RaN370 これはスピロヘータなのか、桿菌なのか、ソマチットなのか
Is this a spirochete, a bacillus, a somatid?

黒月樹人(◇田中タケシ)@黒月解析研究所

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 イワシのアラ汁を観察すると

 光学顕微鏡でいろいろな微生物を観察しながら、それによって得た画像をサンプルとして、ゴブリンアートの解析力を高める工夫を重ねてきました。
 はじめは、池の中にいるランソウやミジンコなどの、プランクトンなどを観察しました。
 ランソウの細胞の中に、「押すな押すな」状態で動いている小粒子がありました。
 たまたま、それらを押しつぶすこととなり、水の中に出てきた、明るく輝く粒子を調べることとなりました。それらは動いていませんでしたが、中心に何か異質なものがありそうでした。
 次は韓国産キムチの汁を観察しましたが、細いものがいて、ゆらゆらと動いていました。
 いったいこれは何かと思いましたが、すぐには分かりません。
 まずは、このくらいのサイズの微生物として、酵母や乳酸菌というものがあると気がつき、スーパーに行って、それらがたくさん入っているはずの食品を探しました。
 酵母については、卵型の形と、そこから出芽した、小さなサイズのものがある、ということから、容易に見つけることができました。
 ところが、乳酸菌が見つかりません。
 乳酸菌が入っているとされる、乳酸菌飲料や、飲むヨーグルトを何種類か買ってきて、そのスープを観察しましたが、それらしい微生物は見つかりませんでした。
 ウェブで調べると、これらの食品は「殺菌」されているのだそうです。
 乳酸菌を「殺菌」していては、飲んでも役に立たないのではないか、という疑問がわいてきます。
 スーパーの食品棚を見てゆくうちに、飲むヨーグルトではなく、ドロッとした半固形のヨーグルトの中に、とくべつな株として入れられている乳酸菌があるはず、という製品がありました。
 それらをいくつか買って帰り、ヨーグルトをかき混ぜて、少しスプーンで取り出して、水で希釈してから観察したところ、韓国産キムチの汁に入っていた微生物とよく似たものが、たくさん見つかりました。ただし、動いていません。
 しかし、とりあえず、これらの乳酸菌の、ある種類ごとに、形が違っているということは分かりました。細長いものばかりのものや、丸いものばかりのものが、違うヨーグルト商品の中に、まとまって存在していましたから、どうやら、これらが「乳酸菌」というものだということでしょう。
 韓国産キムチだけではなく、日本産キムチについても調べました。「キムチ風浅漬け」と呼ばれるようなものではなく、本格的に漬けたものらしいものが売られていましたので、それも調べました。
 細い微生物や、丸い微生物がいましたが、さいしょに見た韓国産キムチほど、自由には動いていませんでした。
 光学顕微鏡を購入して、それが届いて組み立てたのが10月9日でした。それから1ヶ月以上がたち、毎日ではありませんが、ほぼ毎日くらいのペースで、色々な微生物の観察を続けてきました。
 いつしか、微生物の観察が目的ではなく、開発中のゴブリンアートのための、微生物サンプルとして、何かよいものが撮影できないか、というのが目的のようになっていました。
 そんなある日のこと(本日です)、いろいろな食材を入れてつるしてある、魚の干物を入れておく網籠の奥に、丸い形の容器がありました。それを取り出して蓋を開けて思い出しました。
 これは、いつだったか、安い鰯を買ってきて、頭や内臓を取り出して調理したときの、生ごみとして出すはずの、一匹の鰯の頭と内臓を、捨てずに入れておいたものでした。もう2〜3週間ほど経過しています。汁が赤茶色になっていて、醤油のような色です。
 この汁をスポイトで吸い込んで、スライドガラスに一滴おとして観察することにしました。
 いつもの手順で、対物レンズx4で、視野のピントを合わせ、ホワイトレベルを調整し、x10へと移って、良さそうな場所を探し、x40で微生物を観察し始めました。
 驚きました。
 これは魚かウミヘビか。
 そんなスピードで、視野の中を動き回っている微生物がいます。
 韓国産キムチを観察したときの動きは、まるで、イソギンチャクの食指がゆらめくようなパターンでした。くねくねとか、ゆらゆら、という表現があたっていました。
 ところが、今視野の中にあるものは、かつて、プランクトンのミドリムシなどが動き回っているときのような、まったく動物的なスピードで、すいすい、あるいは、ぐでんぐでんといった様子で、暴れるようにも見えています。
 ウミヘビのように泳ぎ回っている、細長い微生物の周囲にも、ゆっくりと動き回る、小さな粒子状の微生物がたくさんいます。
 これがほんとうの姿だったのだ、ということに気がつきました。
 市販されている乳酸菌飲料をはじめ、生きた乳酸菌が入っているとされるヨーグルト、そして、韓国産や日本産のキムチもおそらくは、出荷されるまえに、あるていど殺菌されているのだと思われます。
 そうでなければ、有毒ではないとしても、商品として棚に置かれているあいだも活動して、ガスを発生させ、容器を破壊してしまう可能性があります。
 このあと、まるでウミヘビのように動く、生きている微生物をとらえた画像について、ゴブリンアートで観察します。

 観察(1)対物レンズx40, 1000万画素の原画像で

 次の図1と図2は、ウミヘビのように動く、明らかに生きている微生物をとらえた、対物レンズx40での、1000万画素のデジタルカメラでとらえた画像です。
 ほんの1秒か2秒の間に、みずからの体長の3倍くらいの距離を移動するわけですから、かなり速い動きです。

