清家新一の「超相対性理論」には何が書かれているのか
What are written in “The Principles of Ultra Relativity” by Shinich SEIKE
キメラミーム外伝001/CHIMERA MEAM EPISODE-001

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 清家新一の「超相対性理論」の英語飯を見ることになった。これはPDFファイルとして保存されているもの。海外の知人が送ってくれた。
 ざっと眺めてみて、いろいろな要素にローレンツ因子がつけられていることに驚いた。
 「§1 Total Angular Momentum Wave Equation (総角モーメント波動方程式)」の「(1-1) Lorentz invariant angular momentum wave Equation (ローレンツ不変角モーメント波動方程式)」では、「Angular momentum forms six vector (Ref 11) in Minkowskean space-time such that (次のような、ミンコフスキー時空における、角モーメント形式の6つのベクトル[参照11] )」という文章で始まり、突然、プランク定数の記号を含んだ数式が書かれてゆく。ここでは、テンソル解析の記号が、いくつか記載されている。私の力では詳しくは説明できないが、ここのところに、「behaviour of total angular momentum propagates at signal velocity (信号速度における総角モーメント伝播のふるまい)」を示している「Wave Eqn (波動方程式)」が、「spin wave Equation in relativistic form(相対論の形式におけるスピン波動方程式)」でもあると示される。スペリングミスがあちらこちらにある。EqnとあるのはEquationをEquと縮めたつもりのミスプリントなのだろうか。あるいは、Equationの太字部分なのだろうか。ささいな表現ミスのことは無視しておこう。ここでは、突然に、よく分からない波動方程式が提示されている。かなり驚かされる。
 これに続く「(1-2) Spin Wave and Gravitation (スピン波と重力)」のところにローレンツ因子が現れる。ローレンツ因子とは、β=v/c (v:物体の運動速度, c:光速度)としたときの、1−β^2 の平方根の逆数のことである。ルートの中に1−β^2があって、分母として掛けられているもの。アインシュタインの特殊相対性理論で使われている。ローレンツ変換が通用するときの因子である。物体の速度vが光速度cに比べて、かなりの小さいときは、このローレンツ因子は1と見なされる。しかし、物体の速度vが光速度cに近づくにつれ、ややこしいことが起こってゆく。アインシュタインの特殊相対性理論における、不思議な物語の直接的な原因となる因子である。
 「(1-2) Spin Wave and Gravitation (スピン波と重力)」のところは詳しくたどる必要があるので、原著の文章を書きうつしてみよう。その後に、黒月樹人による日本語への翻訳文を載せる。

 [原著の文章]
 One of the physical prospects of spin or total six angular momentum has been interaction with electromagnetic field. Axial spin has been quantum operator for magnetization, while polar will be found to be that for electric polarizability as described later. On the other hand a particle immersed in ether or spin field must enjoy Corioli’s force and centrifugal force in accordance with that vertex (→vortex).
It has been essentially identical with gravitational force, while polar spin of that confronting entity must enjoy some gravitational interactions. Let a sheet of paper be present. You will recognize it to be a plane if you see it over, while you will feel that it would be a line if you do it laterally. Gravitational interactions of six spin and that electromagnetic (interactions) are nothing but two different prospects of the single object. We shall suppose that
q=ρc/sqr(1−β^2 ) (1−5)

 [黒月樹人による日本語への翻訳文]
スピンもしくは総6角モーメントの物理的特性の一つは、電磁気場との相互作用である。軸スピンは磁気化に対しての量子因子であり、このとき、極は、後に描写されるように、電気的な極形成能力として見出されることになろう。この一方で、エーテルもしくはスピン場の中に浸される粒子は、その渦にかかわる、コリオリの力と遠心力の影響を受けなければならない。
 それは本質的に重力とよく似たものであったが、その直面する実体の極スピンは、幾つかの重力的な相互作用の影響を受けなければならない。紙の一枚があるとしよう。あなたが仮にそれを見るなら、それは一つの平面と認めることになるだろう。ところが、仮にあなたがそれを横に見るとき、それは一つの直線であるかのように感じることになろう。6つのスピンの重力的な相互作用と、その電磁気作用は、単独の対象の、二つの事なる眺めにすぎないのである。次のことを仮定しよう。
q=ρc/sqr(1−β^2 ) (1−5)

