覚えやすくするため、思考言語コアを使って学習ノートをまとめよう

黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI, Tree Man on Black Moon)

RaN52 覚えやすくするため、思考言語コアを使って学習ノートをまとめよう

 精妙な役者たち

 私たちが使っている自然言語は、口からの音声による言葉から始まっています。このため、言葉が線のように、細く、長く続いています。ところで、話すための何かを考えているとき、頭の中で、言葉のピースが飛び交っているというより、イメージとして、夢か映画のようなものが、浮かび上がっているということがあります。小説家が作品を作り上げるときも、架空の登場人物が、作者の頭の中で、独立して生きているものであるかのように活動することがあるそうです。このようなとき、言葉のもとにあったものは、線のようにきちんと並んでいるものではなく、平面や立体の舞台の中での、幽霊か妖精のように、細部をぼんやりとさせつつ、現れたり消えたりして、まったく、つかみどころのないものかもしれません。おそらく、一流の小説家は、それらを観察して、線形に流れ出す言葉へと置き換える技術にたけているのでしょう。あるいは、それらの「精妙な役者たち」に、こうして、ああしてと、色々な指示を出すことができるのかもしれません。

 そのような、細かなドラマのようなものとは変わって、物語のあらすじやヒントとなるものを整理しようとすることがあります。たとえば、犯罪捜査のドラマで登場する人間関係や証拠物の関係を示すため、写真などを貼り付けてゆくようなものです。これまでの物語から、これからの展開に必要となるものを整理して、色々なことを考えてゆきます。これらは、すでに、伝えたいものが、外に現れているケースということになります。

 

 男女の三角関係

頭の中に、平面的なイメージがあって、それを他人へと伝えたいとします。そのとき、私たちが実際に使っている自然言語を使うと、せっかくあった平面的なイメージを、細く連続した、言葉の信号に変えなくてはなりません。聞きてのほうは、その線形の信号を聞いて、もとにあった平面のイメージを再現しなければならないわけです。

 「男女の三角関係」というものがあります。AさんとBさんとCさんの関係です。このとき、平面に三角形をイメージして、それらの3つの頂点にAさんとBさんとCさんの名前か写真か似顔絵を配置し、それぞれの辺のところに、二人ずつの関係を、「愛している」「争っている」「無視している」などと記してゆけば、それらの全体像として、このときの三角関係の様子を知ることができます。

 数学の記号において、「写像や関数」というものがあります。それらをつかって、三角関係のような対応図が描かれることがあります。また、梯子のような対応図のようなものもあります。

 

 フローチャート

 コンピュータの世界では、「フローチャート」というものがあります。初期のころは、これを描いて、難しい操作の流れをイメージ化したのでした。おそらく、最近のプログラマーは、実際のプログラムを組みたてながら、頭の中で、もっと複雑なチャートを組みたてているようです。プログラム言語やプログラマーの能力そのものが発達して、あまり必要だとされなくなっているようです。しかし、他の人に、伝えるためには、フローチャートを描く必要があるかもしれません。

 

 思考言語コア

 このように、特殊な分野においては、平面的な配置を利用した言語というものも生まれています。しかし、私が「思考言語コア」を生み出そうとしていた20年ほど前には、一般的な思考の内容を、イメージとして表わすための道具は、ほとんど何もなかったようです。

 「思考言語コア」は、平面的なイメージとしてあった思考の、その「芯 (CORE)」となるものの様子を、できるだけ、そのままの関係で伝えようとするために開発したものです。細かなところについては、これまでの自然言語で説明します。

 「思考言語コア」には、げんかくな意味での文法というものはありません。このようにすると分かりやすくなりますという意味の、幾つかの記号と、それらの使い方が提案されているだけです。このようなものを利用して、もとにあった「思考のイメージ」に、できるだけ近い、「思考の地図」を組み上げようとすればよいのです。

 黒月樹人のホームページのランキングにおいて、思考言語コアに関するページの中で、最も永く、上位の位置を保ってきたものが、HOW TO USE CORE IN ENGLISH です。これは、思考言語コアのアイディアを、A45ページほどにまとめたものです。これの日本語バージョンはありません。日本語による解説文は、「思考言語のアイディア」のリストページに、たくさんあります。これらを、一つずつ英訳するのはめんどうなので、直接英語で、要約版を書きあげたのでした。

 「ラー文書」をサンプルとして

 最近私は、「ラー文書」という本を購入しました。最初の印象をRaN34にまとめました。さらに、その内容を学習ノートにまとめることにしました。RaN35RaN36です。「ラー」という存在は、古代エジプトの時代に、私たち地球人と交流があったという、私たちが存在する世界とは異なる世界に住んでいるそうです。地球人は、まだ参加できていないのですが、外の宇宙には、「惑星連合」という組織があるそうで、地球の古代において、何度か交流があったそうです。そのようなことが語られている部分を読んで、思考言語コアを使い、次のようにまとめてみました。

