ChMd208 色紋解析で衛星エウロパの風景を見る
Scenery on Satellite Europa seen by Color Crest Analysis

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 はじめに

 これまでに作った解析ツールのほとんどをゴブリンクォーク9に集め、それらを組み合わせて使うことにより、これまで謎となっていた(知識としての)財宝を、少しずつ探してゆけるようになってきました。ときとして迷い道にまぎれこんで、偽物の何かを掘りだそうとしてきたこともあります。しかたがありません。いつも必ずうまくいくとはかぎらないものです。できるだけ回り道をしないように、もし地図のようなものが手に入るのなら、それをしっかりと見て、こつこつと進んでゆくしかありません。

 画紋解析から色紋解析へ

 ゴブリンクォーク9に組み込んである解析ツールにはいろいろなものがあります。
 微調整により強化されたゴブリンアイ解析、可能な範囲で画像のコントラストを自由に調整できるコントラスト解析、画像の中の特殊なパターンを読み取って強調できるウェーブレット解析、それに光核解析フルーツ解析もあります。色加味解析コンター解析の拡張です。コンター解析のアルゴリズムを少し変えて色加味解析を生み出したのでした。これらは、いずれも、科学的な解析画像を調べるツールとして役立つものです。
 あまりひんぱんに使うものではありませんが、これらの解析システムを生み出すために、画像の基礎的なデータを調べる画紋解析というものを、これらのプログラム開発の初期に生み出していたことが、このように爆発的な適応放散現象へとつながった大きな要因であると、私は考えています。
 色紋解析というシステムを作ろうと思ったのは、それまでいろいろと役立っていた画紋解析を拡張するには、何をどのようにすればよいだろうかと考えたからでした。
 画紋解析では3つの色の情報を濃淡値という軸に沿ってグラフ化しているが、もっと違うまとめ方をするとしたら、どのようにすればよいのだろうか。色の値としてまとめてしまうのではなく、色そのものの分布を調べよう。美術のテキストなどに載っている、立体的なカラーチャートのようなものを構成するのは、平面的な情報を表すディスプレイには難点がある。おそらく映画監督なら、色の分布に関する立体像を作って、それをくるくる回して眺めるシーンを組み込みたがるだろう。でも、それでは静止画像を主に使うホームページでは使えない。なんとかして、3次元の色情報を2次元空間へと写像することはできないだろうか。
 このように考えて組みあげたのが、R-G, G-B, B-Rの3つの色紋グラフでした。3次元空間の3方向からの視点を、3つの平面として展開したわけです。ただし、このとき、少し工夫をこらすことにしました。そうしないと、3つの視点の意味がでないと考えたからです。このことがあとで意味をもつこととなりました。
 こうして生み出した色紋グラフを使ってみると、各画素に存在している色のパターンが、思ってもみなかった現われ方をするということが分かってきました。

 色紋解析で分かったこと

 色紋解析の色紋グラフにおいて見いだされた、いくつかの性質について説明します。

 (1) 人工色は浮く
 人工的に組み込まれた、たとえば自然の木々の前に立てかけられた工事中の看板とかに使われているペンキの色は、色紋グラフの中で奇妙な現われ方をします。人工的に加工された配色のとき、そのパターンが自然な様子を見せないわけで、つまり、他のパターンに対して「浮く」のです。(解析例は省略)
 (2) 人工光源は曲がる
 ライトなどの人工的な光源のパターンが、太陽による自然光とは異なります。太陽による自然光での色紋解析のパターンでは、中心軸がまっすぐに通っています。しかし、なぜだか、人工的な光のパターンは、中心軸から離れて、くねっと曲がってしまうのです。(解析例は省略)
 (3) 植物はB極付近の色を持たない
 植物が生み出す色が、鉱物が生み出す色とはかなり異なった現われ方をします。色紋グラフにおけるB極あたりが「空っぽ」になってしまうのです。B極のBというのはBlue(青)の頭文字です。

