RaN32 オラフ・ステープルドン「スターメイカー」の「棘皮人類」
RaN32 Human Echinoderms in STAR MAKER by Olaf STAPLEDON
黒月樹人のランダムノート (Random Note by Kinohito KULOTSUKI)
RaN32 オラフ・ステープルドン「スターメイカー」の「棘皮人類」

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 オラフ・ステープルドンの「スターメイカー」[1] を初めて読んだのは、私が37歳のころだった。

工場の仕事をしていたとき、新しく入ってきた若者が、寮から突然消えた。今では考えられないことであるが、朝寝坊をしてしまい、それをとがめられるのを恐れて、車でどこかへと消えてしまったのだ。当時の工場の状況といえば、問答無用を看板に掲げるような工場長が就任していて、ささやかなミスについても、まったく聞く耳をもたないというものだった。平の工員にすぎなかった私は、その工場長と対決したりしていたのだから、まあ、今から思うと、異常な世界だった。

その若者は、私の仕事仲間だった。よく話をしていたので、なんとなく分かることもあった。彼は、海を渡り、故郷の友人のところへ、借りていたものを返しにいったらしいが、実家には戻っていないという。この状況を知り、これはまずい、ひょっとすると、自殺してしまうかもしれないと、私は考えた。工場長に対して、探しに行くから認めてくれと言ったが、それは無理だということで、休みを取ってゆくことにした。そのときに、一冊だけ抱えていったのが、この「スターメイカー」だった。

この若者については、私が彼の実家へと行き、その地方のあちこちを探していると、数日後に手かがりが現れて、彼と連絡がつき、説得して帰宅させることができた。彼の実家は四国にあったのだが、一度、四国の友人宅にこっそりやってきたあと、再び本州へと戻り、北海道へまで行ったとき、ふと、何かに呼ばれるような気がして戻ってきたのだと彼は説明した。これを聞き、探しているという「思い」が、きっと通じたのだと、彼の家族の一人が言った。「テレパシー」というものは実在するのだと、私は思った。

この後私は、すぐに工場へと戻らずに、休暇を延長して、ふと、北海道の知人に会いにゆくことにしたのだった。そのときの、旅のあちこちで、この本を読んだ記憶が残っている。

当時の私は、自分の本に横線を引く癖があった。この「スターメイカー」や、ルドルフ・シュタイナーの「神秘学概論」[2] と「アカシャ年代記より」[3] 、ダイアン・フォーチュンの「神秘のカバラー」[4] など、ボールペンや色鉛筆の線が、たっぷりと書き込まれている。もちろん、私自身で買った本である。ところが、これらの中で、「スターメイカー」だけが、現在行方不明になっている。なつかしさもあって、この本を購入しなおすことにしたが、このとき、英語版のものにした。これは、それほど読み進めていない。やはり日本語でないと、この本の内容を理解するのは難しい。私は、これを図書館の書庫から借り出した。

 「スターメイカー」の物語は、「わたし」という主人公が、いつのまにか幽体離脱することにより、地球を離れてしまうところから始まってゆく。幽体離脱して、地球に付随する、より高次の世界を訪ねるとかのストーリーは、まったく無視されている。そのような物語は、すでに幾つか存在しているので、この分岐については避けたのだろう。

 物語の前半は、異なる宇宙で、人類に近い存在を探すというものである。この流れで最初に巡り合った世界を、「わたし」は <別地球> と呼んでいる。ここで「わたし」が最初に出会ったのは、そこに住む農夫のプヴァルトゥである。オラフ・ステープルドンは、この <別地球> の人類について細かく描写している。具体的な表現内容は割愛するが、印象としては「醜い」ものであるという。

 やがて「わたし」はプヴァルトゥにも幽体離脱のノウハウを教え、彼らは、ともに、宇宙へと旅立つ。しかし、「わたし」とプヴァルトゥとの会話などはまったく記載されてゆかず、物語は、非常に抽象的・総体的な視点から進められてゆく。数々の惑星を調べ、多様な人類を見て、概説的なことがのべられてゆく。このような、指数的な曲線にもたとえられる、物語を論じる視点の変化が、この「スターメイカー」という奇書の大きな特徴の一つである。たしか、37歳に読んだときに、そのような印象を受けて感動したように思う。現在では、これとはまた違ったところに感動するところを見出すことになっている。色々とあるのだが、その一つが「棘皮人類」のことである。

