かな入力初心者のためのキーボード配列記憶法

黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI, Tree Man on Black Moon)

RaN43 かな入力初心者のためのキーボード配列記憶法

 はじめに

 私は、かなり古くから、「かな入力」を信奉しています。ワードや一太郎などの、コンピュータソフトによって文章を作る前は、専用のワープロを使っていました。液晶画面のものの前は、小さなブラウン管ディスプレイのついたものでした。その前はというと、ディスプレイがたった2行しかなかったものです。それらのワープロやワープロソフトの歴史とともに、いろいろな文章をつくってきたわけですが、私は、ほぼ独学だったので、何の迷いもなく、「かな入力」のほうが「アルファベット入力」よりキーを打つ回数が少ないので有利だと思ってきました。ところが、この問題には、別のファクターがあるということに気がつきました。それは、「アルファベット入力」のほうは、アルファベットキー配列 (とローマ字変換の対応) だけを覚えればよいということに対して、「かな入力」のほうでは、かなキー配列だけではなく、英文などの入力を必要とすることもあるので、アルファベットキー入力も、やはり覚えなければならないということです。

 私に関して言えば、ワープロやワープロソフトの進化とともに、これらを使って、日本語の文章を作ってきましたし、これらと並行して、最初はBASICで、最近はC言語で、趣味や研究や仕事のため、数々のコンピュータプログラムを作ってきました。これらの入力文字は、原則として、アルファベット文字と数字と、これらの仲間である半角記号でした。このようなわけで、私の「指」の運動神経と連動した、私の脳は、ほぼ無意識的に、かなキーとアルファベットキーの位置へと、何らかの指が動くように指示を出します。この現象を一般に「指が覚えている」と表現します。このようなわけで、私に関しては、いまさらあらためてキー配列を覚える必要はないのですが、ある理由で、「かな入力」を信奉するものの、かなりの初心者とめぐり合うこととなり、その人に、「実際にキーを何度も打って、キーの位置を一つずつ覚えるのです」と、分かりきったようなことを言いました。しかし、その人は、なかなかキーを覚えられそうもない様子です。確かに、私は、そのようにして、いつの間にか、キー配列を記憶してきたわけですが、それには30年ほどの時間がかかっています。最初は趣味だったので、時間に追われることもなかったわけです。

 もう一つ問題点があります。その人が、キーの位置を探しだせないでいるとき、横で見ている私は、ついつい私の手を動かして、ここ、と示したくなるのですが、その手を動かせないでいるときは、探しているキーがどこにあるのかを、言葉で明確に指示することができないのです。つまり、「私の手」はキーの位置を覚えているのですが、意識体としての私は、その位置をほとんど覚えていないのです。

 このようなことにより、私は、「私の手」に負けないように、きちんとキー配置を覚えてしまおうと決心しました。私は、キー配列を直接記憶法で、何度も繰り返すことにより、ひとつずつ覚えるのではなく、記憶術などもつかって、幾つかのグループごとに分けて覚えることにしました。そして、この取り組みは、わずか一日にして実行することができました。実際にキーを打つ時には、一つずつ追うことになりますし、私の手は、すでに、勝手に動く状態なので、どのように有効なのかは検証できませんが、おそらく、キーをしばらく探している、まったくの初心者には役立つ方法だと思われます。

まず「かなキー」の配列を覚える手順を説明します。それから、「アルフアベットキー」の配列を覚える手順を2種類提案します。一つは、大まかな配置の覚え方で、もう一つは、もっと細かな位置の覚え方です。

 かなキーの位置を覚える

 @かなキーの配列を紙に書き写します。

書くことによって、少しは記憶のきっかけとなりますから、手書きでかまいません。ワープロソフトを使える人は、その方法でもよいでしょう。ただし、このとき、キー配列の「位置のずれ」を、きちんと反映してください。つまり、図1のように、「ぬ」の行に対して、「た」の行を、半分ほどずらします。さらに下の行についても、そのようにします。「を」の位置は、「わ」の上で近くにあれば、微妙な位置は問いません。


1 かなキー配列の原紙


 A色鉛筆でグループ分けをします。

 「あいうえお」「かきくけこ」「さしすせそ」「たちつてと」「なにぬねの」「はひふへほ」「まみむめも」「やゆよ」「らりるれろ」「わをん」の区別で、適度に色を変えて、これらのグループの領地を囲います。余力があれば、その領地を共通の色で塗りつぶします。


2 「あいうえお」〜「わをん」の領地を色づける


 B領地図を観察し、それぞれのグループの特徴を考えます。うまくいきそうなら、その特徴を表すキャッチフレーズを作ります。

 「あいうえお」は、近くにまとまっています。特に覚える必要はないかもれませんが、私は、この状況を「愛飢え男は、上におり」と詠みました。

「かきくけこ」では、「かきく」までつながっていますが、「け」が遠くに離れています。しかし、「こ」になると、再び「かきく」の近くへと戻ってきています。「け」だけが遠くにいるのは、「けんかわかれ」したからかもしれません。そこで、「柿食えば、けんか別れの子もどる」と詠みました。

「さしすせそ」では、やはり、「せ」だけが遠くへと飛んでいて、「そ」は、再び「さしす」の近くに戻ってきています。「かきくけこ」のグループとよく似ています。違いは、と言うと、「かきく」が、左上から下と右へと、水が流れるように、自然な動きとなっているのに対して、「さしす」は、下から上へと登っています。重力による視点からは、「さかさま」の向きです。「せ」は、「せかいのはて」に行ったのだと思っておきましょう。記憶歌は「さかさまに、世界のはてゆき、そっと戻る」です。

「たちつてと」は、左端にまとまっています。「たちつ」の3文字と「てと」の2文字で、二列になっています。長いダイコンと短いダイコンのようにも見えます。「立ちつ鉄塔、たちつてと」