 上記性質の(3)については、これから詳しく解析例を示します。
 鉱物のサンプルとして露岩と砂利の画像を、植物のサンプルとして田畑の草と野原の草と樹木を取り上げて、図1から図5で、それぞれの色紋解析を行いました。
 (存在)色紋グラフ(Exist)のR-G, G-B, B-Rの3つの色プロットグラフの下に、d, e, fの3本の帯グラフがあります。  dの帯グラフはその上のプロット色について、0から255の高さまでのすべての色を調べて、もっとも輝度の大きな色を表示するものです。
 eの帯グラフは、横軸を16の幅に分割し、その一つずつの領域にあるdの色の中でもっとも輝度の大きな色を代表色として取りあげ、同じ色でその領域を塗りつぶすものです。
 fの帯グラフは、16分割した領域のdについての平均色です。
 色の積算グラフ(Power)の横にあるバーでPKが0〜255を16分割して輝度の大きな色を探したもので、PAが平均色です。右下の色とその数値の表は、このときPKについて表示しています。これらの数値についての考察は、ここでは行いません。
 このあとの考察で重要になるところは、(存在)色紋グラフ(Exist)のR-G, G-B, B-Rの3つの色プロットグラフと、その下の3つの帯グラフのところです。これらのパターンがどのようになるかについて注目して読み進めてください。


図1 露岩の色紋解析
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図2 砂利の色紋解析
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 図1と図2は鉱物についての色紋解析です。(存在)色紋グラフ(Exist)のR-G, G-B, B-Rの3つで、上のところが色値255で下が0です。RGBの3つの色がすべて255となると白くなります。このグラフの構成法により、255のところでは、すべて中央に集まることとなります。これに対して完全な黒はRGBがすべて0ですが、黒に近い色の中には、わずかに値が異なる、さまざまなものが存在できますので、このように、すそ野が広がったような、自由に伸びる鎖で編まれた布の中央を上につりあげたようなパターンとなります。
 色紋グラフのRのところの縦線位置をR極、Gのところの縦線位置をG極、Bのところの縦線位置をB極と呼びます。下にあるd, e, fの帯グラフは、その真上のグラフにある色分布の縦の列の中から、輝度を基準として色を選び出し、dでは細かすぎるので、eでは最大輝度で代表色を選び、fでは平均色を求めてあります。
 図2の砂利で調べた色紋解析でよく分かりますが、eやfに並んでいる16分割の輝度による代表色を見ると、R極に近いところに赤みの強い色が、G極に近いとろに緑色系統の色が、B極に近いところに青みの強い色が並んでいます。これが、自然光のもとでの、鉱物によって反射された光のパターンです。


図3 田畑の草の色紋解析
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 田畑の草と記しましたが、これは稲を刈り取った後の田の画像で、緑色は切り株から伸びてきた稲です。暗い筋は畦に生えている雑草の影です。画像全体に植物がびっしり広がっており、土や岩や、空などはいっさい写っていません。
 色紋グラフのR-Gは、やや細いものの、自然な色の分布となっています。これは存在グラフといって、その画素位置の色が存在していることを示しているだけです。どれだけ多くの色が集まっているのかということは、上段の積算グラフで表現しています。このときは「赤□緑 RGB」というスイッチがオンになっていますのでR-Gグラフについて表示しています。赤と緑で黄色になりますから、黄色で表していますが、そこが多く集まっているところです。
 色紋グラフのR-Gが細いツリーのようになっているのは、同じ色で集中しているからです。
 これに対して、G-BとB-Rでは広がっています。緑と青、青と赤に関しては、いろいろな種類の色が存在しているということを示しています。ただし、B極を中心とした、ほとんどグラフの半分ずつの領域のところの色がありません。存在していないのです。
 この色紋グラフの構成法を説明しておかないと議論が進められません。これらの3つの存在グラフを重複したものとしないため、それぞれの存在グラフの中で、たとえばG-Bのグラフだと、プロットしたい色のG値(緑の値)とB値(青の値)を見くらべ、それらの強弱に比例した位置を決めることにしたのです。G-BのグラフでB側の半分が空っぽだということは、青の値は常に緑の値に負けているということになります。同様のことがB-Rのグラフでも成立しますから、青の値は常に赤の値に負けています。つまり、この画像のほとんどすべての色に関して、(r, g, b)の色値を調べると、bは常に一番小さな値となっていることになります。青い色の成分bは、それが0であるというのではなく、他のrとgの成分に比べて、常に最小なのです。


