地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS39 P波とS波の振幅比を調べるための解析(2)

黒月解析研究所 黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

地震波の研究ブランチページへもどる

 はじめに

  EWS38 P波とS波の振幅比を調べるための解析(1)では、次の(1)と(2)についてソフトを改良しました。
 (1) 3チャンネルとして測定されている地震波形を、一つずつシングルチャンネル表示で、折れ線モードとして描き、ピークの座標(データ数, 振幅値)を読み取って、円マークを記す。
 (2) P波の区間とS波の区間をマウスで指定し、それぞれの区間にあるビークの振幅値の平均値を求める。ここから、これらの振幅平均値(Ap, As)における。S波に対するP波の比(Ap/As)を求める。
 この次の段階へと進む前に、解析の手続きをかんたんにして、より手軽に進めてゆくため、次の(3)のような改良を加えます。

 (3) 3チャンネル同時にP波とS波の平均振幅の比を求める

 ソフトにおけるアルゴリズムの加工に関しては、単なるプログラム技術の問題ですので、説明することは控えておきます。
 プログラムソフトとして、これまで、シングルチャンネルでだけ解析できたアルゴリズムを、3チャンネル同時に表示する(C言語における)関数へと移し、うまく表示できるようにしました。
 図1がその解析例です。

図1 3チャンネル同時に折れ線グラフのピーク位置を円でマーク
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 この状態で、P波の区間とS波の区間を指定します。
 これまでは、区間外のピークにも円を描いていましたが、区間を指定するときは、一度円マークを消して、区間をしたあと、区間の内部でだけ円を描くようにしました。
 図2がその解析例です。
 解析図の右上のほうに、NS, EW, UDチャンネルごとの、
   P(ピーク数) P波の平均振幅値 S(ピーク数) S波の平均振幅値 (P/S) それらの比
という値を表示してあります。

図2 P波の区間とS波の区間を指定して、区間内だけでピークを円で指定(地下Gデータ)
(画像をクリック → 拡大画像へ)

 この図2は防災科学技術研究所 強震観測網 K-NET[2]の、「えびの北地震(仮称)」(2018-12-11 01時05分)の観測点「宮之城」の地下(G)のデータでした。
 この観測点「宮之城」の地下(G)は海抜10.11mで、地表(S)は海抜110.11mとなっており、その高低差は100mです。おそらく、最小限の高低差だと思われます。このようなときは、地下(G)と地表(S)とで、P波とS波の時間位置は、ほとんど変わりません。
 地下(G)の設定のまま、地表(S)へとデータを取り換えたものが、次の図3です。

図3 地下Gデータでの解析条件のまま地表Sデータに移る
(画像をクリック → 拡大画像へ)

次の表1は、図2と図3の右上の解析結果を切り取って、まとめたものです。
 これらの値は、P波やS波の区間のとりかたや、閾値を5〜1パーセントのどれにするかによって、げんみつには変わりますが、おおよその傾向が読み取れる範囲の値となります。

表1 観測点「宮之城」の地下(G)と地表(S)の振幅比(P/S)



 右端の振幅比(P/S)の値を見比べると、全体的に、地下(G)より地表(S)のほうが少しずつ大きくなっています。NSチャンネルとEWチャンネルとでは、この観測点において、EWのほうが大きくなっていますが、他の観測点では逆になっていることもあります。
 UDチャンネルの比は、地下(G)と地表(S)とでは、異なる性質をもっているようです。
 まだ、1つの地震の、1つの観測点のデータだけを調べただけなので、これ以上詳しく論じることはやめておくべきでしょう。
 このように、P波の振幅やS波の振幅についての、ある種の(数字としての)「指標」を定めることによって、このような比が、観測点ごとに、あるいは、それぞれの地震ごとに、どのような傾向をもっているのかということを調べてゆく可能性が広がってきました。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Dec 14, 2018)

 参照資料

[1] 気象庁の主な地震の強震観測データ
[2] 防災科学技術研究所 強震観測網 K-NET
[3] えびの北地震(仮称)(K-NET 2018-12-11 01時05分)

図A えびの北地震(仮称) K-NET

 

地震波の研究ブランチページへもどる