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黒月樹人のタバスコキメラミーム12「シュヴァルツシルト計量」
Tabasco Chimera Meam 12 of K.K. as “Schwarzschild metric”

黒月樹人
(KINOHITO KULOTSUKI, treeman9621.com

 1. シュヴァルツシルト計量

 トールステン・フリースバッハ (Torsten Fließbach) の「一般相対性理論」にある、第24節「シュワルツシルト計量」(以後シュヴァルツシルトと書くことにする) まで、ようやくたどりついた。この本はジーゲン (Siegen) 大学での講義から生まれたという。本自体は図書館から借りた。これまでにも何回か借りているが、ノートをとって、要点をまとめながら読むのは初めてのことだ。もちろん、思考言語コアを使ってノートを構成した。今回は筆記の手法である。分数式や行列式をワープロソフトで構成するのは、まだまだ面倒なので、手書きのほうが扱いやすい。B5のノートで200ページほどを要した。時間としては7日間。集中独習だ。

 アインシュタインの一般相対性理論については、アインシュタイン自身の原論文 (の日本語訳) をノートしながら読み始めたことがあったが、「草案」や「基礎」を独習したものの、テンソルの定義や記号の意味が理解しづらく、全体像を思い描くことは、できないでいた。トールステン・フリースバッハの本で、シュヴァルツシルト計量のところまできたということは、「アインシュタインの場の方程式」が導かれる過程のところを、既に学び終えているということだ。しかし、これについてコメントするのは、まだ少し早い気がする。

 アインシュタインの特殊相対性理論のほうは、欠陥や矛盾がたくさんあるのだが、一般相対性理論のほうでは、その特殊相対性理論を、ひとつの極限として含んでいるという記述があるものの、実際には、ニユートン力学の世界を、特殊相対性理論が含んでいるとして、言葉上だけで置き換えているにすぎず、この点を除けば、隠れた欠陥や矛盾があったとしても、その「隙」のようなものが見当たらない。「アインシュタインの場の方程式」が生み出されるところの解説文を読むと、これが、やはり、いくつもの要請 (仮定) に基づいていることが分かる。「隙」があるとすれば、ここ、だろうが、それを見出すことができそうな「視点」が見つからない。だから、もう少し、離れて見ていることにしよう。

 それでは、シュヴァルツシルト計量に何か欠陥があるのかというと、そうでもない。ただ、以前は、この数式を、既に成立しているものとして使っただけであったのだが、この式が、どのようにして導かれたのかということを学んだので、その過程を整理しておこうと思った。

 ゴールのシュヴァルツシルト計量の式は、次の形である。

 ds2(12a/r)c2dt2dr2/(12a/r)r2(dθ2sin2 θdφ2)   (1)

 2. 地球や太陽のモデル

 スタートを、極座標で表した、次のミンコフスキー計量としよう。

 ds2c2dt2dr2r2(dθ2sin2 θdφ2)                    (2)

ミンコフスキー計量から変化させているということは、ここに、「特殊相対性理論」が潜んでいるということになる。「特殊相対性理論」の骨組はローレンツ変換である。そして、この変換に対応しているのがミンコフスキー空間で、ミンコフスキー計量は、この空間の特性を決めるものである。シュヴァルツシルト計量が考えられたのは、地球や太陽の重力場に近いものを求めるためであろう。しかし、いきなり現実にぴったりのモデルを考えるのは難しいので、より簡単に求められそうな抽象化が行われる。ここでは、地球や太陽のモデルとして、「球対象で静的に質量が分布した物体」が考えられている。地球の場合は、自転していることと、赤道あたりがやや膨らんでいるという扁平さが、このモデルから異なっている点である。太陽の場合も、自転しているということが異なる。太陽の内部のことはよく分かっていないが、おそらく、内部の質量分布は、静的ではないだろう。しかし、これらのことも、大まかな視点からは、無視できるかもしれない。