図4 野原の草の色紋解析
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 図4の野原の草の色紋解析でも、(存在)色紋グラフ(Exist)のG-B, B-Rの点描のところで、B極を端とする半分の領域に、ほとんど色画素が存在していませんが、値が0に近いあたりでかすかに広がっており、d, e, fの帯グラフでは、それらが観測されています。
 B極に近づく、これらの色値が0に近いものは、画像の中での何かというと、草が作る影とみなされます。ここにかすかに青み(b成分)が他の成分(gやr)より値として上回るものが存在していることになります。これは自然光の中の青い光が物質の縁で(より強く)回析して、それが散乱して、影のところで生き残ったものと考えられます。赤や緑の成分は回析する角度が異なるので、ここで分離されて、別のところへと向かったのでしょう。
 次の図5は、樹木の色紋解析ですが、青い成分が勝っている色がかなり混ざっています。樹木の上の端のところを観察すると、ここのところに青い色がにじんでいることが分かります。向こうの空からの回析光が、ここで虹と同じように、自然光が分離されて、青い光をレンズのほうへと向かわせたようです。


図5 樹木の色紋解析
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 植物の緑は葉緑素によるものです。葉を緑色にする素(もと)となる粉末があるわけです。秋になると紅葉する葉があります。赤色や黄色になるのです。実は黄色というのは、赤色と緑色によって生み出される色です。葉が緑色や赤色や、それらの組み合わせの黄色に見えるというのは、太陽光の成分のうち、緑や赤を、利用価値のない色として放出しているからです。3つの色成分の中で残った色として、青色があります。植物において青色の葉っぱがほとんどないというのは、植物が青い光を吸収して、それを使って光合成しているからだと考えられます。青色の花がなかなかないということも、このようなストーリーがからんでいると思われます。
 だから、植物の葉を写して色紋解析してみると、青い光が強くかかわるところの表示が欠落するのは、当然のことでした。これは科学的な現象とみなせます。
 上記の植物の色紋解析で、樹木の色紋解析で青い色が観測されていますが、これは樹木からのものではなく、影のところで散乱された青い光のようです。そのような深い影のようなものがない田畑や野原の草の画像では、青い光がかなり弱いものとして観測されています。

 この次に、赤みを帯びた植物のサンプルとして、スミレモとヤネノウエノアカゴをとりあげ、これらの色紋解析を試みました。
 スミレモは岩やコンクリートの表面につく地衣類の仲間と考えられます。その正体は水の中に多い緑藻類(ミカヅキモ、クンショウモ、クロレラなど)に分類されるものですが、色が緑ではありません。
 ヤノウエノアカゴケはキンシゴケ科で、蘚苔類とまとめられることもある、蘚類ですから、まぎれもなくコケの仲間です。ちなみに苔類の代表というと、ゼニゴケでしょうか。平べったいコケです。蘚類は小さな樹木のように、少し尖って立っているものです。
 いずれも植物の一種なので、色は赤くても光合成をしています。スミレモはおそらく光合成のための色素が赤いのだと思われますが、ヤノウエノアカゴケのほうは、胞子嚢としての朔という袋が赤いのであって、光合成とこの赤色は直接むすびついていないかもしれません。でも、刈り取り前の、枯れた色の麦なども、色紋解析してみると、やはり、B極に近いところが空白でした。


図6 スミレモ(緑藻類の一種、地衣類)の色紋解析
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 解析に使った原画像は次のサイトのものを使わせてもらいました。
 http://blog.livedoor.jp/ynakamura1/archives/52546277.html


