c31 ツレがうつになったらホウロウ引きのフライパンを捨てよう

田中 毅(TANAKA Takeshi @ 9621 ANALYSIS)

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 つれがうつになりまして。

 「つれがうつになりまして。」というタイトルのドラマは、かつて、藤原紀香と原田泰三で演じられました。2009年の5月29日(金)、6月5日(金)、6月12日(金)の夜10時から3回、NHKで。
 そのころ私は実家にいたので、テレビも見ていました。
 2009年までに、私は3度ほど、深刻な「うつ期」(私は双極性障害だと自覚していましたから、単独での「うつ病」とは言いません)を体験していましたから、この病気を治すため、何か大切なことが分かるのかもしれないと、期待しながら。
 しかし、そのような印象は何も残っていません。
 私は相変わらず、いつかまた、突然、「うつ期」になってしまうかもしれない、そのとき自殺してしまうかもしれないと、おびえながら暮らしていました。
 もっとも最近の「うつ期」は、2017年の12月から2018年の5月あたりまでの6ヶ月間です。この間の、2018年4月から私は、住んでいる場所の区長として、いろいろなことをやらなければなりませんでしたが、「うつ期」なので、自分では何も決められません。このあたりの、ぐだぐだの行動については、恥ずかしいので、これまでずうっと秘密にしていました。しかし、実際の「うつ期」(うつ病)の患者は、こんなに馬鹿みたいなことしかできない、ということを、漫画には出来ませんが、きちんと記録として残しておきたいと思っています。(これはまた、タイトルを変えて)

 「つれがうつになりまして。」というタイトルの映画があることは、ツタヤのDVDの棚を見て知っていました。宮崎あおいと堺雅人が演じています。二人は夫婦で、宮崎あおいは漫画家、堺雅人はコンピューター関連のIT産業で主に苦情を受けつける仕事をしています。
 この映画のDVDについては、ずうっと無視してきました。
 でも、私は今、2019年の1月にガン宣告された身でありながら、「うつ期」(うつ病)には陥っていません。ほんのわずか1年前に発病しているのに、今回は、まったく平気です。
 「つれがうつになりまして。」の映画の中で、堺雅人が「うつ病」になってゆく原因やプロセスが、映像で語られて行きます。
 顧客の一人に、梅沢富美男演じる、コンピューター初心者がいて、その苦情係を堺雅人が受け持っています。
 かつて私もコンピューター初心者でした。コンピューターの取り扱いはなんとかできても、そこで動くソフトの不親切さに、なんども切れかかったことがあります。
 このようなトラブルメーカー(問題発生源)あるいはモンスタークライアント(怪物顧客)がいるのは、そのような仕事をしている限り、「想定内」のことなのです。
 私も「うつ期」のときは、何も問題解決できません。
 しかし、そうではないときは、問題が困難なほど、それを解決したときの達成感が素晴らしいとさえ思います。
 問題のほうは同じなのです。
 違うのは、明らかに、こちら側なのです。

