RaN352 給食の白米を玄米に変えると

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

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 映画「スーパーマン」 のヒロイン女優がおちいった「うつ」

 「うつ」は食べ物が原因だった![3] の第1章に、「ハリウッド女優を復活させた驚異の治療法」という節があります。
 その女優とは、映画「スーパーマン」のヒロインで、新聞記者のロイス・レーンという役を演じた、マーゴット・キダーという人です。
 彼女は、ハリウッドでのスターのステイタスを保ち続けるための、いろいろな出来事に押しつぶされてゆき、精神的に不安定になったのだそうです。
 でも、アメリカ社会ではよくあることらしく、彼女は、治療を受け、薬を飲み、カウンセリングを受けることを続けながら、仕事の現場に向かっていったそうです。
 さらに詳しいことは、この本 [3] に記されていますので、ここでの引用は避けておきますが、そのような状況の中で、ついに彼女は、精神的に「つぶれてしまい」、ほとんどホームレスのようにしか見えない状態で保護されたということです。
 そして、もう一度治療を進めてゆこうと決意したものの、それまでの投薬やカウンセリングでは、新たな進展は望めなかったので、別の手法を、彼女は求めてゆき、カナダのエイブラム・ホッファー博士へとたどり着きました。
 そこで彼女は、投薬やカウンセリングではなく、食生活の改善による、栄養療法というものがあることを知り、それに取り組み、見事に回復したのだそうです。

 栄養療法

 このような栄養療法は、カナダのエイブラム・ホッファー博士が始めたもののようで、もっと厳密には、分子整合栄養療法(オーソモレキュラー療法)と呼ばれるものだそうです。
 栄養療法とは、身体そのものや脳の栄養状態を調べ、不足している栄養素を見きわめて、それを補うことで、身体や脳の疾患を改善してゆこうとするものです。
 従来の投薬療法では、このような見方をしないで、ごくごく部分的なところの異常というところを見つけ、その異常を改善するための薬を使うというもののようです。
 抽象的に説明しようとすると、むつかしくなってしまいます。
 問題は、その投薬療法の根拠となる、ある種の科学物質のはたらきが、その場かぎりのものではなく、身体全体としての調和に基づいているかどうか、というところにあるのではないでしょうか。
 もし、そのような調和が生まれていたとしたら、「副作用」という問題は生まれないはずです。
 ところが、多くの投薬療法では、「副作用」が問題となり、その治療効果が本質的なものではなく、表面に現れている症状を消すことだけの効果しかないものとなっているようです。
 おそらく、生体のメカニズムにおける「パズル」は、非常に複雑でむつかしいものとなっているのに、その、ほんの一部の「ピース」が埋まったからと言って、そこにあてはまる「薬」を求めているのではないでしょうか。
 これに対して、栄養療法での治療の主体は、私たちの身体がもともともっている回復力だと考えられます。そして、その働きのために必要な「資材」のようなものを、不足しないように調達しておく、ということが、求められているように思えます。

 給食の白米を玄米に変えると

 栄養療法についての関連として、この本 [3] の第3章に、興味深いエピソードが紹介されています。
 著者の講演会で、別の講演者が報告した、ある中学校のケースだそうです。
 その物語の要点をまとめます。

 (1) ある中学校が「食育指定校」になった。
 (2) その中学校の給食を見直すことになった。
 (3) 栄養士さんが、白米を玄米に変えることを提案した。
 (4) その提案が受け入れられた。
 (5) その中学校の給食で玄米が出された。

 これで終わりではありません。
 後から語られているのですが、その中学校での、以前の状態というものをまとめておく必要があります。

 (0) その中学校は荒れていて、ガラスは割られる、椅子は飛び交う、という状態だった。

 これを先において置き、(1)から(5)を経過して、次の(6)へと進みます。

 (6) 次第に暴れる生徒の数が減り、平穏な空気に変わっていった。

 この物語で、その中学校が「食育指定校」となったのは、教育委員会からの指示とかによる、単なる偶然のようなものだったことでしょう。
 最初から、このように変化するということが分かっていたら、とくべつに講演で発表しないと考えられます。
 このような物語の展開は、ここまでいろいろなことを学んでくると、それは当然の「流れ」だろう、と見てゆけますが、このような理解は、ほんとうに、ここ何年かでのことです。
 私が中学校の教師をしていた30年前では、こんなこと、いったい誰が想像したことでしょうか。
 そういえば、あのころ、荒れていた中学校は、おおよそ、都会に多くありました。
 田舎と都市部とでは、社会が違うから、大人も子供も、ストレスが多いのだろう、とか、ばくぜんと考えていました。
 しかし、今になってみると、その原因と結果のみちすじが、よく分かってきます。
 都市部になればなるほど、食べるものや食べ方に、大きな問題がたくさんあったのだと考えられます。
 田舎で一人暮らしはむつかしいものですが、都市では、大家族でまとまって住んで、一緒に食事を摂ってゆくということが、とてもむつかしくなってゆきます。
 家族が何人かまとまって暮らしていて、お母さんやお婆さんが、きちんと献立を考えて食事を作ってくれる。このようなことが、ずうっと昔から続いてきて、そして、私たちは、身体に必要な栄養をとってきた。
 野菜は、裏の畑から採って、そのまま調理していた。
 お米をわざわざ精米するというのはたいへんなことだったし、年貢として納めなければならなかったので、雑穀などをまぜて食べていた。麦飯も、あたりまえのものだった。
 そういう世界が、現在では、都市部だけでなく、形だけは市になっている、田舎でも、むつかしくなってきています。
 そして、荒れる子供や、病気だらけの大人たちが、どんどんと増えてきた。

 それにしても、上記の物語で、給食の白米を玄米に変えることを提案した栄養士さんがいるということに、私はとても驚きました。
 中学校ではなく、市立の病院でのことですが、私が、断食明けには玄米の重湯が欲しいと言っても、まったく無視されるし、白米では食物繊維が不足する、玄米が無理なら、麦飯を食べさせてほしい、と言っても、これも無視され、私は、そのような食物繊維が不足した食事で、生涯最悪の痔になってしまったわけです。
 精神的にも変わってしまって、少し「荒れ気味」だったかもしれません。

 上記の物語で、実際に、その提案が受け入れられ、給食で玄米が出されたというのは、さらに驚くべきことです。
 技術的な問題点も、数々と生まれたことでしょう。
 それらをどのようにして解決していったのか、興味深いところです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, March 27, 2017)

 参照資料

[1] あなたの体は9割が細菌 原タイトル10% HUMAN、アランナ・コリン(著)、矢野真知子(訳)、河出書房新社(刊)、2016-8-30
[2] 植物は気づいている、バクスター氏の不思議な実験、クリーヴ・バクスター(著)、穂積由利子(訳)、日本教文社(刊)、平成17(西暦2005年)年7月20日
[3] 「うつ」は食べ物が原因だった! 溝口 徹(著)、青春出版社(刊)、2009-6-15

 

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