短距離ランニングフォーム解析 (28) 桐生選手
桐生祥英選手のスプリント中間疾走の詳細重心解析

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 桐生選手のスプリント中間疾走

 解析に用いた画像は、月刊陸上競技2012年11月号に掲載されていた、洛南高校の桐生祥英選手の連続写真です。

 ランニングフォーム


図1 ランニングフォーム 左脚キック(Kry1L)と右脚キック(Kry2R)

 いずれもキック脚はクランクキックのパターンを示しています。スウィング脚の運び方は「跳ね上げダウンスウィング」というより「後方巻き上げ型」に近いもののようです。

 キックフォーム


図2 キックフォーム 左脚キック(Kry1L)と右脚キック(Kry2R)

 キック局面の4フォームだけを見ると、スウィング脚を、適度に後方へと残している様子がうかがえます。しかし、このあとのスウィング脚の動きが、それほど優れたものとはなっていないようです。
 キック脚は、落下のエネルギーを生かして、すばやい伸張反射へと結びつけている様子がうかがえます。
 いずれも、これらの動きにおいて、肩の位置が前後で入れ替っています。これは、骨盤の動きに対応しているものと見なすことができます。

 キック区間の詳細フォームとキックポイント


図3 キック区間の詳細フォームとキックポイント 左脚キック(Kry1L)と右脚キック(Kry2R)

 左脚キック(Kry1L)ではベータクランクキックで、右脚キック(Kry2R)ではガンマクランクキックでした。

 総合解析



図4 総合解析 左脚キック(Kry1L)と右脚キック(Kry2R)

 左脚キック(Kry1L)ではGO軸加速度比(aGO/g)のキャップパターンのピーク位置がキックポイント位置(赤い縦点線)のところにありますが、これは理想的な状態ではありません。キックポイントの位置は、キャップパターンのピーク位置より少し遅れるのが力学的な効率がよいのです。キック棒重心(dB)を基準としたスウィング脚重心(dS)の、相対的なスウィング脚重心速度(dS-dB, ピンク色)のパターンが平らなものとなっています。これは、スウィング脚へのピッチアップ動作が強く行われていないことを記しています。
 右脚キック(Kry2R)でも相対的なスウィング脚重心速度(dS-dB, ピンク色)のパターンは平らになっています。このキックフォームでは、あまりスウィング脚の動きは意識されていないようです。
 この右脚キック(Kry2R)では、キック脚を中心としたGO軸の変化が大きなものとなっています。緑がかった水色の丸でプロットしたdGOの立ちあがりぐあいがすばらしく、この加速度から求めたaGO/gというGO加速度比のキャップパターンが、するどく高いものとなっています。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Feb 14, 2013)

 

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