高速ランニングフォームのエピソード (78)
速く走るためにはFG速筋線維を強化しておく

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 1998年(44歳)の私のランニングフォーム

 コンピュータの画像ファイルを調べていたら、1998年(44歳)の私のランニングフォームがありました。


図1 1998年(44歳)の私のランニングフォーム


図2 1998年(44歳)の私のランニングフォーム抜粋

 このころの私は、ある地質調査の会社で働いていて、休日を利用して、スプリントランニングのトレーニングをやっていました。
 このときのランニングでは、スウィング脚を前方へ意図的に強く振り出しています。それが「速く走るためのコツ」だと信じていたのでした。
 「高速ランニングフォーム」や「キックポイント」などの言葉は、まだまだ生み出されていませんでしたし、「ガンマクランクキック」などのフォーム分類などのアイディアもありませんでした。
 しかし、図2の中央のフォームを見ると、ガンマクランクキックに近いものとなっています。スウィング脚を前方へ伸ばすという動きが、自然と、重心直下に近いところからキックを始めることへと結びつき、適度な重心高のもとで、ガンマクランクキックのようなフォームとなっていたようです。
 60歳になった現在より、ずうっとスピード感があって、のびやかに走っています。
 脚の筋肉群も、かなり充実しているようです。
 ただし、何年も、あるいは10年以上も、全力で走ったことがなかったため、初めはアキレス腱を痛めた覚えがありますし、低いハードルを跳んだあとの着地で膝を壊してしまったこともありました。
 しかし、このころは、それなりの方法で「速筋トレーニング」を行えば、その二日後に身体がロボット状態になり、ぎこちなく動くことになっていましたが、やがて「超回復」が起こって、筋力が増大してゆくと実感していました。

 「速筋トレーニング」について

 トレーニングのための資料なども調べ、自分の身体を使って実感したこととして、「速筋トレーニング」については、いくつかの注意点があるということが分かっていました。
 このことについては、これまでに作成した、次のページに詳しく説明しています。

 高速ランニングフォームのための基礎能力2/速筋補強のコツ

 ここから、関連する部分を、次に抜粋しておきます。

 速筋繊維を発達させるには、通常のウェイトトレーニングとは、少し異なるコツがある。このコツを知ってトレーニングしないと、オーバーウェイトとなったり、筋出力が高まらなかったりして、強くなりたいという目的に合わなくなってしまう。
 通常のウェイトトレーニングでは、自分の意志と努力によって、筋肉に命令を出し、重いものを持ちあげるとか、遠くへ投げるとかの動作を行う。このとき、筋肉は縮むことによって力を生み出している。
 ところが、これでは速筋繊維は発達しない。速筋繊維を発達させる。つまり、速筋繊維を作りかえるためには、外から大きな力を加えて、筋肉が伸びるときに、その筋肉が抵抗するようにして、大きな力を出さなければならないのである。通常のウェイトトレーニグでの力の出し方と、まったく逆になっている。このようなとき、筋繊維は、自分で出す力よりも、何倍も大きな力につりあう力を生み出す。これには、細胞としての筋繊維の構造などの耐性も関係してくることだろう。
 そして、外から大きな力を加えられ、それに筋繊維が対抗するとき、筋肉細胞の中で、ある種の破壊が起こり、その後、しばらくの間、その筋肉は正常に力を生み出すことができず、壊れた状態となる。これが、一般的に言われている、「筋肉に身が入った」というときの現象である。このような外力による「危機」を回避しなければならないと肉体が判断し、より大きな外力に耐えうる筋組織を生み出そうとする。かくして、もっぱら、速筋繊維が中心的に強化され、太くなるのである。

 速筋は3種類あるらしい

 これまで私は、1種類の遅筋に対して、速筋は2種類であると思ってきました。
 しかし、最近ウェブで調べてみると、速筋は3種類に分類されています。

 筋線維タイプの特性

 ここから、関連部分を次に引用します。

 ●筋線維タイプの特徴
 筋線維は、遅筋線維(タイプT)と速筋線維(タイプUA、UB、Ud/x)に分けられ、遅筋線維はミトコンドリアを豊富に含み、酸化系酵素の活性が高く、収縮速度は遅いが、疲労しにくい性質を持つ。ミオグロビンを多く含み赤筋線維とも呼ばれる。速筋線維は、解糖系酵素活性が高く、収縮速度は速いが、特にUB、Ud/x 線維は疲労しやすい。無酸素状態での代謝に依存しており、白筋線維とも呼ばれる。


 これまで、速筋線維としてFG線維(タイプUB)とFOG線維(タイプUA)があると理解していましたが、Ud/xと記号化されたタイプのものが見出されているようです。

 歳をとると「速筋トレーニング」が効かなくなる

 40台の後半のころ、私は、速筋トレーニングで、強い身体を維持できると思いこんでいました。ところが、それから10年ほど、生活のための仕事に追われて、陸上競技のトレーニングどころではないという状況も味わい、いつしか、自分自身の身体に染み込んできた「老い」に気づかされることとなりました。
 どうも、ここのところ、「速筋トレーニング」がうまく効かないと感じることが多くなったのです。
 そして、けっこうしっかりとトレーニングしているし、効率的なランニングフォームも身につけてきたにもかかわらず、その成果となるべき、スプリントランニングのスピードが高まってゆかないということが分かってきました。
 これは何故なのだろうか。
 そう考えてウェブを調べ、次のようなページを見出しました。

 中高年の筋力トレーニングは有効か

 このページに次のような記述があります。

 筋線維サイズは30〜35歳でピークに達し,その後徐々に減少するが,中年期ではほとんど変化せず,高年齢(60歳以降)になって著しく減少する.筋線維は大きく分けると,収縮速度が速く疲労しやすい速筋型線維と収縮速度は遅いが疲労しにくい遅筋型線維に分類することができるが,加齢に伴う筋線維の萎縮は速筋型筋線維で顕著に生じる.

 つまり、60歳以降の高年齢になると、とくに速筋線維で委縮が進んでくるということなのです。だから、歳をとった人が歩くスピードも遅くなってゆくというわけです。そのように分かってから、ふと自分が歩くスピードのことを思い起こしてみると、40歳台や50歳台の人のペースについてゆくのがおっくうになっているということに気がつきました。いつのまにか、私自身も、歩く速度が遅くなっていたのです。
 これでは、速く走ろうと意図しても、思ったとおりにはなりません。

 まとめ

 30歳台あたりまでの若い人は「速筋トレーニング」のコツに注意して、体重をあまり増やすことなく、FGタイプの速筋が太くなってゆくようにして、動きのスピードを高めるためのパワーアップを目指してください。
 40歳台から50歳台の中年世代の人は、あるていどの「速筋トレーニング」が可能だと思われますが、無理なレベルのウェイトトレーニングはやらないほうがよいと思われます。高血圧や成人病の兆候があると、バーベルを使った運動は危険なものとなるかもしれません。
 60歳台より高年齢の人は、短距離走で大きな成果を求めようとは思わないほうがよいかもしれません。アキレス腱も傷めずに、膝を壊すこともなく、ほぼ全速力で走ることができるということを「喜び」として、ゆっくり走る持続走のような感覚で、短距離走を何本も走ることで、身体のがんじょうさを維持してゆくことをねらってゆくべきなのかもしません。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, Sep. 3, 2014)

 

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