高速ランニングフォームについてのエピソード(21) スウィング脚
キック力をうまく水平速度へと変換するためには
スウィング脚が重要となる

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 キック力をうまく水平速度へと変換するには


図1 (全)重心の高さの変化といろいろな速度の関係

 この図1は「エピソード (20) 重心の高さ」のものと同じです。
 キック力と呼ばれるものは、キック軸 (GO) の長さが変化することによって生まれます。キック力が強く作用すると、上の方へと身体重心 (G) を動かすことになります。しかし、図1の作図で明らかなように、キック軸の変化 (BE) が同じであっても、(b) のように、鉛直速度 dy が生まれると、水平速度 dx の大きさが小さくなります。
 (a) でも鉛直速度は、わずかにあるはずですが、(b) ほど目だったものではありません。キック力をうまく水平速度へと変換するには、(a) のように、できるだけ身体重心を水平に保っておく必要があります。
 キック力を大きくしようとすると、上方へと動きがちです。しかし、水平に動かないとランニングスピードとして高まりません。このような問題を解決してくれるのが、スウィング脚なのです。

 いろいろなスウィング脚の使い方

図2として、いろいろなスウィング脚の使い方のサンプルを集めました。


図2 いろいろなスウィング脚の使い方

 色は異なりますが、図2の重心軌跡のプロットは、上から、キック棒(キック脚と上半身)重心、全重心(これは黒色)、スウィング脚重心となっています。
 (a) アップスウィングでは、スウィング脚の膝を高く引き上げようとしています。キック脚のキック動作により、キック棒重心も上向きになろうとしているので、全重心も上向きになってしまいます。走幅跳やハードルの踏切では、このような動きが役立ちますが、スプリントランニングでは、キック動作を水平スピードへと変換する効率が悪くなります。
 (b) レベルスウィングの動きでは、3つの重心軌跡がすべて水平な動きをしています。キック脚のクランク構造がうまく作用して、このように調整できるときのものです。多くのスプリンターは、このような動きをしています。
 (c) ダウンスウィングでは、キック棒重心が上向きに動こうとしているのに対して、スウィング脚重心が下向きに動こうとして、全重心をちょうど水平に保とうとしています。スウィング脚の動きが、このようにできるということを条件として、キック脚によるバネをより強く使うことができるわけです。さらに、このダウンスウィングでは、キックポイントにおけるスウィング脚重心の水平速度を高めやすいという利点があります。
 (Written by KULOTSUKI Kinohito, Dec 25, 2012)

 

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