コーチング (26) トップスピードのランニングで
さらにスピードを増加させるためのトレーニング

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)@ 9621 ANALYSIS

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 はじめに

 エピソード(62)と(63)で「トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには?」というタイトルのもと、このような目的のために注意すべきことをまとめました。それらの記述において、ページ数が増えてしまうため、具体的なドリルやトレーニングメニューについて説明するのを割愛しました。そこで、この「コーチング」のブランチのリーフページにおいて、このことを述べようと思います。

 トレーニングメニューのサンプル

 次のトレーニングメニューは、実際に、私が行ったものをベースとしています。ランニングスピードのレベルについては、私は遅いほうに対応しますが、ランニングフォームのコントロールレベルの視点からは、かなり上級者と見なせます。
 高速ランニングフォームとしての、重心直下でのベータクランクキックや、中ほどでのガンマクランクキックが、まだうまくおこなえず、キック脚の膝上部分が主に動く、メトロノームキックによる、デルタクランクキックが中心的なフォームとなっているランナーは、キック脚全体を、膝が少し曲がったままで振りまわして使えるような、ベータやガンマのクランクキックで走れるようにトレーニングする必要があります。

[1] W-up(ジョッグとストレッチ)

[2] ドリル(シューズ、オールウェザー走路)
 (A) 足首スナップランニング
 ジョギングくらいのペースで走りだし、足首のスナップを意識することによって、スピードを上げてゆきます。前方に出したキック脚の膝をよく伸ばす、ワイドシザースフォームを意識し、地面を素早く踏みしめる動作に続いて、足首の強いスナップを加えます。スピードが高まってゆきますが、太ももなどのパワーはあまり使っていないので、遅めのランニングスピードとなります。110m×4本
 (B) 足首スナップスキップA
 スキップAを行い、地面を蹴るときに足首のスナップを意識して、水平スピードが少し高まるようにします。40m×2本
 (C) 足首スナップスキップB → ワイドシザースランニング
 ハーフスキップBから始め、地面を蹴るときに足首のスナップを意識して、水平スピードが高まってゆくようにします。さらに、途中から、ワイドシザースの動きを強調し、さらにスピードアップして、ほとんどランニングのフォームへと移ってゆきます。80m×2本

 追記(修正コメント)
 ここに記したトレーニングメニューは実際に何度か行ったものですが、その結果、これでは良くないという問題点が分かってきました。
 これらのトレーニングのあと、ランニングフォームがどのように変化したのか、そして、それにより、少しは速く走れるようになったのかを調べるため、比較的良好なコンディションのもとで、私のランニングをビデオ撮影してもらい、それを解析したのですが、このときのランニング(KLO25, KLO26)においては、足首スナップが、キック脚全体の動きと、微妙に分かれることとなり、その結果、キックポイントがずれてゆき、デルタクランクキックが連続して現れるという状態になってしまいました。もちろん、ランニングスピードは低下してしまいました。
 このような解析結果を省みて、上記の「足首スナップ」のところを、あまり意識して、キック脚全体の動きと分けないようにこころがけ、「足首キック」というよりは「キック脚全体によるクランクキックの最後まで力をこめる」という意識で、力の集中をこころがけ、キック動作が「ひとつのもの」としてイメージできるようにしました。
 このため、上記のドリルは、次のようなものに変えることにしました。
 (A) レッグモーメントキック 100m×4
 ジョッグスピードから動きだし、ワイドシザースフォームを意識し、スキップB系の大きなスウィングを心がけて、キック脚の大きなモーメントとパワーを意識して水平スピードをあげてゆくキック
 (B) ハイピッチスキップA 40m×4
 (C) ハイピッチスキップB→ワイドシザース・クランクキック・ランニング
   80m×4

[3] フォームチェックランニング(スパイクシューズ、オールウェザー走路)
 80mを前半の40mと後半の40mに分け、前半の40mのスピードアップはゆるいものとしておき、後半の40mでスピードが高まるようにします。80m×4本
 フォームを意識してコントロールする順番は、次のようにしました。

