ルドルフ・シュタイナーの「いかにして高次の世界を認識するか」ノート

黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI, Tree Man on Black Moon)

RaN42 ルドルフ・シュタイナーの「いかにして高次の世界を認識するか」ノート

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 はじめに

 ルドルフ・シュタイナーの「いかにして高次の世界を認識するか」[1] で考察の対象となっている「高次の世界」とは何のことか。私もよく分からない。この本を読んだからといって、その場ですぐに、「高次の世界」を認識することができるというものでもないようだ。それでも、この本の内容は、私たちの存在そのものについて、何らかの指針のようなものを説明しているということは、なんとなく感じ取れる。

 この本を初めて読もうとしたのは、私が30代のころだったと思う[2]。しかし、本は買ってあるのだが、まったく読み進めることができなかった。それから20年ほどが経過して、ようやく、これを読み切ることができた。思考言語コアによって、ノートもつくった。これを眺めながら、通常の言葉によって、誰でも読んでゆけるようなものをまとめようと思う。

 この本は、次の11の章に分かれている。

 

1 いかにして高次の世界を認識するか

2 秘儀参入の諸段階

3 秘儀参入

4 実践的な観点

5 神秘学の訓練のための条件

6 秘儀参入のいくつかの作用について

7 神秘学の学徒の夢の生活に現れる変化

8 意識の持続性の獲得

9 神秘学の訓練に伴う人格の分裂

10 境域の守護者

11 生と死----境域の大守護者

 

1 いかにして高次の世界を認識するか

◇条件

 条件@として、「尊敬の道」あるいは「畏敬の念」がある。

 例1として、イエスの物語がある。それは、弟子たちとイエスが、犬の死骸を見たときのこと。弟子たちは、腐敗が進む犬の死骸を見て目をそむけようしたが、イエスは、その犬の歯について美しいと言ったという。これは犬による例であるが、シュタイナーは、人に対するときの心がけとして、次のようにまとめている。

 他人の欠点だけを見て、悪い面を裁くようにするのではなく、他人の長所を見て、その良い面を評価すべきだ。

 例2 人の意識と行動の変化について、次のa, b, cの段階がある。

 (a) 私の所属する世界や、私の人生について、否定し、裁き、批判するような判断を、私の思考がしているということに、私が気づく。

 (b) 私の所属する世界や、私の人生について、感嘆・尊敬・崇拝するように、私の思考が向かおうとするように、私が意図する。

 (c) 見えなかったものや、人の異なる姿を見ることができる、霊的な目・新しい力を、私は持つようになる。

 条件Aとして、「認識の小道」がある。

 人は幾つかのボディの複合体である。肉体というボディのほかに、感情のボディや魂のボディがあって、それらは、ある程度独立している。このとき、尊敬や崇拝というものを感情のボディがもつと、魂のボディには、尊敬や崇拝が、まるで食物のように、心地よく吸収され、魂のボディの成長に役立つ。

 豊かな内面生活が、一定の方向へと向くこと。

 「世界のために役立つこと」を「理想」とすることで、内面的な栄養がうまく消化され、そのことを「楽しみ」とする。

 ◇内面の平静

 @ 尊敬の道

A 実践的な規則

  (a) 「第三の掟」、すなわち

「どのような人間の自由な意志決定について、行為や言葉で侵害しない」

  (b) 「内面の平静」のための時間をもち、

「重要なことがら」と「重要でないことがら」とを区別する。

とくに、「自分のことを、外から、観客として見る。」

B 内面的なものの発達

 ◇日常的な人間と、高次の人間

 人は、みずからの中に「高次の人間」というものを眠らせている。通常の意識での私たちを「日常的な人間」と呼び、中で眠っている「高次の人間」と区別する。このとき、次のようなストーリーがある。

 @ 「日常的な人間」としての人が、日常生活を送りつつ、落ち着いた気分を維持する。

 A このことが、中で眠っている「高次の人間」に影響する。

 B かくして、「高次の人間」が成長する。

 C やがて、「高次の人間」は、高次の能力をもつようになる。

 ◇安らかな内省

  内省的な思考についての瞑想とは、明晰で・明確で・はっきりとした思考をもつこと。

  「私が働いたり苦しんだりする」のは、「私が霊的な大いなる世界と結びつく」ことにより起こってくる。

 ◇霊的な訓練の手段

 @ 準備 / 私の霊的な感覚が発達する。

 A 啓示 / 私のところに、霊的な光が灯される。

 B 秘儀参入 / 高次の霊的な存在と私との、交流の道が開く。

 