3. 未定係数としての関数

このようなモデルに対して、(2)のミコフスキー計量で示される空間が、そのまま対応しているわけではない。これは、距離rが無限遠()のときの状態であり、r という注釈が添えられている。そして、このモデル付近の空間を規定する計量として、次のような、距離rの変数をもつ、未定係数としての関数A(r), B(r), C(r)を組み込んだものが考えられる。

ds2B(r)c2dt2A(r)dr2C(r)r2(dθ2sin2 θdφ2)        (3)

これらの関数にθやφが含まれないのは、「球対象」という仮定条件のためであり、時間tが含まれないのは、「静的」という仮定条件のためである。ここで三つの関数を導入しているが、距離rの単位を自由に決めて、このような計量を考察してよいということから、C(r) を新たな距離rとするような半径変数を規定して、(3)からC(r)を消去することができる。かくして、次の「標準系」が得られる。

ds2B(r)c2dt2A(r)dr2r2(dθ2sin2 θdφ2)           (4)

距離が無限遠のとき、この計量(4) はミンコフスキー計量(2)となるはずであるから、次の条件が出る。

  r → ∞に対して、B(r) → 1,   A(r) → 1                (5)

4. アインシュタインの場の方程式

この条件を含めた、計量(4)が、次のスタート地点である。そして、(1)がゴールであるが、これだけでは、おそらく辿りつけない。ここにひとつ、指針となる条件が入る。それが、アインシュタインの場の方程式である。次のような表現となる。

  Rμν(R/2)gμν=-(8πG/c4)Tμν          (6)

この方程式の導出過程や意味については、まだ詳しく説明することができないので省略させてもらう。この(6)に、次の他の条件式を代入して整理すると(8)が得られる。

  R(8πG/c4)T              (7)

  Rμν=-(8πG/c4){Tμν(T/2)gμν}         (8)

 ここでは、Tに関する項が一つの因子にまとめられている。これらはエネルギー運動量テンソルに関する因子である。これが、どうやら、「源の項」と書かれているものであるようだ。今考えているモデルでは、「静的」なので、このようなエネルギーが新たに得られないということのようだ。そして、これが0と見なされ、次の関係式が得られる。

  Rμν0        (9)

これがシュヴァルツシルト計量のための、重要な条件となる。

 5. 計量テンソルgμν

標準系の計量(4)についての計量テンソルgμνは行列の形で、次のように書かれる。

 (gμν)diag(B(r), A(r), r2, r2sin2θ)      (10)

 ここで用いているdiag(,,,) は、4×4成分の対角成分だけを取り出す記号で、他の成分はすべてゼロである。このようなとき、逆行列は、次のように求めることができる。対角成分以外のところにゼロではない成分があるときは、余因子行列を用いる一般解の手法が必要となる。

(gμν)diag(1/B(r), 1/A(r), 1/r2, 1/(r2sin2θ))    (11)

6. リッチ・テンソルRμνとクリストッフェル記号Γσλμの関係

条件(9) Rμν0を利用するために、クリストッフェル記号Γσλμの値を求めておく必要がある。なぜかというと、リッチ・テンソルRμνの定義が、次の式で与えられるからである。

Rμν∂Γρμρ∂xν∂Γρμν∂xρΓσμρΓρσνΓσμνΓρσρ     (12)

 そこでクリストッフェル記号Γσλμの値であるが、次の式で与えられる。

   Γσλμ(gσν/2)( ∂gμν∂xλ ∂gλν∂xμ ∂gμλ∂xν)    (13)

 これらの添え字としてのσ,λ,μ,νには、数字0,1,2,3入る。仮にσ=0, λ=1, μ=2を代入して、Γ012を書き下してみよう。

 Γ012(g/2)( ∂g2ν∂x1 ∂g1ν∂x2 ∂g21∂xν)    (14)

