地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS33 P波が無いから人工地震というのは誤り(3)HKD185 支笏湖畔

黒月解析研究所 黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 はじめに

 前回のEWS32で予告したデータについて取り扱うのは、少し保留して、別のサイトで取り上げられていた、K-NETのサイトにある地震波形について解析します。

 HKD185 支笏湖畔

 次の HKD185 という観測点コードが読める、K-NET サイトからコピペした図が、みんなが知るべき情報/今日の物語[1] にありました。
 このサイト [1] は、北海道、震度7「人工地震」安倍晋三「お前、知っていたな」 というタイトルで表示されているものです。地震が発生したのが、夜中の3時8分なのに、「首相官邸危機管理センターが3時9分に対策室を設置した」ということを、大きな文字を使って説明しています。このことは事実ということなので、文句のつけようはありません。
 私がちょっと問題としたいのは、このページに組み込まれた、HKD185の K-NET 画像が、直接K-NET のサイトから取り出されたものではなく、他のサイトの本マグロ [2] にあったものをコピペして貼り付けていることです。
 はじめ、この波形は2018年9月6日の3時8分に起った本震のものだろうと考え、K-NETの波形データをダウンロードして、地震波形として表せるソフトで読み込もうとしました。
 しかし、3時8分のHKD185のサンプル図を開いて確認してみると、各チャンネルの最大振幅の値が、[1] のサイトにあったものとは違います。
 K-NET のサイトで、3時8分以降のHKD185の観測点のデータを調べていったところ、[1] のHKD185の波形図は、本震のものではなく、同じ6日の6時11分に起った余震のものだということが分かりました。あとから気づいたのですが、この図の左下に、この地震波形が始まる日時が記されていました。これを読み取れば、K-NETのリストの中から、該当する地震を選ぶことができ、トップの行の末端にある (HKD185) で、観測点のコードを照らし合わせれば、この地震波形が特定できます。

図1 HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)

図2 観測点「支笏湖畔」と この余震の震央(Y) [3月]
※Jは本震(3時8分)の気象庁による震央
※Aは本震(3時8分)の米国地質調査所発表による震央

 HKD185というコードは、K-NETにおいて、「支笏湖畔」という観測点のことだと分かりました。この観測点のデータは、気象庁のサイトにはないようです。HKD185の観測点の緯度経度をダウンロードしたテキストファイルから読み込んで、距離と方位角の計算(国土地理院) [3] で確認しました。
 図2のYが、6時11分の余震の震央です。Jが3時8分の本震の震央ですが、この地震については米国地質調査所発表による震央がAとなっています。どちらが正確なのかは分かりません。

 K-NETからのHKD185 支笏湖畔データをソフトで構成

 HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)というデータを K-NETのサイトからダウンロードして、私のソフト(eqk.exe)で地震波形を再構成しました。
 いちばんさいしょに現れる解析図は、実は下の図4のようなものですが、上記図1によく似た表現としたものを図3として、先に示します。
 図3は、HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)ですが、[EACH], AMP[2], TIME[16]と添えてあるように、正規化法がチャンネルごとの[EACH] で、時間軸が16倍に短縮してあります。このとき私のソフトでは、16データのうち15を省いてゆくので、大きな振幅が残らない場合もあり、図1の表現と同じになりません。各チャンネルの最大振幅値は同じくらいになっていますので、同じデータ由来だと分かります。
 図3のUDチャンネルの波形を見ると、北朝鮮などでの地下核爆発による地震波形のパターンそのもののように、初めに大きな振幅が現れています。このパターンを見て「P波がない」と判断しないでださい。はじめにある大きな振幅はP波です。この部分が大きいから「人工地震だ」と即断するのも勇み足です。
 まず、このときの正規化法が [EACH] であることの効果を見るために、[ALL]へと戻します。
 次に、時間軸を縮めすぎて細部の様子が分かりにくくなっているので、時間軸をTIME[16]からTIME[1]へ戻します。
 すると図4となります。

