高速ランニングフォームのエピソード
(81) サニブラウン選手の優れているところ

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito @ 9621 ANALYSIS)

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 日本選手権 陸上 2017 (長居)をネットで見て

 日本選手権が大阪の長居競技場で行われることを知って、何年か前のときのように、競技場へ見に行こうかと思いましたが、夜遅くなってしまい、帰りの交通手段に困るし、今やっている、早朝からのアルバイトにさしさわりが生じるので、この考えは断念しました。
 自宅にはテレビがないので、実家へ行って見ようかとも思いましたが、それもあきらめて、少し時間がずれて、リアルタイムではないものの、ネットの配信でまにあわせることにしました。
 男子100mと同200mは、サニブラウン選手が勝ち取りました。
 ネットのどこかに、サニブラウン選手の強さの秘密、のようなものを取り上げてあるページがありました。それは参考になるかもしれませんが、ここでは、私なりの観察結果を述べたいとおもいます。

 サニブラウン選手の優れているところ

 サニブラウン選手が他の選手より優れているところは、2つあります。

 ひとつめは、トップスピードになって走ってゆくところで、前方に振り出した脚の下肢部分が大きく前へ振り出されているというところです。
 この技術は、力学的にどのような効果があるかというと、接地時のキックポイントが、より重心直下に近づき、力の速度変換の効率が高いベータクランクキックとなるというところです。
 100mでは左脚の下肢がよく伸びていました。
 200mでは右脚の下肢のほうがよく伸びていました。おそらく、左脚が内側になる曲走路での走り方が影響しているのだと思われます。

 もうひとつは、このキック脚によるキックが最後まで力強いものとなっていることです。
 私が空手パワーキックを意識する、と言って、若い人々に指導している、その動きが、200mのラストあたりでも、感じ取れるというところが、とてもすばらしいものとして見られました。
 200mの曲走路のところでも、下肢がよく振り出されているし、キックのパワーも感じ取れています。この状態でラストまで走り切ってしまうところに、海外で学んでトーニングした成果が表れているのでしょう。

 多田選手について

 この春先のレースで、世界で一番スタートダッシュが速いとされているガトリン選手の前を走る選手が現れたので、驚きました。
 そのレースをネットで観察してみると、後半の走りが高速ランニングフォームとしては不十分なものでした。
 そのあと、追い風で9秒台を出したということで、後半の走り方をマスターしたのかと思っていましたが、日本選手権の100m決勝レースを見ると、まだまだでした。
 後半は、もっと下肢を前方へと振り出し、より大きなスピードに対応し、力のスピード変換効率の大きなベータランクキック(重心直下に近いキックポイント)をめざしてゆくべきです。
 この技術は、そんなにむつかしいものではありません。
 せっかく、世界一のスタートダッシュ技術を磨きあげているのですから、あと、ほんの少しです。
 (Written by KLOTSUKI Kinohito, June 25, 2017)

 

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