このとき、νにも数字の0,1,2,3が入るのであるが、g(11)の成分であり、g00=B(r)以外はゼロであるから、ν=0 と決まってしまう。よって(14)は、次のようになる。

 Γ012(g00/2)( ∂g20∂x1 ∂g10∂x2 ∂g21∂x0)    (15)

 次に現れる項の∂g20∂x1で、g20(10)の成分であるが、これは20列の成分のことであり、値はゼロである。2行の各列では、22列のg22=-r2 だけがゼロではない。ところで、ローレンツ空間の極座標では (x0, x1,x2, x3)(ct, r, θ, φ) となるので、x1r である。さて、次の+∂g10∂x2を見ると、やはりg10がゼロである。最後の∂g21∂x0はというと、やはりg21がゼロとなる。こうして、Γ0120 となる。

7. 64種類のクリストッフェル記号の値

クリストッフェル記号の、このような計算をΓ000から始めて、Γ333 まで、4×4×464種類について求めておかなければならない。B=B(r), A=A(r) と略すことがある。また、全角の/を使った12B1/(2B)を意味することにする。それから簡単な記号として、∂B(r)∂r =Bと記す。ダッシュで表す偏微分の変数はrのみである。

Γσλμ(gσν/2)( ∂gμν∂xλ ∂gλν∂xμ∂gμλ∂xν)    (13)

以下の計算で値がゼロとなるものについては、青文字で記す。

Γ000(g00/2)( ∂g00∂x0 ∂g00∂x0∂g00∂x0)

