RaN253 地球人はどこにいるのか
(7)カルロス・カスタネダ「沈黙の力」序文 の思考言語ノート
CORE NOTE of Carlos Castaneda THE POWER OF SILENCE Preface

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 カルロス・カスタネダ「沈黙の力」序文についての思考言語ノートをまとめます。
 「沈黙の力」[app1] の全部について行おうと思っていたのですが、本文となる6つの章は、(小説ではなく)ドキュメンタリーとしての物語となっていますので、要点として拾い上げるべきところが、かなり散在しており、これらをまとめるには、ある種の総合的な把握力が必要となります。
 これに対して「序文」では、このような把握力を発揮して、カルロス・カスタネダが要点をまとめてくれていますので、そこから思考言語へとただちに翻訳することができます。
 もちろん、全文について行うのではなく、ある程度の「ふるい」(まとめること)を行って、要点として取り出すべきものを選んであります。

 赤い文字で記してあるところは、原文からの引用文です。はじめのあたりでは、それらを記してから、思考言語へと変換しています。とちゅうからは、本を読んで、ただちに変換するというスタイルをとっています。

 かんたん思考言語コア

 ここで使おうとしているかんたん思考言語コアについて説明します。
 [ ] は接続、< >は関係、***>は自動詞で、***>>は他動詞、***>>>は使役動詞(〜させる)を表します。
 [ ] は文と文の関係を示すために用います。
 < > は双方向の関係を示すためのものです。A国 <戦争> B国; のように使います。Daigo <結婚> Keiko; とか、容疑者 <証拠> 犯罪; など、いろいろに適用することができます。
 A ***>> C > D; の構文は、母 与える>> 人形 > 娘; の意味です。C と D は目的語です。通常の英語の文法とは C と D の配置が異なります。
 使役動詞は「騎手が馬を走らせる」ということを 騎手 させる>>> 馬 走る>; あるいは、騎手>>> 馬 走る>; のように表現するときに使います。
 ◇ はその左右のものが等しいことを意味する <> の代用記号です。もともとは A <=> B でしたが、A <> B に変わって、A ◇ B となりました。
 ( ) は補助的な表現を添えるための記号とします。
 { } は集合のための記号です。
 @ は場所だけではなく、いろいろな前置詞の代わりに使います。@ は at から変形されたものですが、at にこだわらず in や on などについても、深く考えずに @ としておきます。ここから発展して、with や by のときも、@ として、ここに何らかの前置詞がきて、この後のフレーズは、ある種の状況を示しているということをシンボル化するために @ を置いておくのです。
 ▽ は人の抽象記号です。△を使ってもかまいません。以前は◇を使っていましたが、上記の理由で、使えなくなったので、代わりに▽となりました。
 ● は否定で、○ が肯定です。
 *a などは、指示代名詞のようなものです。長い表現の何かを、正確に示すために使います。
 文末記号として 。を使うこともありますが、このようなノートでは、適度に長いスペースで、その表現が終わったことにすることになります。げんみつな表現としたいときは、; (セミコロン)を文末記号として使います。

 序文

 [1] ふつうの人間には呪術を扱うだけのエネルギーが欠けている。
 [◇] エネルギー(ふつうの人間)  ●扱う>>  呪術。

 [2] 時間の様式とは、知覚されつつあるエネルギー・フィールドの束のこと
 [◇] 時間の様式 ◇ (知覚されつつある)エネルギー・フィールドの束。

 [3] 時間の様式、つまり選ばれた数少ないエネルギー・フィールドを扱うことで、その人間の利用可能なあらゆるエネルギーが費やされてしまい、他のエネルギー・フィールドを使う余裕はまったくなくなってしまう。
 [◇] 人間 費やす>> 利用可能なあらゆるエネルギー > 選ばれた数少ないエネルギー・フィールド(◇ 時間の様式)
    [→] 人間 ●費やす>> エネルギー > 他のエネルギー・フィールド。

 [4] ▽(人間) 蓄える>> エネルギー
    [→] ▽ will&can 扱う>> (▽ ●近づく>)エネルギー・フィールドのいくらか 
 [◇] 呪術 ◇ 能力(▽ 使う>> エネルギー・フィールド <●> (*) ●知覚>> 通常の世界)

 [5]  呪術とは、意識のあり様だ。
  呪術とは、通常の知覚ではつかまえられない何かを知覚する能力なのだ。

 [◇] 呪術 ◇ 意識のあり様
   呪術 ◇ 能力(▽ 知覚>> 何か(<<つかまえる● 通常の知覚(▽)))

 [◇] ▽(呪術)能力  知覚>> 何か 
    ▽(通常)能力 ●知覚>> ◇(何か)

