地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS20 大阪府北部地震では震源真上で上下に何センチメートル動いたか

黒月解析研究所 黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 MODE / 波形のモード 

 気象庁から提供されている地震波形のデータは「加速度値」です。
 気象庁のサイトで提示されている地震波形のグラフでは、ほかに、「速度値」と「変位値」のものがあります。
 これらのデータはどこにあるのかと探したのですが、どこにもありません。やがて、これらのデータは、「加速度値」から順に、「漸化式を使って」求めるのだと説明されてあることが分かりました。
 漸化式を使うというのは、一つ前の値に、次の値を加工して加えるということです。加工というのは、その値に、その間の「時間(秒)」を掛けるということです。
 加速度 [gal] = [cm/s/s] に時間 [s] を掛けることで、単位は速度 [cm/s] となって、さらに速度 [cm/s] に時間 [s] を掛けることによって、変位 [cm] となってゆくわけです。
 理論的にはかんたんなことなのかもしれませんが、現実としては、観測機器がもっているノイズの影響をどのように取り除くかという、やっかいな問題がからんできます。
 観測データの多くは、このようなデータのない、理想的なものですが、中に、ときどき、「漸化式を使って」(離散値として)積分してゆくとき、ひとつずつは小さな値のノイズが、いつのまにか、大きな値として化けてしまうものがあります。
 この問題については、これくらいにしておきます。
 波形のモードとしては、「加速度」「速度」「変位」の3種類があります。

 大阪府北部地震の「高槻市桃園町」 (震央距離) 0.3km

 大阪府北部地震の「高槻市桃園町」(震央距離)0.3km の地震波形データについて、「加速度」「速度」「変位」の3種類を 図1A から 図1C として示します。
 波形の表現形式は [none](→ [black] に変更予定)で、振幅は AMP[1] で、その正規化は ALL です。時間軸は TIME[1] で、100Hz のデータが 100px に描かれます。

図1A 大阪府北部地震の「高槻市桃園町」 (震央距離) 0.3km
加速度波形(none) AMP[1]ALL, TIME[1]
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図1B 大阪府北部地震の「高槻市桃園町」 (震央距離) 0.3km
速度波形(none) AMP[1]ALL, TIME[1]
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図1C 大阪府北部地震の「高槻市桃園町」 (震央距離) 0.3km
変位波形(none) AMP[1]ALL, TIME[1]
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 大阪府北部地震の「高槻市桃園」のUD波形(none)

 この地震波形のUD(上下)チャンネルの波形に注目します。
 シングルチャンネル表示(SGL)での UD波形を図2としました。このとき、振幅の値を読み取りやすくするため、正規化は EACH です。振幅は AMP[4] としてあります。このときの縦軸の目盛りの最大値は、この UD波形の最大値となっています。335.748 [gal] という値です。これは、UD波形の値としては、非常に大きな値です。

図2 「高槻市桃園町」の(SGL)UD加速度波形(none)AMP[4]EACH, TIME[1]
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図3 「高槻市桃園町」の(SGL)UD加速度波形(none)AMP[4]EACH, TIME[1]
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図4 「高槻市桃園町」の(SGL)UD変位波形(none)AMP[4]EACH, TIME[1]
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 図2の加速度波形について、1データごとに(100Hz なので)0.01 秒を掛けて、漸化式の方法で加えてゆくと、図3の速度波形となります。
 加速度波形でのスパイク状の振動も、上下に規則的に振動していないらしく、その偏りにより、図3のような、片側だけに伸びた領域が生じます。
 この速度波形について、さらに時間を掛けて、漸化式の方法で加えてゆくと、図4の変位波形となります。単位は [cm] です。目盛りの最大値は 2.167 [cm] で、このときのさいしょの揺れは、その 0.9 となっているので 1.95 [cm] です。

 大阪府北部地震の「高槻市桃園」のUD波形(line)

 図2から図4を [line] で描くと、次の図5から図7となります。

図5 「高槻市桃園町」の(SGL)UD加速度波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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図6 「高槻市桃園町」の(SGL)UD速度波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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図7 「高槻市桃園町」の(SGL)UD変位波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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 2014長野県北部地震「大町市役所」(震央距離)21.3km

 比較のため、おそらく、断層が動いたことによる(自然な)地震と思われるケースの波形を示します。
 図8は、2014年におこった長野県北部地震の「大町市役所」(震央距離)21.3km の UDチャンネル変位波形です。
 このときの最大変位は 1.762 [cm] ですが、これは S波によるもののようです。
 まえのほうに見られる P波において、上下振動はわずかなもので、これがいわゆる「初期微動」と呼ばれるものです。

図8 2014長野県北部地震「大町市役所」(震央距離)21.3kmの
(SGL)UD変位波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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 大阪府北部地震「高槻市消防本部」(震央距離)0.6km

 図1 から 図7 のものと同じ大阪府北部地震で、「高槻市桃園町(0.3km)」についで震央距離が近い「高槻市消防本部(0.6km)」のデータがありましたので、それを 図9 として示します。
 比較のため、「高槻市桃園町(0.3km)」の 図7 を 図10 として、あらためて載せます。
 わずか 300m しか離れていない地点の2つのデータです。よく似ています。
 「高槻市消防本部(0.6km)」では、縦軸の最大値が 2.294 [cm] で、さいしょのピークは、その 0.83 となっていますので 1.90 [cm] です。0.05 [cm] 小さくなっています。

図9 大阪府北部地震「高槻市消防本部」(震央距離)0.6km
(SGL)UD変位波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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図10(=図7) 同「高槻市桃園町」の(SGL)UD変位波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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 大阪府北部地震「枚方市大垣内」(震央距離)4.7km

 大阪府北部地震「枚方市大垣内」(震央距離)4.7km も、震源に近いデータとして取り上げておきます。
 さいしょのピークの変位値は1.2 [cm] となっています。

図11 同「枚方市大垣内」(震央距離)4.7kmの(SGL)UD変位波形(line)AMP[4]EACH, TIME[1]
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 考察

 あまりデータを並べていませんので、考察というほどのことは述べられないとおもいますが、このような表現形式を整えて、他のデータなども、ぱっぱっと見てゆきましたが、UDチャンネルの、はじめのところで、このように大きな変位を示している地震は、ほとんどありませんでした。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Oct 21, 2018)

 参照資料

[1] 気象庁の「主な地震の強震観測データ」
[2] 気象庁にある北海道胆振東部地震の観測データ
長周期地震動に関する観測情報(試行)
北海道胆振東部地震
「各観測点の加速度ファイル」 ここをクリックして acc.tar.gz を保存して解凍する
[3] 大阪府北部地震

 

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