「天国にいちばん近い町」の案内

黒月樹人(KULOTSUKI Kinohito)

「天国にいちばん近い町のリスト」へ戻る

コーネリアス 他の惑星からやってきたエイプ型シナモン。博士号を取得している。言語学者。正確には思考言語学者。この町が天国にいちばん近いという噂を信じて、この町に流れてきた。

 ブラックタフ(黒色凝灰岩) この町生まれのコクジン型シナモン。ガイコクジン型シナモンとも呼ばれるが、この意味はよくわからない。一度は外の世界に出たが、色々なことがあって、うまくいかなくなり、ユーレイ(ユーラナシ)になって、この町に戻ってきた。外の世界では、色々な仕事についたが、その一つは、イグアナの調教士というもの。イグアナとテレパシーで意思を伝えることができる。現在、ユーウツ病なので、正規の処方箋でクスリを手に入れて、ハイになっている。イザナミ支局の共同体副議長。

ミジンコ・ザビエル 採石場で働く、かなり小さなシナモン。典型的なカラカイ病。ときどき、自尊心を高めるため、チョンマゲミジンコに変身する。自分自身は気づいていないが、呪術の力をもっていて、あらゆる方向に、呪いの雲を撒き散らしている。ミジンコではあるが、まったく遊泳能力をもっていないため、池に投げ込まれることに対して、異常なトラウマを抱え込んでいる。

スッポニア・スッポン 採石場で働く、首の長いシナモン。本来は夜行性なので、昼の仕事中は、いつもボーとしている。何かにくっついて、後追いする習性がある。一度くっついたら、なかなか離れない。ここで、くっつくといっているのは物理的な意味ではなく、行動のパターンのことを意味している。

オキアミ ミジンコとは大の仲良し。ミジンコとともに行動するときは、ミジンコの背中を押していることが多い。理由は不明。

ドロシー・マジョラム 宝石磨きのベテラン。メスの老シナモン。タツマキに乗って、この町にやってきた。魔法を少し使う。数百年生きてきたといっているが、すでに記憶中枢がやられているので、この数字はあやしい。ほんとうは千年を越えているかもしれない。

ダルマン・アルバトロス・コリアンダー ミーアキャット型シナモン。自然鉱物局イザナミ支局の石加工支部で働く。イザナミ支局の共同体の議長に選出されていて、この共同体の行事として、新春親睦旅行という団体旅行を提案し、実行しようとしているが、色々な困難や妨害にあう。通常はコリアンダーと呼ばれている。

キメラサウルス・ユーラキョウ 自然鉱物局イザナミ支局長。あれやこれやのものを無意味に組み合わせること(キメラ行動)に快感を覚えるという習性をもつ。ユーラキョウにおけるキョウの意味には諸説があって、@ユーラに強い、Aユーラにかかわる称号(卿)、Bユーラに興味がある、Cユーラ狂い、などなど。

ジタン・プランクネット 自然鉱物局イザナミ支局ゾンビ石支部長。プランクトン使い。つまり、外の世界にあぶれているプランクトン型シナモンを、網にかけて集め、この支局で働かせている。ジタンというのは、2・タン(舌)という意味か。黒煙マニア。

キャメル・ブラックボックス 自然鉱物局イザナミ支局技術総務課課長。内部の機能や情報を隠した装置やシステムを生み出すことが得意。青煙マニア。

メガロベントス・ベントナイト ゾンビ石支部で働く、大きな体形のシナモン。水を吸うと膨らむ。黄煙マニア。

オパール・パラゴナイト 若手の宝石磨き。若手といっても、ドロシーと比べたもの。年齢は分からない。アルビノのアホロトール型シナモンなので、色白で幼形成熟する傾向がある。オパールのオは、パセリ星E領域の某地方で姓の前につける接頭辞。元来は子孫の意味。よって、厳密に言うと、パール・パラゴナイトなのであるが、シナモン社会の慣例によって、オパールで通用している。パラゴナイトとは雲母粘土鉱物に関係の深い雲母のこと。おそらく、出生地で多く産出されていたのだろう。イザナミ支局の共同体書記。

ドロテツ・ドロマイト (自称)石の芸術家。羊皮紙を右から左に運び、それにあわせてシナモンを右から左に連れてゆき、再度、羊皮紙が左から右に運ばれたとき、いっしょに左から右に戻されたシナモンの背中に、その羊皮紙を貼りつけるという、エンドレスなユーラ再生産が可能な(一生安泰な)仕事を、周囲の反対を押し切って辞め、石の芸術を志して、この町に流れてきた。コリアンダーと共に新春親睦旅行の下見にゆく。

