3本のメタセコイアの色加味画像(1C配色0-200)

参照資料  [1] ChMd11 色加味アー ト画廊(1)

http://www.treeman9621.com/ChimeraMind/ChMd11/ChMd11_AddArtGallery%281%29.html

[2] ゴブリンクォーク2

http://www.treeman9621.com/C_Program_of_KAI_Main_Page.html

ベクターのgqu ページ http://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se481681.html

「心の多面体」へもどる