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黒月樹人のタバスコキメラミーム15「宇宙の計量②」
Tabasco Chimera Meam 15 of K.K. as “Universal metric
黒月樹人 (KINOHITO KULOTSUKI, treeman9621.com


 (これは「宇宙の計量①」の続きなので「5. ロバートソン-ウォーカー計量」までは、タバスコキメラミーム14を参照してほしい。)

6. ロバートソン-ウォーカー計量の導出① (フリースバッハのテキストの46)

スタート地点の第一歩は、シュヴァルツシルト計量のものとよく似ているが、一点だけ異なっている。共通の基礎はミンコフスキー空間の計量であった。これに、シュヴァルツシルト計量では、座標変数に対して未定計量係数A(r), B(r), C(r)をつけた。ロバートソン-ウォーカー計量では、時間依存性を考慮して、A(r,t), B(r,t), C(r,t)とする。

ds2B(r,t)c2dt2A(r,t)dr2C(r,t)r2(dθ2sin2θdφ2)  (6.1)

座標は(ct, r, θ, φ)の極座標である。等方性を仮定し、には線形な項はないとしておく。ある座標変換を想定し、変換後の座標にダッシュをつける。このとき、逆変換として、t=f1(r’, t’), r=f2(r’,t’)が可能であり、この二つの関数は任意である。この一つの関数の任意性によって、drdtの項を消去するために使われる。この操作は処理済であるとする。もう一つの関数の任意性で、係数g001になるようにする。こうして、次の計量が出る。このとき、係数の記号は、A(r,t)U(r,t), B(r,t)1, C(r,t)r2V(r,t)と書き換えられる。フリースバッハのテキストでは、これに、次のようなタイトルがつく。

ガウス座標での等方計量

ds2c2dt2U(r,t)dr2V(r,t)(dθ2sin2θdφ2)  (6.2)

このときの「座標xμ(ct, r, θ, φ)ガウスの正規化座標と呼ばれる」と書かれている。

「ガウス」。あの数学者の? なぜだろうか。この疑問は保留しておく。

このとき、計量テンソルは対角である。

  (gμν)diag(1, U(r,t), V(r,t), V(r,t) sin2θ)   (6.3)

 すると、この逆行列は、次のようになる。

(gμν)diag(1, 1/U(r,t), 1/V(r,t), 1{V(r,t) sin2θ})   (6.4)

 (6.3)(6.4)より、次を得る。

   Γλ00  (gλρ/2)(∂gρ0/∂x0∂g0ρ/∂x0∂g00/∂xρ)

gλρ∂gρ0/∂x0

g00∂g00/∂x0g11∂g10/∂x0g22∂g20/∂x0g33∂g30/∂x0

∂1/∂ct(1/U(r,t))∂0/∂ct(1/V(r,t))∂0/∂ct[1{V(r,t) sin2θ}]∂0/∂ct

0      (6.5)

 ここで、力が作用していないときの運動方程式を考える。

   duμ/dτ =-Γλμν uμuν          (6.6)

 (6.5)よりΓλ000 なので、(6.6)より、du0/dτ 0 となり、(uμ) (c, 0, 0, 0)が運動方程式の一つの解となる。このときの空間成分uidxi/dτ0 (i=1,2,3) より、xiconst. が出る。こうして、自由落下粒子の軌道として、

xiconst.      (6.7)

が得られる。

 ds=c dτ より変形して、次の関係を得る。

   (ds/c) xiconst.dt        (6.8)

 このとき、tは、座標xiconst.をもつ時計の固有時となる。

 このあとテキストでは、ほぼ1ページにわたって、このような状況の意味についての解説がある。自由落下の石で構成されている星についての説明である。今考えているモデルに対応する状況である。これらのことは、後の章で詳しく語られるので省略する。

 後の考察のために必要な計算結果をまとめている。(6.3)の計量に対応するクリストッフェル記号で、値がゼロでないものをあげている。これらのリストを書き記す前に、いくつかの計算過程をなぞることにする。すでに(6.5)で使っているが、クリストッフェル記号の定義を次に記す。

 Γσλμ(gσν/2)( ∂gμν∂xλ ∂gλν∂xμ∂gμλ∂xν)   (6.9)