 味覚障害にヒントがある

 「つれがうつになりまして。」の映画の中で、堺雅人は、うつ病の原因だと考えられ、問題があったとされる仕事も辞めて、医者に通い、うつ病のための薬(おそらく向精神薬)も処方してもらい、家での療養生活を始めます。
 このとき、主婦の宮崎あおいがやっている家事を分担したいと言い出し、洗濯物を折りたたんで片付けるというのは、そつなくこなしますが、料理ができません。
 (ホウロウ引きの)フライパンで野菜炒めを作っているとき、作りながら味見をするのですが、これは違うと、塩をたくさん振りかけます。また味見しては、さらに塩を振る。
 宮崎あおいに味見してもらったら
 「塩 入れすぎだよ」
 堺雅人は
 「味がぜんぜん分かんないんだよぉ」
と泣きつきます。
 うつ病患者は、このような味覚障害におちいるという、一般的なエピソードを表現したかったのかもしれません。
 私も1年前の「うつ期」のときは、おそらく味覚障害だったと思います。
 ところが、1年後の今は、コーヒーのテイスティングは、胆のうガンのトラブルを引き起こしてしまうので、しばらくあきらめ、紅茶の種類も、アールグレイ、イングリッシュブレックファースト、オレンジペコでは刺激が強すぎると、かつて味わい深く飲んでいた、プリンスオブウェルーズを探し求めて飲むようになりました。
 昨年いっしょに区の仕事をした町代Bさんが、いつもおいしい日本茶を入れてくれるのですが、自分で入れる、お葬式でもらった煎茶が、どうもおいしくない。
 これはきっとお茶が良くないのだと決めつけ、信楽の朝宮へゆき、店主に味見をさせてもらったお茶を2袋買い求め、見せてもらった手順のとおりに、一度沸騰させたお湯を、空の器などに入れて冷まし、お茶をゆっくり煎じて飲むようにしました。
 しかし、入れてもらったときの味は現れません。
 これはきっと、私自身のほうにも問題があると考え、もう夏になっているのに、(海でとれる)カキを探し回りました。
 味覚障害の原因として亜鉛不足が起こっていると判断したのです。
 カキが見つからなかったので、ネツトで調べ、亜鉛を多く含む食品として、赤みの牛肉があると知りました。
 これまで牛肉はほとんど食べませんでした。大腸がんの原因物質だからです。しかし、私の大腸にはガンのポリープらしきものは見つからず、どうせ末期の胆のうガンになっているのだから、大腸がんが少しできたとしても、たいして変わらないと考え、牛肉のステーキとなる厚みのある肉を買って、鉄の中華鍋で焼いて食べました。
 あるとき、牡蠣殻ごとのカキが売られていて、さっそく買って帰り、酒蒸しにして食べました。
 それでも、朝宮の煎茶「あさみや」の味は、よく分かりませんでした。
 この問題は、「お茶の科学」[21] の「はじめに」に記されていた「お茶のフルコース」の情報を知ることにより解決しました。
 まず、急須に入れる茶葉が10グラムとされています。デジタルの秤で量を調べたところ、いつも入れているティースプーンの2杯分でした。半分だったわけです。
 二つ目は入れる水もしくはお湯の量ですが、湯飲み茶わん1杯分ずつなのだそうです。
 三つ目に温度ですが、1回目は水でよいそうで、このときの抽出時間は15分。ゆっくり待って、最後の1滴まで注ぎます。
 お茶の味が分かりました。かすかな、うま味や渋みが分かります。
 正しい入れ方が分かっていなかったのです。
 「つれがうつになりまして。」の映画に戻ると、堺雅人が野菜炒めを作って
 「味がぜんぜん分かんないんだよぉ」
というのは、うつ病だからではありません。
 明らかな亜鉛不足だと考えられます。
 逆に考えると、亜鉛不足に象徴される、体に必要な成分の何かが不足しているから、うつ病の症状が出てくるのだとみなすことができます。

 ツレがうつになったらホウロウ引きのフライパンを捨てよう

 2019年の1月に、私は末期の胆のうガンだと宣告されましたが、ちょうど1年前の同じころは「うつ期」だったのに、こんなにすごいショックに見まわれても、うつ病になる気配はまったくなく
 「やれやれ、自分の体を使って、末期のガンを治す実験を始めることになりそうだ」
と考えていたのです。
 問題が大きければ大きいほど、チャレンジし甲斐がある。
 こんなふうに考えられないから、うつ病になるのだと、多くの人から反論されることでしょう。
 でも、これには理由があった ということが、次の本[20] を見つけて読んだことで分かりました。

 うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった[20]、藤川徳美・著、光文社新書893、2017-7-20初版

 藤川徳美博士は「ふじかわ心療内科クリニック」のお医者さんです。
 ここに通ってこられる妊婦さんについて、いろいろなことを調べてゆくことで、産後のうつ症状やパニック障害を引き起こしている患者さんの特徴として、「鉄分」がいちじるしく不足していることを見つけ
 「高タンパク・低糖質食+鉄剤」を基本とした栄養を摂っていただいたところ、驚くような症状の改善がみられた([20], p8)
とあるように、数多くの実績を上げておられます。

 「うつ病の本質的な原因は、鉄分の不足だったんだ。」
 目から鱗が落ちた瞬間でした。
 私は、「うつ期は6ヶ月で治る」という体験を何度も繰り返してゆくうちに、何らかの不足成分が、この間に、もとのようになるからだろうと予測はしていましたが、その何かは、よく分かりませんでした。
 鉄分だったのです。
 鉄分が多い食品として有名なのは、レバーやホウレンソウです。
 胆のうガンと闘うため、これまでになく多様な食品を摂り始めていた私は、これらもしっかりと摂っていました。
 最近、ヒジキに含まれる成分として、鉄の値が改訂され、以前より小さな値になったそうです([20] p40)。なぜかというと、昔はヒジキを鉄の大釜で煮ていたそうですが、今はステンレスの釜となって、鉄分が溶けてヒジキに移らなくなったのだということです。
 鉄分は錠剤でなくても、レバーやホウレンソウでなくても、鉄の釜(こんなのは私たちの台所にありませんが)、鉄の鍋、鉄のフライパン、鉄の茶釜から摂れるのです。

