地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS2 地震波形の解析ソフトを組み立てよう

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

地震波の研究ブランチページへもどる

 解析ソフト

 かつて利用していた地震波形は、所属していた会社で、現地調査して観測したものでした。
 しかし、そのような会社から離れてしまった今となって頼りになるのは、気象庁が公開している、日本で起こった地震の観測データです [1]。
 ありがたいことに、この地震波形の観測データは、エクセルでまとめられています。
 本来なら、これらの観測データの初めの数行に書かれている、観測地点の名前や緯度経度、観測開始時間などの情報も読みとるべきですが、最近のものではないデータでは、それらの書式が違っていたり、観測データ数が少なかったりするので、これらをすべて判断するプログラムをつくるのがむつかしくなります。そこで私は、これらのデータをノートに控え、プログラムで読み取るのを、波形データだけにすることにしました。
 地震の観測地点も、整理するためか、意味がとりにくい数字になって、ファイル名に使われています。そのほうが混乱しないのかもしれませんが、理解しにくいので、こちらの都合にあわせて、ファイル名を付け直しました。
 私が組み上げた解析ソフト(eqwaz.exe)について、具体的な画像を添えて、かんたんに説明します。
 先に述べておきますが、これは市販するためのソフトではありません。
 単純に、地震波の研究者として、研究のために使うものです。

 全体の様子

 地震波形の解析ソフトとして、eqwaz.exe を組み上げました。
 その全体の様子を図1として示します。
 私が主に使っている(ディスプレイ型の)コンピューターのディスプレイを目いっぱい使うサイズとしました。ソフトの表示サイズは、WIDTH=1860 HEIGHT=1000 としてあります。

図1 地震波解析ソフト(eqwaz.exe)のトップデータ「1) osk 茶屋町」 (AMP ×1)
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 地震のメモ

 上のほうに、観測データに関する3つのメモを表示しています。
 (1) osaka-chaya.txt → 観測データのファイル名です。波形の振幅データだけにして、新たに名前を付け変えました。ここだけのニックネームのようなものです。もとの名称は、ほとんど暗号のようになっていて、観測地点は5桁の数字でした(そのあともほぼ数字で、加速度を意味する_accがついて、表示形式の.csvとなります)。
 (2) (大阪府北部)大阪北区茶屋町 100Hz (震央距離)18.9km → (地震名)観測地点 サンプリングの周波数 100Hzでは1秒間に100サンプリングデータを記録している、ということになります。震央距離で小数点以下の数字が示されているものは公表されている値です。整数のときは、地図を利用して求めた推定値です。
 (3) 2018-06-18 07h58m20s → 観測データの記録表示の開始時刻です。地震が起こった時刻ではありません。

図2 地震波解析ソフト(eqwaz.exe)のメモ

 スイッチカラム

 向かって左の WIDTH=150 HEIGHT=1000 のピクセル部分がスイッチカラム(柱)です。
 TIME → 1を基準として、2のときは、2倍の時間についてのデータを圧縮して表示します。
 PAGE → 各ページに観測データを(地震や観測地点の違いごとに)14〜16ほど納めてあります。
 NORM → ALLはNS, EW, UD のすべての最大振幅を使って振幅の正規化を行います。EACHは NS, EW, UD の各最大振幅で正規化します。
 AMP → 振幅の倍率を変えます。X=10, L=50, C=100, D=500, M=1000 です。表示スペースの関係でローマ数字の記号を使っています。P波の初動部分を確認するために、とても役に立ちます。
 MODE → ac は加速度波形、ve は速度波形、leは変位波形です。
 START → 観測データの開始位置です。単位はサンプリング数です。サンプリングの周波数(サンプリングレイト)が100Hz のときは (100Hzは1秒につき100回という意味ですから)サンプリング数の100が1秒です。ただし、1995年の神戸淡路の地震データは(観測機器の都合で)50Hzなので、サンプリング数の50が1秒となります。
 SHIFT → 観測データの開始位置をシフトさせます。
 データ選択 → 観測データを選択します。

図3 地震波解析ソフト(eqwaz.exe)のスイッチカラム

 地震波形の表示

 図4は「大阪北区茶屋町」の地震波形の表示です。赤い枠の部分が同じ時間です。
 地震波解析ソフト(eqwaz.exe)では、波形を描く領域は1024×1.5=1536となっています。
 TIMEが[1]のときは15.36秒のデータを表示することになります。
 TIMEが[8]のときは、1536×8=12288のサンプリングデータを、同じ長さの領域に表示します。図4(上)の赤い枠を8つ並べた時間となります。



図4 大阪北区茶屋町の地震波形の表示(赤い枠は同じ時間)
(上) 気象庁のサイトのグラフ (下) 地震波解析ソフト(eqwaz.exe)

 考察

 このページでは、地震波解析ソフト(eqwaz.exe)についての、かんたんなあらましについて説明しました。
 図4の比較で分かるように、このときの地震では、気象庁のサイト [1] の波形表示は240秒にわたっています。サンプリングの周波数が100Hzなので、100分の1秒ごとに24000もの加速度波形値が、NS(北南), EW(東西), UD(上下)の3種類で並べられています。
 他の観測データでは12000のときもありますし、6000くらいのときもあります。
 K-NET のデータ [2] では220秒のものがありました。最近の観測機器は100Hzのようですから、22000データ数です。
 ウェブのグラフでは、それだけの時間についての波形を、ギュッと縮めて表示しているわけです。
 これでは、これらの地震についての、全貌について概観することは出来ても、地震波形の特徴を詳しく理解することはできません。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Sep 20, 2018)

 参照資料

[1] 気象庁の地震波形サイト 強震波形(2018年6月18日 大阪府北部の地震)
[2] 防災科学技術研究所 K-NETの地震波形サイト

 

地震波の研究ブランチページへもどる