RaN333 グルテンアウト (4)
グルテンをとらなければ、心と体はもっとよくなる

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

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 やめられない、とまらない

 小麦は食べるな! 原題WHEAT BELLY(小麦腹)[3] は、アメリカとカナダで130万部を超えている(2013年8月現在)ということですが、この本の著者は、なかなかに構成上手で、それぞれの話の前に、その導入を助ける、みんながよく知っているエピソードを入れてきます。いわゆる、落語でいうところの「まくら」ですね。
 その本によれば、(とくに現代の)小麦に含まれているグルテンは、私たちの体と、そして、腸や脳へ影響を及ぼすことによって、精神に、数々の障害を生みだすということです。
 それらをすべて、上記の表現のように、まとめてゆくと、このページがいつになっても終わらないということになってしまいますので、ここは大胆にカットして、11章 小麦が脳を破壊する! のところだけ、かんたんに紹介することにします。
 まずは「まくら」に相当するところから。

 小麦の影響は脳にも及びます。
 アヘンによく似た性質のペプチドになって、脳に作用するのです。
 ただし、犯人である「エクソルフィン」というポリペプチドは、一度脳に入り込んでも、やがて出ていくので、時間がたてば消えます。
 エクソルフィンが侵入すると、脳は「もっと食べてカロリーを摂取しろ」という指令を出します。([3] p205)

 ここのところに、小麦製品のドラッグ効果が説明されています。
 私は最近、米粉クッキーを焼いておくのですが、これを1個食べたとしても、それだけで満足するのか、次から次へと食べようとは思いません。だから、一度焼いておくと、長持ちします。
 ところが、市販されている、小麦粉で作られたクッキーなどは、「やめられない、とまらない」というコマーシャルソングにあるように、なくなってしまうまで食べてしまい、さらに何かないかと、ポテトチップスやカッパエビセンの袋を開けることになります。(スーパーで袋の裏を見て確認しましたが、どうやら、これらには小麦粉は入っていないようなので、ここでとまってくれるかもしれません。)
 これは、実は、これらの食品が「おいしい」からというのではなく、それらの成分として含まれている小麦の中のグルテンが、胃液によって分解されてできるポリペフチド混合物が、吸収されて脳に入り、脳の中にあるモルヒネ受容体と結びついたことによる反応なのだということです。
 このようなことが分かり、この、グルテンが胃液で分解されたポリペフチドが、外因性モルヒネ様化合物(エクソジェナス・モルフィン・ライク・コンパウンド)、もっと短い言葉として考えられた、エクソルフィンと呼ばれることになったと記されています。([3] pp068-069あたりを要約, 4章にある)

 小麦が小脳を損傷する!

 11章に戻ります。次の節があります。
 足元にご注意――小麦が小脳を損傷する!
 著者はまず「小脳性運動障害」という病気について説明します。このあたりは説明がむつかしいので、大胆に要約します。
 どうやら、この「小脳性運動障害」は、グルテンを摂ることによって作られた、抗グリアジン抗体が、小脳にだけあるプルキンエ細胞と結合することにより、このプルキンエ細胞が機能できなくなってしまって、つまり、損傷することによるということが、最近分かってきたのだそうです。([3] pp207-208あたりの要約)

 その次の節で大脳への影響が説明されます。
 小麦は大脳の破壊も!?
 しかし、大脳に対する小麦の影響は、まだ、はっきりとしていないようです。
 次のような表現箇所があります。

 小脳性運動失調104人を調査した、ある研究では、記憶障害や失語症も見つかっているため、小麦による被害は、高次の思考や記憶をつかさどる大脳組織にも及んでいる可能性があります。([3] pp208-209)

 このような表現でしかまとめられないのは、医者の多くが「小麦は健康に良い」と信じ込んでいることや、脳の「生検(生体検査のことだろう)」が患者には抵抗がある、ということのため、このことの研究が進んでいないからだそうです。
 なるほど、脳の組織はかんたんにサンプリングできるものではありませんから、直接的な検証は困難であるかもしれません。

