曲走路(カーブ)を速く走るフォームのためのトレーニング/ 仮ページ(B)

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 はじめに

 曲走路(カーブ)を速く走るフォームのためのトレーニングを、直走路を速く走るフォームのためのトレーニングとは異なるものとして説明する必要があると、これまではまったく考えていませんでしたが、先日、わずか10歳のR10さんに、スタートダッシュと高速ランニングフォームでの中間疾走を指導したあと、試合で4×100Mリレーの1走をするというので、それを見たとき、「曲走路の走り方は、直走路の走り方とはびみょうに違っている」から、「あらためて指導する必要がある」と考えることとなったのです。
 かつて、(中学の教師として)中学生たちを指導していたころや、(地質調査のエンジニアとして)ボランティアで高校生や大学生たちを指導していたころには、まったく思いつかなかったことでしたが、本格的に走ってレースに出場するという、まっさらの初心者には、いろいろなことを基本にもどって指導する必要があるということを気づかされたということになります。
 このあと、私がテストのつもりで試みたトレーニングの一例を具体的に述べる形で、その中で行った、曲走路(カーブ)を速く走るフォームのためのトレーニングを説明します。

 [1] ウォーミンアップと走の基本ドリル

 (A) ハーフスキップB 50M×4
 ※ スウィング脚の膝下を前方へ振り出すスキップB系の運動から始めていますが、初心者や中級者は、スキップA系のドリルで、重心直下を押してキックする感覚をしっかりと身につけてから、スキップB系へと進んでください。
 ハーフスキップBの接地は、(30年ほど前にやっていたように)タイヤが地面を転がるようにするのではなく、瞬間的に重心直下を押す、スキップAの感覚となるようにします。空中での動きは、まるで、タイヤが回転しつつ、地面に触れるような動きですが、地面に接地した瞬間に、真下への動きが強くなるものなのです。

 (B) スキップBゴーオン 50M×4
 ※ ゴーオン(前進する)モードなので、地面を下方へ押したことにより、水平にスピードアップするようにします。外から見ると、ふつうに走っているように見えるかもしれませんが、ドリルとして、力の入れ方や動き方を調整して行うものです。接地した瞬間に力をこめて、身体重心直下を押し、リバウンドキックの感覚を追い求めて進みます。

 (C) ロングステップスキップB → ランニング 80M×4
 ※ スキップBゴーオンの動きで、キックを強調し、やや高く、さらに遠く跳ぶことを目指して、ロングステップスキップBを50Mほど行い、それに続いて、キックの強さを保ちながら、やや低く跳び出すことによって、ランニングのフォームへと変化させます。スキップBゴーオンより、さらにストライドが伸びたフォームを目指します。

 [2] 曲走路(カーブ)を速く走るフォームのためのドリル

 曲走路で速く走るフォームのためのドリルを説明します。身体重心直下を強く押して水平スピードを生み出す感覚を覚えるため、さいしょは、スパイクではなくシューズで行います。この感覚がしっかりと身についてきたら、スパイクをはいて、スピードアップしてもかまいません。

 (D) 中腰ジャンプ
 ※ 中腰姿勢によって脚が大きな力を生み出すことを理解するため、両脚の膝を伸ばして、その場で上下にジャンプすることと、膝をいくぶんか曲げて、中腰の姿勢によってジャンプすることを比較します。もっと膝を曲げてゆくと、やはり、強く力を生み出せないということも試します。クォーター(1/4)スクワットの姿勢が、中腰ジャンプとなります。一度体重を膝に乗せて、リバウンドジャンプするのです。

 (E) 中腰ウォークAゴーオン (カーブで50M×2)
 ※ ウォークAというのは、あえて膝下を振り出すことを意識しない、普通の歩行(ウォーク)です。まず重心をやや下げて中腰姿勢をとり、カーブで歩き始め、ややカーブの内側に傾きながら、身体直下を真下に押す感覚を保ちながら、しだいに速く進むようにします。このとき、支持脚の足首をつかって、スナップをかける動作をするのではなく、地面を真下に押す反動で、膝がどんどん前方へと跳ね返って進んでゆくようにします。