 「ラー文書」は、第1巻が日本語に訳されたばかりです。ここには、126セッションまでが載っています。セッション14の内容の一部を、普通の自然言語でまとめてみます。次のようになります。

session 14

惑星連合が 地球上の存在と交流したことについての質問

Raによれば

1 惑星連合は地球上の存在を75000年前に援助した。

2 惑星連合は地球上のムーと呼ばれていた存在を58000年前に援助した。

3 惑星連合は13000年前地球上のアトランティスと呼ばれていた存在を援助した。

4 惑星連合のRa11000年前地球のエジプトに着陸し、そこに住む存在たちを援助した。

 また、同じ時、南アメリカにいた存在たちも援助した。

5 惑星連合は3500年前地球上の南アメリカの存在を援助した。

6 惑星連合は3000年前、南アメリカに着陸し、そこの住民を援助した。


 これと同じ情報量となるように、思考言語コアを使って表現しました。次のようになります。

{session 14}

Q「惑星連合--交信> 存在@地球」

Ra---say>

1 惑星連合---援助> 存在@地球, 75000年前

2 惑星連合—--援助> ムー(存在@地球), 58000年前

3 惑星連合—--援助> アトランティス(存在@地球), 13000年前

4 Ra(惑星連合)—--着 陸・援助> エジプト(存在@地球), 11000年前

南アメリカ(存在@地球), 11000年前

5 惑星連合—--援助> 南アメリカ(存在@地球), 3500年前

6 惑星連合—--着陸・援助> 南アメリカ(存在@地球), 3000年前


 □には、とくに意味はありません。品物などの物体をシンボル化するときの記号として使うと考えていましたが、それを守る必要はありません。

◇は、抽象的なことをシンボル化する記号です。Q「… 」で、質問を表わしています。

A--- 交信> B」のように、思考言語コアでは、ABの対象の間に、それらの関係を表わします。

日本語では、ABを述べてから、それらの関係について説明しています。これらの関係だけを伝えるだけなら、この方法でもよいのですが、もっと多くの対象との関係を見るためには、ABの間に、これらの関係を記すほうが、応用が利くのです。

思考言語コアの方針では、対象語のグループを「塊状」として見て、関係語を「線状」と見ることで、これらの違いを「形状」として区別するようにしています。「A--- 交信> B」では、--- 交信> の部分が関係語となります。「交信する」という表現の中心となる「交信」のところを残し、主語であるAのほうに --- をつけ、目的語や補語となるBのほうに > をつけて、矢印状にします。これらの --- を「尻尾」、> を「くちばし」と呼んでいます。尻尾は点線でも、実線でもかまいません。このように表現することにしておくと、ABがどれだけ離れていても、それらの関係を線状の関係語でつなぐことができます。こうして、一般的な言語表現だったものから、配線図のようなものを構成することができるようになります。

このようなスタイルの応用として、A <交信--- B」や「A ---<交信>--- B」というものも使うことができるようになります。「A <交信--- B」ではBが主語となります。「A ---<交信>--- B」は、「A--- 交信> B」と「A <交信--- B」をまとめて表わしたものです。ここでは一行におさまるように表記していますが、地図や配線図や設計図のように、平面的な紙面の上で縦横自由に表現することができるわけです。

@は場所を示すシンボルです。Q「惑星連合--交信> 存在@地球」は、「地球上の存在に、惑星連合が交信した」ことについての質問、という意味になります。

 Ra---say> と書いて、その次のようなことを、「ラーが述べた」ことを意味します。過去形とか現在形の区別などは、とくに区別する必要がある場合を除き、あまり気にしないで、どんどん、原型の表現で書いてゆきます。4の後にRa(惑星連合)という表現があります。日本語では「惑星連合のRa」となります。どちらの表現でもよいのですが、「説明のための表現」と「中心的な表現」を意識するときは、このように、「説明のための表現」のほうを、「中心的な表現」の後の( )の中に書きます。これは、数学の関数f(x)の表現にならったものです。最近学んでいるイタリア語では、「白(bianco)ワイン(vino)」をvino bianco と書くようです。これを思考言語コアに移すと、vino(bianco) となります。単独で表現しているときは、どちらでもよいのですが、色について区別するときや、ワインではなく、ウィスキーを論じるというときは、何について比較しているのかを見やすくするため、「説明のための表現」と「中心的な表現」を、書き方の違いで区別するほうが、何について考えているのかが、分かりやすくなるからです。

 あと、特別な記号としてがあります。これは、時間を表わすシンボル記号です。場所のシンボル記号は@でした。ここでは使っていませんが、人のシンボル記号としては、▽や△や▼や▲があります。これらを性別や皮膚の色の違いと見て使ってもかまいませんし、単に、身内や他人として使ってもかまいません。区別する必要があれば、定義します。このあたりの記号の使い方は、数学での変数記号の使い方と似ています。ゆるい意味づけしかしていないので、自分なりの決め方で使うことができます。

 なぜ、このように、ゆるい意味づけしかしないのかというと、思考言語コアを、厳密な意味でのコミュニケーシヨン言語とは考えていないからです。思考の内容を理解するための、補助的な表現システムというところです。まずは、自分自身の思考を整理するために使ってください。

 