 [6] 世界には目に見える以上のものがある
   もの(目に見える以上の) @世界

 [7] 知への道を歩く戦士は、誰しも自分は呪術を学んでいるというふうに考えがちだが、実際にしていることといえば、自分のなかにその力があり、しかもそれをものにできると自分に納得させることなのだ
 戦士(*7)(歩く> @道(→知)) 考える>> [] 自分 学ぶ>> 呪術
  *7 する>>> 自分 納得する>> 自分(その力)
                 自分 ものにできる>> その力

 [8] いったんその力が手に入れば、使うことはできるが手の届かないところにあるエネルギー・フィールドを自然に利用できるようになる。
 ▽(その力) can 自然に利用>> エネルギー・フィールド(*ef)
 ▽ can 使う>> *ef
 ▽ ●手を届かせる> *ef

 そうすれば、何か別のものが見えてくる。
 [→] ▽ will 見える> 何か別のもの(*other)

 リアルで具体的なものとして知覚できるようになる。
 [◇] ▽ can 知覚 >> *other ◇ リアルで具体的なもの

 そしてことばなしでも、知ることができるようになる。
 [+] ▽ will&can (●ことば)知る>> *other

 この拡大した知覚、沈黙の知でもってわしらが何をなすかは、本人の気質によってそれぞれちがってくる。
 [+] ▽(気質a)@ 拡大した知覚◇沈黙の知 する>> ことa
    ▽(気質b)@ 拡大した知覚◇沈黙の知 する>> ことb
    ことa <●> ことb; (ここのところは、手書きなら、もっとシンプルにできます。)

 [9] この宇宙には測り知れない、言語に絶するひとつの力が存在しており、呪術師たちはそれを意志と呼ぶ
  ひとつの力(*9)(測り知れない, 言語に絶する)@この宇宙
  呪術師 呼ぶ>> *9 ◇ 意志 

 [10] 宇宙全体に存在する万物は例外なくある環によって意志に結びつけられている
  万物@宇宙全体 <環(結びつける)> 意志

 [11] 戦士の関心事は、その環を語り、理解し、利用することである
  戦士の関心ごと ◇ [] 戦士 {語る, 理解する, 利用する}>> その環
  (ここで使っている [] は英語での what の用法です。以下の文を [] でセットとしています。)

 [12] 日々の生活のささいな心配事によって環が鈍らされるのを防ぐこと
  ◇ 意志につながる自分の環をきれいにするための手続き

 [13] 呪術師の教えに関する2つのカテゴリー
  (1) 日常生活での状態にある意識のための教え
  (2) 高められた状態にある意識のための教え

 [14] 呪術師はついに意志についての特別な洞察を得るようになった
  呪術師 得る>> 特別な洞察(意志

 [15] ドン・ファン「おまえ(カスタネダ)の何冊ものノートを使って本にするとよい
 [←] 「まず、自分の体験をもう一度体験しなおすつもりで視覚化し、
     それから夢見の中でその内容を見ることが必要なのだ。」
 [←] 「つまり、書くことは文章の訓練ではなく、呪術の訓練になるわけさ」

 [16] ドン・ファンの教えに関する2つのカテゴリー
  (1) 日常生活での状態にある意識のための教え ◇ 右側のための教え
  (2) 高められた状態にある意識のための教え  ◇ 左側のための教え

 [17] 技術の3つの分野
  (1) 意識の統御
   ◇ 知性の謎 
   ◇ 呪術師が意識および知覚の領域とその驚くべき秘密を理解したときに経験するとまどい

  (2) 忍び寄りの技
   ◇ 心の謎
   ◇ 呪術師が、次の2つのことを知るにいたって感じる困惑
   (*a) われわれにはこの世界が、自分自身のもつ意識と知覚の特性のせいで、
      まったく客観的かつ事実的なものに見えるということ
   (*b) それとはちがった知覚の特性が働くようになれば、この世界が変容をきたすということ

