RaN332 グルテンアウト(3)
この文明の遺伝子工学で、小麦は変わりすぎてしまった

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

ランダムノート2017ブランチページへもどる

 この文明の遺伝子工学で、小麦は変わりすぎてしまった

 退院後の、いろいろな(あまり登場人物はいませんが)ドラマの中で、私は、この世界において、今とくに日本においては、「グルテンフリーの文化」が広まりつつある、ということに気がつきました。
 具体的には、「長生きしたけりゃ パンは食べるな」[1] という本を読むことにより、それらの情報に近づいていったのです。
 ここから始まって、私は、このような「グルテンフリーの文化」に属する、数々の本を探し、それらに目を通し始めました。
 主だったものを紹介すると、次の2冊です。
 「いつものパン」があなたを殺す 原題Grain Brain(穀物脳)[2]
 小麦は食べるな! 原題WHEAT BELLY(小麦腹)[3]
 どうやら、[2] の中に、[3]についての記述があるので、英語の本として(日本語の本としても)出版されたのは[3]のほうが先のようです。
 ここの節のタイトル「この文明の遺伝子工学で、小麦は変わりすぎてしまった」については、もっともくわしく、かつ分かりやすい記述が[3]にありますので、それについて語ります。
 この本の、第1部 全粒粉が「体にわるい」これだけの証拠! の、2章 恐怖の遺伝子操作――「現代小麦」の誕生 にある、4つの「節」のタイトルと開始ページを書き下します。
 われわれに”大きなツケ”を残す遺伝操作の実体! …… 030
 「遺伝操作」前の小麦 …… 031
 ノーベル賞受賞「グリーン革命の父」の大罪 …… 036
 悪魔の手が加えた「品種改良」 …… 038

 それぞれの「節」の内容をかんたんに要約しておきます。

 われわれに”大きなツケ”を残す遺伝操作の実体! …… 030
 小麦の品種は、交配、異種交配、遺伝子移入が重ねられ、収穫量が1世紀前の10倍を超える、高生産”矮小”(背が低い)小麦になりました。

 「遺伝操作」前の小麦 …… 031
 ここのところは、人類と小麦についての長い物語のまとめとなっています。
 太文字で記されている部分が、ここのところの要点とみなせます。
  現代のコムギ種は、収穫量を増やし、病気や日照り、高温に耐えるように品種改良したものです。([3] p035)

 ノーベル賞受賞「グリーン革命の父」の大罪 …… 036
 IMWICと略号で呼ばれる国際トウモロコシ・コムギ改良センターで研究していた、ミネソタ大学の遺伝子学者、ノーマン・ボーローグ博士が、驚くほど高い生産性の矮小小麦を生み出しました。
 現在では、世界中の小麦品種は、ほぼ全面的に矮小小麦に置き換えられ、矮小小麦と半矮小小麦は、世界中の全小麦の99パーセント以上を占めているということです。
([3] p037)

 悪魔の手が加えた「品種改良」 …… 038
 [3]の著者の、ウイリアム・デイビス博士は、ここで、とても重要なことを指摘しています。「品種改良で、異常な過失」([3] p038)があったのだそうです。
 それは、「小麦をはじめとした、穀物の遺伝構造が大幅に変えられたのに、生み出された、新たな品種は、動物実験も、人体への安全確認の試験も行われなかった」([3] p038)ということです。
 もうすこし説明がつづいたあと、太線の箇所が現われます。引用しておきましょう。

 小麦の場合も、グルテン含量と、その構造の変化、ほかの酵素やタンパク質の変化、各種の植物病害に対する感受性や抵抗性を与える性質など、それらすべてが引き起こす結果も考えずに、人々に与えられたのです。([3] pp038-039)

 もうひとつ、この「節」のところに紙の付箋をつけたところがあります。
 ここまでの記述が、「グルテンフリー」を主張する「側」の勝手な言いがかりではないということが、明確に記されているところです。ここのところを引用します。

 特に小麦のタンパク質のグルテンは、交配によって、大幅に構造が変化しました。
 ある交配実験では、二つの親品種にはない、14種もの新しいタンパク質グルテンが、子品種に存在することが特定されました。
 さらに、1世紀前の品種と比べてみると、現在のパンコムギ品種は、セリアック病に関連するタンパク質グルテンの遺伝子量が多いことも分かりました。
([3] p039)

 この後に、著者自身が、自分の身体を使って、昔の小麦と現在の小麦を食べるとどのような変化が生じるか、という実験を行ったことが述べられています。かなり詳しいものです。血糖値の変化と、身体や精神に及ぼす害についてが、具体的な数値や症状を添えて記されています。
 この章のさいごに、再び太文字で、「繰り返しになりますが」と添えられ、次のような「まとめ」が載せられています。

 現代の小麦は、何千とは言わないまでも、何百ものさまざまな遺伝子変化を加えたにもかかわらず、人体への影響に関する疑問は一つも提示されずに、世界中に食品として供給されているのです。([33] p044)
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, January 16, 2017)

 参照資料

[1]「長生きしたけりゃ パンは食べるな」、フォーブス 弥生(著)、稲島 司(監修)、SBクリエイティブ株式会社(刊)2016-11-15
[2]「いつものパン」があなたを殺す、Grain Brain、デイビッド・パールマター&クリスティン・ロバーグ(著)、白澤卓二(訳)、三笠書房(刊)2015年1月
[3] 小麦は食べるな! 原題WHEAT BELLY(小麦腹)、Dr. ウイリアム・デイビス(著)、白澤卓二(訳)、日本文芸社(刊)2013-7-10

 

ランダムノート2017ブランチページへもどる