RaN362 光学顕微鏡でウイルスが見えているのか
Will the virus be visible with an optical microscope?

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

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 「生物はなぜ誕生したのか」[1]

 まだ、最後の数ページを読み残しているものの、ほぼ、この科学解説書を読み終えて、けっきょく、現代の生物学者は、生物についての、「大きなミッシングリング」を見落としたままで、そのあとの変化についてだけ着目しているということが分かりました。
 その「大きなミッシングリング」というのは、「生体内に見つかる分子」と「生命現象を示す生きた細菌」などとの間にあるものです。
 この本の中に、次のような一節があります。

 細菌の体をつくっているのは無生物の分子だ。細胞自体は無数の化学作用で成り立っているものの、個別に取り出してみれば、どれも、生命をもたない科学物質の反応にすぎない。生きているものは何一つなくても、細胞全体としては生きているということなのかもしない。([1] pp54-55)

 この一節の最後の一文は、まさに「説明放棄」と表現してよいものでしょう。
 この本の、他のところでは、あふれんばかりの饒舌で、生命の進化のメカニズムを、地球の酸素や二酸化炭素(さらには硫化水素)の濃度と関連づけて語っている著者が、この「大きなミッシングリング」については、まるでおとぎ話の語り手のような逃げ口です。
 次のような記述箇所がありました。

 地球の生命は液体に浸った分子でできている。生体内に見つかる分子の数は呆れるほど多いものの、おもなものはわずか四種類しかない。脂質、炭水化物、核酸、そしてタンパク質である。([1] p52)

 ほんとうに、この四種類だけなのでしょうか。
 「生命の定義」として語られている部分の少し前に、生命とは何かを考えさせる重要な現象が2つ語られています。
 その一つ目は生化学者のマーク・ロスが見出した、生物の「仮死状態」あるいは「休眠状態」に関する実験です。これは2006年以降でのこと。
 その二つ目として、2010年に始まった実験によって、地球の高層大気(オゾン層のあたり)に、「何千種類もの細菌と真菌、さらには無数の分類群に及ぶウイルスがつねに存在する可能性が示された」([1] p41)ということがあります。
 これに関して、次のような説明文があります。

 非常に高度の高い大気中で採集したとき、細菌は死んでいる。ところが地上に戻して、それがもともと進化したと見られる高度でしばらく慣れさせると、生き返るのだ。([1] p42)

 死んではいないということではありませんか。
 ここに含まれているウイルスについて、「生きているか」「生きていないか」という議論に深入りするのはさけ、ここに記されていた重要な情報をまとめておくことにします。

 ウイルスはきわめて小さく、直径50〜100ナノメートルのものが多い。([1] 49)

 ウイルスの本体は核酸だそうですが、DNAのこともRNAのこともあるということです。
 また、その遺伝子の数も、わずか3個から、250個以上(天然痘ウイルスなど)のものまであるそうです。
 もうひとつ、上記の情報に続いて記されてあった部分を引用します。

 ウイルスの構造にはおもに二つのタイプがある。タンパク質の殻に囲まれているものと、タンパク質の殻に加えてエンベロープと呼ばれる膜状の構造をもつものだ。([1] 49)

 これまでに見たソマチット画像の中に、ちょうど、これらの条件に相当しそうなものが見つかっています。

 ソマチットの本体のサイズはウイルスくらい

 次の図1は、蛍光顕微鏡による「培養できない菌」[2] の画像に、解析のための拡大枠を描き、記号を添えたものです。
 この画像は [2] にある科学分析会社のホームページにありました。
 水中にいる「培養できない多数の菌」について「蛍光色素で核酸を特異的に染色し、蛍光顕微鏡にて直接観察・計測する」と説明されています。
 この中のBを拡大したものが、図2です。
 そして、図3が、(図2の)「領域Bの拡大」の色加味128解析(Y配色)です。

図1 蛍光顕微鏡による「培養できない菌」

図2 領域Bの拡大(横幅は10マイクロメートル)
L03[32]b

図3 「領域Bの拡大」の色加味128解析(Y配色)