 このとき持ち出される数式 (1−5) にローレンツ因子(1/ sqr(1−β^2 ), sqrAはAの平方根とする)が掛けられている理由が、よく分からない。この数式に続くところの文章に、「重力的な相互作用」と「電磁気作用」とが、一つの現象の異なる視点であるかのような部分がある。これは大胆な判断だ。「重力」と「電磁気力」とが統一された体系が存在するかのような内容である。これが確かなことであれば、とても重要な発見となろう。ところが、このような視点へと至った思考のプロセスが語られていない。おそらく、これらは単なる仮説なのだろう。この仮説で説明がついて、ものごとの仕組みが明らかになるのであれば、これはこれで、問題なく受け入れられたのかもしれない。
 このあとの記述においても、ローレンツ因子がどんどん現れる。量子力学の分野で取り扱われるべき物理量にも、何の根拠もなく、ローレンツ因子が掛けられてゆく。「特殊相対性理論」と「量子力学」が混ざり合っている。このようなことは、現代科学では認められていない。もし、このような組み合わせの可能性があるというのなら、これはとても重要なこととして認められたのだろう。しかし、あまりに唐突なアイディアであり、そのような考え方をするという論理的なプロセスが見えてこない。
 そもそも、アインシュタインの「一般相対性理論」は「一般重力理論」として、それなりに正しさをもったものとして認められてしかるべきものだが、「特殊相対性理論」のベースとなっている「ローレンツ変換」は、とても正しいものとは考えられない。このことは、黒月樹人の「幽霊変換」[1]などで2008年に明らかになった。ダランベルシアンを使ったローレンツ変換の証明方法で、明らかな数学的なミスが見つかったのである。アインシュタインの手法[2]では、もっと手の込んだことになっているが、ここにも矛盾が存在していたことが分かった。他の証明法として主張されていた方法[3]でも、論理は破綻していた。これまでに一度も、ローレンツ変換なぞ証明されていなかったのである。
 ローレンツ変換が正しいものとして用いられるローレンツ因子を、量子力学のことがらについても、また、まだまだ何も分かっていない重力についてのことがらに使ってよいものかどうかということが、まったく考察にのぼっていないようだ。
 20世紀の科学者たちの大部分は、「ローレンツ変換」や「特殊相対性理論」を盲目的に信じ込んでしまい、観測データをゆがめ、無意味な体系の「巨木」を育ててしまった。そのようなわけで、まったく意味を持たない「ローレンツ因子」を、清家新一も使ってきたわけだ。
 ひょっとすると、清家新一は、メビウスコイルを使って、これまで知られていなかった、重力に関する何らかの新事実へとたどり着いたのかもしれない。このとき、この現象を、もっと多面的に調べてゆくことで、確かな理論的な根拠へと近づくことができたかもしれない。ところが、このような、小さなステップを積み上げてゆくような、論理的な思考の跡が見られない。たとえ空想的なアイディアであろうが、それにはそれについての、ある種の説得力がなければならないはずだろう。
 「(1-3) Lorentz Transformation of Gravitational Field (重力場のローレンツ変換)」がある。静止している場と考えることもできそうな「重力場」に、どうして「ローレンツ変換」を考える必要があるのだろうか。
 「§3 Quantum Operator for Electric Polarizability (電気分極率に対する量子因子)」のところにも、「(3−2) Lorentz Transformation of Magnetization and Electric Polarizability (磁化と電気分極率のローレンツ変換)」という節がある。ここでも「ローレンツ因子」がたくさん使われている。これも、よく分からないことだ。
 「ローレンツ変換」について調べてみると、「§6 Several Relativistic Problems (幾つかの相対論的問題)」のところに、「(6−2) Lorentz Transformation of Impedance (インピーダンスのローレンツ変換)」や「(6−3) Super Signal Lorentz Transformation (特別な信号のローレンツ変換)」というものもある。この(6−3)には、さらに、「(6−3−2) Lorentz Transformation upon the First Hyper Surface (第一超平面上でのローレンツ変換)」がある。それから「(6−3−2) Hyper Energy (超エネルギー)」と続く。このあたりの説明文も、かなり空想的である。
