RaN269 地球人はどこにいるのか(23)意志の要求「内省の鏡を壊す」
Where is the earthian?
(23)Demand of Will " Breaking The Mirror of Introspection"(※)

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 カルロス・カスタネダの「沈黙の力」[1] の第五章「意志の要求」は、「内省の鏡を壊す」と「無欠性への切符」の二つの節から成っています。
 ここでは「内省の鏡を壊す」について考えます。
 (※)意志の要求「内省の鏡を壊す」をDemand of Will " Breaking The Mirror of Introspection" としましたが、原文で確認していないので、ほんとうは違う表現となっているかもしれません。

 内省の鏡を壊す

 ここのところの物語はとくに目立つものではありません。
 ドン・ファンとカルロス・カスタネダは山を登っているとき、一晩過ごすための岩棚を探していました。
 このときドン・フアンがカスタネダに、なにげなく、どのあたりが良いかと訊きます。
 そして、カスタネダは「暗い岩棚」を見つけ、二人はそこへとたどりきます。
 これから、カルロス・カスタネダが、ほんとうは、どのようなことを感じ取って、そこを見つけたのかということについての、ドン・ファンの説明が始まります。

 そこからは気がつかないほどごくかすかな、力を活性化させるエネルギーが放たれているのだ。(p199)

 プラスのエネルギーの場所とマイナスのエネルギーの場所とにおける、人々のふるまいについての説明が続きます。
 また、次のように、カスタネダの行為が「まぐれ当たり」ではないということを説明します。

 呪術師は、周囲でかすかに波打つエネルギーを全身で知覚することでそうした場所を見つけることができる。(p200)

 このような知覚の拡大は、「内省の削除によって得られた呪術師の像大したエネルギー」によって起こるのだそうです。
 ここから、「内省の鏡を破壊する」ことの意味と、その重要性が語られてゆくことになります。

 集合点はいったん動くと、かならず内省から離れることになり、その結果精霊とつながる明確な環を保証する。つまり、そもそも人を精霊からひきはなしてしまったのは内省なのだ。(p202)

 ナワールは内省の鏡を破壊する手助けをすることで、集合点を動くように誘う。だがナワールにできることはそれだけでしかない。実際に動かすのは抽象、すなわち精霊なのだ。(p205)

 あの日グアイマスでおまえの身に起きたことが、ナワールの隠された非情さが内省をどうやって粉砕するかの一例だ。(中略)おまえの精神はなんとかしてわしの連続性とおまえの内省とを修復しようと必死に努力した。(中略)そしてとうとうわしの合理性の持続を信じられなくなったとき、おまえの鏡は砕けはじめた。(p207)

 連続性というのは、わしら人間がひとつの固い塊だとする考えのことさ。(p208)

 ふつうの人間の場合、自分の目録にないものに出会うと、その当人が目録を増補するか、さもなくば内省の世界が崩れるかのどちらかだということを、呪術師は知っている。(p209)

 人間とは、わしらが抱くとっぴな幻想でも追いつかないほど複雑で神秘に満ちたものだ。(p210)

 人間はとても深くて神秘的な感覚をもっている。わしらは神秘の一部なのだ。理性などうわべの飾りにすぎない。(p211)

 あとがき

 まるで「ドン・ファン名言集」のようになってしまいました。
 ここのところを解釈するには、前回省略した「グアイマスでの物語」が必要となってきますが、これは詳しく要約しないことにしました。
 これらの「ドン・ファン名言集」の奥に潜むものが、確かに何かありそうだと感じてもらえれば幸いです。
 おそらく、この「内省の鏡を壊す」ということについては、神秘主義や原初の宗教の中で、対応することがらが見つかると思います。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 19, 2016)

 参照資料

[1] 「沈黙の力」意識の処女地、カルロス・カスタネダ(著)、真崎義博(訳)、二見書房(刊)、1990

 

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