 何ヶ月かまえのことですが、家に残っていた、もう使わないフライパンの多くを、資源ごみとして出しました。このとき、ニトリにゆき、ちょっと値のはる(と言っても2000円くらい)、ホウロウ引きのフライパンを一つ買いました。以前使っていたものに比べ、後処理が簡単で、水でさっと流せばいいだけでした。
 この便利さが受けて、どこへ行っても、ホウロウ引きのフライパンだらけです。
 同じニトリで、もっと前から、底の平たい鉄のフライパンを買ってありました。大きさのわりには安価(1200円くらい)だったからです。
 これで玄米を乾煎りし、最後に水をかけて熱湯にしたものを圧力釜に移して炊いていました。これが良かったのかもしれません。
 玄米を食べていたから「うつ期」にならなかったのではなく、玄米を鉄のフライパンで乾煎りし、そこに水をかけて、鉄分を移していたから「うつ期」にならなかった。
 今は、そう考えられます。

 実家の表に、兄が「自由にお持ち帰りください」と張り紙して、調理に使っていた陶器の器などを広げていました。それらの中に、母と私が台所で使っていた道具もありました。母はまだ存命ですが、母の食事は外来の弁当ということになり、台所のガス台を取り払ってしまったので、こんなものはもう使わないと判断したのでしょう。
 それらの中に見覚えがあるものがいくつかありました。私がどこかで買ってきた鉄の中華鍋、中ぐらいと小さなサイズの鉄のフライパン。母が調理をするために残しておいたものです。とくに、鉄の中華鍋は便利だと言って、母はいろいろな料理に使っていました。天ぷらも、これを使えば、油の量が少なくてすむのだと言っていました。一人二人分の調理をするには、ちょうどよかったのです。
 母にDVDを見せ、井戸水をペットボトルに汲むため、実家に訪れていた私は、表にある、これらの、鉄の中華鍋と鉄のフライパンを、今生活している水口の家へと運び、こびりついていた油汚れを削り落として使い始めました。
 鉄の中華鍋の後処理は、(竹の)ささらや(棕櫚の)タワシで汚れを落としたあと、かるく水分をふき取って、鍋だけで火にかけて焼き、油を一滴垂らして、うすく伸ばしておきます。ちょっと面倒かもしれませんが、これで、次回もこびりつかず、うまく調理できるのです。
 鉄のフライパンも同じように手入れしていますが、何でも、鉄の中華鍋で調理できるので、あまり出番はありません。
 ホウロウ引きのフライパンは、ほぼまっさらのまま、捨てるのは忍びないので、台所の隅っこのスペースへしまい込んでしまいました。

 もうひとつ鉄器と言えば、ケイヨーD2で買った、鉄の土瓶です。南部鉄なら、これの10倍はするはずですが、売れ残っていたので、ほぼ半額の2000円くらいでした。
 紅茶は鉄分を嫌うので、ホウロウ引きの薬缶を使っていましたが、日本茶は鉄の土瓶で沸かしたお湯を使うものらしく、「日日是好日」のエッセイ本の、カラーさし絵に、同じものが写っていました。

 よくよく調べてみると、亜鉛をたくさん含んでいる赤みの牛肉は、鉄分もたくさん含んでいます。
 「つれがうつになりまして。」の映画の中に、宮崎あおいの母親を演じている余貴美子から
 「うつ病には野菜がいいそうよ」
と聞かされ、両手に大量の野菜を入れたビニール袋をつるして歩いているシーンがあります。
 野菜もたしかに良いのですが、もっと重要なポイントは
 「鉄分を含んでいる食べ物がうつ病にはいい」
ということだったのです。
 だから、片手に野菜のビニール袋、もう一方の手に肉屋で買った赤みの牛肉のビニール袋をつるしていれば、完璧なうつ病啓発映画になっていたことでしょう。
 ころころ牛肉のカレーを食べたり、中華鍋で肉野菜炒めをつくったり、鉄の茶瓶で沸かしたお湯で日本茶を煎じて飲んだり、といった、うつ病治療のためのシーンは、どこにもなかったと思います。