(12B)( ∂B(r)∂t∂B(r)∂t∂B(r)∂t) =0

Γ001(g00/2)( ∂g10∂x0 ∂g00∂x1 ∂g10∂x0)(12B)( ∂B(r)∂r)B’2B

Γ002(g00/2)( ∂g20∂x0 ∂g00∂x2 ∂g20∂x0)(12B)( ∂B(r)∂θ)0

Γ003(g00/2)( ∂g30∂x0 ∂g00∂x3 ∂g30∂x0)(12B)( ∂B(r)∂φ)0

Γ010(g00/2)( ∂g00∂x1 ∂g10∂x0 ∂g01∂x0)(12B)( ∂B(r)∂r)B’2B

Γ011(g00/2)( ∂g10∂x1 ∂g10∂x1 ∂g11∂x0)(12B)( ∂A(r)∂t)0

Γ012(g00/2)( ∂g20∂x1 ∂g10∂x2 ∂g21∂x0)0

Γ013(g00/2)( ∂g30∂x1 ∂g10∂x3 ∂g31∂x0)0

Γ020(g00/2)( ∂g00∂x2 ∂g20∂x0 ∂g02∂x0)(12B)( ∂B(r)∂θ)0

Γ021(g00/2)( ∂g10∂x2 ∂g20∂x1 ∂g12∂x0)0

Γ022(g00/2)( ∂g20∂x2 ∂g20∂x2 ∂g22∂x0)(12B)( ∂r2∂t)0

Γ023(g00/2)( ∂g30∂x2 ∂g20∂x3 ∂g32∂x0)0

Γ030(g00/2)( ∂g00∂x3 ∂g30∂x0 ∂g03∂x0)(12B)( ∂B(r)∂φ)0

Γ031(g00/2)( ∂g10∂x3 ∂g30∂x1 ∂g13∂x0)0

Γ032(g00/2)( ∂g20∂x3 ∂g30∂x2 ∂g23∂x0)0

Γ033(g00/2)( ∂g30∂x3 ∂g30∂x3 ∂g33∂x0)(12B)( ∂(r2sin2θ)∂t)0

次はΓ1**の計算を行う。

Γ100(g11/2)( ∂g01∂x0 ∂g01∂x0 ∂g00∂x1)(12A)( ∂B(r)∂r)B’2A

Γ101(g11/2)( ∂g11∂x0 ∂g01∂x1 ∂g10∂x1)(12A)( ∂A(r)∂t)0

Γ102(g11/2)( ∂g21∂x0 ∂g01∂x2 ∂g20∂x1)0

Γ103(g11/2)( ∂g31∂x0 ∂g01∂x3 ∂g30∂x1)0

Γ110(g11/2)( ∂g01∂x1 ∂g11∂x0 ∂g01∂x1)(12A)( ∂A(r)∂t)0

Γ111(g11/2)( ∂g11∂x1 ∂g11∂x1 ∂g11∂x1)(12A)( 2 ∂A(r)∂r)A’ 2A

Γ112(g11/2)( ∂g21∂x1 ∂g11∂x2 ∂g21∂x1)(12A)( ∂A(r)∂θ)0

Γ113(g11/2)( ∂g31∂x1 ∂g11∂x3 ∂g31∂x1)(12A)( ∂A(r)∂φ)0

Γ120(g11/2)( ∂g01∂x2 ∂g21∂x0 ∂g02∂x1)0

Γ121(g11/2)( ∂g11∂x2 ∂g21∂x1 ∂g12∂x1)0

Γ122(g11/2)( ∂g21∂x2 ∂g21∂x2 ∂g22∂x1)(12A)( ∂r2∂r)=-rA

Γ123(g11/2)( ∂g31∂x2 ∂g21∂x3 ∂g32∂x1)0

Γ130(g11/2)( ∂g01∂x3 ∂g31∂x0 ∂g03∂x1)0

Γ131(g11/2)( ∂g11∂x3 ∂g31∂x1 ∂g13∂x1)0

Γ132(g11/2)( ∂g21∂x3 ∂g31∂x2 ∂g23∂x1)0

Γ133(g11/2)( ∂g31∂x3 ∂g31∂x3 ∂g33∂x1)(12A)(∂r2 sin2θ∂r)

=-r sin2θA

次はΓ2**の計算を行う。

Γ200(g22/2)( ∂g02∂x0 ∂g02∂x0 ∂g00∂x2)(12r2)( ∂B(r)∂θ)0

Γ201(g22/2)( ∂g12∂x0 ∂g02∂x1 ∂g10∂x20

Γ202(g22/2)( ∂g22∂x0 ∂g02∂x2 ∂g20∂x2)(12r2)( ∂r2∂t)0

Γ203(g22/2)( ∂g32∂x0 ∂g02∂x3 ∂g30∂x2)0

Γ210(g22/2)( ∂g02∂x1 ∂g12∂x0 ∂g01∂x2)0

Γ211(g22/2)( ∂g12∂x1 ∂g12∂x1 ∂g11∂x2)(12r2)( ∂A(r)∂θ)0

Γ212(g22/2)( ∂g22∂x1 ∂g12∂x2 ∂g21∂x2)(12r2)( ∂r2∂r)1r

Γ213(g22/2)( ∂g32∂x1 ∂g12∂x3 ∂g31∂x2)0

Γ220(g22/2)( ∂g02∂x2 ∂g22∂x0 ∂g02∂x2)(12r2)( ∂r2∂t)0

Γ221(g22/2)( ∂g12∂x2 ∂g22∂x1 ∂g12∂x2)(12r2)( ∂r2∂r)1r

Γ222(g22/2)( ∂g22∂x2 ∂g22∂x2 ∂g22∂x2)(12r2)( ∂r2∂θ)0

Γ223(g22/2)( ∂g32∂x2 ∂g22∂x3 ∂g32∂x2)(12r2)( ∂r2∂φ)0

Γ230(g22/2)( ∂g02∂x3 ∂g32∂x0 ∂g03∂x2)0

Γ231(g22/2)( ∂g12∂x3 ∂g32∂x1 ∂g13∂x2)0

Γ232(g22/2)( ∂g22∂x3 ∂g32∂x2 ∂g23∂x2)(12r2)( ∂r2∂φ)0

Γ233(g22/2)( ∂g32∂x3 ∂g32∂x3 ∂g33∂x2)(12r2)( ∂r2sin2θ∂θ)

