GA22 色分解と色焦点からプリズム変換へ(マニュアル)
From Color Decompose and Color Focus to Prism Exchange(Manual)

黒月解析研究所 & 西尾美術研究所

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 はじめに

 ゴブリンアートの機能が大きく変化しました。
 一般にガラスのレンズを利用した光学顕微鏡や屈折望遠鏡では、ガラスのレンズを通るとき、光の分散現象が生じます。周波数が異なる赤と緑と青の光では、ガラスの中を通るときの速度が異なってしまうため、入射角に対して、少しずつ異なる屈折率となって進むことになるわけです。
 このため、もともとは白い光で照らされていても、このような分散現象によって、緑の光による像に対して、赤い光による像や、青い光による像が、少しずつ位置を変えてしまうことになります。
 ゴブリンアートでは、この問題を回避する機能を組み込むことができました。
 次の図1は、この問題を調べてゆくために生み出した、色分解色焦点プリズム変換へとつながるスイッチを示したものです。

図1 ゴブリンアートのトップページ(2017-11-09)
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 色分解

 撮影されたカラー画像は、画素ごとに、赤緑青の色値として保存されます。
 これらの色値について、赤色成分だけを有効として、他の緑色成分と青色成分の色値を0としたときの画像を赤版と呼ぶことにします。同様の手続きで、緑版青版を作ることができます。
 次の図2は、原画像と、青版・緑版・赤版の各画像です。

図2 原画像と、青版・緑版・赤版の各画像
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 これらの画像を見比べると、原画像と緑版は、粒子などの位置が比較的よく対応していますが、青版と赤版では、位置がずれていることが分かります。
 このときの撮影では、ホールスライドガラスではなく、普通の平たいスライドガラスを使っています。それでも、このように、赤色の像や、青色の像が、緑色の像に対して、ずれてしまうわけです。

 色焦点

 上記のような、像の位置がずれてしまう現象を、どのようにすれば回避できるかと考え、色焦点と名づけた解析ページを作りました。
 もとの画像の大きさのままだと、アルゴリズムがむつかしいので、もとの画像の半分の画像を中央に置き、緑版をここに固定して、青版と赤版の位置を変えられるようにしたものです。

図3 色焦点による解析
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 このような解析システムがうまくいったら、全画像のサイズで、このような処理が行えるようにするつもりでしたが、どうやら、うまくいきそうにありません。
 このような考え方では、そこにあるものの真の姿に近づくことができないようです。

 プリズム変換

 上記の色焦点とは異なるアイディアを考えることにしました。
 次の図4はプリズム変換というシステムで解析したガイドページです。


図4 プリズム変換のガイドページ(上)正規のプリズム変換(下)逆プリズム変換
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 正規のプリズム変換

 さいしょ、プリズム変換として、ひとつにまとめて考えていましたが、その効果を考えてゆくと、2つの異なる技法を組み込んでいたことに気がつきました。
 はじめにプリズム変換として構成したのは、図4の(上)正規のプリズム変換です。こは、細いスリットを通ってプリズムに向かっていった光が、光の分散現象によって、色が分かれてゆくことをヒントにして、光の(周波数や波長の意味での)範囲をせばめることにより、画像の分解能を上げることを試みたのです。
 次の図5を原画像Aとしたときの、プリズムモード4が図6です。
 そして、その下の図7は、図5の原画像Aについて、色の強弱で白黒画像へと変換したものです。
 図6と図7を見比べれば、色がなくなって白黒画像となれば分解能がよくなるわけではないということが分かります。

図5 原画像A(光学顕微鏡で撮影したもの)
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図6 原画像Aのプリズム変換4 Prism4
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図7 原画像Aの色の強弱による白黒画像 Power(1)
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 逆プリズム変換

 次に考えたのは、次のようなアイディアです。
 光学顕微鏡で見て、デジタル画像として記録されたものは、色の分散現象が起こってしまったあとのものです。つまり、光学顕微鏡の下から照らされる光が、微生物などの生体細胞を通るとき、それが一種のプリズムのようになって、色の向きを変えてしまった後の姿です。それなら、その光が、プリズムとして作用する生体を通っている途中の、まだ光の分散が起こり始めているときの状態に戻してみよう。
 このようにして構成したのが、図4の(下)逆プリズム変換です。もっとげんみつな名称をつけるとしたら、(光の)逆向きプリズム変換でしょうか。
 ある種の実験的な技法でした。
 逆プリズム変換における、prism10の次にくるprism11は、正規のプリズム変換のprism4と同じものです。

図8 原画像Aのプリズム変換8 Prism8
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図9 原画像Aのプリズム変換11(4) Prism11(4)
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図10 原画像Aのプリズム変換14 Prism14
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 ストライプ変換によるチェック

 このような変換によって、細部の様子がどのように変わるかを見やすくするため、ストライプ変換を加えて調べることができるようにしました。
 このような表示により、正規のプリズム変換ではプリズムモード4(Prism4)が、もっとも分解能がよい画像になる、と、これまで考えてきましたが、ひょっとするとプリズムモード5(Prism5)のほうがすぐれているかもしれません。
 あるいは、このあたりの判定は、ケースバイケースなのでしょうか。

図11 正規のプリズム変換でストライプcarbon(2)変換を加える
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 次の図12は、逆プリズム変換でストライプcarbon(2)変換を加えたものです。
 理論的には、prism8からprism14に向かって、プリズムで光の分散が起こる前へと戻ることになりますが、このとき使っている対象の中心部分のパターンの変化を見ると、prism14のものが、もっとも細かくとらえられているわけではないということが分かります。
 どうやら、もっとも細かくとらえられているのは、prism12あたりのようです。
 あとから加えたものでしたが、prism13とprism14は、必要なかったかもしれません。

図12 逆プリズム変換でストライプcarbon(2)変換を加える
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 (Written by KLOTSUKI Kinohito, November 27, 2017)

 

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