 もっとも簡単な対策は、ホウロウ引きのフライパンを捨てるか、どこかに片付けてしまい、もっぱら、鉄のフライパンや(こっちのほうが使いやすい)鉄の中華鍋を台所に備えるということです。
 鉄分が少なくなったヒジキも、鉄の中華鍋で煮立て直せば、鉄分の多い、かつてのヒジキとなるはずです。

 もうひとつヒントがあります。
 鍋は、シチューなどをつくるアルミニウムかステンレスの深鍋、ホウロウ引きの鍋や、アルマイトの鍋しか見当たりません。
 ところが、天ぷらを揚げるための鍋が、完全な鉄器なのです。上が穴の開いたドーム状になっているやつです。
 私はこれに適度な蓋(これはアルミニウムですが、ふたは関係なしです。木でも耐熱ガラスでも)を使って、澄まし汁や味噌汁などをつくるのに使っています。
 ああ、そうか。私の家は古いので、鉄の釜はありました。ご飯を炊く、木の蓋をする釜は、確か鉄です。災害などで炊き出しを行うときがあったら、これを使って、煮物やシチューをつくれば、みんなで助け合いつつ、しかも、うつ病にはなりにくくなります。

 うつ病は不治の病ではありません

 うつ病は不治の病ではありません。
 私は、いま、たしかに、このことを主張できると思います。
 その証拠は、何度も(死んでしまいたくなるような)「うつ期」を経験してきた私の、今の体です。
 そう病、そして双極性障害も不治の病ではありません。
 もっと簡単ですが、糖尿病も決して治らない病気ではありません。
 あとひとつ、私がもっぱら受けもっている、胆のうガンが治らない病気ではないということを示すのには、もう少し時間がかかりそうですが、きっとそうです。

 うつ病になったら、うつ病を治すために頑張る

 「うつ病になったら、頑張らない」
というのは、見当はずれの指針です。
 「うつ病になったら、うつ病を治すために頑張る」
 これが正しい指針です。
 ツレがうつになってしまったら、とくに奥さんが頑張って、食事の内容を見直すべきです。
 食事をつくる人のさじ加減で(いや、もっと大胆に変える必要がありますが)、今や、うつ病は治る時代なのです。
 みんなで頑張りましょう。
 (Written by TANAKA Takeshi, June 18, 2019)

 参照資料(関係分)

[1] 「がん」では死なない「ガン患者」、東口高志・著、光文社新書818, 2016-5-20初版
[2] 「がんが自然に治る生き方」、ケリー・ターナー・著、長田美穂・訳、プレジデント社・刊、2014-11-23初版
[3] 「免疫革命」、(元新潟大学大学院 医学部教授)安保徹・著、講談社インターナショナル・刊、2003-7-11初版
[5] 「炭水化物が人類を滅ぼす」糖質制限からみた生命の科学、夏井睦(なついまこと)・著、光文社新書663、2013-10-20初版
[7] 「ケトン体が人類を救う」糖質制限でなぜ健康になるのか、宗田哲男(むろたてつお)・著、光文社新書786、2015-11-20初版
[11] 免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ、管理栄養士 麻生れいみ・著、医学博士 古川健司・監修、光文社・刊、2017-8-20初版
[12] 「がんの嫌がる食事」、丁宗鐵(ていむねてつ)・著、三省堂書店・刊、2013-12-25初版
[14] 「ケトン食ががんを消す」古川健司・著、光文社新書847、2016-10-20初版
[15] 「炭水化物が人類を滅ぼす 【最終解答編】 植物VS.ヒトの全人類史」 夏井睦・著、光文社新書911、2017-10-20初版
[16] 「免疫力を自分で上げる本」、主婦の友社・編、株式会社主婦の友社・刊、2018-12-20発行
[17] 「薬を捨てる 糖尿病を治す」、栗原 毅・著、廣済堂出版・刊、2018-11-12初版
[18] 「薬剤師は抗がん剤を使わない」、宇多川久美子・著、廣済堂出版・刊、2017-1-25初版
[19] 「糖質過剰」症候群 あらゆる病に共通する原因、清水奉行・著、光文社新書1007、2019-5-30初版
[20] うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった、藤川徳美・著、光文社新書893、2017-7-20初版
[21] BLUE BACKS 「お茶の科学」、大森正司・著、講談社・刊、2017-5-20初版

 

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