図7 ヤノウエノアカゴケ(キンシゴケ科, 蘚類)の色紋解析
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 解析に使った原画像は次のサイトのものを使わせてもらいました。
 http://none33.exblog.jp/19535683

 あまり深い影をもたないスミレモの画像では、色紋グラフのB極に近いところが、ほとんど空っぽです。
 ヤノウエノアカゴケではG-Bの色紋グラフでB極に近い領域で少し影がありますが、ここのところは周囲の影響で赤く色づいているようです。B-Rの色紋グラフでB極に近いほうは空っぽになっています。
 この色紋解析では、上の色紋グラフのところに1画素でもプロットされていれば、それがもっとも輝度の大きな色ということになって、下の16分割色領域に現われることになります。その色領域に何も観測されていないということは、1画素も存在していないということです。

 衛星エウロパ風景の色紋解析

 これから木星の衛星エウロパの画像について解析します。
 NASAのサイトからエウロパの画像を一つ採取してきました(図8)。
 エウロパの表面は、衛星全体を氷の層がおおっているらしく、大陸のようなものや、火山のようなもの、クレーターのようなものは見当たりません。不思議に思えるのは、その青白い表面に伸びている、赤みのある何本もの「すじ」です。まるで私たちの体の表面近くにある血管のパターンにも似ています。しかし、それらはエウロパの「血管」に相当するものではなく、拡大してみると分かりますが、表面にまるで毛糸が張りつくように、たがいに交差しながら、上へと乗りあがっているのです。
 別の画像で詳しく観察したところ、渓谷のようなところの上を、まるで吊り橋のようにわたっているものがありました。このことについては、次のページを参照してください。
 (Cosmic Half 5)衛星エウロパ「氷の平原」にある線状パターンは、まるでロープのように、渓谷の上に浮かんでいる
 衛星の大円に沿うくらいの巨大なラインもありますし、局所的に網目のようになっているところもうあります。これらは氷の割れ目ではないと考えられます。だとしたら、いったいこれらは何なのでしょうか。


図8 エウロパの網目模様
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 この衛星エウロパの色紋解析を示します。



図9 エウロパの網目模様の色紋解析
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 暗いツリー状の分布の上に、この衛星の表面色についての色紋パターンが重なっています。青みがある氷らしき色紋パターンは自然な分布で「根っこ」のほうへとつながっていますが、茶色い網目模様の色紋パターンは、まるでコート掛けにつるしたタオルのような、途中で切れたようなものとなっています。「浮いている」というところまでは言えませんが、下まで広がる(鉱物などによる)自然なものとは違うと感じてしまいます。

 木星の衛星の一つであるエウロパの、もっと詳しい風景を、NASAのサイトから2つ探してきました。(図10)
 (a) そばかすだらけのエウロパは、かなり前から公開されているものです。ここには、靴痕のようなものや、ヒトの顔のように見えるもの、ウサギの顔のように見えるもの、橋のようなものなどなど、興味深い地形がいくつも見いだされます。また、氷が割れた跡とされる、何本もの交差する「すじ」の様子も観察できますが、それらは、切れ切れになったり、乗り越えたりしています。細かなところを観察してゆくと、まるで、地球で見られる道路のようにも思えてきます。
 (b) 赤みがかったバンドは、今回NASAのサイトを調べて見つけたものです。バンドと名づけられているように、広い領域が赤く色づいています。2年前から公開されているもののようです。


図10 衛星エウロパ風景
(a) https://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_529.html
(b) https://www.nasa.gov/content/reddish-bands-on-europa

 (a) そばかすだらけのエウロパと(b) 赤みがかったバンドについての色紋解析を、次に示します。


図11 (a) そばかすだらけのエウロパの色紋解析
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図12 (b) 赤みがかったバンドの色紋解析(1)
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 (a) そばかすだらけのエウロパの色紋解析の色紋グラフは、全体的に左右対称の(ヒマラヤスギをモデルとした)ツリー型です。これに対して(b) 赤みがかったバンドの色紋解析の色紋グラフでは、B極と呼んでいる境目を避けるかのように、見事に分布が欠落しています。地球でのいろいろなものについて調べたところ、このようなパターンを生み出すものは、植物であり、しかも、深い影をもたないものです。田畑の草や、赤い色のコケなどです。

