スカラー波は重力波なのだろうか
Will the Scalar Wave be a Gravity Wave?
キメラミーム外伝005/CHIMERA MEAM EPISODE-005

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

PDF スカラー波は重力波なのだろうか
キメラミームのページへ戻る

 ページタイトルのあいまいさ

 このページのタイトルは、あいまいなものであいまいなものを問うている。「スカラー波」という言葉が謎であるのに、それを、ほんとうに存在しているかどうか、まだよく分からない「重力波」というもので置き換えようとしている。
 このようなタイトルは、次の本を読むことによって浮かんできた。
 「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」実藤 遠著、たま出版刊1995[1]
 この長いタイトルには、次のような副題が添えられている。
 「人類が知らない重力(スカラー)波の存在を探る」
 この一文が、またまた不思議な定義によっている。「重力」は「グラビティ」であって、「スカラー」とは訳さないものだ。ここを解釈すると、「重力波」が「スカラー波」と読み替えることができるとなるらしい。それなら、次のように記述すべきところだろう。
 「人類が知らない重力波(スカラー波)の存在を探る」
 少し整理できた。それでも謎は解決していない。これには、まず、「スカラー波」と「重力波」の内容を詳しく読み解くことから始める必要がある。

 スカラー波

 「スカラー波」の詳しい性質や定義は、はっきりしていない。しかし、これに関する別名がたくさん存在する。
 資料[1]によれば、「テスラ波」(by ニコラ・テスラ)「物質波」(by 大橋正雄)「原子波」(同)「(スカラー)電気重力波」(by トーマス・ベアデン)「重力波」(by 木下清宣)「スカラー電磁波」などがある。
 この「スカラー波」につながる、もしくは、関連することがらとして、アントン・メスメル(オーストリア)の「動物磁気」、ライヘンバッハ(ドイツ)の「オドの力」、ウィルヘルム・ライヒ(オーストリア)の「バイオン・エネルギー」などが紹介されている。
 ドミトレスク(ルーマニア)が発明した「エレクトログラフィ」という機械は、オーラ(コロナ放電)を見ることのできるキルリアン写真を改良して、顕微鏡とコンピュータを組み合わせたものらしい。この装置に現れるエネルギーの本体を、古代人は「オーラ」と言ったそうだ。
 「オーラ」や「気」や「プラーナ」と同種のエネルギーであるとも述べられる。
 ガリモアという研究家がまとめた「亜エネルギー統一場理論」には、「このエネルギーは、気、プラーナ、オルゴン等、別名は108もある」とされている。
 名前はたくさんあって、そこから、多くの人が着目してきたことがうかがえる。
 しかし、代表して「スカラー波」と呼ぶ、この未知のエネルギーについての性質や特徴としては、まだ、ほんのわずかなことしか分かっていない。
 「定常波である」「電気的に中性である」「遮蔽物を通過する」「人に影響する能力があり、治療したり、危害を加えたりする」「縦波である」など。
 これでも、具体的には何のことか、よく分からない。古代から伝えられてきた「オーラ」や「気」や「プラーナ」とも関係があるということだが、こうなると、生命体としてのエネルギーが、いったい何であるか、人間の意識と、どのようにかかわってくるのか、などなど、分からないことが、どんどんと現れてくる。
 まずは、この「スカラー波」を実験的に再現できるかどうかというところから始めて、どのような工夫をすればよいのか、まだ見当もつかないが、何らかのプロセスを経て、この「スカラー波」が、どのように作用するのかということを明らかにしてゆく必要がある。

 重力波

 これが「未知の波」であるということを不思議に思う人もいるかもしれない。
 地球の現代科学においては、現時点において、「ニュートリノ」は観測されたらしいが、「重力波」は、まだ観測されていないはずである。
 次のような本がある。
 「重力波天文学への招待」(国立天文台助教授)藤本眞克著、NHK BOOKS 1994[2]
 まるで、「重力波」というものが観測されているかのようなタイトルである。しかし、詳しく読んでゆくと、まだ観測されていないことが分かる。まったくの、仮説に基づく議論が展開されているだけなのだ。
 2011年の現時点における状況を確認するため、「重力波」で検索し、このタイトルのウィキペディア[3]を調べてみよう。そこには、次のように記されている。
 「重力波(じゅうりょくは、英語 gravitational wave)は、一般相対性理論において予言される波動であり、時空の曲率(ゆがみ)の時間変動が波動として光速で伝播する現象である。
 「予言」されているだけで、「観測」は、まだされていないのだ。