図1 中腰ウォークAゴーオン

 (F) 中腰ももあげジョッグAゴーオン(カーブで50M×2)
 ※中腰ウォークAゴーオンのスピードを上げて、空中に浮く瞬間があってもよいということにして、ジョッグスピードへと変化させます。このとき、脚が前方で動くように意識して、膝が腰の高さに近いところまで上がるようにします。身体重心直下ですばやくキックし、ただちに力を抜くと、反動で脚が前方へと跳ね返ります。これも、もちろん、カーブでおこないます。

(画像は制作中)
図2 中腰ももあげジョッグAゴーオン

 (G) 中腰ベータ(クランクキック)ランニングA (カーブで50M×2)
 ※中腰ウォークAゴーオン →中腰ももあげジョッグAゴーオン →中腰ベータランニングAへと、しだいにスピードを上げていって、ランニングのモードへと変化させます。ランニングフォームとしては、ベータクランクキック(重心直下から2番目のフォーム)を目指します。キック脚の膝に乗ってゆき、地面を足首でスナップすると、ガンマクランクキック(3番目)になりますが、こちらを追い求めると、スピード効率の悪いデルタクランクキック(4番目)へと変化してしまいますので、ガンマクランクキック(3番目)より前にキックポイントがあるベータクランクキック(2番目)を目指します。

(画像は制作中)
図3 中腰ベータ(クランクキック)ランニングA

 (H) 中腰ベータ(クランクキック)ランニングA →
   標準(高)ベータ(クランクキック)ランニングB
(カーブで50M×2)
 ※ さいしょからランニングモードでスタートし、スピードが乗ってきたら、曲走路の後半で、膝下を振り出すスキップB系の動きを加え、中腰ベータ(クランクキック)ランニングBとします。このときでも、カーブを走っているので、やや内傾し、重心を上げすぎないようにして、標準(高)くらいをたもちつつ、スウィングして、キック脚のすねが垂直に立った姿勢で地面をとらえ、身体重心直下を強く押すことでスピードアップしてゆく感覚をつかみます。

(画像は制作中)
図4 標準(高)ベータ(クランクキック)ランニングB

 [3] 身体にやさしい補強

 「身体にやさしい補強」というのは、「瞬間的に大きな力を生み出すことのないもの」という意味です。たとえば、立三段跳や片脚跳躍走、あるいは、ハイステップスキップBやハイニースキップBなどは、瞬間的に体重の何倍もの力を加えることとなり、上記のようなランニングトレーニングの後に行うのは、かなり強い補強となってしまいます。
 次に説明する補強では、大きくても体重の1〜2倍程度の力で、回数をたくさんやることにより、エネルギーをうばい取る、オールアウトの状態へともってゆくことができるものです。

 (I) ゴリラ歩行(ナックルウォーク)とゴリラジャンプ
 ※ 両手をやや握り、前方の地面にグ―でつくか、できるだけ近づけて歩きます。前方へ進むモードと、後方へバックするモードを組み合わせます。
 ※ この姿勢のまま、片脚でピョンピョン移動するものが、ゴリラジャンプです。これはかなり負荷が高くなります。


図5 ゴリラジャンプ(前進バージョン, ←↓←順)


図6 ゴリラジャンプ(後進バージョン, →↓→順)

 (J) 恐竜ジャンプ 
 ※ 両腕を前方の地面につけ、片脚で立って、もう片脚を、恐竜のしっぽのように、後方へと伸ばし、その場で上下にピョンピョンと跳びます。前後にピョンピョン跳ぶと、ゴリラジャンプとなります。


図7 恐竜ジャンプ(→↓→順)

 (K) 小人(こびと)歩行
 ※ パントマイムの演目で、ついたての向こうで歩いて、エスカレーターに乗っているかのように見せるものがあります。それの途中の腰の高さで、まるで、小人(こびと)が歩いているかのようにするものです。ハーフ(1/2)スクワットの、膝の角度が90度くらいのポーズのまま歩くものです。これは、走幅跳の踏切1歩前でめざす、イプシロンクランクキックのポーズへとつながる補強ドリルです。


