ローレンツゲージは任意関数χによる波動方程式を生み出す
(OMT05)Lorenz Gauge makes Wave Equation on Any Function χ

黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI)

PDF ローレンツゲージは任意関数χによる波動方程式を生み出す

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 問い

 「マクスウェル方程式とローレンツゲージによるスカラー電磁波方程式」というページ[1]の「ゲージ変換におけるローレンツ条件」という章において、スカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAを定義する方法の一つに、次のようなものがあることを紹介した。

   Aχ=−gradχ        (1)
   Φχ=∂χ/ ∂t        (2)

 ここでχは任意関数である。これだけだと、任意関数χの性質は、あまりはっきりしたものとして決まっていない。これは、ある任意関数χから、ベクトルポテンシャルAχとスカラーポテンシャルΦχを定義する方法があるということにすぎない。これらを条件1としよう。
 一方、デンマーク人のローレンツによって設けられた「ローレンツゲージ」という条件がある。これを条件2として、ここのスカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAが(1)と(2)を満たすとしよう。すなわち、(1)のAχと(2)のΦχが、「ローレンツゲージ」という条件である、次の(3)を満たすとしよう。

   div Aχ+εμ∂Φχ/∂t =0          (3)

 このとき、これらの条件を満たす任意関数χは、どのようなものになるだろうか。

 解

 (1)と(2)を(3)へと代入し、AχとΦχを消去する。

   div (−gradχ)+εμ∂2χ/ ∂t2 =0
   −div gradχ+εμ∂2χ/ ∂t2 =0
   −∇2χ+εμ∂2χ/ ∂t2 =0
   ∇2χ=εμ∂2χ/ ∂t2            (4)

 これは、次のようにも表現される。

   △χ=εμ∂2χ/ ∂t2            (5)

 ここで、次のようなvを定義する。sqr (#) は # の平方根を意味する。

   v =1 / sqr(εμ)              (6)

 (6) を(5) に代入して、次の (7) を得る。

   △χ=(1/v2)∂2χ/ ∂t2            (7)

 これは波動方程式である。vが波動の速度となる。実験値からvを求めると、光速度cと一致するらしい。 [解/終わり]

 考察

 マクスウェル方程式から磁束密度Bや電場Eが導かれ、ここから、電磁波の存在が予言された[1]。

   △B=(1/v2)∂2B /∂t2         (8)
   △E=(1/v2)∂2E /∂t2         (9)

 また、マクスウェル方程式の表現をスカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAによって置き換え、さらに、ここでローレンツゲージという条件を加えれば、次のような、波動方程式が得られた[1]。

   △A=(1/v2)∂2A /∂t2         (10)
   △Φ=(1/v2)∂2Φ/∂t2         (11)

 上記の「問い」と「解」で導かれたのは、(1)と(2)によって定義される、任意関数χについての波動方程式(7)である。

   △χ=(1/v2)∂2χ/ ∂t2        (7)

 これらはいったい何を意味するのか。スカラーポテンシャルΦに波動方程式の解があるということだけではなく、(10)と(11)の奥にある、(1)と(2)で定義されるような、ほとんど制限のない関数χについても、波動方程式の解があるのだ。
 これまでの物理学の歴史から、このような波動方程式の解に対応する、何らかの物理現象が存在するかもしれない。このような物理現象が、すでに見つかっているのか、これから見つかることになるのか、あるいは、そのようなものは存在しないのかは、まだよく分からないと考えておくべきだろう。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Jan 15, 2012)

 参照資料

[1] マクスウェル方程式とローレンツゲージによるスカラー電磁波方程式

 

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