RaN256 地球人はどこにいるのか(10)フレッド・ホイル「暗黒星雲」
Where is the earthian? (10)Fred Hoyle “The Black Cloud”

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 ジョン・D・バロウ「宇宙の定数」[1] を通読しようと思ったものの、庭に作った仮設池で育てている小赤金魚(すでにデブ赤となって産卵のための温度変化を待っている)と黒メダカに餌をやり、コーヒー豆を手動のミルで引いてコーヒーを淹れ、ときには、安いイワシを2枚に開いて、つるしてある網かごに入れて乾燥させ、というような、日常のこまごました片づけ事をときどき行って気分転換しないと、休日とはいえ、まるまる2日分を、専門分野満載の難解な科学評論書を読み続けることに費やすことはできませんでした。
 ただし、その本の中で、たびたび現われる、フレッド・ホイルの名前を見つけたときは、このような気分転換も忘れ、その内容に引き込まれてゆきました。
 ジョン・D・バロウは「宇宙の定数」の中で、フレッド・ホイルについての言及を、連続したページについては1つとまとめると、なんと、7回も組み込んでいるのです。
 その最初の「切り口」は、フレッド・ホイルが書いたSF小説の「暗黒星雲」[2] でした。

 SF小説の「暗黒星雲」

 ジョン・D・バロウは「他の型の生命」についてのエピソードの一つとして、フレッド・ホイルが書いた「暗黒星雲」を取り上げていました。
 このSF小説がホイルによって書かれたころの、科学の世界における背景状況をいくらか説明してから、「小説の筋書き」が、かんたんにまとめられてゆきます。バロウの要約を、さらにまとめると、次のようなストーリーです。
 太陽系の中に星雲が見つかり、それが移動しているのですが、このままのコースをとると、その星雲は、地球と太陽の間へと進むことになります。このような危機的状況において、地球人たちのドラマが展開してゆくわけですが、どのようになったのか、具体的なことはバロウも記していませんし、(昔読んだことのある)私も忘れました。
 このSF小説は、このあとからがメインテーマで、その暗黒星雲と電波で交信できるということが分かったのです。しかし、相手が何らかの意思をもって伝えてきている電波の解析がうまくできません。あるとき、地球の誰かが、これはレコードの回転数が違うと意味が聞き取れないのと同じで(と考えたかどうかは記憶にありませんが)、暗黒星雲が送ってきた電波信号の周波数が異常に高かったため、解析が困難だったということに思い至り、その信号のスピードを遅くすると(周波数を落としたのだと思いますが)、意味のある内容が分かりだしたのです。そして、人間たちと暗黒星雲は、何らかのコミュニケーションをとることができたということです。(この本を読んだのはかなり前のことであり、私の記憶力も標準以下なので、ここの記述には誤解しているところがあると思われますが、ご容赦ください。)
 ジョン・D・バロウは、このSF小説を「他の型の生命」について議論するための「呼び水」として利用しようとしています。
 私も、それは同じように踏まえたいと思いますが、ここで補足したように、電波信号の情報スピードのレベルが大きく異なっているために、うまく交信できないということも、重要なことだと思います。ここのところで科学者らしい考察と工夫が組み込まれているため、このSF小説が、おとぎ話とは違って、本当らしく感じられるようになるのです。
 ところでジョン・D・バロウは、暗黒星雲のような、炭素型生命としての人間ではないものが、ほんとうに生命として存在するかどうかを、真剣に考えようとしていたでしょうか。このあと、コンピュータというシリコン型生命が生まれてゆく可能性について検討しているのですが、「そのような人工的な生命体や知性体は自然発生的には進化しない」と、(いわば)切り捨てています。

 星雲サイズの生命体は存在するか

 炭素型生命なのかシリコン型生命なのかは識別できませんし、それらが生命体なのか、そうでないのかも知ることはできませんが、NASAがハッブル宇宙天文台で撮影した画像の中に、この問題についての「課題」となりそうなものがいくつかあります。
 ここでも私は、できるだけ画像は使わないという(私が決めた)暗黙のルールを破ることにします。ただし、画像は小さめにしておきます。これらの画像をクリックすると、私が調べてまとめたページへと進みます。詳しくは、そちらを参照してください。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 6, 2016)

図1 cpp27 fig03

図2 cpp41 fig02

図3 cpp144 fig04

図4 cpp162 Horse head Nebula

図5  Omega, Swan, M17 Nebula

 参照資料

[1] 「宇宙の定数」、ジョン・D・バロウ(著)、松浦俊輔(訳)、青土社(刊)2005
[2] 「暗黒星雲」、フレッド・ホイル (著)、 鈴木 敬信(訳)、 法政大学出版局(刊)1974

 

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