 私の母は89歳と、かなりの高齢です。この年齢に騙されて、歳だからしかたがない、と思っているのかもしれませんが、これらの症状は、はっきりと現れてきています。
 先日、映画か温泉にゆく前に、お昼の食事をとっておこうと、蕎麦を茹でて食べようとしたとき、菜箸ではなく、野菜サラダなどを盛るときに使う、あるいはパンやパスタをつかむときに使う、金属製のトングを用意してあるのに、それで、茹でたままの汁の中にある蕎麦をつかんで、自分の椀によそうとき、何本かがこぼれて、台所の土間に落としてしまっていました。
 母は腹を立てて
「こんなことは、なかったのに」
と、以前の自分のことを思い出して、悔しんでいます。
 あきらかに、小脳性運動障害であると考えられます。
 あるいは、先日母から聞いたことですが、
 「歩いてて、溝に、足つっこんで、くじいたさかい、外に出てゆけへん。温泉行くのは、また、今度にして」
ということでしたが、「歩いてて、溝に足をつっこむ」というのは、小脳性運動障害を体験していない、私のような人間にとっては、ありえないことです。
 また、温泉からの帰りがけに、買い物にと、ある商業モールの駐車場へと車をとめ、何がしたいのかと聞くと、
「コメリのカードを失くしたんやけど、ひろてもろてる(拾ってもらっている)と連絡があったさかい、もらいにいかなあかん」
と言い出します。
 「それはもう確認したなあ。そんなものは届いてへんから、もういっぺんコメリで、カードを再発行してもらう、ちゅう話やったやんか。まだ、してへんかったんか。」
と、私が駄目押しします。
 これは明らかに、(誰でも、こんなことは、あると思いますが)記憶障害と考えられます。
 このシリーズの最初の本を読んだ後、私は玄米をしっかりと炊いて食べ、その直前まで、肺炎か、と思うほどの喘息に囚われていたのでしたが、ぴたりと止んで、以後、肺に関しては何も心配することがなくなりました。
 この母のことに戻りますが、このように買い物にでたときも、必ず「明日の朝食のパン」を買い求めます。
 母の朝食は、ずうっとパンだったのです。
 グルテン満載の、市販のメロンパンや干しブドウが入ったロールパン。あと好きなのは、ファミマで売っている、リング状に焼いた、ややクロワッサンのような味わいがある、バターをたっぷりと練り込んだパンの、半分に切ったもの。
 夜勤の仕事が終わったあと、帰り道のファミマによって、その半分になったパンを見つけて買って帰るのが、私のささやかな「お土産」でした。
 そのような「好意」のツケが、「茹であがった蕎麦がトングでもつかめない」、「コメリのカードが届いているはずやから、もらいに行かなあかん」という、小脳性運動障害と記憶障害となってしまっていたとしたら、これもまた、ギリシャ悲劇のような、悲しいドラマ。こんなはずやなかったのに。
 私と一緒に暮らしていたときは、私が玄米を食べたがっていたし、チャーハンの中に入れるキャベツの、入れるタイミングのことまでマスターし、肉野菜炒めなんかも、私がどっさり食べるから、つられて母もたくさん食べていたのだけど、一人暮らしになって、私が東京から戻って来る前の、一人暮らしの年寄りの、ほんのちよっとしか料理せず、めんどうなので、パンで済ませてしまう、市販のおかずでまにあわせてしまう、という状態になってしまい、食生活の貧困化が、ふたたび母を襲い始めていたらしいのです。
 老化は「年月」によって進むのではなく「食事」によって進むのです。もっと限定的に言えば、「パンやパスタに入っているグルテン」によって進むのです。そのようなことが分かりだしたのは、ごぐごく最近のことだということが、まったく残念なことではあり、今からでは遅いかもしれませんが、私は母にこう言います。
 「パンを食べたらあかん。身体が自由に動かんようになる。ボケがもっとひどくなる。」
と。