 さらに厳密な考察をするとしたら、このような赤みを帯びた鉱物の画像について調べておく必要があるかもしません。鉄を成分としてもつ黒雲母などが風化し、空気中の水分の影響で赤さびとなると、赤みを帯びた地質となります。
 「赤土」で検索して、それらの画像をいくつか採取し、色紋解析を試みました。


図13 赤土2の色紋解析
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図14 赤土3(無名異土の原土)の色紋解析
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 赤土1の画像とその解析結果は赤土3のものと大きく違わないので割愛しました。赤土3は急須を作るための粘土のようです。無名異土の原土と名付けられています。
 赤土2は南仏ルシヨンのオークル層だそうです。これは石灰岩が風化したものということです。色紋グラフのG-Bのところで、中心からBへ向かって色分布のすそ野が広がろうとしています。鉱物的なパターンです。
 酸化鉄が色づけていると思われる赤土3についての色紋解析でも、B極あたりは避けられるように空白が広がっていますが、暗い影のところが広がっています。青みはありませんが、赤みを保ったままB極へと広がろうとしています。
 図14の赤土3(無名異土の原土)の色紋解析では、B極の近くで空白領域が広がっていますが、R-Gのところでも、G極側の半分がほぼ空っぽです。赤と緑に関して、常に赤が勝っているわけです。これは植物の色紋解析とは異なる特徴です。植物の色紋解析では、赤と緑のR-Gで色紋グラフの分布は細いツリー状でした。赤と緑の勝ち負けはいろいろだということです。勝ったり負けたりするわけです。
 この判断は間違っていました。緑色の植物の場合はR-Gの色紋グラフはツリー状ですが、赤い色のコケでは、片側だけが広がるものです。
 赤い色のコケについての色紋解析のパターンと、赤土3(無名異土の原土)の色紋解析のパターンとが、区別のつかないものとなりました。

 上記の(b) 赤みがかったバンドの色紋解析(1)では、緑色がいくらか影響しているようなので、この原画像の「赤みがかったバンド」の部分を切り出して(拡大し)色紋解析してみました。


図15 (b) 赤みがかったバンドの色紋解析(2)
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 (b) 赤みがかったバンドの色紋解析(2)では、B極に近いところでは、まったくの空白になっています。地球の植物による解析結果とよく似ています。
 R-GでのG極側も空っぽです。これは、赤い色のコケについての色紋解析や、赤土3(無名異土の原土)についての色紋解析に見られる特徴です。

 まとめ

 ここまでの解析結果を総合すると、次のようになります。

 衛星エウロパの画像についての、(a) そばかすだらけのエウロパと、(b) 赤みがかったバンドの色紋解析を行いました。
 (a) そばかすだらけのエウロパの色紋解析の結果は、自然なパターンとなりました。鉱物などを中心とした自然な反射光で構成されていると判断できます。
 (b) 赤みがかったバンドの色紋解析の結果は、G-BとB-RでB極側が空っぽになりました。また、R-GではG側が空っぽになりました。このような性質をもつものは、地球では、(現在調べた範囲では)赤みを帯びた植物のコケと、赤い土(無名異土の原土と呼ばれている粘土)でした。このような2つの可能性があります。

 このあとの議論については、あらためてタイトルを変えて行うことにしようと思います。かなりしぼれてきましたが、かんたんに答えを導くことはできそうではないようです。
 このような推論を、さらに強いものにするには、さらに多様な鉱物由来のいろいろな画像について、あるいは、同じく植物についてのいろいろな画像について調べてゆく必要がありそうです。
 この問題はあまりに重要すぎます。かるはずみに判断すべきことではありません。