ムーンストーン イザナミ支局共同体の常任会計。メスのシナモン。形状不明。ムーンストーンとは、別名、月長石で、一般的にいう長石類の外観の美しいものが(誤って)宝石類に分類されたもの。古代からムーンストーンには、悪霊をはらい、予知能力を高め、ストレスを和らげ、愛をもたらすものと信じられていたが、シナモンのムーンストーンに、そのような効果があるかは疑わしい。

サンストーン イザナミ支局のアナウンス部員。メスのシナモン。形状不明。サンストーンとは、灰長石(アノーサイト)に微量の銅などが含まれることによって、赤い色を呈したもので、(これも誤って)準貴石として扱われている。硬度は6〜6.5と、かなり硬い。何色にもよらず、一般に、各色の煙に拒否反応をしめす。もちろん、健康には害があるのだが、なんでも、灰長石状の肌つやの維持に支障があるとかないとか。

フキヤ・ヒイロカキアカ イザナミ支局の石加工支部長。どうやら、モウドクフキヤガエル型のインディオタイプシナモンらしい。吹き矢の名手だったという噂もある。ほとんど無毒の様態を呈しているが、毒がほんとうにあるかどうかは不明。ヒイロカキアカの意味も不明。一説としては、「陽の色香かぐわしき黄色赤色」というのもあるが、名前なのかハイク(俳句)なのか疑わしい。ハイクとすれば、字足らずと字余りがひどすぎる。「火囲炉(裏)火気あかん」というのもあるが、方言が混じっていて、解釈不能。

セイタカ・オキナクサガメ スッポニアの仕事仲間。石や土砂などをすくって運ぶ、6脚ホイールローダー(昆虫型のシナモンにみたてて開発された6脚で移動するのに、車輪を意味するホイールが用いられているのは、開発初期のタイプが車輪型であったことに由来する)の乗り手。茶煙マニア。土煙マニアでもある。

クレオパトラ・タ・タルク クレオパトラとは、美しくなりますようにと願ってつけられるメスシナモンの呼称。それゆえ、この名前は美の基準として評価されにくい。なぜなら、願いをこめて名づけられている時点の、赤シナモン(誕生後の幼シナモン)の顔は、形成途上であり、シナモンというよりは、ピグモンに近いからである。しかし、この名をもったという誇りのようなものが、その後のシナモンの成長から羽化にかけての変化を刺激し、それなりの美貌を獲得すことも(稀に)ある。これを、シナモン名におけるプラシーボ効果と呼ぶ。タ・タルクの、タは冠詞の一種で、「大量の」という意味をかんむり化(つけ加える)する言葉である。タルクは水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、真珠のような光沢をもっている。岩石となったタルクの中には、熱変成の過程で高品位の金を含むようになったものもある。ところで、シナモンのタ・タルクのことであるが、クレオパトラ・タ・タルクは中堅の宝石磨き。中堅といっても、最高齢のメスシナモンであるドロシーの年齢が、不確かなうえ、異常なほどの高齢であるため、メスシナモンの年齢配置に関しては、常用の目盛ではなく対数目盛を用いるので、中堅というのは、ほぼ常識的な数位置を占めている。クレオパトラの名を持っているだけあって、統治統率能力に非凡な才能をもっている。

キミドリ・キャッツアイ キミドリの意味については諸説あって、@有色鉱物のキミドリマラカイト(黄緑孔雀石)、A樹木緑化運動中(キ・ミドリ・キャンペーン中)に授かった、B卵黄(キミ)色の鳥(トリ)型シナモンのミームを持っている、以下、数え上げると、足の指をくわえても足りないくらいある。キャッッアイとは、鉱石の結晶中に平行配置された針状含有物からの光の反射で、鉱石の表面に、多くの光を避けようとしたときの猫の目のような光輝が生じるもの。このシナモンの目が、そうだというわけではない。キミドリ・キャッツアイは、新参の宝石磨きのメスシナモンで、クレオパトラのもとで技術を磨いている。もちろん、石も磨いている。性格は温厚で控えめ。もちろんもちろん、クレオパトラの前では、どのようなシナモンでも従順で静謐(せいひつ)な状態になってしまう。ブラックタフもコリアンダーもしかり。ミジンコ・ザビエルにいたっては、ほとんど奴隷状態で、あれこれと用事をいいつかって跳ねまわっている。これも、クレオパトラという名のもつ威光なのかもしれない。

ラースト・オブ・モヒカーン 完全個シナモン主義の、石綿ケーキの手配士および、熟練キメラ組み石士。通常の作業中は多くのシナモンを支配しているが、自由時間帯になると、一匹でふらふらとさまよい歩く習性をもつ。名前の由来は、たてがみと、背中がみと、尻がみとが、連続して密集して生えており、いわば、モヒカンベルト化しているということから。ラーストというのは、「生きた化石」と言う意味。オブは、オンブニダッコの短縮形で、共生状態を暗示する前置詞。

「天国にいちばん近い町のリスト」へ戻る