図8 小人(こびと)歩行(←↓←順)

 (L) 正式な腕立て伏せ
 ※ 横長のベンチを、間をややあけて、平行に2つ並べ、両腕と両足を、それぞれのベンチに乗せて腕立て伏せをしますが、このとき、胸がペンチの面より下へと下がるというのが、「正式な」腕立て伏せの条件でした。かつて、このような種目で体力を競うテレビ番組があって、そこから採用した補強ドリルです。20回〜40回を行います。胸の筋肉を引っ張ることになるので、胸筋がよく発達します。


図9 正式な腕立て伏せ(→↓→順)

 (M) 脚上げ腹筋
 ※ 競技場では、雨水を通す管を利用して、その前に横たわり、両手で管をつかみます。そのようなものがないときでも、補助者がいれば、立ってもらって、その脚を柱として利用できます。この姿勢から、両脚を管や柱の上へと持ち上げ、地面へと戻すときに、地面に足をつけないようにします。足首におもりをつけるとか、補助者に足を突き放してもらって負荷を大きくすることができます。胴体をややねじると、横の腹筋もきたえることができます。


図10 脚上げ腹筋(お尻をつけないバージョン, →↓→順)

 (N) しゃくとり虫後方ジャンプ
 ※ 平地で腕立て伏せのポーズをとって、脚と手の間隔をややせばめることにより、お尻を高く上げます。この「への字」型のポーズで、ピョンピョンと後方へ跳びはねて移動します。


図11 しゃくとり虫後方ジャンプ(→↓→順)

 (O) 片脚かかと上げ(片脚ヒールレイズ)
 ※ 階段などの段差を利用して、かかとを段から出して、片脚のポーズをとり、かかとを上げ下げします。40回を基本として行います。


図12 片脚かかと上げ(片脚ヒールレイズ)(→順)

 (P) 馬のひづめ歩行(背伸び歩行)
 ※ かかとを上げて、背伸びして歩くものです。100Mとか200Mとかの、長い距離で行います。慣れてきたら、誰かをおんぶして行うと負荷がたかまります。

 (Q) 片脚クォータースクワット
 ※ 階段を利用して、手すりを持ち、(かかとは段の外にださなくてもよいので)片足立ちして、もう一方の足先を、後方の1つか2つ下の階段へと向けて、身体を上下させます。これも、40回を基本として行います。
 慣れてきたら、20KGくらいの重さにしたリュック(やバックパック)を背負って行います。


図13 片脚クォータースクワット(→順)

 (R) 指立てふせ
 ※ スタートの姿勢のときのように、指を立てて、腕立て伏せをします。「正式」なものではなく、平地でかまいません。10回から20回くらいで行います。


図14 指立て伏せ(→↓→順)

 ここでは10種目をとりあげましたが、3〜5種目くらいを選んで、3セットほど反復したほうが、オールアウトへともってゆきやすくなり、効果があがります。

 「仮ページ」のおことわり

   上記のトレーニングは、私が実際に行ったものでした。およそ1時間半かかったものです(説明しながら行うとしたら3時間くらいかかるかもしれませんが)。しかし、その日は一人でしたので、ビデオ撮影して画像を組みこむことができませんでした。今度誰かにビデオ撮影してもらえたら、それで画像を構成して組み込むことにします。
 2013年12月14日(土)にWDAさんといっしょにトレーニングしたとき、いろいろな補強のビデオを撮影してもらいましたので、それをベースとして、図5から図14を制作しました。図1から図4のためのビデオも撮影してもらったのですが、この日の私自身のランニングは、見本として示せるようなものではありませんでした。2時間分くらいのメニューを、説明と指導により、3時間かけておこなったため、かなり私自身がばててしまって、中途半端な走りしかできなかったようです。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Dec 15, 2013)

 

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