 考察

 アーサー・ケストナー・クラークというSF作家が原案を書いた「2001年宇宙の旅」では、月面で黒い板壁のように見えるもの(モノリス)が発見され、それから、詳しいストーリー展開の流れは忘れましたが、木星へと調査に向かいます。そのとき宇宙船の機能をコントロールしていた人工知能のハルが狂ってしまい、パイロットはユニット化されているハルのメモリーを、タンスのようになっているコンピュータから抜き取ることになりました。そのあとだったか、木星の近くでモノリスが発見され、そのパイロット(ボーマン船長)が、そこを経由して異次元へと進み、スターチャイルドへと変身してしまいます。
 これらのストーリーのいろいろなところに、クラークは、この世界の成り立ちのようなものを、少し象徴的にして表現しようとしていることが分かります。なかでも、スターチャイルドというのは、そのような、意識の統合による巨大化という現象が、どこかで言い伝えられていることを知っていたのでしょう。
 「2001年宇宙の旅」のSF小説には、「2010年」と「2061年」という続編があるのです。いずれも小説で、日本語に翻訳されており、私は図書館で借りて読みました。ウェブで調べると「3001年」もあるようですが、これは残念ながら、読んでいません。
 クラークが書いた「2010年」のストーリーの骨子は、木星で(増殖したのだったか)モノリスが大量に活動し始め、この星を(核融合で)点火して、太陽系に2つ目の小さな太陽を生み出したということでした。このような変化により、木星周辺の温度が上昇して、生命が生存可能となり、衛星に生命が育つという物語が展開してゆきます。
 2001年も2010年も、すでに過去になってしまいましたが、地球人は月より遠くまで行くことができていません。そのかわりに、ヴォイジャー探査機やホイヘンス探査機が、この太陽系の奥地へと向かい、さまざまな画像を送ってくれています。
 木星や土星のあたりは、あいかわらず、太陽からの輻射熱の量が少ないため、おそろしく低温のままであるとされているようです。
 しかし、土星の衛星のタイタンには、太陽の光はじゅうぶん届いているようです。タイタンには小さな探査機が着陸して周囲の画像を記録し、それを地球へと送っています。それはとても小さな画像でしたが、それを詳しく調べたところ、自然な湖とされていたものがダム湖であるという証拠が見つかってきました。
 また、木星の衛星であるエウロパの氷の海の下には、液体が存在しているようです。そのような内部へ潜った探査機はありませんが(探査機を送る計画が決まったそうです)、氷か雪でおおわれている衛星の表面を見れば、そこに、不思議な網目模様や、長く伸びた(巨大な)毛糸のようなものが観測されます。それらがところどころで切れて、断層のようにずれているところがあります。それはひょっとしたら、表面をおおう氷の層が割れたためかもしれません。しかし、氷が割れたぐらいで、その(巨大な)毛糸のふるまいはとどまりません。以前のパターンの上を乗り越えて伸びているようなところがいくつも見つかります。
 このような変化パターンのすべてを、無機的な自然現象によって説明するのには限界があります。もっとシンプルな説明の一つが、これらの(巨大な)毛糸が生きているという仮説です。巨大な植物の一種か、あるいは、地球の海の中にもたくさんいますが、ほとんど植物と間違えてしまいそうな、サンゴのような動物という仮説も考えられるかもしれません。
 植物か動物かということの判断は保留しておいて、それらが生きているという仮説をどのように検証すればよいのでしょうか。
 このページで私が試みようとしているのは、そのような検証としての、ささやかな第一歩となるものかもしれません。
 そのアイディアは、地球の植物の集まりが、光合成のため光の中の青色成分を吸収するので、青色成分を強くもつような色を外部に出さないということを、色紋解析において調べることができるという点を利用することでした。一見するとよく似た色であっても、鉱物からの反射光では、そのような現象は起こっていません。
 まだまだ微妙な点を修正しながら、観察と検証を進めてゆく必要がありますが、実際にそこまで行って化学実験を試みることなく、そこに生命体(の中の光合成生物)が存在するかどうかを推定することができるのかもしれないわけです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Feb 04, 2016)

 

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