「なにぬねの」でも、「ぬ」が仲間はずれです。単に離れているたけでなく、かなキーの左上に位置しています。つまり、そこにいて、左の世界からの魔物を防いでいる「ぬし」となっているのです。残っている「なに」と「ねの」は、自然に近くにいるのではなく、「なに」と「のね」と読みたくなります。「なに」の向きと、「ねの」の向きは、逆になっているのです。「何?」と聞いても、「のー(NO)ね」と、拒否しているのでしょうか。「何ぬくのーね、なにぬねの」

「はひふへほ」は、もっと悲惨なことになっていて、「はひ」と「ふ」と「へほ」が、遠く離れ離れになっています。この状況を私は「はなればなれの、はひふへほ」と憐れんでいます。「ふ」は「父」の字をあてはめると、単身赴任であると理解できます。「は」を「母」とし、「ひ」を「ひよこ」とすれば、「へ」と「ほ」は何でしようか。組み合わせるなら、「へ」と「ほうひ」ですかね。これは、遠くへ行ってもらったほうがよいかもしれません。

「まみむめも」は、さらに状況がひどくなっています。「まみ」「む」「め」「も」と4分割です。この状況を見て、私は、「まみむし、目を見て、戻る」と歌いました。「む」が離れているのは、「虫」となって飛んで行ったからです。「め」を見て、こっちだと分かり、「まみ」の近くへ「も」どったということです。

「やゆよ」は、意図的にまとめられているような気がします。これらの用法が独特なものだからです。私は「屋根にある湯よ、やゆよ」とイメージしました。屋根の上にある、太陽光を利用した温水器のことです。

「らりるれろ」は、うまくまとまっています。この領地の形が「人」の文字に似ているので、「人のかたちの、らりるれろ」と詠みました。

「わをん」の「を」は「Shiftキー」+「わ」で表示できます。そこで「Shiftをつかう、わをん」と詠みました。「ん」は、かなキー配列の中心あたりにあります。「まんなかにあるんじゃ」と覚えます。

ここに、ながながと書いた、キー配列のグループごとの特徴については、私の発想では、いまいちだと思える場合、いいのが思いついたら、それを使ってください。記憶や連想のベースというものは、一人ずつ違うので、私の記憶法は、私にとって、しっくりゆくものです。参考にしてもらうのは、ここで述べたような、何らかの意味づけをするということです。論理的な物語が思い浮かべば、それが強く印象に残ります。しかし、何でも論理的に説明できるとは限りません。そのときは、SF物語のように、嘘をつきます。あるいは、童話でも、ジョークでも、漫才のネタでもかまいません。自分や他の人が聞いて、なんとか笑えるとか、なんとか理解できるというものができたら、かなりの成功です。そこまでゆかなくても、何らかの物語ができたら、それでも合格です。印象が弱くても、何度か繰り返せば、覚えられるものです。

記憶を助けるためのキャッチフレーズを、ここにまとめておきます。

 

グループ

キャッチフレーズ

あいうえお

愛飢え男は、上におり

かきくけこ

柿食えば、けんか別れの子もどる

さしすせそ

さかさまに、世界のはてゆき、そっと戻る

たちつてと

立ちつ鉄塔、たちつてと

なにぬねの

何ぬくのーね、なにぬねの

はひふへほ

はなればなれの、はひふへほ

まみむめも

まみむし、目を見て、戻る

やゆよ

屋根にある湯よ、やゆよ

らりぬれろ

人のかたちの、らりるれろ

わをん

Shiftをつかう、わをん

まんなかにあるんじゃ

 

単独で、もとのグループから離れている文字の「むりやりの理由」をまとめます。

 

グループ

離れ文字

むりやりの理由

かきくけこ

けんか別れ

さしすせそ

世界の果てへと飛ばされた

なにぬねの

ぬしとなって守っている

はひふへほ

ふ→父→単身赴任

わをん

ちゅうしんへと戻った

 

Cかなキーの配置を覚えます。

もっと細かな位置について覚えるとき、直接覚えられないなら、何らかの「むりやり理由」を考えます。

「ん」は、「か」と「な」の間にあるので、この3つで「かんな」となります。

「す」→「か」→「ん」↓「く」ともたどることができます。

「く」→「ま」→「の」

「め」は、「人のかたちの、らりるれろ」の、脚の間にあります。そこに目があるというのは、「天の橋立を見るときのポーズ」でしょうか。このようにして、「め」→「?」→「人のかたちの、らりるれろ」の間をつなぐ「?」の「むりやり理由」のイメージを考えます。

完ぺきに記憶しなくても、キーボードを見ればよいのです。ただ、どのあたりにあったのかということや、どのようにまとまっているのか、あるいは、離れているのかということが浮かんでくると、キーボードを見て探すときに、迷っている時間が短くなります。

しかし、ここでは、試しに、完ぺきに記憶することを目指してみましょう。次の図形の、白くなっている、かなキーの位置を埋められるかどうか試してください。


3 かなキーの座席を埋める


他にも記憶する方法は、いくつもあります。もっと完全に行うなら、横たわって目つむり、頭の中で図2のイメージを思いうかべます。はっきりしないところがあったら、目をあけて確認します。覚え方の「むりやり理由」を繰り返します。うまく連想できなかったら、もっと良いものを考えます。自分流の「むりやり理由」が見つかったら、それだけを反復します。

予告

ページ数が増えてきたので、「アルフアベットキー」の配列を覚える手順については、「かな入力初心者のためのアルファベットキー配列記憶法」として、あらためて構成することにします。

(2010.05.01 Written by Kinohito KULOTSUKI [@] KULOTSUKI ANALYSIS INSTITUTION)