 今回の微分では、U(r,t), V(r,t) の定義より、半径距離rだけでなく、時間tの微分も現れる。これまでdU(r,t)/drU’ と記述してきた。これに対してdU(r,t)/dtの簡易記号としてUの上に点を一つ乗せる表現が採用されているが、今使っているソフトでは表現しづらい。d2U(r,t)/dt2Üの記号ならあるのだが。しかし、Vのほうの記号がない。また、テキストでは、dU(r,t)/dtではなくdU(r,t)/dctとされている。そこで、次のように記すことにする。

   dU(r,t)/dct U* ,  d2U(r,t)/dct2U**        (6.10)

   dV(r,t)/dct V* ,  d2V(r,t)/dct2V**         (6.11)

 あえて書いておくと、半径距離rの微分では、次の記号を使うことになる。

   dU(r,t)/dr U’ ,  d2U(r,t)/dr2U”        (6.12)

   dV(r,t)/dr V’ ,  d2V(r,t)/dr2V”        (6.13)

 (6.9)に戻って、Γ011を計算してみよう。ゼロとなる成分は青文字にする。またV(r,t)Vのように表記する。そして、全角の/を使ったときは、掛けてある因子について、すべて分母にあるものとする。すなわち1/(2U)= 12Uと書くことができるものとする。

   Γ011(g00/2)( ∂g10∂x1 ∂g10∂x1∂g11∂x0) 

       (1/2)(g10∂x1g10∂x1∂(U)∂ct) 

       U*/2         (6.14)

 今回は、これらの計算結果について、テキストの記述を信じることにする。

Γ011U*/2,  Γ022V*/2,  Γ033V*sin2θ/2,

Γ101U*2U, Γ110U*2U,  Γ111U’2U, Γ122=-V’2U, Γ133=-V’sin2θ2U,

Γ202V*2V,  Γ212V’2V,  Γ220V*2V,  Γ221V’2V,  Γ233=-sinθcosθ,

Γ303V*2V,  Γ313V’2V,  Γ330V*2V,  Γ331V’2V, Γ323cotθ, Γ332cotθ.

                                        … (6.15)

 次に、これらのクリストッフェル記号から、リッチ・テンソルのゼロでないものを求めておく必要がある。リッチ・テンソルの定義は、次のようになっている。

Rμν∂Γρμρ∂xν∂Γρμν∂xρΓσμρΓρσνΓσμνΓρσρ    (6.16)

R00∂Γρ∂x0∂Γρ00∂xρΓσΓρσ0Γσ00Γρσρ 

     Γ000∂ct∂Γ101∂ct∂Γ202∂ct∂Γ303∂ct

Γ000∂x0Γ100∂x1Γ200∂x2Γ300∂x3

Γ0Γρ00Γ101Γ110Γ202Γ220Γ303Γ330

Γσ00Γρσρ 

∂(U*2U)∂ct∂(V*2V)∂ct∂(V*2V)∂ct

(U*2U)( U*2U)(V*2V)( V*2V)(V*2V)( V*2V)

U**2UU*U*2UUV**VV*V*VV

U*U*4U UV*V*2VV

U**2UV**VU*U*4UUV*V*2VV    (6.17)

  これは、テキストの計算結果と一致している。テキストでは、他にゼロではない成分として、R11, R22, R33=R22 sin2θ, R01R10をあげている。R01R10がゼロではないというのは、シュヴァルツシルト計量の場合とは異なる。R11, R22については計算結果を転記することにし、R01については計算してみよう。残るR33=R22 sin2θについては、この結果を信じることにする。

R11=-U**/2+U*U*4UU*V*2V

V/VVV2VVUV2UV          (6.18)

R22=-1V**/2U*V*4UV2UUV4UU    (6.19)