図3  HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)
K-NETからのダウンロードデータをソフトで構成 [EACH], AMP[2], TIME[16]
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図4  HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)
K-NETからのダウンロードデータをソフトで構成 [ALL], AMP[2], TIME[1]
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 [ALL], AMP[2], TIME[1]とした、この図4を見ると、P波の初動とS波の到来(初動)とは、7秒ほど離れており、P波だけの部分は明瞭に確認できます。
 UDチャンネルのS波については、確認しづらいので示していません。
 ここで少し考え込んでしまいました。
 震央距離が51.6kmとあり、震源からかなり遠いにもかかわらず、UDチャンネルのP波先端部分に、このチャンネルでは最大振幅となる、大きな振幅(66 [gal])のひし形パターンがあります。
 しかも、少し振幅値が小さくなっていますが、水平面のNSチャンネルとEWチャンネルにも、同じ位置に、やはりひし形パターンがあります。
 このようなパターンは、どこにでも見られるというものではありません。
 同じ地震で、もっと震源に近い観測点として、HKD126「鵡川(むかわ)」がありましたので、これのデータをダウンロードして地震波形を構成したものが、次の図5です。

図5  HKD126 鵡川 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)
K-NETからのダウンロードデータをソフトで構成 [ALL], AMP[2], TIME[1]
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 HKD126「鵡川」では、震央距離が12.7kmとなっていて、震源から近いのに、UDチャンネルのP波先端部分のひし形パターンの最大振幅値は、(-)47.594 [gal] となっています。遠い支笏湖畔で66 [gal] なのに、それより小さいわけです。
 不思議です。
 そして、図5の「鵡川」では、NSチャンネルとEWチャンネルのP波のはじめのところに、大きな振幅のひし形パターンがありません。
 図4の「支笏湖畔」と比べると、これも不思議です。

 考察

 図4に示した、HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の余震 2018-09-06 06h11m)では、3つのチャンネルのP波のはじめのところに、大きな振幅のひし形パターンがありました。
 次の図6は、HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の本震 2018-09-06 03h08m)です。

図6  HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の本震 2018-09-06 03h08m)
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 この本震波形では、P波の先端部分に目立ったひし形波形は無いように見えています。
 しかし、ひし形とは表現できませんが、煙突そうじのブラシのようなパターンが見られます。この部分につい調べるため、UDチャンネルの波形だけをシングル表示で観察しました。
 次の図7でP波先端部分を観察すると、ひし形パターンがあり、その部分だけの最大振幅は65 [gal] となります。
 図4でのUDチャンネルP波ひし形パターンの最大振幅は66 [gal] でした。
 はたして、この部分だけが、他の部分とは異なっていて、本震でも余震でも、同じ大きさで生じているのでしょうか。

図7  HKD185 支笏湖畔 (胆振東部地震の本震 2018-09-06 03h08m)
UDチャンネルシングル表示 [ALL], AMP[XX]=AMP[20], TIME[1]
P波の先端部分にひし形パターンがあり、その部分だけの最大振幅は65 [gal]
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 まとめ

 図1のような、K-NETのサイトで表示されているサンプル図では、@時間軸がきょくたんに縮小されている、A正規化の方法がチャンネルごとの [EACH] で行われている、という2つの性質のため、UDチャンネルのP波先端部分に少し大きな振幅のひし形パターンがあるとき、この部分の表現が、核実験のような爆発現象による地震波形のようになることがあります。
 しかし、@の時間軸をTIME[1]とし、Aの正規化法を [ALL] として表現すると、核実験での地震波形とは異なることが分かります。
 ところで、UDチャンネルのP波先端部分に、大きな振幅のひし形パターンがあるというのは、いったいどのような原因で起こっているのでしょうか。
 人工的なのか自然なのかは判断できませんが、何らかの、爆発的な現象が起こっているという可能性があるのではないでしょうか。
 このような、大きなひし形パターンが存在している、「大阪府北部地震」や「熊本地震(1)」においては、地震が起こるはじめのところで「ドーン」という大きな音がしたという証拠が数多く残っています。
 このことも、何らかの爆発現象が起こっていたという可能性を示唆します。
 さらに他の地震について調べる必要がありそうです。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Dec 3, 2018)

 参照資料

[1] みんなが知るべき情報/今日の物語
[2] 本マグロ
[3] 距離と方位角の計算(国土地理院)
  

 

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