2 秘儀参入の諸段階

1 準備

 @ ただ一つの印象へ向かう。

A 感情の高まり。

B 外界の印象を排除して、感情の余韻を味わう。

 C 内省的な均衡を保ちつつ、観察する対象を見て、魂の中に生じる感情や浮かび上がってくる思考をとらえる。

2 啓示

 @ 水晶などの鉱物・植物・動物など、さまざまな自然の存在を観察する。

A このことにより、霊的なものを見るための器官としての「霊的な目」が作られる。

 たとえば、植物の種子を見る。植物のなかから、一種の霊的な炎が出ている。

◇神秘学の黄金律

 神秘学の真理の認識において、人が一歩進むならば、

 性格を完全なものにしようと努め、「善」に向かって三歩進むことになる。

◇人生は「最良の、神秘学の学校」である。

 「あらゆる観点から見て、私が不安を抱いても、何の役にも立たない。」

 「恐れ」や「臆病さ」を切り離す。

 「失敗のことは忘れ、何もなかったかのように、新たに試みるようにしよう。」

 「自分が組み取る、世界の力の泉は、涸れることがない。」

 

3 秘儀参入

 ◇試練

  @ 火の試練 / 霊的にヴェールが焼き尽くされるプロセス

    生命を欠いた物体の、物質的な特性についての、より真実に近い真の観点を得る。

A 水の試練 /

    個人的な気まぐれや、好き勝手な気持ちからではなく

    高次の原則・理想とともに、

    人の人生において、自分自身をコントロールする。

  B 空気の試練 / 日常生活において、すみやかな決断で、人生の課題に取り組む。

 これらの試練により

 ◇高次の認識の神殿へと至る

  (a) 忘却の飲み物 / 低時の記憶を判じることなく、新しいものを見る。

  (b) 記憶の飲み物 / 高次の秘密の記憶を思い起こす。

 

4 実践的な観点

 ◇忍耐

 ◇人類の進化ということのために、人の本質を変化させる。

 ◇温和さ

 ◇魂の活動を沈黙させ、周囲の世界での、魂的な活動の、あらゆる細部に注意する。

 ◇太陽の光が降り注ぐ、緑の植物があるところのような環境に身をおく。

 ◇排除されるもの

  怒り、不機嫌、臆病な心、迷信、偏見を好む心、虚栄心、名誉欲、好奇心、

  必要のないことを何でも人に話したがる気持ち、

  人間を外面的な地位・性別・血縁関係をもとに差別する態度。

 

5 神秘学の訓練のための条件

 @ 体と霊の健康に注意する。

   霊的な健康のために排除すること

    不健全な心情・思考、空想的なもの、興奮状態、神経的な態度、

    ヒステリックな態度、狂信的な考え方。

A 自分自身を、生命全体の一部と感じること。

B 私の行動だけでなく、私の思考と感情も、世界に対して重要な意味をもっている。

C 人間の真の本質は、外見にではなく、内面にある。

D 一度自分で決めたことは、確固とした態度で守りとおす。

E 自分に与えられるすべてのものに対する、感謝の感情をもつ。

 「私という存在は、宇宙全体からの贈りものである。」

F つねに、これらの条件が求めるとおりに、人生を理解する。

 

