高速ランニングフォームのエピソード(62)
トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには?

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 はじめに

 スプリントランニング(短距離走)のフォームと、そのメカニズムについて調べていますが、まだまだ、分からないことがたくさんあります。
 ここにタイトルとしてとりあげた、「トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには?」という問いの答えも、まだ、よく分かっていないのではないでしょうか。
 このページでは、これまでに調べて分かりだしてきた知識や、ランナーの解析データなどを統計的に調べたものなどを使って、この問題について考えてゆきます。

 スピード能力3要素

 ランナーの身体モデルを考え、質量分布を決めておくことにより、いろいろな動きにおける、身体各部の重心を求めることができます。そのような手法により、ランナーの全重心水平速度dGを構成する、3つのスピード能力の要素を見出しました。
 身体各部のいろいろな重心を、G(全体)、T(両腕と頭と胴体からなる上半身)、K(キック脚)、S(スウィング脚)、B(キック棒, TとKの重心)とし、それらの水平速度を小文字のdを前につけて、dG, dT, dK, dS, dBと表わすことにします。
 次の図1に、スピード能力3要素としての、キックベース速度dK、相対トルソ速度dT-dK、相対スウィング速度dS-dBの求め方を示します。


図1 スピード能力3要素の構成

 次の図2はキック軸GOを示したものです。このキック軸の長さの変化がキック軸速度dGOです。図3に示されているように、ランナーが地面に接地するとき、キック軸速度は負の値となります。キック脚が膝で曲がろうとして、身体重心Gが沈み込むわけですが、そのままつぶれてしまうのではなく、筋肉が引きのばされて力を生み出し、キック軸速度を正の値へと変化させます。このようなキック軸速度を時間微分して、キック軸加速度aGOを求めますが、このままの数値では分かりづらいので、重力加速度gで割った、キック軸加速度比aGO/gとしてグラフ化してあります。



 全重心水平速度dGというのが、ランナーの(水平)スピードと読み替えられるもので、スピード能力3要素は、ランナーのスピードを構成する3つの要素です。
 キック軸加速度比というのは、スピード(速度)ではなく、力についての比です。
 このあと、ランナーのランニングパターンの違いによって、これらの、スピード能力3要素やキック軸加速度比が、全重心水平速度dGとどのような関係を示すのかということを調べます。

 KLO15とKLO20の違いを統計データで調べると


図4 KLO15 RUN(7-8)


図5 KLO20 RUN(13-14)

 図4はKLO15(2014-02-09)の、図5はKLO20(2014-03-29)の、ランニングフォームのサンプルです。同じランナーによる、(わずかに)時期の異なるランニングなので、違いは、よく分からないと思われますが、これらのランニングフォームを調べて、次のような統計処理を行うと、微妙なところに違いがあることが分かります。


図6 キックベース速度dKと全重心水平速度dGの相関


図7 相対トルソ速度dT-dKと全重心水平速度dGの相関


図8 相対スウィング速度dS-dBと全重心水平速度dGの相関


図9 キック軸加速度比aGO/gと全重心水平速度dGの相関

 図6から図9の内容をまとめると、次のようになります。
 これらはいずれも、全重心水平速度dGに対して、どのような要素が強く関わっているのかという観点でしらべたものです。
 KLO15においては、キックベース速度dKが強く関わっています。その次に、相対トルソ速度dT-dKが関わっています。しかし、相対スウィング速度dS-dBに関しては無関係です。そして、キック軸加速度比aGO/gに関しては、弱い相関であるものの、負の相関となっています。つまり、キック軸加速度比aGO/gが大きくなると、全重心水平速度dGが小さくなるという傾向があるわけです。
 これに対して、KLO20においては、キックベース速度dKの関わりは、KLO15ほどではありませんが、正の相関をもっています。相対トルソ速度dT-dKについては、KLO15よりやや弱い正の相関となっています。ここまでの、キックベース速度dKと相対トルソ速度dT-dKに関しては、KLO20よりKLO15のほうが、うまく効果を生み出していたようです。ところが、KLO15では、全重心水平速度dGに対して、無関係か、弱い負の相関であった、相対スウィング速度dS-dBとキック軸加速度比aGO/gに関して、KLO20では、あるていど強い正の相関をもっているのです。つまり、KLO20においては、スウィング脚の動きと、キック軸に沿った力が、全重心水平速度dGを大きくすることに役だっているのです。
 まとめると、全重心水平速度dGを大きくすることに、キックベース速度dKや相対トルソ速度dT-dKが役だつような動きに関してはKLO15のほうが優れているものの、KLO20では、相対スウィング速度dS-dBとキック軸加速度比aGO/gが役だつような動きとなっているということです。
 理想的には、これらの全ての要素がスピードアップに役だっているようなランニングフォームを生み出せるとよいのですが、それがどのようなものなのかということが、まだ、よく分からないので、上記のような違いがあるということが分かったということにより、そこへのプロセスを見出すことができるかもしれません。

 トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには?

 「力が作用すれば速度が変化する」というのが力学の法則です。もうすこしげんみつに表現すると、力=質量×加速度(F=ma)なので、力(F)が作用するということは、その質量(m)にかかわる加速度(a)が生じたということです。加速度は、速度の変化です。プラスの加速度があれば、速度は大きくなります。
 このような原則的なことは、スタートダッシュのときに、うまく関係しています。しかし、最近の研究で分かってきたことですが、このようなスタートダッシュは、これまで考えてきたような距離まで続きません。力学的に分かりやすいメカニズムになっているスタートダッシュは、ランナーによって変わりますが、スタートから2歩〜4歩くらいと見なすことになりそうです。
 その後のランニングについては、もっと複雑なことが起こってきます。「力が作用しても速度はたいして変わらない」とか、「力をこめているのにスピードアップするどころかスピードダウンする」というようなことになったりもします。
 ヒトのランニング動作というのは、なかなかに難しいものなのです。
 キック軸に沿って力を生み出しているということは、キック軸加速度比が大きいということになります。ところが、このときのキック軸の傾きを考慮すると、このときの力は、ランナーの水平速度よりも、鉛直速度を変化させるために使われているということが多いということが分かってきました。
 キック軸に沿った力や加速度ではなく、キック軸に沿った速度のところで、ランニングスピードの水平速度との関係を調べてゆくことで、キック軸速度dGO(=a)と全重心水平速度dG(=b)との変換比b/aが、いろいろなランニングフォームによって異なるということが分かってきました。また、このような変換比b/aは、キック時に最大速度を生み出すキックポイントの瞬間に、身体重心の鉛直速度dyがゼロに近いときに、もっとも効率の良い値となることも分かりました。
 これらのことから、重心の浮かないキックフォームであることと、身体重心直下に近いところでのキックフォームを目指すべきだということが分かってきました。
 これらのテクニックは「どのようなトップスピードを生み出すのか」ということにつながってゆくのかもしれません。ところで、ここでのテーマは、「トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには?」ということです。言葉の使い方がまちがっているかもしれませんが、トップスピードのさらに上を生み出す方法について考えているのです。ここで使っている「トップスピード」は仮のもので、「トップスピードとみなされる、あるレベルのスピード」と考えておくべきなのかもしれません。
 上記の統計データによる比較によって、何が分かるのかというと、「トップスピードのランニングでさらにスピードを増加させるには、どのような要素を変化させてゆけば良いのか」ということなのです。
 スピード能力3要素というのは、キックベース速度dK、相対トルソ速度dT-dK、相対スウィング速度dS-dBの3つです。これらは、係数p=2/3、q=1/4を用いて、次のように、全重心水平速度dGを構成する速度となります。
   dG = p(dT-dK) + dK + q(dS-dB)
 この右辺は、左から順に、上半身、キック脚、スウィング脚のスピードについて、それらが見積もられる形式を表現しています。
 上半身が積極的にランニングスピードに寄与できるのは、ハードルでの踏切動作のときくらいで、一般のランニングにおいては、上半身の動きでスピードロスを生み出さないようにするかどうかという点で、全重心水平速度に関わっています。
 キック脚の効果は難しいので、これについての考察は、あとまわしにします。
 もっとも分かりやすいのは、スウィング脚のスピード効果です。