 この図3において「培養されない菌」について、A〜Jの記号を添えました。
 これらについては、仮に「菌A」〜「菌J」と呼ぶことにします。
 はじめ、これらの「菌」は「細菌」ではなく「ソマチット」であると考えていました。
 ガストン・ネサンがソマトスコープで撮影した、血漿中のソマチットの解析パターンと同じように見えていたからです。
 たとえば、図3の「菌A」「菌B」「菌C」の、中心にある「本体」の形状は、少し細長くなっており、標準的なソマチットの様子をしています。
 血漿中のソマチットにおいても、中心にある「本体」が、あまり細長くないものがあります。そうすると、「菌D」から「菌G」あたりも、ソマチットとみなしてよいかもしれません。
 このあとの「菌H」と「菌I」と「菌J」の様子が、ここまでのものとは、少し異なります。周囲をとりまく色の帯が、ほとんどありません。これは色加味解析の都合にもよりますが、他の「菌」に比べて、やや弱い感じを受けます。
 次の図4と図5は、これらの「菌H〜J」について、さらに拡大して色加味解析したものです。

図4 「菌H」の拡大色加味解析(画像の横幅は1250ナノメートル)
L03[32]b_GE(X6)[8]i_GE(M6)_Add128(L)

図5 「菌I」と「菌J」の拡大色加味解析(画像の横幅は1250ナノメートル)
L03[32]b_GE(X6)[8]a_GE(M6)_Add128(H)

 図4の「菌H」と図5の「菌J」には2つの共通点があります。

 (1) 周囲に囲いのようなパターン
 (2) 中心の幾何的なパターン

 このような特徴から、「菌H」と「菌J」については、ウイルスの可能性があると考えられます。
 その推測理由として、次の3つがあげられます。

 (p) サイズが100〜200ナノメートルくらいである
 (q) 殻で包まれているように見える
 (r) 結晶もしくは、DNAの「らせん」のような形状に見える

 それ以外の、ソマチットとみなすことができそうな、「菌A」から「菌G」のサイズについては、どこまでが「本体」なのかを判定する基準が、まだ分からないので、はっきりとは言えませんが、たとえば、次の図6は、上記図4と図5と同じ倍率([256]倍)にして、「本体」らしい部分だけ強く色加味解析したものです。

図6 「菌G」の制限色加味解析(画像の横幅は1250ナノメートル)
L03[32]b_GE(X6)[4]bc[2]c_Add128(G)(203-255)

 この図6を、上記の図4や図5と見比べると、サイズは同じくらいなのですが、殻のようなもので包まれているようには見えませんし、形状もかなり不規則です。

 ここまでの解析で何もコメントしてこなかった(図5の)「菌I」のことですが、 (p) サイズについてはよいとしても、(q) 殻 と (r) 幾何的な形状、の2つで、ウイルスの仲間としてみなすことができそうにありません。何らかの粒子なのでしょうが、その正体は、よく分かりません。

 光学顕微鏡でウイルスが見えているのか

 図4と図5で着目した、殻のようなものにおおわれていて、「結晶」もしくは「DNAのらせん」のようなパターンが見えるものについて、あらためて解析したものを示します。

図7 「菌H」の[512]倍でにおいて暗ゴフブリンアイ解析(Xで12回)
L03[32]b_GE(X6)[8]i_GE(X6)[2]

図8 (図7の)色加味128解析(D配色)
L03[32]b_GE(X6)[8]i_GE(X6)[2]_Add128(D)

図9 「菌J」の[512]倍において
暗ゴフブリンアイ解析(Xで6回)と双ゴブリンアイ解析(Mで3回)
L03[32]b_GE(X6)[8]a[2]_GE(M3)

図10 (図9の)色加味128解析(D配色)
L03[32]b_GE(X6)[8]a[2]_GE(M3)_Add128(D)

 もともとの画像である図1は、ウェブサイトで表示されていたものです。
 ほぼ図1のサイズでしたから、20万画素くらいのものです。
 その中で領域Bを切り取って調べてみると1440画素くらいとなります。
 蛍光顕微鏡で撮影された直後の画像なら、もっと大きなものであったことでしょう。
 それについて調べることができたら、このようなパターンについて、さらにくわしい情報が得られるものと思われます。
 はたして、このようなものが、ほんとうにウイルスなのか、あるいは、ソマチットとして解析しているものの、さらに詳しい姿が浮かび上がってくるかもしれません。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, September 15, 2017)

 参照資料

[1] 「生物はなぜ誕生したのか」、ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク(著)、梶山あゆみ(訳)、河出書房新社(刊)2016-1-30
[2] 蛍光顕微鏡による「培養できない菌」
  蛍光顕微鏡による全菌数測定

 

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