「新しい宇宙創造説」(スタニスワフ・レム)のコア解析
思考言語のアイディア(7)黒月樹人 KINOHITO KULOTSUKI 2003_09_28

思考言語のアイディアへ戻る

  思考言語のアイディア(1)にある図3で用いた記号については、辞書も作っていないので、これを再解読するのは困難である。古いスタイルの思考言語を解読するより、自然言語による小説の本文を読んで、思考言語コアでまとめたほうが早いと考え、スタニスワフ・レムのSF小説「新しい宇宙創造説」の内容を10年ぶりに調べることにした。自然言語による本文は割愛する。なにしろ、57段落43ページもある。「レムの宇宙カタログ」(スタニスワフ・レム F・ロッテンシュタイナー編 吉上昭三 深見弾他訳 大和書房刊)もしくは「完全な真空」(スタニスワフ・レム 沼野充義・工藤幸雄・長谷見一雄訳 国書刊行会刊)に掲載されているので、できれば、これらと比較してほしい。コア解析を以下に表示する。

 

「新しい宇宙創造説」(スタニスワフ・レム)

#「段落の記号(とする),#50<>段落50」;

▽「人の記号(とする)」;

大文字で始まる記号(例:▽AA,*NC)は、この文全体で用いる。

小文字ではじまる記号(例:*a)は、その段落のみで用いる。

▽G 「われわれ(一般に考えられているという意味で)」;

▽AT「アルフレッド・テスタ教授,物理学者」/#1;

▽AA「アリスティデス・アヘロプーロス,ギリシャ人」/#1;

 

#1 ▽BV「ベルナルド・ヴァイデンタール教授,科学史家」

――出版>*a「遊びと共謀としての世界」;

▽AA――主著>*NC「新しい宇宙創造説(The New Cosmogony)」;

▽HS「ハーラン・スタイミントン教授」

――著書>*b「ゲーム理論の新たな宇宙」;

*a――主張>,*NC<●>科学的な仮説,<○>文学的な空想」;

*b――主張>,[if]●研究(▽AT),

[→]考え(▽AA)<>(とりとめもない)哲学的アイディア;

#2 ▽AA――>>▽AT――>;

#3 ▽S20「20世紀の多くの学者たち」――考える>,

 [if]*a「知的生物」――存在/@宇宙,

[→]*a――can●介入> 宇宙の仕組みの運行;

#4 *a「宇宙の(他の)文明<コンタクト>地球の文明」;

*b「宇宙工学的な信号や徴候」;

▽S20――●考える>,

*a,*b――will変える> 宇宙観(▽G);

#5 エピソード1(*NC);

#6 *NC――生む> 考え方(*a);

*a「宇宙<>*b「解読困難な一種の遊び」,

▽G――can●見る>遊び(*b)の参加者」;

#7 *NC――提示>,*a「仮面をかぶった神々」,

            *b「物質的な存在に変装した神々」;

   *NC――呼ぶ> 自然の法則 <○> 神々(*a,*b)の闘争の結果;

#8 ●先駆者(▽AA);

#9 エピソード2(*NC);

#10 エピソード3(*NC);

#11 第六章第十七段落(*NC)――主張>,

   「自然の法則<○>数学<○>宇宙;

   [if]世界創造の仕事――達する>終点,[→]数学<一致>世界;

   [if]宇宙自体――(しかるべき)変形>,[→]自然法則<>あるべき形;」;

#12 宇宙の社会学――結果>宇宙の物理学;

#13 宇宙<<――創造者;

#14 *CA「目的志向性の概念」;

   *CA<○>「人に擬せられた神への信仰」;

   科学<●>*CA<○>信仰(教会);

#15 *SU「宇宙の沈黙(Silentium Universi/ラテン語)」;

   [if]▽G――聞く> ●宇宙の声 /電磁工学装置,

[→]*a「宇宙<●>生命」;

[if] 科学的諸事実,[→]*b「宇宙<○>生命」;

*a<矛盾>*b;

#16 理論――主張> 無数の宇宙文明;

   観測事実(信号,合図/電磁工学装置)――主張> ●無数の宇宙文明;

#17 ▽AA――試み>総合(*SU),<※],*SU <○>

◇――再解釈> *a「情報資料の集合」,*b「一般論(<<――*a)」;

#18 太陽系――●属する> *a「最初の世代(星<生――宇宙)」;

   *b「(*aの)次の世代(星<生――宇宙)」,

   時間の間隔「*a<隔>*b」 <○> 謎を解く鍵;

#19 [if] *a「ある一つの文明」――発達>/何十億年もの昔から,

   [→]様子(*a)?

