短距離ランニングフォーム解析 (35)
総合解析グラフに見る
キック脚重心水平速度dKと全体速度dGのリズム変化

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 はじめに

 2013年日本選手権100m山縣亮太選手(Yg)と2013年6月30日のトレーニングにおける黒月樹人(KRJ2)の、スピード能力3要素に関する総合解析グラフを見比べます。
 2013年日本選手権100m山縣亮太選手のランニングフォームを解析し、それにおける走り方のコツのようなものを推定して、2013年6月30日のトレーニングにおいて試みました。おおまかな特徴として、キック脚重心水平速度dKと全体速度dGの、正の相関としての、強い関係をもったランニングパターンを再現することができました。
 今回、それらの、スピード能力3要素に関する総合解析グラフを見比べることにより、共通点などが幾つかあることが分かりました。

 スピード能力3要素に関する総合解析グラフ

 次の図1は2013年日本選手権100m山縣亮太選手(Yg)についての、図2は2013年6月30日のトレーニングにおける黒月樹人(KRJ2)についての、スピード能力3要素に関する総合解析グラフです。
 dGはランナーの全体速度です。スピード能力3要素として、キック脚重心水平速度dK、係数p=2/3を掛けたヒップドライブ速度p(dT-dK) 、係数q=1/4を掛けた相対スウィング速度q(dS-dB) のグラフを、それらの値に応じて描いてあります。
 山縣選手のデータでは、スタートから8歩目からゴール1歩前までについて解析してあります。2013年6月30日の黒月樹人のデータでは、スタンディングスタートの1歩目から35歩目までを解析しましたが、このとき、ゴールというものはなく、およそ50mだけ力を込めて走り、30歩目あたりからは「流している」ようです。


図1 2013年日本選手権100m山縣亮太選手(Yg)


図2 2013年6月30日のトレーニングにおける黒月樹人(KRJ2)

 図1と図2を見比べ、次のような共通点を見出すことができました。

 (1) キック脚重心水平速度dKと全体速度dGに、強い正の相関がある。
 (2) スタートダッシュから中間疾走へと移る間に、やや速度の低い、「つなぎの区間」がある。
 (3) 中間疾走の前半と後半では、加速フォームが現れるリズムに違いがある。すなわち、前半では周期の短いリズムで、後半では周期の長いリズムとなっている。
 (4) スタートダッシュの最後のフォームは、ガンマクランクキックとなっている。

 これらの共通点について、私は、走る前から意識していたというものではなく、このように解析してみて、新たに気づくことができたものです。
 予想していたというか、期待していたのは、(1)の、「キック脚重心水平速度dKと全体速度dGにおける強い正の相関」だけかもしません。もっぱら、このことを真似ようとして走ったのでしたが、(2)以下の共通点の「発見」は、貴重なデータとなりそうです。
 これらの中で重要なのは、(2)の、「つなぎ」としての、スピードの停滞区間があるということかもしれません。このあとに、トップスピードを生み出す「動き」があるわけです。このような、「つなぎ」の区間は、はたして、必要なものかどうか、もう少し詳しく調べる必要がありそうです。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, July 16, 2013)

 

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