 (1) ピッチアップ
 スウィング脚を跳ね上げダウンスウィング(もしくは、跳ね上げレベルスウィング)とし、スウィング脚を膝でしっかりと折りたたみ、意図的に速く引き出すことにより、ピッチアップする。
 (2) ワイドシザース
 ワイドシザースフォームを加え、前方の脚の膝をしっかりと伸ばす。
 (3) 足首スナップ
 空手パワーキックからの足首スナップを加え、地面をしっかり後方へ弾く。

 このトレーニングでは、前半からスピードをあげておくのではなく、後半のいろいろなテクニックによってスピードアップができてゆくということを実感することがポイントとなります。

追記(修正コメント)
 上記(3)のところのトレーニングも、次のようなことを意識するように変えました。
 (3) キック脚のモーメントを大きくすることと力の集中 
 ワイドシザースフォームにより大きくなったキック脚のモーメントを維持しつつ、それの角速度を大きくするようにして、角運動量を大きくし、キック動作全体のパワーを上げ、かつ、このときの動きができるだけ集中して行えるように意図します。
 足首だけをくねくねと動かすのではなく、「足首まわりを固定して」地面を弾く感覚を追い求めます。ただし、足首まわりは、固定されたとしても、圧縮された反動で、自然な反発をします。つまり、そのほうが、強いバネになり、かつ、キック脚全体のパワーの一端として組み込むことができるわけです。
 このようなトレーニングを繰り返し、時期をみて、次のランニング(KLO29)をテストして解析したところ、ガンマクランクキックが連続するようになり、ランニングスピードも少し大きくなってきました。

[4] トップスピードランニング(スパイクシューズ、オールウェザー走路)
 スタンディングスタートから、全力の95%くらいのパワーとスピードでダッシュし、ただちに、中腰ガンマクランクキックを目指して加速して走り、トップスピードを目指して走ります。
 このとき、上記のフォームチェックランニングで意識した(1)〜(3)のテクニックをなぞって、全体の動きをまとめ、これらの動きがスピードアップにつながるようにします。100m×4本

[5] 特殊持続走(スパイクシューズ、オールウェザー走路)
 200m×2本
 前半の曲走路では、ワイドシザースフォームを意識しません。
 カーブでは、次の着地点の左前に向かって、すこし斜め下方へと突っ込む感じになると思います。
 全体的に、足首のスナップを利かせたキックを意識しました。
 前半の曲走路での走るリズムは、若いころ、こんな感じで走っていたなあと感じられるようになってきました。
 後半の直走路で意識してスピードアップしようと考えていましたが、向かい風とエネルギー不足で、そこまでスピードアップできませんでした。
 現時点では100mくらいでエネルギーに余力がなくなり、直線に入るところの、中腰ガンマクランクキックを目指すところで、うまくスピードアップできませんでした。
 しかし、ここであきらめてしまわないで、スウィング脚をしっかりと折りたたみ、引き出すスピードを上げようとして、ピッチアップし、重心が浮かない跳び出しを心がけて走り切るようにしました。

[6] C-down(シューズ)

 コメント
 およそ2時間のトレーニングでした。
 もうすこしシーズンインすれば、[4] のところで、スターティングブロックからのスタートダッシュを組みこむ必要があります。
 このようなトレーニングのあと、太ももの前後やふくらはぎは何ともなくて、臀筋に疲れと軽い筋肉痛が残っていました。真正クランクキックでうまく走れるようになってきたようです。
 このようなトレーニングメニューでは、距離や本数、そして、絶対的なスピードレベルは、個々のランナーによって大きく違って当然です。
 このようなトレーニングで本質的なことは、どのようなことを意識して、自分の身体にやらせてゆくのかということです。
 遅いランナーから速いランナーまで、それぞれに、克服してゆくべき課題があると思います。それをしっかりと認識して、その課題をクリアーしてゆくためには、何を意識して、どのように動いてゆけばよいのかというストーリーをきちんともっておくということが重要になります。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Apr 10, 2014)

 

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