=-sinθcosθ

次はΓ3**の計算を行う。

Γ300(g33/2)( ∂g03∂x0 ∂g03∂x0 ∂g00∂x3)(12r2 sin2θ)(B(r)∂φ)0

Γ301(g33/2)( ∂g13∂x0 ∂g03∂x1 ∂g10∂x3)0

Γ302(g33/2)( ∂g23∂x0 ∂g03∂x2 ∂g20∂x3)0

Γ303(g33/2)( ∂g33∂x0 ∂g03∂x3 ∂g30∂x3)(12r2 sin2θ)(∂r2sin2θ∂t)0

Γ310(g33/2)( ∂g03∂x1 ∂g13∂x0 ∂g01∂x3)0

Γ311(g33/2)( ∂g13∂x1 ∂g13∂x1 ∂g11∂x3)(12r2 sin2θ)(A(r)∂φ)0

Γ312(g33/2)( ∂g23∂x1 ∂g13∂x2 ∂g21∂x3)0

Γ313(g33/2)( ∂g33∂x1 ∂g13∂x3 ∂g31∂x3)(12r2 sin2θ)(∂r2sin2θ∂r)

1r

Γ320(g33/2)( ∂g03∂x2 ∂g23∂x0 ∂g02∂x3)0

Γ321(g33/2)( ∂g13∂x2 ∂g23∂x1 ∂g12∂x3)0

Γ322(g33/2)( ∂g23∂x2 ∂g23∂x2 ∂g22∂x3)(12r2 sin2θ)(r2∂θ)0

Γ323(g33/2)( ∂g33∂x2 ∂g23∂x3 ∂g32∂x3)(12r2 sin2θ)(r2 sin2θ∂θ)

                      =2r2 sinθcosθ2r2 sin2θcosθsinθcotθ

Γ330(g33/2)( ∂g03∂x3 ∂g33∂x0 ∂g03∂x3)(12r2 sin2θ)(r2 sin2θ∂t)0

Γ331(g33/2)( ∂g13∂x3 ∂g33∂x1 ∂g13∂x3)(12r2 sin2θ)(∂r2sin2θ∂r)

1r

Γ332(g33/2)( ∂g23∂x3 ∂g33∂x2 ∂g23∂x3)(12r2 sin2θ)(∂r2sin2θ∂θ)

2r2 sinθcosθ2r2 sin2θcosθsinθcotθ

Γ333(g33/2)( ∂g33∂x3 ∂g33∂x3 ∂g33∂x3)(12r2 sin2θ)(∂r2 sin2θ∂φ)0

これらの64種類のうち、ゼロでない成分は、次の13種類である。

Γ001B’2B,  Γ010B’2B,

Γ100B’2A,  Γ111A’ 2A,  Γ122=-rA,  Γ133=-r sin2θA

Γ2121r,  Γ2211r,  Γ233=-sinθcosθ

Γ3131r,   Γ323cotθ,   Γ3311r,   Γ332cotθ

8. リッチ・テンソルによる条件Rμν0   

次は、これらの計算結果を利用して、リッチ・テンソルRμν0 を調べ、ここから条件式を導く。このとき、①μνに対してRμν0 は満たされるが、これは「自明」であると説明されている。また、②「さらにR220 からR330となる」とも書かれている。そのあとで、残った正式な条件が③「R000 , R110, R220」であるという。これらの言明について、順に調べてゆこう。

 ①μνに対してRμν0 は満たされるが、これは「自明」である。

 リッチ・テンソルRμνについて調べるため、この定義(12)を、ここに書く。

Rμν∂Γρμρ∂xν∂Γρμν∂xρΓσμρΓρσνΓσμνΓρσρ     (12)

