RaN265 地球人はどこにいるのか(19)精霊の来訪「精霊を見る」
Where is the earthian? (19)Visit of Spirit “Seeing Spirit”(※)

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 カルロス・カスタネダの「沈黙の力」[1] の第四章「精霊の来訪」は、「精霊を見る」「思考のとんぼ返り」「集合点を移動させる」「憐みのない場所」の四つの節から成ります。
 ここでは「精霊を見る」について考えてゆきます。
 (※)精霊の来訪「精霊を見る」をVisit of Spirit “Seeing Spirit” としましたが、原文で確認していないので、ほんとうは違う表現となっているかもしれません。

 第四の抽象の核

 第四の抽象の核
 ◇ 精霊の来訪
 ◇ 精霊がわしらの内省の鎖を断ち切るときに起こる 
 [→] いったん鎖が断ち切られると
    わしらはもはや日常生活の雑事には縛られない。
    相変わらず日常の世界にいても、もはやそこには属していない。


 ドン・ファンの恩人と精霊の来訪

 「若い役者」と呼ばれる男について、のちにAとなる(→◇A)という記号で次に示しておきます。

 若い役者 →◇ ナワール・フリアン →◇ ドン・ファンの恩人

 ナワール・エリアスが(まだ若い役者であった)ナワール・フリアンの死を食い止め、さらに、さっさと立ち去ったタリアとともに、呪術の世界へと導くときの物語が、再度語られてゆきます。表面的には同じ物語ですが、そこでの視点がまったく違うものとなります。
 かんたんに要約してみます。

 ナワール・エリアスはその若い役者の死を、彼の集合点を動かすことでくいとめた。
 若い役者の横で地面に伸びているタリアについては、「疑いもなく神がタリアの犯した罪に対する罰として、彼女を雷で打ちすえ気を失わせた」と述べたが、実はナワール・エリアスがタリアの集合点に強烈な一撃を加えたのだった。
 タリアは、その一撃のため、高められた意識状態を出たり入ったりしていた。このため危険な健康状態となっていた。ナワール・エリアスが手助けした結果、タリアの集合点は安定し、以後永遠に高められた意識状態にいることになる。
 若い役者は、ナワール・エリアスの説明を疑ったが、末期の結核による死へのプロセスを、ナワール・エリアスの治療によって止められているということを信じ、素直に従うことを同意した。
 ナワール・エリアスは、タリアの集合点を、われわれが知る世界の境界を越えたところまで移動させ、そして、タリアは無事に戻ってきた。
 ナワール・エリアスは、若い役者とタリアの両方に、「周囲の状況の力によって、精霊みずからがしかけた罠にはまってしまった」と告げ、「おまえたちはこれから、ある境界に達することになる」と言い残して、彼らのために必要な薬草、マット、毛布などを準備しようと町へ向かった。
 若い役者とタリアは、これらの状況について話し合い、互いの心の中を打ち明けた。そして、「ふたりは声を出さずに話しはじめた。」と記されているあとに、「精霊の来訪」が起こった。

 そこのところは全文引用しておきます。

 精霊が彼らのもとを訪れたのは、その瞬間だった。そのとき、ふたりは見たのである。骨の髄までカトリックだった彼らは、いま目のあたりにしているのは天国だと思った。何もかもが生き生きとして光に満たされた奇跡のような光景を、ふたりは見ていたのである。(p129)

 もう少し引用しておきます。若い役者の発言から始まります。

 「天国を見たんだ」彼は囁いた。大粒の涙がその頬を流れ落ちていった。
 「それ以上のものさ」ナワール・エリアスはいった。「おまえたちは精霊を見たんだよ」
(p129)

 イーグルの放射物

 精霊の来訪についての物語は、ここまでです。
 カルロス・カスタネダとドン・ファンは洞窟へと向かいます。
 このあと、岩棚にたどり着いて、あたりも暗くなったころ、洞窟の中で、カスタネダは覚醒夢(夢見)へ落ちてゆき、奇妙な光景を見ます。そこのところを引用します。

 その不思議な光景を見つめていると、いく条もの細い光の糸が、平原のあらゆるものから放射されはじめた。はじめのうち、それは無数の短い繊維の爆発のように見えたが、やがて長い光条に変わり、さらにそれぞれが束ね合わされて、無限に伸びる光のビームとなった。(中略)それらは跳ね、踊りまわっていた。あらゆる方向に跳ねまわっていたが、それでも不可解なことに、それぞれが束ねあわされているのだった。(pp131-132)

 これについてのドン・ファンの解説も引用します。

 おまえはイーグルの放射物と、それをばらばらにし、また束ね合わせているを見ているのだ。(p132)

 意識とエネルギー・フィールド

 ドン・ファンによる説明の中に興味深い内容があります。

 今から数千年の昔、呪術師たちは見るという手段を通じて、この大地には意識があるということ、そしてその意識が人間の意識にまで影響を与えることを知った。(p134)