 *a――携わる> ◇?

 *a――持つ> 目的?;

   天体物理学者(*S20)――考> ●*a;

#20 ▽AA――考>,

  「▽G――can●見>*b「文明(#19*a)」,<※],▽G――●気付く> *b;

   <※] 成果(*b)――存在>/@いたるところ;

   *b――●使う> 技術/道具,*b――使う> 自然の法則/道具として;」;

#21 驚き(#20);

#22 ▽AA――>> 制定された法 <●区別> 自然の法則;

    ▽AA――考>,

*CLC「概念の地平線の閉鎖」――生む>「人工的な物体<区別>天然の物体」;

#23 人間――can●乗り越える> 構造(原子,太陽,動物の体,人間の脳);

 

#24 *CLC<○>「自然の完璧さ」;

    [if] ◇――can使う> しかるべき知識,[→]◇――can変える> 自然;

▽AA――考>,

    萌芽的段階の文明――can●変える> *a「自然の法則」,

    進化した文明  ――can○変える> *a;

#25 *U1J「(宇宙の文明の)最初の世代」;

    *U1J――past作業> 天然のもの<●区別>人工のもの/@宇宙;

#26 *OMC「原初の物質の属性/@宇宙」;

    *OMC――制限> *U1J;

*OMC<○>条件(*U1Jの文明)

   <○>*a「(最初の)条件(宇宙創造/知的生物による)」;

    ▽G――●(容易に)知る> ふるまい(*U1Jの文明)<関連>*a;

#27 ▽AA――提案>,

*モデル「{@寒天の培養器,バクテリア}<類似>{@原宇宙,:原文明}」;

#28 原宇宙<●>物理的なカオス(混沌),

<○>ある種の規則性;

#29 ▽AA――仮定>,蜂の巣 <似>

    *a「@原宇宙i(原文明i)<離> @原宇宙j(原文明j)」;

 ▽AA――考>,*P1S「遊びの第一段階(予備段階)」<○>*a;

    *b「物理i(<<――原文明i)<接触>物理j(<<――原文明j)」;

       [if] *b,[→]*P1S――終了>;

#30 *P2S「遊びの第二段階」;

    *P2S <○>,

     原文明i――発見> 原文明i<遊び>*敵(原文明j);

    戦略(原文明)/その後 <決める――,

 事実1「原文明<●連絡>*敵」,事実2「原文明<●接触>*敵」;

 <※] 物理領域i(原文明)<●情報交換>物理領域j(*敵);

#31 *P3S「遊びの第三段階」;

    *P3S <○>,

*a「遊びの参加者」――行動>/*PmM「ミニマックスの原理」;

    *PmM <○> 均質性,等方性/@宇宙;

    戦略的状況i(*ai)<同>戦略的状況j(*aj),

    [→]決断i(*PmM)<同> 決断j(*PmM);

    一つの均一な戦略(*PmM)――past生み出す> 単一の物理系;

 

#32 ▽AA――仮定>,「◇――can起こる>,物理体系i<●>物理体系j,

    論理i(物理体系i)<○> 論理j(物理体系j);」;

    ▽AA――>> ▽AT――再構築> 遊びの戦略/設問の逆転によって;

    ▽AT――will見出す>,

現在の物理<生み出す――*a「遊びの参加者」<<――決断(*a)?;

    [●]原宇宙 ――決定> 遊び ――決定> 現在の物理;

    [○]*b「原宇宙」 ――決定> 遊び ――決定> *c「物理」,

       <変化―― *b <<―― *c;

    [○]自己の変形<フィード・バック機構>周囲の変形;

#33 *PP「参加者(遊び)」――努めた> 変形<●>過激なもの;

    *PP――作り出す>

 階層的な物理「量子力学(原子)<●影響>一般的な力学」;

    *PP――can(少しずつ)変更> 物理;