 スカラー波は重力波なのだろうか

 実藤 遠の「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」も、あらゆることが分かっているかのように記述されている。しかし、この本は、確かなことを羅列したものというレベルのものではなく、確からしいものについての情報を集めて組みあわせたものと考えた方がよい。いわゆる、「スカラー波についての文献調査」のようなものである。それにもかかわらず、文体が力強く、タイトルなども、きっぱりとした表現になっているのは、商業的な流れに乗っているためなのだろう。本が売れるためには、あいまいな表現は避けなければならないからだ。
 この本において、「スカラー波」と「重力波」が結びつく根拠となりそうな出典が2つほど確認できそうだ。
 その一つはトーマス・ベアデンの「Fer de Lance」からのもの。
ソビエト連邦が「スカラー電磁兵器」を開発して、核兵器を上回るものとして、実験など行っていたということが詳しく述べられている。トーマス・ベアデンの「Fer de Lance」は英語らしい。これについてのサイト[4] があったが、内容のところをクリックしても、本全体のセールスページへと進んでしまう。
 Bill Morganがトーマス・ベアデンの主張を噛み砕いて、Scalar Wars というタイトルのサイト[5] を作っている。こちらのほうは情報満載である。
 二つ目は大橋正雄による、「波動性科学」からのもの。
 原著はまだ確認できていないが、実藤 遠の「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」によると、大橋正雄は「波動性科学」で、「原子の中から原子波・物質波(スカラー波と同義語である)が発生している」と述べているらしい。
 原子の中で「原子波・物質波」が生み出されるメカニズムは、電子軌道において二つの電子を許すものがある(パウリの禁止則)。このとき、二つの電子は、いずれもマイナスの電気を帯びているので、同じ軌道では、180度離れた位置で回転しているはず。このときの電子の運動によって生まれるはずの電磁波が、ちょうど二つの電子の180度の位置のずれのため、相殺されて、(原子波・物質波と大橋が名づけた)スカラー波となる。これが、物質のあるところに必ず存在する、重力のエネルギーに対応しているのだろう。つまり、スカラー波が重力波なのである。

 スカラー波を発生させるコイル

 上記の大橋正雄の考察だけでは筋道が通りにくい。
 実は、スカラー波は実験的に発生できるようになっている。そのときに用いられるコイルとして「無誘導巻きコイル」というものがある。それが無かったときは、まったく同じ形状と巻き数のコイルを二つ、逆向きに配置して、それぞれが生み出す磁界を「相殺」させたのだそうだ。「無誘導巻きコイル」とは、一つのコイルにおいて、逆巻きも含んでいるものだ。コイルの左端にN極を作る巻きと、同じく左端にS極を作る巻きが、どちらも同じ数と、同じ電流となるようにしてある。これでは磁界が生じない。これまでのコイルに期待していた現象が発生しない。しかし、このとき、スカラー波が発生していたというわけだ。
 コイルの中では電子が移動している。コイルの左端にN極を作る巻きでの移動と、同じく左端にS極を作る巻きでの移動である。
 これと同じことが、自然な原子の中でも起こっていたと、大橋正雄は考えたのだ。

 「反重力」とスカラー波の関係は?

 早坂秀雄のジャイロ実験では、右回転ジャイロで重力が弱く作用した。これは、原子の中での電子の回転方向と、何かつながるものがあるのだろうか。
 清家新一のメビウスコイルにおいては、このコイルの中を電子が運動しているはずである。このとき、スカラー波発生のメカニズムにおいて、これらの電子は、どのような役目をしているのだろうか。
 あまり多くのことへと進んでゆかないようにしよう。もっと文献調査をしっかりと行い、考察可能なパターンについてのリストを整理する必要がある。

(Written by Kinohito KULOTSUKI, Aug 26, 2011)

 追記

 「重力波天文学への招待」[2] によると、ここで想定されている「重力波」は「横波」だということだ。アインシュタインの一般相対性理論からの予測なので、スケールがとびきり大きい。想定している重力波発生源までの距離も天文学上のものなので、そこから届く予定の重力波の大きさは、ずいぶんと小さなもののようだ。それでも、観測可能な技術となっているらしい。
 しかし、この本が出版されてから17年経つが、重力波は検出されていないらしい。
 ひょっとすると、重力波について、何かが間違っていたという可能性が高いように思える。
 はたして、重力波は「横波」なのか「縦波」なのか。めったに観測できないものなのか、いつでも観測できるものなのか。天文学的なスケールのものなのか、実験室的なスケールのものなのか。これらのことが、はっきりしないと、重力波は、空想世界の物語から離れることはできないだろう。

(Written by Kinohito KULOTSUKI, Aug 28, 2011)

 参照資料
[1] 「ニコラ・テスラの地震兵器と超能力エネルギー」実藤 遠著、たま出版刊1995
[2] 「重力波天文学への招待」(国立天文台助教授)藤本眞克著、NHK BOOKS 1994

[3] 「重力波」のウィキペディア
[4] トーマス・ベアデンの「Fer de Lance」
[5] Bill Morgan, Scalar Wars

キメラミームのページへ戻る