地震波形の研究 Earthquake Wave Study
EWS43 2019年1月3日の熊本地震の異常性(1)地震波形の表示

黒月解析研究所 黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

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 はじめに

 2019年1月3日の夕方に起った熊本地震の地震波形を調べています。
 ウェブをサーフィンすると、さっそく、この地震が人工地震であると断定しているサイトもあります。
 確かに、怪しげな状況証拠のようなものが、いくつかあるようです。しかし、それだけで判断するのは危険なことです。
 ほんとうのことを知るためには、もっと確かな、直接的な証拠のようなものを見出さなければなりません。
 しかし、今この世界で起こっていることは、ずいぶんと複雑なことになっているようです。

 震源に近い10か所の観測点のデータ

 防災科学技術研究所(NIED)の強震観測網(K-NET, KiK-net)[1] のサイトから、今回の2019年1月3日18時10分に起った熊本地震において、次の10か所の観測点の地震波形データをダウンロードして調べました。
 解析の流れとしては、それぞれの観測点の地震波形を描いて、P波とS波の初動時刻を調べなければなりませんが、これらの地震波形の表示は、すこし先送りします。

表1 10観測点のデータ 



 P波とS波の初動時刻グラフ

 表1にまとめた、震源距離(横軸)に対する、P波やS波の初動時刻(縦軸)をプロットして、それらの回帰直線を描いたものが、次の図1です。
 これらの回帰直線の傾きから、P波やS波の速度を求めることができます。げんみつな言葉を使うと、これらは局所的な平均速度となります。
 一般に、P波やS波の速度は、地震の波が通ってゆく地質の種類や軟弱さなどで変わってきます。
 今回の地震では、震源(からの)距離が60km以内で、平均速度は、P波が6.01 [km/s] 、S波が3.66[km/s] となりました。これらの値は常識的な範囲のものです。異常ではありません。
 グラフの中に描いた緑色のプロットは、P波とS波の速度比(Vp/Vs)です。これにも異常はありません。
 S波の回帰直線(赤色)とP波の回帰直線(青色)は、震源からの距離が ほぼ0 [km] のところで交わっています。常識的な結果です。
 このグラフの解析で、今回の地震が 18時10分43秒に、震源位置で起こったということが分かります。

図1 P波とS波の初動時刻グラフ

 震源に近い10か所の観測点の地震波形

 表1の順は、防災科学技術研究所(NIED)の強震観測網(K-NET, KiK-net)[1] のサイトで上から並べられた順で抜き出したものですが、ここでは、震央距離の小さな順にして、10か所の観測点の地震波形を示します。これらの地震波形はすべて加速度値で、正規化は[ALL]、振幅は AMP[2]、時間軸は TIME[1] です。
これらの観測点における地震波形の中に異常なものがあります。

図2  KMMH17 玉名 (震央距離3.9km)
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図3  KMM002 山鹿 (震央距離8.2km)
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図4  KMM03 玉名 (震央距離8.8km)
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図5  FKO016 大牟田 (震央距離14.4km)
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図6  KMMH01 鹿北 (震央距離15.0km)
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図7  FKO013 八女 (震央距離25.2km)
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図8  FKO015 柳川 (震央距離25.6km)
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図9  FKO014 矢部 (震央距離26.2km)
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図10  KMM008 宇土 (震央距離35.0km)
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図11  FKO010 甘木 (震央距離47.4km)
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 あとがき

 このEWS43の解析ページは2019年1月3日の熊本地震の異常性(1)地震波形の表示ということにして、後半の(2)P波とS波の振幅比はEWS44としてまとめます。
 すべてをこのEWS43でまとめようとすると、あまりに画像が多くなりすぎますので、分割しました。
 2019年1月3日の熊本地震が、自然な断層地震ではなく、ある種の爆発的な現象を伴っているかもしれないという、直接的な「証拠」のようなものは、図2から図11に示した、いくつかの観測点の地震波形の中に現れています。
 それが、どの観測点のもので、どのような特徴があって、何が異常なのかということは、EWS44で説明したいと思います。
  (Written by KLOTUKI Kinohito, Jan 6, 2019)

 参照資料

[1] 防災科学技術研究所(NIED)の強震観測網(K-NET, KiK-net)

 

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