 (A) スウィング脚の速度を上げることによって他の質量要素をひっぱる

 たいていのランニング動作において、スウィング脚重心は、全重心水平速度を上回る速度で動いています。スウィング脚は、ランナーの腰につながっていて、そこにぶら下がった、複合振り子として、膝で折りたたまれたり、伸ばされたりしながら、後方から前方へと運ばれます。ランナーの全身からスウィング脚を取り除いた部分を「キック棒」と(私は)呼んでいます。キック棒の重心はBで、水平速度はdBです。このような構造を考慮して、相対スウィング速度dS-dBを取り出し、スウィング脚やキック棒の質量比を考慮し、運動量の保存法則を使うことによって、dS-dBに掛けられる係数q=1/4の値を求めました。
 相対スウィング速度dS-dBは、遅いランナーでも、3〜4 [m/s] の値を生み出しています。日本や世界のトップランナーでは、5 [m/s] クラスのフォームも見られます。
 相対スウィング速度が4.0 [m/s] から5.0 [m/s] へと変化したとき、係数q=1/4を掛けて、全重心水平速度dGの成分としては、1.0 [m/s] から1.25 [m/s] へと変化することになります。つまり、0.25 [m/s] だけ速くなるのです。
 このように見たとき、相対スウィング速度を大きくするということには、あまり効果が期待できないと考えられるかもしれません。しかし、相対スウィング速度を大きくしようとすると、キック軸の向きを、いくらか変えることとなって、鉛直成分dy=0のキックポイントにおける速度ベクトルを生み出すことへとつながり、このことにより、キック脚とも合わせて生み出す、キック軸速度を大きくすることと、速度の変換比b/aの値を大きくすることへと関係して、結果的に、より大きなスピードへとつながります。
 相対スウィング速度の値がどのようなものであれ、スウィング脚重心がダウンスウィングとなることにより、キックポイントにおける速度ベクトルの水平化を導くことになります。
 相対スウィング速度を大きくすると、このような、いくつもの効果が組み合わさって、ランニングスピードを高めることへとつながります。
 このように、相対スウィング速度を大きくするには、ひとつは、ランナーの意図が作用します。ピッチアップしようとする意識により、通常は、スウィング脚を速く引き出すことができます。
 ところが、スウィング脚を速く引き出そうとしても、「速く」ではなく「早く」引き出すことになったときは、相対スウィング速度が大きくならないことがあります。
 相対スウィング速度がうまく利用されるためには、キックポイントのときに、大きな速度となる必要があります。そのため、あまりに「早く」前に動いてしまっていたら、「速く」動く余地がないということになってしまうのです。
 相対スウィング速度を大きくして、かつ、それが全速度に寄与されるためには、キックポイント前後で大きく動けるように位置していなければなりません。
 このため、キックポイントの前において、スウィング脚が適度に後方に残されている必要があるのです。
 日本のランナーのテクニックとして、スウィング脚を膝で折りたたみ、お尻の後ろに、キック脚のかかとをつけるようにするフォームがあります。これは、スウィング脚が比較的細いときはできますが、太くなると難しくなります。また、このフォームはハムストリングスの肉離れを起こしやすいという危険があります。しかし、これらの問題をクリアーしているランナーにとっては、スウィング脚を素早く前方へ引き出すことができるので、効果的な動きとなります。


図10 スウィング脚の「後方巻き上げ型」(山縣亮太選手)


図11 ウサイン・ボルト選手の「後方巻き上げ型」(赤→左、青→右)


