短距離ランニングフォーム解析 (36) ランニングフォーム概観
2013年世界陸上200m準決勝3組A.ゲミリ(Adam GEMILI, 英)19秒98

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 はじめに

 2013年世界陸上200m準決勝3組A.ゲミリ(Adam GEMILI, 英)19秒98の、ラスト区間10歩のランニングフォームを解析します。
 A.ゲミリ選手の情報は、次のサイトにあります。
   http://www.en.wikipedia.org/wiki/Adam_Gemili
 解析の都合で、A.ゲミリ選手の身長を調べる必要があったのですが、ここには記されていないので、もうすこし調べたところ、次のサイトにありました。
   http://www.teamgb.com/athletes/adam-gemili
 これによると、身長は165cmで体重が58kgなのだそうです。身長は低めですが、脚は長めです。なによりも、太ももや臀部の筋肉がよく発達しています。A.ゲミリ選手が陸上競技に専念したのは、ごく最近のことで、その前は、サッカー選手だったということです。パワーにあふれた脚力は、どうやら、サッカーで養われたもののようです。

 ランニングフォーム概観

 ラスト区間10歩のランニングフォームを図1として示します。  解析に使った画像は右に進んでいましたが、解析ソフトの都合で、これらを左右反転しましたので、これらの解析図では、赤色が左手と左脚を、青色が右手と右脚を示します。
 9歩目でゴールへと飛びこむ準備をして、10歩目では、まるで、水泳の飛び込みのように、頭を前方へと突き出しています。この動作が無ければ、20秒は切れていなかったかもしれません。ちょうど隣に選手がいて、1位を競ったということになりますが、準決勝は2着プラ2だったので、隣の選手とも合わせて2人で決勝進出できると、レース経験の豊かな選手なら、ここまでのフィニッシュ動作は行わなかったことでしょう。結果的に、最後の最後まで力を抜かなかったことにより、イギリスで2番目の20秒突破選手となって、注目をあびることとなりました。
 あとで詳しく解析した結果を示しますが、4歩目と5歩目と9歩目で、キック軸加速度比aGO/gの値が6を越えており、これらの3歩では、大きな力が生み出され、意図的に強いキックが試みられています。この反動で、6歩目と10歩目では、キックは弱くなっています。
 スウィング脚の運び方は、日本選手に多い「後方巻き上げ型」ではなく、軽い「跳ね上げダウンスウィング型」となっています。しかし、キックポイントでのスウィング脚は、膝の角度が60度くらいになっており、スウィング脚の膝を前方へと突き出そうとしていることがうかがえます。
 あとで「スピード能力3要素の三角表示」を見ることとなりますが、全体的に「大きな面積の三角形」となっています。これは、比較的大きな「ヒップドライブ速度」によります。5歩目では、ヒップドライブ速度 dT-dK=4.86 [m/s] 、相対スウィング速度 dS-dB=5.11 [m/s] もあり、キック脚重心水平速度dK=5.8 [m/s] と合わせて、バランスのとれたフォームとなっています。











図1  A.ゲミリ(Adam GEMILI, 英)選手のランニングフォーム
(画像をクリックすると拡大ページへ進みます)

 (Written by KULOTSUKi Kinohito, Aug 22, 2013)

 (追記)「スピード能力3要素の寄与式の三角表示」による検索

 次の図2はAdam GEMIL選手のランニングフォームに関する「スピード能力3要素の寄与式の三角表示」の一覧です。この三角形の面積が大きいこと(ヒップドライブ速度dT-dKと相対スウィング速度dS-dBに関係)と、右のほうに位置している(キック脚重心水平速度dK)とき、ランナーのスピード(全重心水平速度dG)が大きなものとなります。
 これらの小画像をクリックすると、拡大ページへと進みます。

図2 スピード能力3要素の寄与式の三角表示一覧
(画像をクリックすると拡大ページへ進みます)

 (Written by KULOTSUKi Kinohito, Sep 14, 2013)

 

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