 グルテンをとらなければ、心と体はもっとよくなる

 視点を変えて、2011年に出された WHEAT BELLY [3] の少しあと、2013年に出された Grain Brain [2](「いつものパン」が あなたを殺す)のことを説明します。
 この[2] では、グルテンにより「脳の炎症」が起こるというストーリーが、数多くの「状況証拠」と推理によって語られてゆきます。
 著者は、やってくる患者の症状を聞き、これは、と思ったとき、とりあえず、グルテン過敏症の検査を受けることを患者に勧め、その結果として、陽性反応が出る(グルテン過敏症である)と、このことを受け、その患者に、グルテンを摂取しない、グルテンフリーの食生活を試みることを、医師の診断による指示としてすすめてゆきます。
 そして、数々の治療例が集まっていったのです。
 [2] の著者であるデイビッド・パールマター博士が、このような治療経験に基づいてまとめた、グルテンフリーの食生活を実践することで改善してゆける病気をリストアップしています。

(1) ADHD(注意欠如・多動性障害)
(2) 不安と慢性的ストレス
(3) 慢性的な頭痛と偏頭痛
(4) うつ病
(5) 糖尿病
(6) 集中力の問題
(7) 関節炎などの炎症性の異常と疾患
(8) 不眠症
(9) セリアック病(グルテン性腸症)、グルテン過敏症、過敏性腸症候群などの、腸の問題
(10) 記憶問題と軽度認知機能障害(多くがアルツハイマー病の前駆段階)
(11) 気分障害
(12) 体重過多と肥満
(13) トゥーレット症候群(チック)([2] p22)

 このあとに「……そのほか多数」と記してあります。
 別のところですが、「グルテン過敏症が引き起こす、主な症状一覧」という表があります。
 そこから、上記に記載されているものを除いて、ここに引用します。

(14) アルコール依存症
(15) 筋委縮性側索硬化症
(16) 運動失調、平衡感覚の喪失
(17) 自閉症
(18) 自己免疫疾患(糖尿病、慢性リンパ球性甲状腺炎、関節リウマチなど)
(19) 骨の痛み/骨量減少/骨化石症
(20) 頭に霧がかかった感覚
(21) がん
(22) 胸の痛み
(23) 絶えず病気になる
(24) 乳製品過敏症
(25) 成長遅延
(26) 消化不良(腸内ガス、膨満、下痢、便秘、激しい腹痛など)
(27) 心臓疾患
(28) じんましん/発疹
(29) 生殖不能
(30) 流産
(31) 吐き気/嘔吐
(32) 神経障害(認知症、アルツハイマー病、統合失調症など)
(33) パーキンソン病
(34) 発作/癲癇(てんかん)
(35) 糖質を摂りたい欲求([2] p105)

 [3] (小麦は食べるな!)の12章は「小麦をやめれば皮膚病は治る!」というタイトルですが、ここに重要な症例がありました。このときの患者は「パン屋の主人」なのです。
 最初の症状は「冠動状疾患」でした。著者は「小麦を食事から完全に消去するよう」指示したのですが、(2年間もの説得でも)彼は首を縦に振らなかったそうです。
 しかし、別の病気が現われ、彼は著者のもとへとやって来て、その指示を聞き入れ、パンは焼くけれども、自分では食べないという生活をやり通したということです。
 その彼の、新たな病気というのは、次の(36)です。

(36) 脱毛症

 (Written by KLOTSUKI Kinohito, January 21, 2017)

 参照資料

[1]「長生きしたけりゃ パンは食べるな」、フォーブス 弥生(著)、稲島 司(監修)、SBクリエイティブ株式会社(刊)2016-11-15
[2]「いつものパン」があなたを殺す、Grain Brain、デイビッド・パールマター&クリスティン・ロバーグ(著)、白澤卓二(訳)、三笠書房(刊)2015年1月
[3] 小麦は食べるな! 原題WHEAT BELLY(小麦腹)、Dr. ウイリアム・デイビス(著)、白澤卓二(訳)、日本文芸社(刊)2013-7-10

 

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