6 秘儀参入のいくつかの作用について

◇上記の訓練(5@〜F)により、人の魂の有機体が変化する。

◇すなわち、蓮華・チャクラと呼ばれている器官が発達する。

◇蓮華・チャクラが明るく澄み、回転すると、霊視能力が発達する。

◇喉頭近くのチャクラの花弁を発達させる訓練

 @ 外の表象に注意をはらう。

A 根拠のある、十分な考えによる決断をする。

B 意味のあること、重要なことを話す。

C 外にあらわれる行動を制御する。

D 人生全体を整える。

E 人間の努力・課題・目標を義務化する。

F 人生から学ぶ態度を身につける。

G 自己の内面、人生の内容や目標を意識化する。

◇心臓近くの12弁の蓮華のために必要なこと

 (a) 意味のある論理的な思考による、思考の制御

  (b) 首尾一貫した行為

  (c) ねばり強さ

  (d) 寛容さ

  (e) 人生のさまざまな現象に対する、とらわれない態度

  (f) 平静さ / ある種の人生の均衡状態

◇みぞおちあたりの10弁の蓮華のために必要なこと

 (g) 幻想や空想の源に栓をしてふさぐ

  (h)錯覚から自由になる

◇体の中央に位置する6弁の蓮華

 @ 人の体/魂/霊が完全に調和する。

 A 6弁の蓮華が発達する。

 B 人が、高次の世界の存在と、交流することができる。

◇試練の道における、四つの特性

 @ 思考における、真理と単なる意見(仮象)とを区別する。

A 仮象のものに面して、真に実在するものを、正しく評価する。

B a)思考の制御, b)行動の制御, c)ねばり強さ, d)寛大さ, e)信じること, f)冷静さ

 以上の「六つの特性」を実践する。

C 内面的な自由に対して、「愛」を組み取る。

 

7 神秘学の学徒の夢の生活に現れる変化

 @ 秩序、法則、原因、作用がかかわる。

A 未知の世界や、別の世界の事象・状況の内容となる。

B 悟性による制御がおこなわれる。

 

8 意識の持続性の獲得

1種体験 / 高次の霊的世界の、最初の現れ

2種体験 / 周囲の世界の事象と関連した、日常生活と、ある種の類縁をもつもの

  ◇集中と瞑想により、高次の人間が成長する。

  ◇眠りにおいて、「無意識状態」が「意識的な状態」へと変わり、

「一つの現実」において生きることとなる。

  

9 神秘学の訓練に伴う人格の分裂

 ◇エーテル体とアストラル体において、a)思考、b)感情、c)意志、

 の三つは、一定の法則のもとに結びついている。

 ◇人が高次の発達へと変化すると、a)思考、b)感情、c)意志、の三つは、

  a)思考は、愛情を欠いた冷ややかな知的欲求へと

b)感情は、感情への惑溺へと、

c)意志は、強引な性格へと

  独自に発達して、ばらばらになる。

  これが進むと「神経症」となる。

 

10 境域の守護者

 ◇エーテル体とアストラル体において、a)思考、b)感情、c)意志が分離した人は、

「小守護者」を見る。

  ◇物質体において、a)思考、b)感情、c)意志が分離した人は、

   「大守護者」を見る。

 

11 生と死----境域の大守護者

  ◇大守護者の言葉

   「獲得したすべての力を、あなたの仲間を救済するために使いきるまでは、

    私はあなたを、超感覚的な世界の、高次の領域へ、入らせません。」

 

 ノートは、ここまでである。一度「思考言語コア」によるノートを作ったものから、ほとんど自然言語によるノートへと再構成した。私の理解力不備により、誤解などが混じっていることと思われる。厳密な議論においては、原本を参照してほしい。チャクラについての知識に関しては、スワミ・ヨーゲシヴァラナンダの「魂の科学」[3] が詳しく説明している。残念ながら、私は、まったく修行状態ではなく、これらの知識については、完全に文献調査のレベルでしか理解していない。私が見ようとしている、別の世界のものについては、私自身の能力を変化させるという道をたどることを求めていない。デジタル画像の、かすかな変化を拡大して見ることにより、ここに記録されているかもしれないものを見ることができるようにしたいと考えている。私の思考と感情と意志は、かなり分離しかかっているのかもしれないが、この本の内容と関連しているかどうかは、よく分からない。何年前や、何十年か前の、私自身の状態を、現在のものと比べるとき、人生は「最良の、神秘学の学校」である という表現の意味が、なんとなく分かるような気がする。

(2010.04.22 Written by Kinohito KULOTSUKI [@] KULOTSUKI ANALYSIS INSTITUTION)

参照資料

[1] ルドルフ・シュタイナー「いかにして高次の世界を認識するか」松浦賢訳, 柏書房2001

[2] ルドルフ・シュタイナー「いかにして超感覚世界の認識を獲得するか」高橋巌訳, 筑摩書房

  (私が買っていた単行本は廃刊のようだ。図書館には残されている。)

[3] スワミ・ヨーゲシヴァラナンダ「魂の科学」木村一雄訳, たま出版1984

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