「もし2種類のスカラー電磁波が…」
あとがき(4)アハラノフ・ボーム効果におけるベクトルポテンシャルA
(RaN172)Memo(4) on “If 2-Typed Scalar Electromagnetic Waves …”
Vector Potential A on Aharonov-Bohm Effect

黒月樹人(Kinohito KULOTSUKI, treeman9621)

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 アハラノフ・ボーム効果(AB効果)

 スカラー電磁波に関する文献から、このような現象がスカラー電磁波に関係しているのではないかと読みとれた。さっそく、ウェブを使って、これに関する情報を集めた。
 すると、これに関わって「外村 彰」が重要な研究を行ってきたことが分かってきた。ウェブでは、次のサイトを参照することができる。

   [1] 電子波で見る電磁界分布 【 ベクトルポテンシャルを感じる電子波  】外 村 彰
     http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-1.html
     〜
     http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-6.html

 ウェブの検索ワードの関係で、私は、これらの中の3ページ目だけを見つけたが、このページに記されているA が何のことか分からなかった。
 森の図書館へゆき、量子力学についての資料をチェックしていたところ、「外村 彰」と背表紙に表示されてある本が2冊見つかった。

   [2] 岩波講座 物理の世界 量子力学1 「量子力学への招待」 外村 彰 岩波書店2001
   [3] 「目で見る美しい 量子力学」 外村 彰 サイエンス社2010 

 「量子力学への招待」はA5サイズで90ページほどの本であり、テーマを限定して書かれており、読みやすいものである。数式もほとんどなく、具体的なイメージを画像で表わしてあり、語り口もやさしいものであったので、借りたその日のうちに読むことができた。
 「アハラノフ・ボーム効果」について言葉だけで説明するのは難しい。次のページにある「図2、アハラノフ・ボーム効果」を参照してほしい。下に、外村 彰氏による説明文の一部を引用した。

   [4] http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-3.html
 AB効果は,電子線が電界・磁界がない領域を通ったのにもかかわらず,観察可能な効果をもたらすことを示す.すなわちEB もない所を通る電子線がA の影響を受けるだけで観測可能な効果を生じ得るというのである.

 ここに記されてあるEB については予想がついた。電磁気学でE は「電場」であり、B は「磁束密度」である。しかし、このページに何の説明もなく現れたA については見当がつかなかった。
 「量子力学への招待」を読んで、私はすでに、このような、斜体太文字のA という記号を使ってきたということが分かった。「キメラミーム2」というブランチページにおさめた「マクスウェル方程式とローレンツゲージによるスカラー電磁波方程式」[6]のところ。マクスウェルの電磁方程式は、任意のスカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAによって表わすことができる。このときの「ベクトルポテンシャルA 」だったのだ。
 「アハラノフ・ボーム効果」とは、電子源から出た電子線が、遮蔽板によって隠された、直線状の細いコイルの、電磁波のない、左右の空間を通ったにもかかわらず、何らかの作用を受けて、電子線の位相を異ならせて、干渉縞をつくるということを意味している。
 このような現象が生じるはずだという予測となる計算を、シュレーディンガー方程式を使って、アハラノフとボームが行ったそうだ。このとき、遮蔽板を使うとはいえ、下に隠したコイルが、有限の長さのものであれば、その両端に現れるN極とS極の影響を無視することができない。これがネックとなっていた。外村 彰氏は、この難点を、ループとなった磁石を製作して検証実験をすればよいと考えた。ただし、このような、電子線における干渉縞という現象を生み出すためには、このループ磁石の太さが1μmくらいでなければならない。外村 彰氏が務めていた「日立」の研究所には、このような「微細加工技術」を専門とする研究者がいたそうだ。ただし、企業内で勝手に、このような「お金にもならないことのために」実験をすることはできない。「量子力学への招待」に、ここをクリアーしたエピソードが語られている。
 外村 彰氏は、このような問題についての専門家であった「ヤン先生」に「AB効果の検証実験が本当に重要なのかどうか」を問う手紙を書いたらしい。その手紙から1ヶ月が過ぎたころ、突然ヤン先生から電話がかかってきて、「東大に来ているので(外村 彰氏が働いている)研究所を訪ねたい」という。これが実現し、会社のトップの人たちも、「ノーベル賞物理学者のヤン先生がわざわざ来られるのだから、きっと重要なことにちがいあるまい」と思ってくれるようになったのだそうだ。
 外村 彰氏は「四角い、小さなドーナツ状の磁石」を作って、これを利用した検証実験を行った。この結果が発表されたあと、「これでは検証したことにならない」という反論の論文が現れたそうだ。このあと、それでは「誰にも文句のつけられない実験」をやろうと考えたらしい。
 このあとのエピソードにも「ヤン先生」が現れる。ヤン先生は「ドーナツ状の磁石を超伝導体で取り囲む」というアイディアを提案したそうだ。再び微細加工技術をつかって、新たな検証のための道具が生み出された。かくして、「誰にも文句のつけられない実験」が行われ、「アハラノフ・ボーム効果」が理論だけでなく、ほんとうに実在するものであるということが確かめられた。
 この「誰にも文句のつけられない実験」の詳細は、次のページで語られている。

   [5] http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-4.html

 2001年に刊行された「量子力学への招待」での物語は、このあたりで終わっている。2011年刊行の「目で見る美しい 量子力学」には、このあとの展開も記されているようだ。

 ベクトルポテンシャルA とは?