μνに対して、このリッチ・テンソルは恒等的にゼロとなるのだろうか。μ=0, ν=1を代入して調べてみよう。ゼロの項は青文字で記す。

R01∂Γρ∂r∂Γρ01∂xρΓσΓρσ1Γσ01Γρσρ 

     Γ000∂rΓ101∂rΓ202∂rΓ303∂r

      ∂Γ001∂tΓ101∂rΓ201∂θΓ301∂φ

    +Γ001Γ101Γ100Γ011Γ2Γρ21Γ3Γρ31

Γ001(Γ000Γ101Γ202Γ303)Γ101ΓρΓ201ΓρΓ301Γρ

   0

 このR01=0については確認できた。しかし、実際に他の項について調べるのは、かなり大変な作業である。(12)の式へ、次の(13)を代入すれば、よいかもしれない。

Rμν∂Γρμρ∂xν∂Γρμν∂xρΓσμρΓρσνΓσμνΓρσρ     (12)

Γσλμ(gσν/2)( ∂gμν∂xλ ∂gλν∂xμ ∂gμλ∂xν)    (13)

 (12)の右辺第1項から調べよう。

∂Γρμρ∂xν  (∂xν){(gρν/2)( ∂gρν∂xμ ∂gμν∂xρ ∂gρμ∂xν)}

∂Γρμν∂xρ(∂xρ){(gρκ/2)( ∂gνκ∂xμ ∂gμκ∂xν ∂gνμ∂xκ)}

 しかし、これらが恒等的にゼロとなると、条件式が何も出てこないことになる。この方針は、ここで止めておこう。①についての検証は、ここで保留しておく。

 ②についての検証に移る。②さらにR220 からR330となる。これは、実際に計算してみると理解できる。実は、R33R22 sin2θとなる。

 残った正式な条件が③「R000 , R110, R220」である。ここからシュヴァルツシルト計量へと進むところを調べてゆこう。

R00∂Γρ∂x0∂Γρ00∂xρΓσΓ0σ0Γσ00Γρσρ 

∂Γ100∂x1Γ001Γ100Γ100Γ010Γ100010Γ111Γ212Γ313)

=-B2AAB2AA(B2B)(B2A)(B2A)(B2B)

(B2A)(B2BA2A1r+1r)

    =-B2A AB2AA BB4AB AB4AA BrA

     =-B2A (B4A)(B/BA/A) BrA          (16)

R11∂Γρ∂x1∂Γρ11∂xρΓσΓρσ1Γσ11Γρσρ 

∂Γ010∂r∂Γ111∂r∂Γ212∂r∂Γ313∂r

Γ011∂x0∂Γ111∂x1Γ211∂x2Γ311∂x3

Γ010Γ001Γ111Γ111Γ212Γ221Γ313Γ331

Γ111010Γ111Γ212Γ313) 

∂(B’2B)∂r∂(A’2A)∂r∂(1/r)∂r∂(1/r)∂r

∂(A’2A)∂r

(B2B)(B’2B) (A2A)(A2A)1/r21/r2

(A/2A)(B’/2BA’/2A1/r1/r) 

B2BBB2BB2r2

BB4BBAA4AA2r2

AB’4ABA’A’4AAA’Ar 

B2B(B4B)(B/B+A/A)A’Ar       (17)

R22∂Γρ∂x2∂Γρ22∂xρΓσΓρσ2Γσ22Γρσρ 

Γ020∂θΓ121∂θΓ222∂θ∂Γ323∂θ

Γ022∂x0∂Γ122∂x1Γ222∂x2∂Γ322∂x3

Γ221Γ122Γ122Γ212Γ323Γ332

Γ122010Γ111Γ212Γ313)

∂(cosθ/sinθ)∂θ

∂(r/A)∂r

(1/r)(r/A)(r/A)(1/r)(cotθ) (cotθ)

(r/A)(B’2BA’2A1/r1/r)

