RaN250 地球人はどこにいるのか
(4)ルドルフ・シュタイナー「神秘学概論」
Where is the earthian?
(4)Rudolf Steiner, Die Geheimwissenschaft in Umriss

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 「地球人はどこにいるのか」シリーズのリストは、すでに数多くメモしてあり、次のテーマを決めようと、森の図書館から借りてきた本を並べ、引っ越したまま、とりあえず本棚に立てかけておいた蔵書の中から、関連のある本を探してきて、コンピュータの近くのところへ並べ直しているところでした。
 ルドルフ・シュタイナーの著書については、そもそも、日本語に訳されて出版されているものがたくさんあるので、それらのすべてに目を通しているほどの時間は、とてもありませんでした。
 カルロス・カスタネダのドン・ファン・シリーズの呪術の物語を読んでいたころ、スタニスワフ・レムの小説を本屋で探し回って買い集めて読んでもいましたが、このころ手に入れて、ゆっくりと、最初から最後まで読み切った、ルドルフ・シュタイナーの本は、「アカシャ年代記より」[1] と「神秘学概論」[2] [3] の2冊でした。
   「アカシャ年代記より」は昭和59年の初版第二刷のもので、「神秘学概論」は1982年(昭和57年)の初版第一刷となっています。先に読んだのは「神秘学概論」のほうのようです。
 読み込みと書き込みを繰り返して、きっと、汚してしまったのでしょう。「神秘学概論」のほうは、自分で布を張りつけて、中表紙も赤い色画用紙で貼りなおしてあります。
 ハードカバーの初版本なのに、何のためらいもなく、ボールペンで横線がたくさん引いてあります。読み終えたら古書として売ってしまおうというような考えは、微塵もありませんでした。

 ロゼッタストーン

 「神秘学概論」は、@「神秘学の性質」、A「人間の本質」、B「眠りと死」、C「宇宙進化と人間」、D「高次世界の認識(参入について)」、E「宇宙進化と人類進化の現在と未来」、F「精神科学領域内の個別的事項に関する付言」の7つの章から構成されています。
 今回取り上げようと思ったのは、D「高次世界の認識(参入について)」に書かれていることについてです。まさに、その章の第一行の、最初の文を次に記します。

 現在の進化段階にある人間は、誕生と死の間の、通常の生において、魂の三つの状態、すなわち覚醒と睡眠と、それらの中間にある夢の状態とを経験する

 このような導入文のあとに、「夢以外のもう一つ別の状態」というフレーズがあります。さらに、これについて説明しているところを探してゆくと、「だが、魂は実は眠っておらず、覚醒時と同様、ある種の現実と向かい合っている」とあります。
 これは、カルロス・カスタネダが明らかにした、ドン・ファンらの呪術師が伝えている「夢見」と対応します。
 シュタイナーは、このような「夢以外のもう一つ別の状態」のことを「その種の高次の意識状態」とも表現していますが、このような意識状態に「覚醒する」ことは「参入(イニシエーション)と呼ばれる」と書いています。
 この「イニシエーション」という言葉は、あるとき、ある団体でさかんに使われていたため、そのことにまつわるイメージによって、汚染されてしまいました。
 ドン・ファンらの呪術の体系の言葉で置き換えるとしたら、そのことは「第二の注意力に入る」ということです。

 このD「高次世界の認識(参入について)」は、シュタイナー独特の、ほんとうはやさしいことを、逆にむつかしく表現しているかのような、聞き手や読み手のことをまったく考慮していないかのような文体で説明されてゆきます。
 赤いボールペンと青いボールペンの横線が引いてあり、それらのところどころに、図形の▽マークが記してあります。これは受験勉強をしていたころのクセで、試験に出そうなヤマを見つけて記していたものです。それらの▽マークをつけてある文の中に、次のようなものがあります。

 やがて、意識の連続性と呼びうる現象が、いくつかの形をとって、霊修行者の内に現われてくる(睡眠中における、意識の持続)。

 これは、ドン・ファンが語る、次のところと対応しているようです。

 ドン・ファン「眠りに落ちることを自覚するか、あるいはおまえのように恐ろしく現実的な夢を見ることによって、夢見の第一の門に到達する。門に到達したら、今度は夢のなかのあらゆるものをそのまま保つことよって、それを越えなければならない」([4] p46)

 どうやらシュタイナーは、ここのところで、カルロス・カスタネダがまとめた「夢見の技法」に対応したことを語っているようです。
 これ以外にも、対応づけられる箇所がありますが、それらを説明しだしたら、このページも泥沼にはまってしまいます。

 まるでエジプトの象形文字を解読するきっかけとなった「ロゼッタストーン」のようです。
 ルドルフ・シュタイナーの「神秘学概論」[2] [3] と、カルロス・カスタネダの「夢見の技法」[4] と、ほんとうはサーシャ&ジャーメイン(&バシャール)が著者である、リサ・ロイヤル・ホルト&キース・プリーストの「コンタクト」[5] は、ほとんど同じ現象について、3種類の表現体系で言い表しているのです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Feb 29, 2016)

 参照資料

[1] 「アカシャ年代記より」ルドルフ・シュタイナー(著)、高橋 巌(訳)、国書刊行会(刊)、1981
 私が持っているのは箱入りのものですが、同じ国書刊行会によって、箱のない単行本が出されています。
[2]「神秘学概論」ルドルフ・シュタイナー(著)、石井 良&樋口純明(訳)、人智学出版社(刊)、1982
 この本は(おそらく)現在絶版ですが、ちくま学芸文庫として出版されています。
[3]「神秘学概論」ルドルフ・シュタイナー(著)、高橋 巌(訳)、筑摩書房(刊)、1998
 実は、この初版本も手元にあります。自分で布張りハードカバーに変えましたが、中はまっさらで、何も線を引いてありません。
 同じところを少し読んでみましたが、より自然な日本語へと翻訳されています。
 こちらのほうが断然おすすめです。[2]と[3]を対応させながら少し読み進めましたが、[2]では段落分けがされていないところでも、[3]では、意味のまとまりをくんで行われています。また、内容をくみ取って適宜な意訳もなされています。数字を添えて章の中をいくつかの節にも分けられています。翻訳者の違いで、こんなにも違うのかと感じ入ってしまいました。[3]で読み進めてゆき、[4]や[5]との対応箇所がさらに見つかりました。
[4] 「夢見の技法」超意識への飛翔、カルロス・カスタネダ(著)、真崎義博(訳)、二見書房(刊)、1994
[5]「コンタクト」リサ・ロイヤル・ホルト&キース・プリースト(著)、鏡見沙椰(訳)、VOICE(刊)、2014

 

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