図12 ヨハン・ブレーク選手の「跳ね上げダウンスウィング」

 スウィング脚重心を適度に後方に残して、かつ、スピードも高めやすい状態にしておくというフォームが、「跳ね上げダウンスウィング」と呼んでいるものです。(しかし、「後方巻き上げ型」と「跳ね上げダウンスウィング」は程度の違いだけであり、あえて名前を変えるほどのことはないかもしれません。)
 スウィング脚を膝で少しおりたたんでおくのですが、かかとは、お尻よりやや下で、くっつかない状態でキープされます。これがうまくキープされるためのコツは、前方にあるキック脚の膝を伸ばして、すこし「空気に乗る」ことです。水泳での「水に乗る」にたとえた感覚ですが、キック脚を前方に伸ばすことによって、スウィング脚を後方へとキープすることができるのです。そして、前方に伸ばしたキック脚を引き戻すときの、後方へのキック脚の角運動量と、後方から前に進もうとするスウィング脚の角運動量とが打ち消し合います。このとき、キック脚はできるだけ伸ばして、モーメントを大きくしておき、スウィング脚はできるだけ膝で折りたたんで、モーメントを小さくしておくことができれば、スウィング脚重心の水平速度が大きくなります。ヨハン・ブレーク選手のトップスピードランニングフォームにおいては、このことが見事に実現されています。
 ここでの本質は角運動量なので、前方に伸ばしたキック脚のモーメントがさほど大きくなくても、後方への角速度が大きければ、まわりまわって、スウィング脚の動きが速くなります。「弓形ハンマーキック」と呼んでいるキック脚の動きは、スウィング脚にとっても役立つものなのです。

 (B) キック脚によって地面を後方へと弾くことによって全体を押す

 キック脚の動かし方として、かつては、キック脚の膝から上の太ももが前方へと振れるものがスピードにつながるものと見なされていたことがありました。図13のような動きとなるものです。これまで、これを「ハムストリングスキック」と呼んでいましたが、このとき主に使われる筋肉群は、太ももの裏側のハムストリングスではなく、表側の筋肉だと気がつきました。ですから、これを「ハムストリングスキック」と呼ぶのは誤解につながり、明らかに間違っています。
 このような動きを、もうすこし見たままの表現として、「膝を支点として太ももが振れるキック」と表わすのが正しいのかもしれませんが、これでは冗長なので、このような太ももの動きが音楽で使うメトロノームの振り子の動きに似ているというところから、短く、「メトロノームキック」と呼ぶことにします。


図13 メトロノームキック

 このようなメトロノームキックは400mランナーなどでよく見られます。少し遅いスピードで走るのに適しているものです。また、このフォームでは、身体重心が浮く傾向があります。400mのランニングでは、これらのことが、逆に、うまく利用されているのかもしれません。
 しかし、100mのような、完全なトップスピードを生み出そうとするランニングには向いていません。完全なトップスピードを生み出そうとするランニングに、うまく適応しているのは、次のような、真正クランクキックだと考えられます。


図14 真正クランクキック

 真正クランクキックでは、キックポイント前後の動きで、キック脚の膝や足首の角度が、ほとんど変化しません。キック脚は、膝と足首を適度に曲げたままの、一体化した、曲がった道具として、このまま振りまわされて地面を押す(あるいは、弾く)ことに使われます。
 もうひとつ、もっとも大切な動きは、最後の、足首のスナップでしょう。
 たとえば、野球のピッチャーで、とても速い球を投げるとき、最後の決め手は、ボールを離す、少し前の、指先の動きです。スピードがじゅうぶん大きくなっているときの、最後の「上乗せ」のときは、このような、小さな力でもよいのです。ただし、そのときの動きの速さが、これまでの速さを上回っているという条件が必要となります。
 ヤリ投の最後の加速も指ですし、砲丸投や円盤投でも、最後の指による押しが効果的です。
 ランニングでは、ひょっとすると、私ができていないから知らないだけで、最後の加速はスパイクの「ひっかき」なのかもしれません。土のグラウンドで走っているときは、そうだったような気がします。足首やスパイク面のスナップがどれだけ効くのか試してみる必要がありそうです。

 ところで、ヨハン・ブレーク選手と桐生祥英選手のトップスピードランニングフォームの何が違うかと考えました。違いは確かにあるのです。それは、身体重心の高さです。桐生祥英選手が標準高のフォームであるのに対して、ヨハン・ブレーク選手は圧倒的に腰高フォームです。これはどのような違いがあるかというと、キック脚を車輪と見なしたときの、車輪の径の大きさの違いです。自転車のギアは同じで、車輪の径だけが違うところをイメージしてください。よりスピードが出やすいのは、大きな車輪のほうです。ヨハン・ブレーク選手は、長い脚を、腰高フォームによって、より長く使っているのです。


