ChMd211 色紋解析の空白パターン分類法 (2)宇宙で探す
Blank Pattern Taxonomy of Color Looks Analysis(2)In Outer Space

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 はじめに

 色紋解析(Color Looks Analysis)というシステムで、鉱物による砂利や石などの風景を調べると、3つに分けてある色紋グラフの、それらのすべてにおいて、色のパターンが、まるで、アケボノスギ(メタセコイア)のような、先端がとがって、下にゆくほど、左右に広がる形となります。


図1 砂利と縁石の色紋解析$$$



 存在グラフ(EXIST)の下に、A, B, C, Dの4段に分けて輝度色の帯グラフを表示してあります。いくらか偏りはありますが、それぞれ、中央から左右に広がっています。
 このようなパターンをシンボル化してと表すことにしました。は、その領域に色があるということを意味します。これに対して、その領域に色がないときはとします。
 植物の風景では、3つの色紋グラフのパターンにおいて、左右のどちらかが欠けたものとなることがあります。


図2 スギゴケの色紋解析$$$



 図2の「スギゴケの色紋解析$$$」においては、G-BのB側が完全に欠落しています。B-RのB側も、ほとんどありません。これらの領域はとすることにします。存在グラフの下にある最大輝度色の帯グラフは、上からA, B, C, Dとなっていますが、このときのDは暗い色についてのものです。ここに入る色は、おそらく、画像の中にある影についてのもののようです。太陽光によって生み出された影には、ときとして、太陽光線の中の青色成分が屈折によってまわりこみ、それらが、D帯におけるB極の近くに現われることがあります。B-RのD帯のところに、そのようなものとみなされる色が、かすかにとらえられています。このような理由で、D帯に関しては、あまり厳密に考えないこととして、A帯-C帯のところに色がないとき、この領域をと判定します。

 木星の衛星エウロパ

 色紋解析$$$の3つの色紋グラフで、このような違いを見せるものを、宇宙探査画像の中から探します。
 次の図3と図4は木星の衛星エウロパの風景です。


図3 衛星エウロパ「そばかすだらけのエウロパ」の色紋解析$$$




図4 衛星エウロパ「赤みがかったバンド」の色紋解析$$$



 木星の衛星エウロパの「そばかすだらけのエウロパ」のの色紋解析$$$では空白はありませんが、「赤みがかったバンド」の色紋解析$$$ではB極の左右に空白があります。
 このように、明らかに異なる解析結果が出るということは、何らかの理由があるはずです。このことから、衛星エウロパ「赤みがかったバンド」のところは、植物に覆われていると判断できると分かりやすかったのですが、このような空白パターンを生み出すものを地球の風景で調べたところ、植物以外にも、赤土があるということが分かりました。

 月の風景

 月の風景はJAXAが打ち上げた「かぐや」が撮影した画像をベースとして、その色を5倍(CX500と表示)したものを調べます。
 JAXAとNHKが開発したハイビジョンカメラが「かぐや」に搭載されて月面を写したようですが、このときの画像は、きょくたんに色が弱いものばかりでした。意図的に色を弱めたというのではないのでしょう。確かに、太陽光によって照らされた月面のようですが、なぜだか色が弱いのです。これは、ひょっとしたら、月の大気が薄いためかもしれません。永らく月に大気がないとみなされていましたが、水星の大気がNASAによって発見されたあと、同じ手法で月を調べたところ、希薄な大気が存在することが確認されています。
 色が弱いので、そのまま観察すると、まるで色が無い、灰色の世界のように思いがちですが、地球での太陽光による発色のレベルへと、色を強くすることができます。この後の、月の風景については、「かぐや」が撮影した画像の色の強さを、すべて5倍にして解析しました。


図5 ライマン(低高度 2)のCX500再現色の色紋解析$$$




図6 ライマン(低高度 1)のCX500再現色の色紋解析$$$




図7  グリマルディ付近のCX500再現色の色紋解析$$$



 色の強弱を5倍にして、それぞれ色紋解析したところ、ほとんどの画像においては、図5や図6のような、B極の左右の領域に空白があるものでした。
 ところが、グリマルディ付近のCX500再現色の画像を色紋解析でしらべてみると、色の空白領域がないものとなりました。
 緑色の色味が、図5や図6の黄緑とは、少し異なります。