  (3) 意志の統御
   ◇ 精霊の謎 
   ◇ 抽象の逆説
   ◇ われわれ人間の常態を超えたところで企てられる、呪術師の思考とふるまい

 [18] 意識の統御
 ◇ 教えの要石
 ◇ 基本的な前提条件
 (1) 宇宙 ◇ 無限の集積(エネルギー・フィールド, <似る>光の糸)
 (2) 巨大な源◇イーグル(比喩) 放射>> エネルギー・フィールド◇イーグルの放射物
 (3) 人間 ◇ エネルギー・フィールド
      ◇ 光の球(イーグルの放射物) 
      ◇ 巨大な明るい卵@両腕を横に伸ばした人間のからだの大きさ
 (4) ごくわずかな一部分(*c)(エネルギー・フィールド@この明るい球の内部)
   <<照らす ひときわ眩しい一点(*d)@球の表面
 (5) [if] (1) *c 取り囲む>> *d
    (2) *c 照らす>> エネルギー・フィールド@球の外側
   [→] ▽(知覚)
   [◇] *d ◇ 集合点 ◇ 知覚の組み立てられる点
 (6) 集合点@いつもの場所@明るい球の表面
   移動> @他の場所@表面
       @内部
   集合点@新しい位置 >>> 新しいエネルギー・フィールド(*e) 輝く>
             >>> *e ◇ 知覚可能
   [◇] この知覚 ◇ 見ること 
 (7) [if] 集合点 移行>
   [→] ▽ can 知覚>> ひとつのまったく違った世界(*f)
             ◇ 客観的で事実的なもの
      呪術師 入る> @*f
          手に入れる>> 解決法(一般的な問題や個別的な問題)
          向かい合う>> 想像不可能なもの
 (8) 意志 ◇ あまねくいきわたった力 ひきおこす>> 知覚
   [●] ▽(私たち) 知覚する> [→] ▽(意識)
   [○] 意志 圧力をかける> ▽
         侵入する> @▽ 
      [→] ▽(意識)
 (9) 呪術師(*g)の目的
   ◇ *g(目覚めた状態) 体験> @あらゆる知覚の可能性(人間が手に入れられる)
                   @もうひとつの死に方の可能性

 [19] 手続き >>> 集合点 移動>
  (1) 夢見 ◇ 夢をコントロールし利用すること
  (2) 忍び寄り ◇ ふるまいをコントロールすること

 [20] 抽象の核
  ドン・ファン 提示>> 3セット(6つの抽象の核) ◇ *h1, *h2, *h3
  *h ◇ 精霊の顕示
      精霊のノック
      精霊のトリック
      精霊の来訪
      意志の要求
      意志の操作

 あとがき

 日本語や英語などの、自然な、線形につながってゆく表現スタイルのほうが分かりやすいかもしれませんが、そのようなものから、頭の中でなんとなくイメージされる、図式のようなものに、できるだけ近いものを組み上げるというのが、思考言語の「ねらい」です。

 ここに示した記号の中で、さいしょに覚えて使ってみたくなるのは、おそらく ◇ でしょう。数字や変数などで、a=15 などとして使う等号(=)の、文章バージョンです。ある文章と別の文章の内容が等しいことを、等号(=)で表そうとすると、これがうずもれてしまって、何がなんだか分からなくなってしまいます。

    ある文章 ◇ 別の文章 ;

 このようにすると、識別しやすいことでしょう。

 この記号 ◇ は、ワードで「しかく」と打ち込んで、さいしょに出てくるようにしておきます。
 ▽ は「さんかく」で、●のほうがよく使うので、「まる」で●がでるようにしておきます。
 [ ] や >>> などは、半角英数文字に変換して入力しなければなりません。
 ローマ字入力しているときは、比較的スムーズに打ち込んでいけるかもしれません。

 私は右手だけでの「かな変換」をメインとしていますので、[ ] や >>> などはすこし使いづらいです。

 このような記号体系にこだわる必要はありませんが、ある程度共通のルールがあるほうが、このようなノートを使う世界が広がることになります。

 かんたんに使えて、できるだけ少ない記号とルールを、決められるとよいので、もうすこし、このことに取り組んでゆこうと思います。

 「思考言語のアイディア」で決めたルールは「手書き」での表現を強く意識したものでした。それから20年ほどたち、「手書き」より「キーボード入力」のケースのほうが優勢になってきました。

 @ はもともと at が変化したものでした。そこからこれを「場所」を意味する記号として、at だけでなく、in, onなどにも使うことにしました。それから発展して、with や by のような、何らかの前置詞を使う表現のときに、ここに何らかの前置詞がありますよ、その違いは、そのあとに示した日本語でくみ取ってください、と言って使うことにしました。@車で、@友人と、のように記せば、by 車, with 友人 という表現であることは推測できると思われます。げんみつな表現としたいときは、by 車, with 友人 の表現を使えばよいのです。

 思考言語コアは、あまり細かなところは無視して、おおよその「骨ぐみ」を理解しやすくしようというものです。細かな表現としたいのなら、日本語や英語などの自然言語の表現を使えばよいのです。そのとき、内容をつかむまでの時間は、表現が細かくなるにつれて長くなります。

 あまりに記号化することにこだわると、暗号化が進んで、かえって分からなくなります。記号の意味を思い出せないという弊害も起こってしまいます。ですから、ある程度のところで、自然言語のまま書き記す、という、妥協のバランスが、このような取り組みで、もっとも大切なことのようです。

 思考言語コアのもっともシンプルなスタイルは、次のようなものです。
   対象A <関係> 対象B ;
 これらを、さらに説明するため、[ ] や ( ) や @ などを補ってゆきます。
 簡潔さと複雑さの、どのあたりのレベルでバランスをとってゆくのかということは、もう少し、やってみないと、おちつくあたりが見えてこないかもしれません。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 2, 2016)

 参照資料

[app1] 「沈黙の力」意識の処女地、カルロス・カスタネダ(著)、真崎義博(訳)、二見書房(刊)、1990

 

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