図15 桐生祥英選手の標準高フォーム


図16 ヨハン・ブレーク選手の腰高フォーム

 (C) 上半身の後方への振動による運動量のロスを減らす

 通常のランニングにおいて、上半身は、ほとんどその姿勢を変えていないと思われているかもしれませんが、げんみつに観測してみると、けっこう変化しているものなのです。おそらく、両腕の動きなどにまどわされて、上半身重心の変化というものは、肉眼で観測しづらいのでしょう。
 きょくたんなケースとして、ハードルの踏切で上半身を前方へと突っ込むフォームがあります。このとき、この動きが全体のスピードを大きくしています。
 これとは逆の動きでは、全体のスピードを小さくすることになるのです。逆の動きというのは、上半身を後方へと反らせることです。また、腕を後方へと大きく振りすぎるのもマイナスとなります。
 これらのことが観測され、マイナス要因として見積もられるとき、消極的ではありますが、これらのマイナス要因を減らすことによって、スピードアップに貢献することができます。


図17 BOLT SLOW(2) 総合解析

 図17はボルト選手のスローモーション画像から構成した2歩目についての総合解析です。キックベース速度dKと相対スウィング速度dS-dBはうまくピークを合わせていますが、灰色のプロットで表わしてある、相対トルソ速度dT-dKの値は、右下がりになっています。このときのランニングでボルト選手は、上半身を後方に反らす動きが目立っていたのですが、これが、この相対トルソ速度dT-dKの値となっているのです。しかし、赤い点線で示したキックポイントにおいて、dT-dK=4.61 にとどまっており、わずかなロスですんでいます。

 (D) キック軸加速度比aGO/gの増加が水平スピード増加と結びつくこと

 キック軸加速度比aGO/gは、下方に向かった鉛直速度を上方に変えるために生み出されることが多いので、このような変化がランダムノイズのように作用して、水平スピードの増加に役立つ、水平方向の加速度の変化を見せにくくすることがあります。
 だから、もっとげんみつに考えると、キック軸加速度比aGO/gについてではなく、これの水平成分を取り出して、これがうまく作用しているかどうかを調べる必要があります。
 もっとシンプルに考えることにします。図9「キック軸加速度比aGO/gと全重心水平速度dGの相関」において、KLO15では弱い負の相関であったけれど、KLO20ではやや強い正の相関となったわけです。このことは、KLO15に比べ、KLO20においては、キック軸に沿って生み出された力が加速度を生み出し、それの水平成分が、水平スピードの増加へ結びついたことを意味します。キック力が水平スピードに結びつくような走り方ができたと考えられるわけです。それがどのようなものであったのかということは詳しくは分かりませんが、トップスピードにちかいランニングにおいても、キック力を水平スピードの増加に利用することができるということを示しています。

 (まとめ)スピード増加のための具体的なテクニックやトレーニング法

 実際のランニングにおいて心がけるとよいことや、ドリルとして役だつものをまとめておきます。これらについても、いろいろと説明したいところですが、内容が増えてしまいますので、ここではメモ程度のリストとしておきます。

ランニングフォームの調整として注意してゆくこと

 (A) 跳ね上げダウンスウィングによる重心の浮かないキックフォーム
 (B) 真正クランクキックとなるキック脚のツール化(ブリキでできたかのような、一体化したキック脚の使い方)
 (C) ワイドシザースフォームでキック脚とスウィング脚を効果的に利用する
 (D) 空手パワーキックから地面をひっかくように弾く
 (E) 臀筋によるキックパワーの発達
 (F) お腹を凹ませた姿勢で上半身を前方へ腰で押して走る
 (G) 腕振りは前方に強く振り、後方へ肘をあまりつきださないようにする
 (H) ランニングスピードが大きくなるにつれて、中腰ガンマクランクキックから腰高ベータクランクキックへと変化させる

ドリルによる動きの強化を目指すもの

 (1) ハイニースキップB
 (2) ロングスキップB
 (3) スピード片脚跳躍走

 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Apr 5, 2014)

 

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