短距離ランニングフォーム (6) TS選手の16歩
TS選手の左脚キックフォームと右脚キックフォームの微妙な違い

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

「スポーツ解析」ブランチページへもどる

 TS選手の16歩

 ここで解析したTS選手の16歩は2013年2月11日のトレーニングにおけるランニング画像に基づきました。今回のフォームに対する記号はTS211とします。また、スタートからの歩数を数えて番号をつけましたので、19とあるのは、スタートからの歩数を示しています。
 キック局面の画像4コマから構成したステックピクチャーを表示しました。これらのステックピクチャーの下に、このキックフォームにおけるキックポイントにおける3つの水平速度(dS, dG, dB)と、キック区間におけるGO軸の加速度比(aGO/g)の最大値を記します。aGO/gは実線キャップパターンの高さということになります。これは、キック脚のパワーに関連する指標です。dSはスウィング脚重心の、dGは全重心の、dBはキック棒(キック脚と上半身)重心の、それぞれの水平速度です。dGは、このキック区間での最大値です。dSとdBは必ずしも最大値であるとは限りませんが、今回のフォームでは、力の集中がうまくできており、ほぼキック区間での最大値となっています。


dS=11.6, dG=8.5, dB=7.6, aGO/g=3.5


dS=13.2, dG=9.7, dB=8.7, aGO/g=7.1


dS=12.3, dG=8.8, dB=7.7, aGO/g=5.9


dS=13.6, dG=10.2, dB=9.2, aGO/g=6.4


dS=10.8, dG=7.9, dB=7.1, aGO/g=4.2


dS=12.2, dG=8.5, dB=7.4, aGO/g=5.9


dS=13.5, dG=9.5, dB=8.3, aGO/g=3.7


dS=13.0, dG=9.5, dB=8.5, aGO/g=6.3


dS=11.6, dG=8.2, dB=7.2, aGO/g=4.9


dS=12.5, dG=9.5, dB=8.6, aGO/g=7.0


dS=11.5, dG=8.6, dB=7.8, aGO/g=2.3


dS=13.4, dG=9.4, dB=8.2, aGO/g=5.5


dS=13.1, dG=9.7, dB=8.7, aGO/g=5.0


dS=13.5, dG=9.8, dB=8.7, aGO/g=5.0


dS=13.1, dG=9.8, dB=8.9, aGO/g=5.7


dS=11.8, dG=9.1, dB=8.3, aGO/g=5.2

図1 ステックピクチャーと幾つかの指標値

表1 指標の左右キック脚についての平均値



 表1に示した、左脚キックと右脚キックにおける、それぞれの平均値を比較すると、いずれも右脚キックのほうが大きなものとなっています。
 しかし、TS211の19から34の各キックフォームを見ると、左脚キックの中にも、優れた値を示しているものがあります。たとえば、32や34では、中腰クランクキックの形になっており、キック脚の膝に体重を乗せてから弾ける動きができています。
 右脚キックフォームでは19と21と31で、この、キック脚の膝に体重を乗せてから弾ける動きができています。
 いずれも、スウィング脚重心の水平速度(dS)の値が13 [m/s] となっています。これまでのランニングでは、もっと低い値のものばかりでした。
 スウィング脚の動きのピークが後半へとずれているものが、最初のころは多く見られました。これを指摘したところ、次回のランニングでは、逆に、前半のほうにピークがあって、かんじんの、キックの瞬間に合っていないものがありました。そこで、このことを指摘したところ、今回のものでは、キックの瞬間に合っているものが多くみられます。
 キック脚の力を生み出すタイミングと、スウィング脚への加速の動きをうながすピッチアップ動作のタイミングを合わせるということが、重要なテクニックとなります。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Feb 14, 2013)

 

「スポーツ解析」ブランチページへもどる