 一般の小説やSF小説では、まったく架空のことを書きつづるものだという、暗黙の了解のようなものがある。ときには、自伝小説とか、ドキュメンタリータッチの小説というものがあって、ほんとうのことをベースにして語られる。しかし、小説家は、ときとして、まったくの嘘のようなふりをして、ほんとうのことを書くことがある。有名な例として、ジョージ・オーウェルの「動物農場」[5] がある。スタイルは寓話ではあるが、その内容は、かつての社会主義体制での事件である。ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」[6] にも、そのような一面がある。「社会風刺」というジャンルだ。スタニスワフ・レムの作品にも、そのようなものがあって、「泰平ヨンの現場検証」[7] という本は、ヨーロッパではベストセラーになったというのだが、日本語に翻訳されたものを読んでみても、その風刺のもととなることが分からないので、ちんぷんかんぷんだった。

テーマに戻って「スターメイカー」について語ろう。<別地球> についての記述あたりは、この「社会風刺」というものに相当しそうなのであるが、物語のプロットが指数的に展開してゆくにつれて、風刺すべき「地球世界」のこととは、どんどん離れてゆく。いったいどこまでが風刺で、どこからが空想で、あるいは、何がほんとうのことにもとづいていて、何がほんとうのことから離れているのか、とんと分からなくなる。

第五章「無数の世界」としてまとめられているものの中に、「2 不思議な人類」という節があって、ここに、「ペンギンのような人類」、「飛翔の力は保ったまま、人間なみの大きさの脳をもつ鳥人」、「自らの翼で空を翔ける人類」、「ナメクジのような祖先から進化した人類」、「六本足の種から進化した、四本足と二本の腕をもつケンタウロス」、「このケンタウロスの四本足の前後がつながって、一対の幅広い二本脚になったもの」などの記述が続いている。いずれも、手塚治虫のSF漫画で描かれたことがあるようなイメージである。

これらの乱立したイメージのあとに、今回のテーマとなるヒトデから進化したと考えられる人類についての記述がある。「このたぐいの世界の人類は、(中略) ヒトデに酷似した一種の五叉に分かれた海棲動物から進化していた」と、まず、表現されている。それから、五叉のうちの「一つの叉が知覚器官」となり、「残りの四叉が歩行用に特殊化した。」「知覚を担っていた叉が脳を宿し、他の四叉は走ったり登ったりするのに適応した。」「顔がグロテスクなこと。そして概して口が腹の上部に付いている」「長めの顔には五つの目が小冠のように付いていた。」

この「棘皮人類」についての外観についての、オラフ・ステープルドンのイメージは、およそ、上記のようなものである。明らかに、地球に生息しているヒトデがベースとなっている。顔をかわいくしたとしたら、どこかの「ゆるキャラ」にでもいそうな体形である。このような「人類」は、はたして存在するのだろうか。

もちろん、オラフ・ステープルドンの「スターメイカー」はSF小説である。風刺小説は、その風刺となる対象のことが作者の中にあって、それをベースとして、動物の世界や、宇宙の異質な世界へと、変形して移しかえられるものである。

ところで、このパターンとは別のメカニズムで、ほんとうのことが、ほんとうではない姿となって語られる可能性もある。それは、おそらく、「テレパシー」によって、ほんとうのことを知っているものから、ほんとうのことを知らないものへと、送られてくるものであろう。

このことが、まったく意図的に、意識的に行われるのが「チャネリング」。発声器官が用いられないものの、文字や記号を記した紙の上を、何人かの無意識を操作して伝えられる、「コックリさん」という手法もある。「自動書記」も、「テレパシー現象」の一種だろう。このように考えてゆくと、ほんとうのことを知りたいと願っていなくとも、何か、書き記して面白いアイディアを知りたいと思っている作者のところへと、ほんとうのことにもとづいた知識が、まるで、作者の心の中からわき出したかのように、「テレパシー」によって伝えられることがあるかもしれないと思えてくる。

ここまでが、落語でいう「まくら」。ヒトデから進化した「棘皮人類」について、オラフ・ステープルドンはイメージをもった。彼がほんとうに幽体離脱をして見てきたかどうかは分からない。しかし、何かかが彼にイメージを送ったという可能性も否定できない。どうして、彼は、この「棘皮人類」について、ナメクジから進化した人類についての記述の何倍もの表現を当てたのだろうか。

