ej08 日本選手権女子100m決勝
全員スピードの出ない古典的なフォームで走っている

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito) 本名 田中 毅(TANAKA Takeshi)

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 はじめに

 日本選手権女子100m決勝の画像は、次のYouTubeのサイトから収録しました。

 決勝 女子100m 日本選手権陸上2019

 この後記すコードのあとの数字は、たとえば3010のとき、ビデオの3分1秒の画面で、今回の1桁はすべて0です。時系列の順番は必要ありませんでした。

 日本選手権女子100m決勝

 図1はスタートの動きが始まったときの画像です。ですから、スタート時刻は、これより少し前でしょう。
 図2はおよそ70m前後のあたり、図3は80m前後のあたりとなります。
 図4は1着のゴールか、そのわずか前の画像です。

図1 コード3010(3分1秒)

図2 コード3080(3分8秒)

図3 コード3090(3分9秒)

図4 コード3120(3分12秒)

 図2と図3は、先頭の3人のランニングフォームの局面がほぼ同じで、前方へ振り出した脚の動きが一瞬止まって見えるところなので、比較的くっきり写っています。
 サニブラウンや桐生祥秀の同じ局面に比べ、あまりにも未熟です。
 この日本においては、誰も、高速ランニングフォームなぞ無視して、何十年も前からの、日本の古典的なランニングフォームのまま走っています。
 世界の女子のランニングフォームを学ぼうとか、男女の区別なぞ関係なく、アメリカやジャマイカの短距離選手がなぜ速く走れるのかということを学ぼうという考えが、どこにもないのではありませんか。
 せっかくの身体的な能力があっても、スピードを高められないランニングフォームしかマスターしないのであれば、記録はずうっと停滞したままです。
 もう少し具体的に述べておきます。

 (1) 身体重心直下で力を集中させれば、それで速く走ることができるという、古い時代からアメリカの トム・テレツ コーチが言っていたことが、体で分かっていない。
 かつての世界記録保持者であった、アメリカのグリーンは、この技術を徹底して、100mの最後まで、脚を前でさばく、ももあげ走のランニングフォームだったが、ボルトやサニブラウンのフォームでわかるように、最近では、後方へ足を送って、前方へ振り出す脚の動きとバランスをとるようにしているので、素人目には、古典的なフォームと見分けにくい。
 しかし、高速度撮影で調べるか、ランナー自身の感じ取り方が異なることをチェックすれば、ここに違いがあることは分かる。

 (2) トップスピードになっているのに、スウィング脚の膝を曲げたまま振り出し、まるでスタートからの中間加速走のまま走っている。図2と図3は、この証拠となる画像。
 前方へ足を振り出すことにより、接地位置が重心直下より前となって、力のピークを身体重心直下に合わせやすくなる。力のピークの位置が身体重心直下から、わずかでも後方へ移ると、幾何的に、水平スピードへの変換効率が、驚くほど小さくなる。

 (3) 全般的、そして、全員、身体重心の位置、分かりやすく言えば、腰の高さが高すぎる。
 ミュンヘン、モスクワオリンピックの時代の、ソビエト連邦のボルゾフが、この技術について説明しており、彼は、この技術をマスターするため、潜水夫がつける腰の重りベルトを利用したと著書に書いていた。
 サニブラウンは、この技術を知っているはず。接地時の微妙な中腰状態を観察すれば分かる。
 スキップAなどで身体重心直下を打つ動きから、少しずつ重心を下げてゆくと、水平スピードを大きくすることができ、そのような動きのまま走ることができる。これが高速ランニングフォームの基本である。
 応用は、トップスピードになってきたときの、前方振りだしを大きくして、より大きなパワーを生み出すというもの。

 (Written by KLOTSUKI Kinohito, June 29, 2019)

 

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