RaN351 「ハムカツ食いてぇ」と言っていたブラックタフはうつ病だった

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

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 ブラックタフ

 ブラックタフという名は、かつて私が書いた童話のようなものの中の登場生物の名まえです。とりあえず、SF小説の体裁で書いていたので、登場するのは人間ではなく、人間もどきの、いろいろな動物でした。
 ただし、それには、下書きとなる体験やモデルがあって、そこに記されていたことのほとんどは、ほんとうのことの、暗喩としての物語でした。
 ブラックタフのモデルとなった人間は、冬でもランニング姿で仕事をするくらいの、元気満々の男で、夏に変化していた日焼けの膚が、冬でもかなり黒く残っていたので、このような呼称となったわけです。
 ブラックタフは、最初、とても活動的だったのですが、私が互助会(組合のようなもの)の理事長となったとき、その副理事長となってくれました。
 そして、私が、職員親睦旅行のプランを練って、その予備調査のため、旅行先の現地である、岡山県の備前へと下見にゆこうとしたとき、相棒として、ブラックタフを指定したのですが、当の本人は、現在「うつ」のまっさいちゅうで、そんなところに行く気がしないということでした。
 この職員親睦旅行の下見には、備前で暮らしていたこともある、別の仕事仲間がいたので、彼と一緒に行って、いろいろと案内してもらいました。
 しかし、下見のための車にはもっと乗れます。私としては、案内役の彼の他に、ブラックタフやオパール(女子の副理事長)もいっしょにいって、にぎやかに、あれこと見て、意見を聞きたかったのですが、オパールも、婚礼のあれこれで忙しいということで、同行してもらえませんでした。
 少し戻って、ブラックタフのことですが、彼は自分が「うつ病」だということを認識していて、病院にも通って、向精神薬をもらって飲んでいるということでした。
 でも、いっこうによくはなりませんでした。
 彼は、もともと妻帯者で子供もいましたが、分かれて暮らしているということです。
 そのへんの事情は詳しく聞いていません。
 とりあえず、彼は一人暮らしでした。
 このときの仕事では、一人暮らしの男性が何人かいて、夕食を、私が住んでいたところの近くの食堂で摂るという生活様式だったのですが、彼の姿は、近所の私は一度も見たことがありません。
 その仕事場での昼食時には、ある仕事場の3階にある食堂で、私たちは宅配業者の弁当を食べ、若いオパールなどは自分で作って来た弁当を食べていたのですが、ブラックタフは、そこに来て何かを食べていたという記憶がありません。
 ブラックタフは、昼食を抜いていたのでしょうか。そんなことはないはずです。
 そこでの仕事は、かなり力仕事でもあったので、昼ごはんを抜いてできるようなものではありません。
 だったら、考えられるのは、安い市販のパンを食べていた、ということでしょうか。
 昼食はどうしていたのか、夕食はどうしていたのか、まったく分かりませんが、ブラックタフは、この地方にある大規模スーパーに売っているハムカツについて、
 「ハムカツ、もっと食いてぇ」
と言っていました。
 トンカツでもステーキではなく、ハムカツです。
 ハムをほんの少しスライスして、パン粉をつけて揚げたものが、どうしてほしかったかというということは、容易に想像がつきます。
 それが、もっとも安く食べられる肉だったからです。

 ブラックタフが「うつ」になったのは

 ブラックタフは、おそらく、子供への養育費が必要だったのだと思われます。
 陶器の風呂を作っているところの仕事場で、釉薬担当の私も、ブラックタフと一緒に働いていました。
 ブラックタフと私は、その仕事場での「最低賃金」のクラスでした。
 なぜ、そうだったのか、ということは、彼と私の名誉のため、ここでは控えておきます。
 たしかに私も最低賃金クラスでしたが、私は実家にいて、母と暮らしており、母の作る食事を摂っていました。田舎暮らしなので、食材を買ってきて作れば、食費は、そんなにかかりません。
 でも、ブラックタフは、自分で、どれだけの食事を用意できたのでしょうか。
 ここのところに、ほとんど同じ賃金であったにもかかわらず、ブラックタフが「うつ」へと進み、私が「うつ」から回復したという違いがあると考えられます。
 「うつ」は食べ物が原因だった![3] という本があります。
 ここに、ブラックタフが「うつ」に進んでいった原因のことが記されています。
 おそらくブラックタフは、パンばかり食べていたことによる、グルテン中毒の影響もあったと思われますが、それよりもまず、「うつ」にならないために必要なタンパク質が、圧倒的に不足していたはずです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 26, 2017)

 参照資料

[1] あなたの体は9割が細菌 原タイトル10% HUMAN、アランナ・コリン(著)、矢野真知子(訳)、河出書房新社(刊)、2016-8-30
[2] 植物は気づいている、バクスター氏の不思議な実験、クリーヴ・バクスター(著)、穂積由利子(訳)、日本教文社(刊)、平成17(西暦2005年)年7月20日
[3] 「うつ」は食べ物が原因だった!、溝口 徹(著)、青春出版社(刊)、2009-6-15

 

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