 記憶のための工夫

 上記の箱に入れた知識を記憶する必要があるとしましょう。自然言語によるノートと、思考言語コアによるノートとでは、どちらのほうが記憶しやすいでしょうか。通常は、自然言語のノートでは、ここまで詳しく文章で書かないと思います。もっと切りつめて、単語だけを並べてゆくのではないでしょうか。すると、よくまとまっているように見えるかもしれませんが、おそらく、情報がいくらか失われてしまいます。単語どうしの関係も、よくわからなくなってしまうかもしれません。

 上の思考言語コアによるノートは、もっと整理することができます。同じ表現となっている「惑星連合」を「U」と定義し、「存在@地球」を「E」と定義します。また、年号などの、同じ種類の表現については、適度に空白を入れることによって、位置をそろえます。ここで使っている < > は、数学などで使っている等号(=)の文章バージョンです。: という記号がつかわれることもあるようです。それでもかまいません。思考言語コアでは、U「惑星連合」という形式で定義することもあります。以前はアスタリスク記号*をつけて*Uなどとしていましたが、アスタリスク記号をつけると、ワードソフトが、よけいな判断を加えて、書式を勝手に変更してしまうことがあるので、つけないようになってきました。

{session 14},

U < > 惑星連合

E < > 存在@地球

QU--交信> E

Ra---say>

1 U ---援助>  E, 75000年前 ;

2 U —--援助> ムー(E), ☆58000年前 ;

3 U —--援助> アトランティス(E), 13000年前 ;

4 Ra(U)—--着 陸・援助> エジプト(E), 11000年前 ;

南アメリカ(E), 11000年前 ;

5 (U) —--援助> 南アメリカ(E), 3500年前 ;

6 (U) —--着陸・援助> 南アメリカ(E), 3000年前 ;

 しかし、あえて空白を加えて、表のように配置しなくて、下に記したような形式でも、同じ記号のところを見てゆくことにより、同系列の情報を探しやすくなっています。ここに、思考言語コアのくふうが潜んでいるわけです。つまり、思考言語コアでは、文の中の表現における区別を、スタイルの違いで、ある程度表わそうとしているのです。また、上の形式では、全体のイメージが「四角い表」のようになってしまい、覚えるものが「表」だらけになると、これらの違いが記憶しにくくなります。これに対して、下の形式のようにすると、全体のイメージがユニークなものとなり、形の違いの、どこに、何が記されてあったかということを覚えやすくなります。

 

 まとめ

 思考言語コアでは、どこまでやれば完成なのかという基準がありません。頭の中にあるはずの、思考のもとになったイメージについての、骨組みのようなものを、言葉や記号で組み立てられるように工夫したものです。

 線形の自然言語で詳しく書きこむのでは、時間もかかりますし、言葉や単語の「模様」がずうっと並んでしまうため、何が要点となっているか、マーカーで色をつけたり、下線を引いたりして、特徴づけなければなりません。

 そのような表現から、要点をひろいあげて、頭の中でイメージとして配置しなおし、関係図のようなものを組み立てて、これでよいとなったとき、それを記憶として固定しようとしているのではありませんか。

 思考言語コアでは、記憶として固定するためのイメージを、紙の上で、そのまま作ってしまおうと考えます。そして、組み立てられたイメージを、そのまま覚えてしまえばよいわけです。イメージを覚えるための工夫として、言葉の代わりに、イラスト画やシンボル記号で置き換えることができれば、そのようにします。

 自然言語で書かれた表現の中から、その文章を書いた人の頭の中にあったと思われる「思考の核」のようなものを見つけ、それを思考言語コアによる「思考の設計図」のようなものへと表わすこと、これが、「理解した」ということと同じ意味をもつということになります。

 「思考言語コア」についての、さらに詳しい情報は、次のページにあります。

 

 参照資料

思考言語のアイディア IDEA OF THINKING LANGUAGE

http://www.treeman9621.com/Think_language_CORE_center.html

思考言語のアイディア(エピソードから効果まで)
(1)思考言語を考えようと した、初期のころのエピソード
(2)思考言語の表現法 (かんたんなルール)
(3)思考言語コアの設計思想
(4)思考言語コアの法律「高圧ガス保安法」への適用

私は「高圧ガス保安法」の学習ノートを思考言語コアでつくり、むつかしい法令の知識を整理して、これらを覚えて、危険物取扱者の試験を受けました。もちろん合格しています。私は理科系および体育会系の人間なので、仕事の関係で、法令の勉強をしなければならなくなって、一瞬、いやだなぁと思いましたが、思考言語コアを利用することを思いつき、これに挑戦することによって、前向きに楽しく学習することができました。

(5)思考言語コアの哲学書「善の研究」への適用
(6)思考言語コアの数学論文への適用(2008.07.09改正版)
(7)思考言語コアの小説「新しい宇宙創造説」への適用
(8)「思考言語コアの効果」

応用やドリル

スタニスワフ・レム作「捜査」分析ノート(コア解析)
スタニスワフ・レム作「捜査」分析ノート2(解説)
スタニスワフ・レム作「ムルダス王物語」の分析(コア解析と解説)
スタニスワフ・レム作「治水帝の御意見番」によるドリル