R01∂Γρ∂x1∂Γρ01∂xρΓσΓρσ1Γσ01Γρσρ 

Γ000∂r∂Γ101∂r∂Γ202∂r∂Γ303∂r

Γ001∂x0∂Γ101∂x1Γ201∂x2Γ301∂x3

Γ0Γρ01Γ101Γ111Γ202Γ221Γ303Γ331

Γ001ΓρΓ101Γ010Γ111Γ212Γ313Γ201ΓρΓ301Γρ

∂Γ101∂r∂Γ202∂r∂Γ303∂r

∂Γ101∂r

Γ101Γ111Γ202Γ221Γ303Γ331

Γ101Γ111Γ101Γ212Γ101Γ313

∂(V*2V)∂r∂(V*2V)∂r

(V*2V)( V’2V)(V*2V)( V’2V)

(U*2U) (V’2V)(U*2U)( V’2V)

V*VV*V’2VVU*V’2UV   (6.20)

 テキストの結果と一致した。R01の計算はテキストの結果を信じることにする。

R01V*VV*V’2VVU*V’2UV   (6.21)

7. ロバートソン-ウォーカー計量の導出② (フリースバッハのテキストの47)

 テキスト47章のタイトルは「重力崩壊,超新星」である。この章では星の崩壊に関する条件が、まず語られる。

 条件1. 崩壊<等方>/星の中心点 ;

 [>>] ◇――許す>半径速度のみ [<>] 現象(中心崩壊)

球対象 [>>] ◇――使う>*a,*b

*a「ガウスの正規化座標」

xμ(ct, r, θ, φ)      (7.1)

*b「ガウス座標での等方計量」

ds2c2dt2U(r,t)dr2V(r,t)r2(dθ2sin2θdφ2)   (7.2)

 (gμν)diag(1, U(r,t), V(r,t), V(r,t) sin2θ)  (7.3)

 条件2. ---無視> 物体の圧力(---対抗>崩壊);

   P0             (7.4)

 ◇---導入>「粒子(塵,石)が緩やかに集まった集団」(軌道,速度)

   (軌道)  xi=const.            (7.5)

   (速度) (uμ)=(dxμ/dτ)=(c, 0, 0, 0)   (7.6)

 物理的な運動(これらの粒子)  [<<] 時間依存性 [ 計量係数U(r,t),V(r,t) ]

 条件3. 星の質量密度<>一様;

 [<>]  ρ(r,t)={ ρ(t)  (rr0),

                   0    (r>r0).          (7.7)

      座標(すべての粒子) <> 一定,[when]崩壊,

>>]質量密度 <> 一様,[when]崩壊

 このモデルは、次のような、まったく異なった対象に応用できる。

   モデル① 宇宙――持つ> 粒子(銀河)

   モデル② 銀河――持つ> 粒子()

   モデル③ 星――持つ> 粒子

   モデル④ 星(重力圧力――限りなく増える>)

 このあとテキストでは、星の内部での圧力についての考察があるが、後の考察への影響は少ないようなので略す。

 重力崩壊を場の方程式の解として書き表すことにする。

   Rμν=-(8πG/c4)[Tμν(T/2)gμν]   (7.8)

 星の外部(r>r0)では右辺は消える。この場合は、シュヴァルツシルト計量を用いることができる。星の内部(rr0)(7.8)を解く。

 (7.4)(7.7)から、次のエネルギー運動量テンソルを得る。

   TμνP/c2)uμu ν Pgμνρ(t)c2δ0μδ0ν      (7.9)

 これによって、場の方程式の源項は次式となる。

[Tμν(T/2)gμν]=(1/2)diag(ρc2, Uρc2, Vρc2, Vρc2sin2θ)  (7.10)

 (6.17)(6.21)により、RμνのうちR00, R11, R22, R01の値を(7.8),(7.10)と見比べて、次式を得る。

R00U**2UV**VU*U*4UUV*V*2VV=-(4πG/c2) ρ      (7.11) 

R11=-U**/2+U*U*4UU*V*2VV/VVV2VVUV2UV

=-(4πG/c2) Uρ                                                   (7.12)

R22=-1V**/2U*V*4UV2UUV4UU=-(4πG/c2) Vρ     (7.13)

R01V*VV*V’2VVU*V’2UV0                              (7.14)

 R00, R11, R22の三つの方程式では、場所の微分と時間微分の和を含んでいる。

このことは次の変数分離法を適用することができるということを示している。

   U(r,t)R(t)2f(r),   V(r,t)S(t)2g(r)            (7.15)

