地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS22 コンパス解析で大阪府北部地震波形のP波を観察する(1)

黒月解析研究所 黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 大阪府北部地震のコンパス解析

 次の図1は大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの [2S] コンパス解析です。
 コンパス解析とは、地震波形のNS(北南)チャンネルとEW(東西)チャンネルの情報から、地震波形がやって来た方角を解析して表示しようというものです。

図1 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの [2S] コンパス解析
AMP[5], SLOW[1/4], [NeSw]
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 コンパス解析のアイディア

 コンパス解析のアイディアはシンプルなものです。
 地震波形の観測では、3つの地震計を設置して、NS(北南)方向、EW(東西)方向、UD(上下)方向についての振動を記録します。
 かんたんのため、さいしょはUD(上下)方向のデータを無視して、NS(北南)方向とEW(東西)方向の波形データから、方角と振幅を求め、それを表示します。
 [2C] (2つのチャンネルのデータを利用する)コンパス解析の、アイディア(左の振幅をベクトル合成する模式図)と、その表示(下のCPS2)を表したものが、次の図2です。

図2 コンパス解析のアイディア
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 大阪府北部地震「高槻市桃園」のコンパス解析

 具体的な手順を示します。
 次の図3は大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの加速度波形です。
 この加速度波形のデータについて、100Hzなので、1つのデータごとに0.01 [秒] という時間を掛けて、漸化式として、順に加えていったものが、図4の速度波形となります。
 さらに、この速度波形の1つのデータごとに0.01 [秒] という時間を掛けて、漸化式として、順に加えていったものが、図5の変位波形となります。

図3 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの加速度波形
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図4 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの速度波形
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図5 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの変位波形
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 大阪府北部地震「高槻市桃園」の驚くべき点は、他の多くの(ほとんどすべての)地震では観測さたことがない、UD(上下)チャンネルのさいしょのところに、大きな値として、上に向かう変位が記録されているということです。
 今回のページでは、この問題のことは、ここでチラッと見ておくだけにして、無視してゆきます。
 [2C] のコンパス解析では、UDチャンネルの情報は組み込みません。
 さて、このようにして求めた変位波形の、NS(北南)チャンネルとEW(東西)チャンネルの地震波形情報にもとづき、上記の「コンパス解析のアイディア」に従って構成したものが、次の図6の CPS2 の波形です。
 波形の対応を見やすくするため、100データごとに色を変えています。
 図6の CPS2 波形のところで、青い灰色で囲った部分を(振幅も時間も)拡大してシングルチャンネルとして表示したもの([2S]と記号化)が、図1でした。振幅はAMP[5](5倍)に、時間は SLOW[1/4]としてあります。SLOW[1/4] = TIME[0.25] となります。

図6 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの [2C] コンパス解析
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 P波がやってきた方角

 次の図7は、図1をさらに2倍してAMP[X](10倍)にしたものです。
 地震波形の変位記録は、地面が動いたときの変化を記録しているようです。
 すると、そのように地面を動かすことになった地震の波は、波形の突き出た方角の裏側とでもいうべき方からやって来たことになります。
 このときのコンパスマーク(左上)より、上が北で、右が東となっていますから、P波がやって来た方角は、南東もしくは東南東のあたりとなります。
 この下にある図8は、国土土地理院の「距離と方位角の計算」 [4] で使われている地図 です。
 左上のマークは「高槻市桃園」で、右下のマークは震央です。
 震央から、この観測点「高槻市桃園」へP波がやってきた方角は、図7で求めた「P波が来た方角」と、うまく対応しています。

図7 大阪府北部地震「高槻市桃園」(震央距離)0.3kmの [2S] コンパス解析
AMP[X], SLOW[1/4], [NeSw]
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図8 国土土地理院の「距離と方位角の計算」 [4] で使われている地図
左上のマークは「高槻市桃園」、右下のマークは震央 (画像をクリック → 拡大画像へ)

 あとがき

 さらに、同様の解析で、次に近い「高槻消防本部」(震央距離)0.6kmや、比較的近くて、方角の異なるいくつかの観測点におけるデータを用意してありますが、画像の数が増えすぎてしまいますので、分割して、少しずつ示してゆこうと思います。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Oct 26, 2018)

 参照資料

[1] 長周期地震動に関する観測情報(試行)
北海道胆振東部地震
「各観測点の加速度ファイル」 ここをクリックして acc.tar.gz を保存して解凍する
[3] 大阪府北部地震
[4] 距離と方位角の計算 国土土地理院の地図

 

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