=-sinθsinθcos2θsin2θ

1/ArA’/AA

1/A1/Acot2θ

B’r2ABA’r2AA1/A1/A

=-1rA’2AAB’r2AB1/A

=-1(r2A)(A’/AB’/B)1/A                (18)

R33∂Γρ∂x3∂Γρ33∂xρΓσΓρσ3Γσ33Γρσρ 

...   ()

   =R22 sin2θ                  (19)

μνに対してRμν0  (μ=0, ν=1は確かめたが、他については略す) (20)

9. 条件③からA(r),B(r)の決定へ  

条件③R000 , R110, R220を整理する。

R00=-B2A (B4A)(B/BA/A) BrA0     (16)

R11B2B(B4B)(B/B+A/A)A’Ar =0           (17)

R22=-1(r2A)(A’/AB’/B)1/A =0                    (18)

 (16)×4Ar(17)×4Br

2r B r B(B/BA/A) 4 B

2r B r B(B/BA/A)4B A’A =0     

BAB A’ =0                   (22)

 (d/dr)(lnAB)=0 を計算する。

 (1AB)(d/dr)(AB)(A’B+AB’)AB0  (23)

 よって、(22)から (d/dr)(lnAB)=0 が成立すると考えてよい。ここから、ABconst. が得られる。(5)よりr const.=1 としてよい。AB=1 これより、A=1/B となる。これを(18)(17)に代入する。

R22=-1(r2A)(A’/AB’/B)1/A =0   

1rB’B0                        (24)

R11B2B(B4B)(B/B+A/A)A’Ar =0

rB2B’0                   (25)

d(rB)/drBrB’1      (26)

 これより、rBrconst. が得られ、ここで、定数を-2aと表すとテキストには書いてある。こうして、次式を得る。

 B(r)12ar,  A(r)1(12ar)        (r ≥ r0)          (27)

 これらを(4)に代入して、(1)が得られる。

   シュヴァルツシルト計量:

 ds2(12a/r)c2dt2dr2/(12a/r)r2(dθ2sin2 θdφ2)   (1)

 10. 次の問題

ようやくたどり着けた。こうして計算を詳しくたどってみて、そこにはミスがないということは理解できた。ミスがあったのは私の計算のほうであり、何度も消しゴムを使って、間違った計算結果を直さなければならなかった。テキストでは紙面の都合などもあって、クリストッフェル記号の計算過程などは、もちろん省略されている。リッチ・テンソルの計算も、かなり簡略化されている。しかし、実際に計算してみると、なかなか大変な作業だ。また、μνに対してRμν0 が「自明」だと、どうして言えるのか。しかし、これは、μ=0, ν=1で確かめたような計算を、あと164111回行えばよいことである。

アインシュタインの一般相対性理論が出版されたのが1915年で、このシュヴァルツシルト解が求められたのは1916年だという。これは素晴らしいことだ。これに比べ、このような思考のプロセスを見直す必要があるということが分かりだすには、既に90年以上も経過している。そうすると、次の問題は、ある一つの観点に向けられることになる。はたして、このモデルの出発点をミンコフスキー空間におく必要があるのだろうか。どうやら、シュヴァルツシルト解で、局所時間が現れて、遠方時間との区別が必要となるのは、このような仕組みにあるようだ。ミンコフスキー空間はローレンツ変換のために生みだされたものだ。ところが、このローレンツ変換は、ガリレイ変換が近似であるのと、ほぼ同じ意味で、無理を承知で生み出された人工物である。このローレンツ変換と同じ役目を受け持つ、より自然な変換の視点から見たとき、このシュヴァルツシルト解は、どのようになるのだろうか。いや、まてよ。そうすると、この問題は、アインシュタインの場の方程式とも、かかわってくるのではないだろうか。ここは、もう少し時間をとって、ゆっくり考えなければならないところだ。(2008.09.19)

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