図1 画像10(対物レンズx40, 1000万画素)赤丸内に移動する微生物

図2 画像11(対物レンズx40, 1000万画素)赤丸内に移動する微生物

 観察(2)原画像からの切り取り画像で

 図1と図2は、ゴブリンアートに取り込むには大きすぎるので、(Windows OSに付属している)ペイントソフトを利用して切り出しました。

図3 10A(画像10からの切り出しA)

図4 11A(画像11からの切り出しA)

 観察(3)[4]倍拡大画像で

 上記切り出し画像をゴブリンアートに取り込んで、マップで[4]倍の枠を指定し、問題となる微生物を含むように拡大しました。

図5 10A[4]A(10Aからの[4]倍拡大のA)

図6 11A[4]A(11Aからの[4]倍拡大のA)

 観察(4)[4][2]拡大のブリズム4解析で

 さらに [2] 倍に拡大してから、拡大結果を表示する「現像」ページに新たに加えたスイッチで、プリズム4解析しました。このプリズム4解析により、赤色や青色による色の収差をおさえた画像がえられます。
 図7以降のすべての画像の横幅は17ミクロンです。

図7 10[4]A[2]_prism4(10Aからの[4]倍拡大Aの[2]倍拡大をprism4解析)
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図8 11[4]A[2]_prism4(11Aからの[4]倍拡大Aの[2]倍拡大をprism4解析)
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 観察(5)[4][2]拡大のブリズム4解析の暗ゴブリンアイX6解析で

 上記のプリズム4解析後の画像について、暗ゴブリンアイX6解析を行いました。
 ゴブリンアイ解析は、画像の拡大にともなう、ぼんやりとした「色のカスミ」を取り除きます。

図9 10[4]A[2]_prism4_GE(X6) (図7の暗ゴブリンアイX6解析)
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図10 11[4]A[2]_prism4_GE(X6) (図8の暗ゴブリンアイX6解析)
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 観察(6)[4][2]拡大のブリズム4解析のゴブリンアイ解析の光核解析

 上記の図9と図10について、光核84-200解析を行いました。これは、濃淡値84から200の範囲の画素だけを取り出して、もとの0-255のキャンバスへと広げたということしです。84-200の部分だけのコントラストを高めたということです。

図11 10A[4]A[2]p4_GE(X6)p4_LC(84-200)(図9の光核84-200解析)
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図12 11A[4]A[2]p4_GE(X6)p4_LC(84-200)(図10の光核84-200解析)
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 考察

 この微生物は何か、ということを考えるため、候補となるもののリストを探しました。

 (1) スピロヘータ
 (2) 細菌の一種としての桿菌(棒のような形の細菌)
 (3) ソマチット

 ウェブでスピロヘータを検索して調べましたが、スピロヘータの形状はらせん状だということです。丸いばねを伸ばしたような、電話の丸くなっているコードのような、くるくると曲がった形なのだそうです。
 しかし、今回調べている微生物は、このような「らせん」にはなっていません。
 実は、目で観察していて気がついていましたが、前後に2つのボディがあって、中間部分でつながりつつ、ここで折れ曲がることにより、水の中で片足バタ足をやっているわけです。
 細菌の形状として、球菌、双菌、桿菌などと説明されています。乳酸菌の電子顕微鏡写真などを見ると、まるで市販のソーセージかウインナのように、ほぼ均一な太さで伸びています。
 ところが、この微生物の形状を調べてゆくと、細長いものが2つ連結してはいるものの、(進行してゆく方の)先端がとんがっているし、後方も、ウインナのようにちょん切れているわけではなく、足ヒレのようにも見えています。
 ソマチットという分類リストを付け加えましたが、いったい何がソマチットなのかという定義が、まだ明らかになっていません。
 ひょっとすると、(1) スピロヘータ と (2) 桿菌 とは別に、このような微生物を分類する項目があるのかもしれません。
 あるいは、ないのかもしれません。
 これまで、このような微生物が観察されたとしても、それを単独に分離して、大量に培養することができなければ、生化学的なテストをすることができないので、識別不能として、取り上げられなかったという可能性があります。
 また、これまでの光学顕微鏡で観察できるのは、このページにおける図5と図6あたりまでです。このような画像だけで、この微生物を分類するための特徴として、どのようなものが見いだせるというのでしょうか。
 もうひとつ、重要な視点があります。
 この微生物は、ほんの1秒か2秒の間に、体長の3倍ほどの距離を移動してしまうのです。しかし、多くの微生物にあるようなベン毛や繊毛のようなものを持っていません。2つのボディを、やや細い中間部でつなぎ、そこをジョイントとして、主に後方のボディをパタパタと動かして、片足バタ足をしているのです。このような運動を、細菌として知られている原核細胞が行うとしたら、そのために必要な何らかの器官が見つかっているはずです。しかし、そのようなものは知られていないようです。
 「泳ぐ 細菌」で調べると、長いベン毛をもった、ウインナ型の細菌のことが出てきます。これとは違います。いくつかに分割したボディをくねくねと動かしているのです。その中で、今回取り上げた微生物は、2つのボディとして、その片方を激しく動かして、片足バタ足のようなメカニズムで動いています。
 さらに観察してゆく必要がありそうです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, November 13, 2017)

 

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