    ▽AA――想像>,

接触(物理の体系)――壊滅> 一部の参加者/無作為の原則で;

#34 ▽AA――考>,

*a「クウエイサー(恒星状天体)」<○>*b「様々な物理体系の衝突」;

    ▽G――考>,*a<●>*b,<○>違った種類の現象(*b);

    ▽AT――can復元> 戦略(*PP――行動>/今日と同じ); 

#35 構造(現在の宇宙)<○>

 *SSC「戦略の基本的な規範(遊びの参加者たち)」;

    *SSC <○> 宇宙の膨張,光速の壁,宇宙◇凝集的,宇宙◇階層的,

時間◇非対称的,宇宙の沈黙;

    宇宙の膨張; <※],若い諸文明――●乱す> 遊びの均衡;

#36 *a「光速の壁」/宇宙の膨張; 

<※],*a<●>エネルギー競争,力を蓄えること/支配権の独占のため;

#37 *b「時間◇非対称的」

<※],*b<●> チャンス――無効にする>相手/支配権の独占のため;

#38 宇宙 <○> スクリーン――吸収> 

参加者(高レベル)――持つ> 完全な権利/◇――参加>宇宙の遊び;

   *LD「大きな距離(参加者間)」<○>,

    *T1「時間/◇――獲得>戦略的情報(他の参加者たちの状態)」;

    *T2「時間/◇――(現在)遊ぶ>/作戦により」

    *T1<長い//短い>*T2;

    *LD <●> 可能性(陰謀,連合,共謀);

    [※> 宇宙の沈黙;

#39 新しい宇宙創造説 <●> *a「反論」;

   *a「何十億年の労苦/全宇宙改造 <アンバランス>

 効果(宇宙物理体系――>>宇宙平和)」

   ▽AA――考>,

   *b「物理体系――>>宇宙<○>平和」,

   *b<○>誕生(遊び),

<※]*c「ただ一つの戦略」――can均一化> 宇宙を/物理的に;

   *d「<●>*c」――>> 宇宙――> 混沌(大激変) ――●守> 生命;

   [※> *c <○> 最小限の秩序;

#40 ▽AA――理解> *a「何か遠大な目的(遊びの参加者)/将来にたいする」;

   ▽AA――意図する>,◇――把握> 遊びの全体/心理的に;

   人間(▽AA)――can●探索> 心理(参加者たち),倫理的な規範(*);

#41 内省的方法<●>*a「参加者たちの動機」;

   *a <○> ◇――見る>遊びの全体/外側から;

   遊びの構図 <○> 決定の構造(<条件――遊びの状況,周囲の状況),

         <●> 価値(参加者),願望(*),希求(*),規範(*);

#42 ▽AA――考>,宇宙の沈黙<>ジレンマ;

   *AAL(1,2)「二つの法則(▽AA)」;

   *AAL(1)「低レベルの文明――can●発見> *PP「遊びの参加者」;

<※] 行動(*PP)<見分けがつかない>宇宙の背景」;

#43 *AAL(2)「*PP――●助言> *YP「若い文明」;

<※] *PP――●知> 居所(*YP),

*PP――●好> ◇――通信>/@不明;」

    [if] ◇――通信>/@不明,[→]損害<多//少>利益;

#44 *AAL(1,2)<<――倫理;

[→][●]*AAL(1,2);

*UPM「宇宙創造的遊びの理論」;

   *UPM <●> 「発達(道具,科学)/文明 <同調> 倫理/文明」;

#45 ▽AA――加える>他の仮説(を)>*AAL(1,2)(に);

    /後継者(▽AA)/▽AT<○>何?;

#46 理論(▽AT)――復元> 最後の部分(遊び),

●全体(遊び);

   ▽AT――考> 現在の物理学――必要> 仕上げ;

  [→]▽AT――成功> ◇――復元> 輪郭(遊び――進行>/現在);

   ▽AT――仮定>,

/過渡的段階/現在の物理――変形>;

#47 *JC「(いわゆる)普遍的定数」<●>一定;

   *BC「ボルツマン定数(*JC)」<●>不変;

   最初の秩序/@宇宙――変化> 最終状態/@宇宙<○> 無秩序;