 このようなことから、大地の影響が人間の意識におよぼす影響をなんとか利用できないかと考え、ある種の洞窟が大きな効果をもつことを発見したのだそうです。
 このあと、カルロス・カスタネダが夢見の状態で見たエネルギー・フィールドのことが語られています。ここのところ(p135)は、かなりむつかしい表現となっていますので、思考言語コアで、その意味構造をまとめます。これを自然言語で表現すると、本文のようになるか、さらに解説して補うものとなります。

 通常の知覚
 [◇] 意志(◇純粋なエネルギー)
   (1) >>> われわれのまゆの内部にある光の糸の一部 明るくなる> ,
   (2) >>> まゆの外部へと無限に長く延びる同じ光の糸 輝く> ;

 異常な知覚 ◇ 見ること 
 [◇] 意志 >>> それとは違うエネルギー・フィールドの塊 (3)活性化する>, (4)輝く> ;

 [if] 相当数のエネルギー・フィールド 輝く> @明るいまゆの内側で
 [→] 呪術師 見ることができる>> エネルギー・フィールドそのもの ;


 意志とのつながり

 カルロス・カスタネダによる解説が続きます。

 呪術師らが「イーグルの放射物の配列」と呼んでいたものが、不十分な表現であったことが分かりだし、「配列」は問題の外にあり、より本質的なものは、それを活性化させる「独立した力」にあると分かる。その力を、呪術師たちは、それまで「意識」と呼んでいたが、これも不適当である。そこで、この力は will と名づけられることとなる。さらに、「呪術師たちの見る技術がさらに洗練され」、この力は意志と呼ばれるようになった。だが、これも不十分なものだと分かる。

 イーグルの放射物の配列
 →◇ 意識 ◇ 独立した力
 →◇ will
 →◇ 意志 
 →◇ ? ;


 このような変遷があって、意志の次は何かということは、ここでは記されていません。
 何かヒントのようなものがあるかもしれませんから、この後の、ドン・ファンの説明を引用します。

 われわれ人間の大きな過ちは、そうしたつながりをまったく顧みずにそれぞれの人生を生きているという点だ。生活の忙しさ、私利私欲、雑事、希望、不満、怖れ、そうしたものが何よりも優先する日々を過ごしているせいで、自分があらゆるものとつながっていることを意識せずにいるのだ。 (*D1 p136)

 次の部分は長くなるので、思考言語コアで、要点をまとめます。

 呪術師たちの関心

 呪術師たちの関心
(1) 呪術師たち(*) >>> 第二の注意力 集中>> 一般的な環(意志 <つなぐ> あらゆるもの) ☆はるか昔のあるとき ;
 [→] 呪術師たち 得る>> 直接的知識,
              能力(知識を使っておこなうもの);
 [Z] 呪術師たち ●得る>> 精神の安定((*) 扱う>>その力);

(2) 呪術師たち(*) >>> 第二の注意力 集中>> 環(意志 <つなぐ> 意識をもつ生き物 (**) );
 (**) ◇ @あらゆる範囲の有機的存在 A非有機的存在◇盟友 
 [→] このやりかた ◇ ●成功 ;

(3) 呪術師たち(*) >>> 第二の注意力 集中>> 環(意志 <つなぐ> 人間) ;
 [→] このやりかた ◇ ●成功 ;

(4) 呪術師たちひとりひとり(***) >>> 第二の注意力 集中>> 環(意志 <つなぐ> 自分個人(***) ) ;
 [→] このやりかた ◇ ●成功 ;

(5) 呪術師たち(***) 問題とする>>
   働き(環(意志 <つなぐ> 彼ら個人(***)))
   ◇ 能力(彼らを解放して内部から炎を燃え上がらせる);


 ここのところはむつかしい表現だったので、通読して付箋を貼っているときには、その内容の意味がよく分かりませんでした。
 ここで、思考言語コアによる表現としたとき、いったい何が変わってゆくのかということに着目すると、次のように、さらに抽出することができます。

 呪術師たちの関心
(1)一般的な環(意志 <つなぐ> あらゆるもの);
(2) 環(意志 <つなぐ> 意識をもつ生き物 (**) );
 (**) ◇ @あらゆる範囲の有機的存在 A非有機的存在◇盟友 
(3) 環(意志 <つなぐ> 人間) ;
(4) 環(意志 <つなぐ> 呪術師たちひとりひとり ) ;
(5) 働き(環(意志 <つなぐ> 呪術師たちひとりひとり))
  ◇ 能力(彼らを解放して内部から炎を燃え上がらせる);


 (1)から(4)までは、少しずつ対象が絞り込まれてゆきます。(4)から(5)の変化は、対象のとらえ方における変化です。対象そのものは同じです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 18, 2016)

 参照資料

[1] 「沈黙の力」意識の処女地、カルロス・カスタネダ(著)、真崎義博(訳)、二見書房(刊)、1990

 

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