 ヒトデなのかナメクジなのか、あるいは、それらとは全く異なった生物に由来するものかは、よく分からないが、まるで、オラフ・ステープルドンがイメージした「棘皮人間」とも思えるような、地球の生物ではないものが存在している。次の図1は、地球で観測されたUFOの画像である[8] 。まるでイラストであるかのような画像であるが、調べてみると、地球の画像技術では構成できない、立体的な画像が現れてきた。おそらく、ほんもののUFOの一つである。図2は、このUFOの凸部分を拡大したものである。そして、黒月解析研究所の初期に開発した画像解析プログラムで処理した画像が図3である。図2ではただの模様のように見えていたものが、図3では、何か独立した、立体的なものであることが分かる。私は、これが、このUFOに乗ってきたものたちであると考えた。図4は、最新の画像解析プログラムのゴブリンクォーク2 [9] にある色加味解析画像である。

 図4は図3についての、色加味解析である。他のCPPページで調べたように[10]、地球の植物の周囲には、古代から伝えられている「カー体」と見なせる、半物質的で半透明の色パターンが現れる。鉱物の場合は連続的なパターンであるが、生命体においては、その「カー体」の境界部分が、まるで、太い輪郭線のような、一定の色値となるのである。このことを図4にあてはめてみると、UFOの凸部分に乗っている、ヒトデにも似た、幅広いボディをもっているものたちは、「カー体」にもとづく太い輪郭線をもっていることが分かる。つまり、これらは、なんらかの生命体であるという条件を満たしているわけである。

 図3の画像を初めて見たとき、私は、よく似たパターンをどこかで見たことがあるということに気づいた。それを探したところ、次の図5を見出した。これは、太陽系の木星の衛星エウロパの風景 [11] である。ここには、図3UFOの凸部分に乗っているものと、よく似たものが写っている。この部分の周囲までをとらえたものが図7で、この図7は、その次の図8における青色枠に対応している。

 図5について色加味解析を行ったものが図6である。図5で比較的明るい桃色に映っているものは、図6の色加味解析で、生命体の特徴を示している。

 これらのことから何が言えるのか。ここから先はSF小説の分野となるかもしれない。はたして、図3UFOの凸部分に乗っていたものたちが、何らかの生命体であり、このUFOの主搭乗員であったとしても、形態がよく似ているからといって、エウロパの地表の一部で集まっているものたちと同じ種属であるどうかは分からない。もちろん、これらが、地球のヒトデの仲間から進化した「棘皮人類」であるかどうかということも、この程度の知識から断定することはできない。このUFOには何らかの生命体が乗っているということと、エウロパには何らかの生命体がいるということと、これらの生命体の形態がよく似ているということぐらいかもしれない。(2010-04-02)

参照資料

[1] オラフ・ステープルドン「スターメイカー」, 浜口 稔訳, 国書刊行会1990

[2] ルドルフ・シュタイナー「神秘学概論」, 石井 良+樋口純明=訳, 人智学出版社1982

[3] ルドルフ・シュタイナー「アカシャ年代記より」, 高橋 巌訳, 国書刊行会1981

[4] ダイアン・フォーチュン「神秘のカバラー」, 大沼忠弘訳, 国書刊行会1985

[5] ジョージ・オーウェル「動物農場」, 高畠文夫訳, 角川文庫

[6] ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」 平井正穂訳, 岩波文庫

[7] スタニスワフ・レム「泰平ヨンの現場検証」, 深見 弾訳, 早川書房1983

[8] クールペッパーページ35「シカゴOHare空港のUFO

http://www.treeman9621.com/C_P_PAGE_35_Chicago_O_Hare_Airport_UFO.html

Chicago OHare Airport UFO Art  Chicago O’Hare Airport UFO Art

posted by Scott Beale on Monday, January 8th, 2007

[9] ゴブリンクォーク2

http://www.treeman9621.com/C_Program_of_KAI_Main_Page.html

http://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se481681.html

[10] CPP184 NASAが 見つけた火星の植物像もカー体をもっている

http://www.treeman9621.com/cpp184/CPP184_ImageOfMarsTrees_DiscoveredByNASA_alsoHaveKaBody.html

CPP185 火星の砂漠 には樹木以外にまだ何か生物がいる

http://www.treeman9621.com/cpp185/CPP185_ThereExist_NotOnlyTrees_ButAlsoCreatures_OnMarsDesert.html

[11] エウロパの風景

http://www.treeman9621.com/Kai010_ColdVillageOnEuropa999_main_________________.html

http://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/image_feature_529_prt.htm

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