 「量子力学への招待」には、「アハラノフ・ボーム効果」の説明のあとに、「ベクトルポテンシャルの物理的意味」というタイトルの一節がある。
 1831年に電磁誘導を発見したファラデーは、電気現象と磁気現象とが独立したものではないということを明らかにし、「電場・磁場の背後に、もっと基本的な物理量があるにちがいないと考えた」そうだ。
マクスウェルは、この「基本的な物理量」が「ベクトルポテンシャルA 」であると見なし、1856年に、ベクトルポテンシャルの理論を作った。

   B =rot A
   E =−∂A/∂t
   ここでE は「電場」であり、B は「磁束密度」である。

 これらの数式表現を言葉で読みかえると、「Aの空間分布に渦があると磁場B が生じ、Aが時間的に変化すると電場E が生じる」となる。
 ニュートン力学では、運動量(p=mv, mは質量, vは速度)の時間変化(dp/dt=mdv/dt=ma, aは加速度)は、ニュートンの運動方程式(F=ma, Fは力)により、力となる。
 マクスウェルは、このことを踏まえて、「ベクトルポテンシャルA 」を「電磁気的運動量」と呼んだそうだ。
 ファラデーもマクスウェルも、「ベクトルポテンシャルA 」を「実在する物理量」と信じていたことになる。ところが、これらのマクスウェル方程式も、すぐには世の中に受け入れられなかった。ほぼ30年後の1888年に、マクスウェルが予言した電磁波を、ヘルツが実証して、ようやく、マクスウェル方程式の信頼性が高まった。ところが、このとき、ヘルツは、「物理的意味を持つのは電場と磁場だけである」として、ベクトルポテンシャルを葬り去ったのだそうだ。
 「ベクトルポテンシャルA 」がよみがえることになったのは、1954年のヤン・ミルズ理論によるのだそうだ。「ゲージ変換」「ゲージ不変性」などの言葉にむすびつく「ゲージ場」というものが、どうやら、この「ベクトルポテンシャルA 」に関係しているらしい。
 そして、外村 彰氏が検証実験を行った、上記の「アハラノフ・ボーム効果(AB効果)」は、「ゲージ場が実在していて、それだけで物理的効果をもたらすことを示す唯一の現象」だということらしい。

 黒月樹人の考察

 私は、マクスウェル理論における方程式を、電場や磁場というベクトル量ではなく、スカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAで置き換えて表現できることを学んだ[6]。さらに、このとき、スカラーポテンシャルΦとベクトルポテンシャルAについて、ローレンツゲージという条件を導入することにより、「スカラーポテンシャルΦの波動方程式」と、「ベクトルポテンシャルAの波動方程式」が導かれることも知った[6]。
 「アハラノフ・ボーム効果」においては、ベクトルポテンシャルAが「実在する物理量」として、現在では、「ゲージ場」と呼ばれているらしい。「ベクトルポテンシャルAの波動方程式」が、ここで、どのような意味をもつのかは、まだよく分からないが、ベクトルポテンシャルAが「ただの数学的な補助量」ではないことが分かってきた。それなら、同時に導かれる「スカラーポテンシャルΦの波動方程式」に関連する、「スカラーポテンシャルΦ」も、「ただの数学的な補助量」ではないかもしれない。ただし、この「スカラーポテンシャルΦ」が、どのような現象にむすびついているのかということは、まだ、よく分かっていない。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Feb 12, 2012)

 参照資料

[1] 電子波で見る電磁界分布 【 ベクトルポテンシャルを感じる電子波  】外 村 彰
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-1.html
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-2.html
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-3.html
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-4.html
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-5.html
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-6.html
[2] 岩波講座 物理の世界 量子力学1 「量子力学への招待」 外村 彰 岩波書店2001
[3] 「目で見る美しい 量子力学」 外村 彰 サイエンス社2010 
[4] 電子波で見る電磁界分布 【 ベクトルポテンシャルを感じる電子波  】外 村 彰
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-3.html
[5] 電子波で見る電磁界分布 【 ベクトルポテンシャルを感じる電子波  】外 村 彰
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/200012/20001201-4.html
[6] マックスウェル方程式とローレンツゲージによるスカラー電磁波方程式
http://www.treeman9621.com/ChimeraMeam2/CMT04/LorentzGauge.html

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