短距離ランニングフォーム解析 (25)
2011年ウサイン・ボルト選手の200mランニングの詳細重心解析

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 2011年ウサイン・ボルト選手の200mランニング

 解析に用いた画像は月刊陸上競技2011年11月号に掲載されてあった連続写真を使っています。この原画像では右へ向かって走っていましたが、解析上の都合により、左右を反転した画像へと変換して解析しています。このため、解析図で右手や右脚は青色で、左手や左脚は赤色で描くことになっています。
 このときの連続写真は200mの180m付近です。

 画像コマのステックピクチャー


図1 画像コマのステックピクチャー

 画像を左右反転して解析しましたので、1は右脚キックで、2は左脚キックとなります。ボルト選手はスウィング脚を膝で折りたたんで前方へと運ぶタイプのようです。キック脚となるため、前方へ振り出された脚がよく伸びています。しかし、意図的に伸ばしているのではなく、力を抜くことにより、自然と伸びているという感じがします。キック脚の足部が地面についたあと、ピョンとばかりに、かかとが浮き上がっています。キック脚の伸張反射がたくみに利用されていることがうかがえます。いずれも、右から数えて5つ目のフォームと6つ目のフォームの間に、キックポイントのフォームがあります。

 有効詳細フォームとキックポイントのフォーム


図2 有効詳細フォーム(左)とキックポイントのフォーム(右)

 いずれもガンマクランクキックです。やや腰高ですが、ほとんど標準の高さだと見なせます。いずれのフォームでも、スウィング脚の重心はダウンスウィングとして動かされています。全重心(黒)の動きも、ほぼ水平か、やや下方へと向かっています。GO前傾角は10度と12度であり、理想的ですSO前傾角は19度と22度となっており、これも理想的です。このようなガンマクランクキックのフォームで力を集中するということが、ごくごく自然に行われているという感じがします。

 総合解析

 これらの画像をクリックすれば、もう少し大きな画像のページへと進みます。また、それらのページの画像をクリックすることにより、このページへもどってくることができます。



図3 総合解析
(左上)@フォーム分類グラフ、(左下)A有効キック区間の代表フォーム
(中上)BTGB鉛直速度グラフ、(中下)CSK鉛直速度グラフ、(右)D総合水平速度グラフ

 BTGB鉛直速度グラフのパターンより、身体重心などの鉛直速度はほとんど生み出そうとしていないことが分かります。これらの速度プロットで、右のほうで下へと変化しているのは、キックが終わって離陸し始めた足までの長さが短くなるための、解析上での値の変化です。赤い縦点線のところがキックポイントです。ここから右では、すでに離陸が始まっていると見てよいでしょう。
 CSK鉛直速度グラフには、スウィング脚のダウンスウィングの特徴が現れています。
 D総合水平速度グラフでは、200mの180m付近ということもあり、加速のレベルとしては小さめですが、「爪とキャップ」の実線パターンがきちんと現れており、加速フォームとしての条件を見せています。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Jan 25, 2013)

 

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