 このあたりの記述は、まったくテキストに沿っている。なぜR(t)S(t)2乗になるのかは、ここでは分からない。後の式の変形の都合で、このほうが便利なのだろうか。

 (7.15)(7.14)へと代入する。この操作を詳しくたどってみよう。

   V*2V(r,t)∂ct ∂r2{ S(t)2g(r)}∂ct ∂r2S*Sg’         (7.16)

   V*V2S*Sg’ SSg2S*g’ Sg                       (7.17)

  V*V’2VV2S*SgSSg’2SSSSggS*g’Sg          (7.18)

U*V’2UV2R*RfSSg’ 2RRfSSgR*g’ Rg       (7.19)

[>>]  S*g’SgR*g’Rg0

     S*g’SgR*g’Rg

S*SR*R                         (7.20)

[>>]  S(t)const. R(t)                       (7.21)

 関数f(r)g(r)は、未定であるので、定数は1と置くことができる。

 計量(7.2)の形は、半径座標の決め方に柔軟性があるので、関数f(r)g(r)のうち一つは任意に選ぶことができる。よって、ここでは

   g(r)=r2                      (7.22)

とする。これらのことから、次式のように整理できる。

   U(r,t)R(t)2f(r),   V(r,t)R(t)2r2            (7.23)

 これらをR11R22の場の方程式(7.12),(7.13)に代入する。そのための準備として、次の計算を行う。

   U*2R*Rf,  V*2R*Rrr

      U**2R**Rf2R*R*f,   V**2R**Rrr2R*R*rr

      URRf,   V2RRrr,   V2RRrr2RRrr   (7.24)

R11

U**/2+U*U*4UU*V*2VV/VVV2VVUV2UV=-(4πG/c2) Uρ

R**RfR*R*f 4R*R* RRff4RRf4R*R* RRfrr2RRrr

(2RRrr2RRrr)RRrr4RRRRrrr r2RRRRrrrr

2RRRRrf r2RRRRfrr=-(4πG/c2) RRfρ 

R**RfR*R*f R*R* f2R*R* f2rr2rrrr

2r rrrf rfr=-(4πG/c2) RRfρ 

R**Rf2R*R* f2rrf rfr=-(4πG/c2) RRfρ 

2rfrfrffrR**R2R*R* (4πG/c2) RRρ       (7.25)

 r’=dr/dr=1,  r”=d1/dr=0                                 (7.26)

ff2rR**R2(R*)2 (4πG/c2) R2ρ                  (7.27)

R22

1V**/2U*V*4UV2UUV4UU=-(4πG/c2) Vρ 

1(R**RrrR*R*rr)2R*Rf 2R*Rrr4 RRf

(2RRrr2RRrr)2RRfRRf2RRrr4 RRf RRf=-(4πG/c2) RRrrρ 

1rrR**R2R*R*r frrrfrrfr2f fr=-(4πG/c2) RRρ 

1rrr frrrfrrfr2f frR**R2R*R*(4πG/c2) RRρ

1r21fr2f2f 2rR**R2R*R*(4πG/c2) RRρ  (7.28)

 (7.27)(7.28)の左辺はrだけに依存するが、右辺はtだけに依存する。よって、右辺も左辺も分離定数に等しい。二つの式の右辺が等しいから、左辺の二つの式も同じ分離定数をもつ。これを-2kとおく。

   -2kff2r                      (7.29)

   -2k1r21fr2f2f 2r      (7.30)

 ここからff2の項を消す。(7.29)2より次式を作る。

k=-f2f2r                       (7.31)

 これを(7.30)に代入する。

2k1r21fr2k 

1k r21f 

      f(r)1(1k r2)                        (7.32)

 これを(7.23)に代入する。

   U(r,t)R(t)2(1k r2),   V(r,t)R(t)2r2            (7.33)

 よって、密度分布の内部で、線素は次の形をとる。

 ロバートソン-ウォーカー計量

ds2c2dt2R(t) [ dr2(1k r2)r2(dθ2sin2θdφ2) ] 

(7.34)

 これについての考察については「宇宙の計量③」へと、つづく。(2008.09.28)

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