 火星の風景

 火星の周回軌道に、高感度のカメラを備えた探査機があります。HiRISE と呼ばれているプロジェクトです。
 このサイトを調べると、いろいろと興味深い画像があります。それらの中から3つを選んで調べました。


図8 火星の砂漠風景の色紋解析$$$




図9 火星の砂漠風景の部分拡大の色紋解析$$$



 この「火星の砂漠風景」は、確か、火星の極の近くで、いつもは白い氷におおわれているようですが、季節が変わって、それらの(ドライアイスの)氷が溶けたあと、なにやら、樹木のようなものが伸びてきているかのような風景です。
 図8の全景では、すべての領域に色がありますが、樹木のようにも見えるものの部分を拡大して調べた図9では、B極の左右の領域が空白となっています。

 次の図10は火星の「塵の星状堆積物」について解析したものです。この全景では空白領域は見られませんが、図11として示した、火星の「塵の星状堆積物」の部分拡大についての解析では、B極の左右が空白になっているだけではなく、R-GグラフのG極側も空白です。


図10 火星の「塵の星状堆積物」の色紋解析$$$




図11 火星の「塵の星状堆積物」の部分拡大の色紋解析$$$



 図12は火星の奇妙なカキ(牡蠣)状クレーターについての色紋解析$$$です。
 このカキ(牡蠣)のようなものが、フランス国旗のような、青と白と赤で構成されており、いかも、色紋解析で、ここにある赤色が少し「浮いて」解析されています。魚の背びれのように突き出ているパターンのことです。地球での解析であれば、これは人工的な配色だと判断するところですが、火星でも、そのようなことが成立するかどうかは分かりません。


図12 火星の奇妙なカキ(牡蠣)状クレーターの色紋解析$$$




図13 火星の奇妙なカキ(牡蠣)状クレーターの
背後領域の部分拡大の色紋解析$$$



 図13は火星の奇妙なカキ(牡蠣)状クレーターの背後領域の部分拡大について色紋解析$$$したものです。
 空白パターンが、火星の「塵の星状堆積物」の部分拡大のものと、ほぼ同じです。

 考察

 この解析ページでとりあげた色紋解析の空白パターンには、次の(1)〜(3)があります。
 (1)
 (2)
 (3)
 これまで、このようなパターンは(1)と(2)だけであり、(1)は鉱物由来の画像において生じるもので、(2)は植物由来の画像において生じるものだと考えていました。
 ところが、(2)のようなパターンを生み出すものに「赤土」というものがあることが分かりました。
 そして、今回示した(3)のようなパターンもあるわけです。
 このように多様なパターンが存在するということと、(2)のパターンが植物だけに限定できるものではないということが分かり、このような色紋解析の空白パターンについて、もう一度、地球のいろいろな対象にもどり、詳しく調べ直す必要があることを痛感しました。
 次の解析では、地球のいろいろな対象について詳しく調べます。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Feb 23, 2016)

 参照資料

[そばかすだらけのエウロパ]
https://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_529.html
[赤みがかったバンド]
https://www.nasa.gov/content/reddish-bands-on-europa
[ChMd38_03 ライマン(低高度 2)]
http://wms2.wms.selene.darts.isas.jaxa.jp/selene_viewer/jpn/observation_mission/hdtv/076/hdtv_076_l.jpg
[ChMd43 ライマン(低高度 1)]
http://wms2.wms.selene.darts.isas.jaxa.jp/selene_viewer/jpn/observation_mission/hdtv/hdtv_075.html
[ChMd35 グリマルディ付近]
http://wms2.wms.selene.darts.isas.jaxa.jp/selene_viewer/jpn/observation_mission/hdtv/hdtv_058.html
[火星の砂漠風景]
http://wms2.wms.selene.darts.isas.jaxa.jp/selene_viewer/jpn/observation_mission/hdtv/058/hdtv_058_l.jpg
[火星の「塵の星状堆積物」]
https://uanews.arizona.edu/story/hirise-sees-signs-of-an-unearthly-spring
[火星の奇妙なカキ(牡蠣)状クレーター]
http://www.universetoday.com/19917/the-martian-ice-filled-oyster-shell-shaped-crater-hirise-images/

 

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