 難解な数式が数多く散りばめられているものの、それらの数式を導入するための根拠が、よく分からない。まるで当然のことのように、「特殊相対性理論」のベースとなる「ローレンツ変換」が組み込まれてゆく。それで「重力」のメカニズムが、どのように説明されてゆくのかということも、よく分からない。
 「§8 Loss of Weight (質量の欠損)」のところに「(8−1) Energy Density of Gravitation (重力のエネルギー密度)」「(8−2) Moebius Wound (メビウス巻)」「(8−3) Loss of G (Gの欠損)」などがある。このあたりの内容は、(8−1)を除き、もう理論的なものではなくなっている。実験に関するエピソードのような記述である。
 このあと「§22 Center of Wave (波の中心)」まで、エピソードやトピックのような項目が並んでいる。§10は「Time Reversing Machine (時間逆行マシン)」で、§12は「The Tenth Planet (第十番惑星)」、そして§18が「Properties of Tachyon (タキオンの特性 )」というもの。これらは、あまりに派生的すぎる。「超相対性理論」という名には、まったく、ふさわしくない。
 少し戻ってみよう。「§5 Equation of Motion to State Four Momentum」のあたりで理論的な内容は終わっているのかもしれない。このセクションに「(5−2) Solutions under Gravitational Deceleration (重力的な減速のもとでの複数解)」というものがある。このあたりには、ローレンツ因子は現れない。ひょっとすると、「逆重力」にむすびついてゆく論理が示されているのかもしれない。しかし、私の基礎知識では、これ以上専門的なことは分からない。このあたりにある数式の意味を解釈するのは、なかなか難しいことである。
 ほんとうに何か確かなものが記されているとしたら、明らかに無意味なものである「ローレンツ変換」や「ローレンツ因子」を取り除いたところに、いったい、どのようなことが説明されているのかということを判断してゆかなければならない。さらには、論理の展開が、もっと分かりやすくなっていなければならないだろう。そう考えるなら、この「超相対性理論」というネーミングは、いったい何が「超」であり、何が「相対性」である「理論」なのかが、これでは不明瞭である。
 これらの知識を検討しているとき、著者の清家新一氏が2009年に他界されていることを知った。73歳くらいだったようだ。実験円盤の質量が2グラムほど軽くなったらしいが、それ以上の成果は生まれなかったようだ。おそらく、理論的な点で、本質的なところへと進めなかったのだろう。個人的な研究所というスタイルで、このように工学的な研究を続けるには無理があったことだろう。清家新一氏は「地球をとりまくエーテルが、地球といっしょに運動していて、月の軌道付近まで広がっている」とか、「光速度の値は、地球近辺だけのものである」などと、「アインシュタインの特殊相対性理論」につながってゆく問題点の幾つかに疑問を投げかけていながら、20世紀の多くの科学者と同じように、「アインシュタインの特殊相対性理論」を盲目的に受け入れてしまった。ここに「自己矛盾」があるということに気がついていれば、もっと違う展開へとつながっていたかもしれない。

(Written by Kinohito KULOTSUKI, 2011-07-24)

 参照資料
[1] 幽霊変換
PHANTOM TANSFORMATIONS
[2] アインシュタインはローレンツ変換を生み出していない
EINSTEIN DID NOT CREATE THE LORENTZ TRANSFORMATIONS
[3] レヴィ=ルブロンはローレンツ変換を生み出していない
LEVY-LEBLOND DID NOT CREATE THE LORENTZ TRANSFORMATIONS

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