アドバイス005 
高速ランニングフォーム習得の前にやっておくべきこと(1)
クレアチンリン酸のエネルギーシステムのためのトレーニング

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

「スポーツ解析」ブランチページへもどる

 はじめに

 2016年10月1日、水口スポーツの森で、この地方の中学生たちの記録会がありました。
 KTさんも出場するので、それを見に行ったのですが、200mはユニフォームの色が他の学校とかぶさっていて、あれ、あの色だったかな、などと考えているうちに、大部分を見落としてしまいました。少し確認できたのは、200mのラストのあたりの走りだけでした。100mはなんとか見ましたが、ここでも、何か感じが違うということに思い当たりました。
 KTさんだけではありません。この日参加していた中学生たちの、ほんの一部を除いて、ほとんどの選手の問題点は、もちろん、ランニングフォームの非効率性ですが、もうひとつ、重要な問題点があることに気がつきました。
 それは、古い用語で言うと、「走り込み不足」です。
 より現代的な、科学的な視点から言うと、エネルギー不足ということです。
 これは、さほどむつかしい問題ではありません。
 しかし、この問題がことごとく現われているというのは、おそらく、指導体系の不備ということが根本にあるようです。
 それもこれも、指導者の後継世代を育てずに、さっさと教師を辞めてしまった、私の責任でもあるわけです。そうでもないか。私がいつまでも教師を続けなればならないという義務はありませんでした。私は私なりに遍歴を重ねて、現在の私というものを生み出そうとしてきたのです。これはこれ、それはそれ、とでも考えるほかありません。

 ランニングにおけるエネルギー

 ランニング運動においては、次の3種類のエネルギーシステムが利用されます。

 @ 酸素を取り込んで脂肪などを燃焼させる。あまり大きなエネルギーはえられない。
 A 細胞の中のグリコーゲンを利用する。酸素を利用して回復させながら使っている。40秒しか使えない。ランニングの300mを走るくらいの時間。
 B 細胞の中のクレアチンリン酸を利用する。大きなエネルギーが得られる。あとの回復期に酸素をたくさん使う。8秒しか使えない。60mくらいの距離に相当する時間。

 @は、おもに、中長距離のランニングで使われるシステムです。
 Aは、100mで少し、200mや400mでは、ほとんどこのシステムに依存しています。
 Bは、100mなどの、最初の爆発的な加速のところで利用されます。他の距離でも使うことができますが、最初のスタートのあたりで使い切ってしまうと、ラストスパートが効きません。

 クレアチンリン酸のエネルギーシステムのためのトレーニング

 私が中学生を指導していたころの、「定番」のトレーニングについて説明します。
 このトレーニングメニューについては、あまり操作的な名称や愛称のようなものは考えず、そのままストレートに「クレアチンリン酸」と名づけていました。生徒たちも、意味も分からず、次は「クレアチンリン酸のトレーニングだ」と言って、やっていました。

 クレアチンリン酸のトレーニング
 スタンディングダッシュから60mの距離を、ほぼ全力で走ります。
 走り終えたら、ゆっくり止まって、歩いてスタート地点に戻ります。
 スタート地点に戻ったら、すぐに、また走ります。
 このような繰り返しを4本。
 これを1セットとして、セット間は、もう少し時間をおいて、歩いて休みます。
 このようなセットを4〜6セット行います。
 ゆるやかな坂登りで行うこともあります。
 腰にウェイトベルト(1〜2kg)をつけて、平地や坂登りで行うこともあります。
 このトレーニングの要点は、身体のエネルギーをしぼりとるということですから、慣れるにしたがって、強度やセット数を高めてゆく必要があります。
 1回の(1日の)トレーニングにおいても、最後にくたくたになって、もう走れないという状況に追い込む必要があります。
 このような内容ですが、実際のトレーニングメニューは次のようなものでした。

 クレアチンリン酸 60m×4本×5セット(ウェイトベルト)

 はじめてのときは、かなりしんどく思うでしょうが、何日か休んでいるうちに(他の運動などをやっているうちに)、身体が反応して、より多くのエネルギーを出せるように変化しますので、楽に走れるようになるのです。そこで、手を抜くことなく、さらに追い込んでゆくことによって、じわじわと強くなってゆくのです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, October 1, 2016)

 

「スポーツ解析」ブランチページへもどる