   遊びの参加者――影響> テンポ(*――変化>*);

   エントロピー増大の勾配<○>非常に険しいもの;

#48 様々な過程(ミクロの世界)<○>可逆的;

   [if] 素粒子研究でのエネルギー――増大>,

[→]研究(――発見>*a「事物の状態」)

――変化> 

研究(――>>*a――変化>);

  [⇔]◇――認識>*b「自然の法則」,

――変化> 

  ――>>*b――(微かに)変形>;

#49 ◇(#48)<○> 現代の物理のアキレス腱;

   *PP「遊びの参加者」――>> *m「ミクロの世界」――> 不安定;

   *PP――操作> *m;

   *PP――修正> *c「法則(<○>静止)」;

[→]*PP――>> *c――動く(変化する)>;

   *PP――沈黙>,

<※]◇――避ける> (望ましくない)動揺や干渉;

#50 ボルツマン定数――will減少>,

――will変化> ある一定値(<必要――*PP);

   *a(i)「多くの仮説/ここ数年間における」;

   *b「素粒子の領域内に残っている諸現象の可能性の裂け目」;

▽BG「ブルックリン・グループ(バウマン教授)」;

   ▽BG――考>,

*a(1)「*PP――閉じようとする>*b」;

   ある学者たち――主張>,

*a(2)「エントロピーの勾配の減少<○>「生命――適応>生命現象」;」;

   他の者――主張>,

  *a(3)「*PP――>> 宇宙全体――知的生物化>」;

   ▽AT――考>,*a(i)<●>好ましい,<※]

           *a(i)<○>(ある種の)人間主義的思想;

#51 *a「宇宙――進化>一つの大いなる理性,精神体」;

   *a<○> 基本思想(哲学,宗教的信仰)/過去 ;

 

#52 ▽G――考>,*PP――>> 熱力学の第二法則――弱くなる>;

   ▽AS「A・スルィシュ,ソビエト学士院会員」;

▽AS――書く> *a「論理学と新しい宇宙創造説」

   ▽AS――注目> 物理学<多義性の関係>論理学/*aにおいて;

   エントロピー的傾向を弱めた宇宙――may作り出す>非常に大きな情報システム;

   システム(*)<○>馬鹿げたもの;

   物理学の変更(<<――*PP)<○>数学の変更;

▽Ge「ゲーデル,数学者」;

   ▽Ge――書く> *b「形式的体系の決定不能な命題について」;

   ▽Ge――示す> 完璧さの限界(現代数学)/*bにおいて;

ある若い数学者――考> 論証(▽Ge)<○>現在の宇宙;

#53 *a「テンポ(<<――*PP)<○>極度に緩やか/(▽Gの)生命の尺度」

 *a <※] *PP<?>不老不死,*PP<?>巨大な自動装置;

#54 *b「◇――can作る>重要な論理,メタ論理/ありとあらゆる構造的な宇宙」;

   「考え方(*b)<●>正しいもの」<証明している――◇;

#55 *PP<●>全智;最高の文明<●>全体,全能;

#56 ▽RS「ロナルド・シューアー」

▽RS――書く> *a「理性に作られた宇宙――法対規制」;

    /*a/▽RS――述べる>,

          [if] 宇宙<改造(激しく)――*PP,

[→]*PP――(激しく)変える> *PP;

    *PP――>> エントロピーの法則――弱く>,

    <※] 理性<○>宇宙;

   [→]生物圏――増大>/爆発的に,

      (数多くの)未熟な文明――参加> 遊び,

      遊び ――崩壊>,

      混沌 ――生じる>;

   [→]/長い時間/(新たな)参加者集団――現れ>,――始める> 遊び;

#57 *a「モデル(理性たちの遊び)」<説明――▽AT;

    ▽EA「エルンスト・アーレンス教授」――考>,

    [if]*a<●>現実,

    [→]*a<○>計画案,――may実現>/いつの日か;

 

 これらをまとめるのには数時間かかったが、一読しただけでは見おとしたり、(大部分はこちらだが)記憶できなかったところを把握することができた。図3のようなスタイルの表現に比べ、コアによる表記の再読や、全体的な流れの鳥瞰がしやすくなっている。

 

思考言語のアイディアへ戻る